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カナヲ『虚毒ノ夢』完成版公開:SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第6回

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※本記事は、1月7日より開始した「SMILE GAME BUILDER」制作実演の連載です。

フリーゲーム作者による「SMILE GAME BUILDER」制作実演連載が開始 完成作はダウンロードして遊べる!

Qpic『スーパーフックガール外伝』 制作連載 / 2 / 3 / 完成作品ダウンロード
カナヲ『虚毒ノ夢』制作連載 1 / 2


 
カナヲです。ついに『虚毒ノ夢』も完成をむかえることができました。今回の記事では、ゲーム制作終盤のブラッシュアップ作業やバランス調整を中心にまとめていきます。

今回は『虚毒ノ夢』のリリースも同時に行っていますので、ゲームを遊んだ後にあとがき的に見てもいいし、先に記事を見て、内容を踏まえながらゲームを観察するのもいいかと思います。『虚毒ノ夢』本体は、記事末尾のリンクからダウンロードできます!

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今作は、2015年公開の探索ホラーADV『虚白ノ夢』の数年後の世界を舞台としたホラーADVです。ただし物語の理解に前作の知識はほとんど必要なく、主要な登場人物はいずれも新規キャラとなっており、 前作に触れていなくても今作単体で楽しめるようになっています。

「記憶」という要素がカギになるアドベンチャー

このゲームでは、記憶障害のせいで記憶が一日しか保てない主人公の未散(ミチル)が、3LDKの部屋に同居する兄の目を盗みながら記憶のかけらを探し、隠された真実に迫っていきます。ゲームの舞台はこの部屋のみで、SMILE GAME BUILDERならではの主観視点を最大限に活かした構造になっています。

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ミチルは基本的に日々を自由に過ごすことができます。一日は朝、昼、夕の3フェーズに分かれていますが、どの時間帯もやれることは変わりません。家の中を歩き、探索し、自分の記憶の空白期間を埋めるようななにかを探すことになるでしょう。しかしもちろん、なんのアテもなく探索するわけではありません。家の中には、あきらかに兄のユウが目を光らせている場所やものが存在します。
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とはいえ、ユウも四六時中ミチルを監視しているわけではありません。トイレに入っているとき、シャワーを浴びているとき、バルコニーで休憩しているとき……。ユウの目を盗む機会は必ずあります。
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ミチルは一日の出来事をノートに文字として記すことで、明日に記憶を引き継ぎます。日々のささいな手がかりも、数が集まれば確かな違和感と謎を浮き彫りにすることでしょう。その時こそ、ミチルは夢の中でかつての記憶を回想することになるのです。

あやしいものを探し、うまく調べ、ノートに残し、夢を見る。この繰り返しの果てに、きっと隠された真実があるはずです。

本作に仕込んだ「面白さ」とは?

このゲームは、なにかを調べるときに「今ここを調べてもユウに見つからないか?」「はやくしないとユウが戻ってくるかも……」と、兄のユウに見つかる緊張と恐怖……要するにドキドキがひとつのポイントです。それゆえに、システム上つねにユウの居場所を完全把握できるとは限りません。
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もちろん、「今バルコニーにユウはいるか?」「今玄関にユウの靴はあるか?」など、個々の場所をクリアリングすることは可能ですし、すると有利になるのですが、あまり慎重になりすぎると探索を始める前に時間が足りなくなってしまうでしょう。

このゲームは戦略ゲームではなくホラーゲームなので、あまりシステマチックに戦略を立てることができないよう、言い換えればアバウトなプレイでもクリアできるよう意図的に調整しています。その一環でもありますが、たとえば『過ぎた時間を数字でカウントして画面に表示すれば、よりユウの現在地を予想しやすいんじゃないか』など、戦略的な方面のアイデアはすべてボツにしています。

難しいことは考えなくて大丈夫です。どうせユウに見つかってもゲームオーバーになるわけじゃないし、そこまで高度な動きは要求していないので、気楽に遊びましょう。え? 偶然なんとなくでクリアできちゃってモヤモヤする? 大丈夫です、きっとミチルはいつもそれくらいの気持ちです。
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もちろんシステム面だけではなく、隠された真実をめぐるストーリー面にも力を入れています。家を探索するパートがゲームパート中心であるのに対し、夢の中で記憶を回想するパートではストーリーテリングを中心にしています。いつも主人公の主観視点で進むこのゲームですが、夢の中でなら自分の姿を客観的に見下ろしていてもおかしくないので、イベントシーンはカメラをぐりぐり動かして映像作品のような3Dならではの演出を盛り込んでいます。

ゲーム制作の「工夫点」を紹介

システム面で気をつけた点は、自由探索と導線の配分のバランスでしょうか。どういうことかというと、このゲームは自由に家を探索することがメイン要素のゲームなのですが、そうなると「次はあっちに行くと話が進むよ」「次はああするといいよ」といったゲームの誘導、すなわち導線をあまり露骨に配置できないのです。導線が少なすぎると「自由すぎて次なにすればいいのかわからない……」となり、導線が多すぎると「お使いしてるだけだコレ……」となってしまいます。

このゲームはさいわい、あまりマップが広くないので、まだ調べていない場所や明らかになにかありそうな場所が目立つのですが、それでもユウとの会話にさりげなく「〇〇は絶対しなくていいからな」とヒントを仕込んだり、安全地帯である自分の部屋で次にするべきことのヒントがもらえたりと工夫しています。
ただし、なにをすればいいかのヒントは多くとも、どうすればそれを完遂できるかはあなたの腕と度胸次第です。

ストーリー面で気をつけた点は、ミチルの特殊な境遇へのフォローです。『記憶が一日しか保てず、昨日あったことが思い出せない』というのはプレイヤーとは大きく異なる境遇であり、いまいちその感覚がつかめず、ミチルにあまり感情移入できません。なので、冒頭は最低限の説明で済ませつつ、ゲーム開始から少し経った頃に夢の中で『毎日見ているはずのこの景色はいつも初めて見る景色』『先日合った人の顔がわからない』『周りの人のことを想像で脳内補完している』などの感覚を、ゲームとしてプレイヤーにも追体験させています。

ただ別の点でひとつ反省点があるとすれば、キャラ同士の掛け合いの少なさです。じつは作品のテーマにも関係することなので難しいところなのですが、そういう小難しいこと以前に、キャラとキャラが喋って個性を見せるシーンは多ければ多いほどいいですよね。

制作を終えての感想

現在、主観視点のゲームを専門知識なく気軽に作れるツールは、僕が知るかぎりSMILE GAME BUILDERのみです。これまでのフリーゲームは2D画面のものがほとんどだったので、主観視点ならではの演出や表現もまだまだたくさんあると思います。

スマホでライトに遊べるアプリライクなゲームが主流になっていく一方、将来的にはVRなども含めた体験型・没入型のハイエンドなゲームもまた独自の盛り上がりの可能性を秘めていると思いますが、個人製作者に立ちふさがる『開発のハードルの高さ、制作体験のしづらさ』という大きな壁があるのもまた事実です。

SMILE GAME BUILDERはある意味、そういった方向性の開発における『最初の一歩』になり得るツールなのではないでしょうか。僕自身、これまでのゲーム制作とは一味違った調整が必要な場面が多く、いい勉強になりました。

初心者向けツールゆえの機能の少なさも一概に欠点とは言えず、むしろ『複雑な機能・作り込みとゲームの面白さは必ずしも比例しない』という基礎の上での工夫を誘発するギプスのようなものだと考えると納得感が大きいです。

興味を持った方はぜひ、SMILE GAME BUILDERに挑戦してみてはいかがでしょうか。取り扱いの簡単さは保証しますよ!

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カナヲさんによる『虚毒ノ夢』完成版はこちらからダウンロード!


2016年のフリーゲームを語り尽くす!もぐらゲームスライター陣による振り返り座談会

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もぐらゲームスにて日頃紹介を行なっている「フリーゲーム」。2016年にも多くの新作がリリースされ、さまざまな話題で盛り上がった。そこで今回は1月に実施した、もぐらゲームスのライター陣4名が2016年のフリーゲームを振り返る座談会の様子をお送りする。

日々フリーゲームをやり込んでいるメンバー達の間では多数のタイトルが話題に上り、1万字をゆうに超える内容となった。諸事情により掲載が遅くなってしまったが、2017年の折り返しを前に、あらためて2016年を振り返ってみてはいかがだろうか。「このゲームも話題だった」といったご意見があれば、Twitterやはてブなどでコメントをしていただけると幸いだ。

昨年の話題作といえば……?

poroLogue:それでは早速なのですが、2016年のフリーゲームを振り返る座談会を始めたいと思います。いったん、参加するみなさんの自己紹介をお願いできればと。私はもぐらゲームス編集長のporoLogueです。ちなみに前回はもぐらゲームスのメンバーで、2015年下半期のフリーゲームを語る座談会を行いました。

ノンジャンル人生:ノンジャンル人生です。もぐらゲームスで一昨年から主にRPG関連の記事を書いています。去年は「フリーゲームをはじめよう。」という連載をさせて頂きました。まだまだ若輩者ですが、よろしくお願いします。

vanillaice:2001年からのフリーゲームファンのvanillaiceです。インディーゲームのステージクリア型アクションパズルゲームにてステージデザインなども行っています。去年よりもぐらゲームスでゲーム紹介記事をちょこっと書いています。本日はよろしくお願いします。

友次郎:中村友次郎です。窓の杜というオンラインソフト紹介サイトの編集長を経て、現在はフリーのライター・編集者として、同誌の連載記事「週末ゲーム」の担当編集など、主にゲーム関係の執筆・編集を担当しています。他にも各所でゲーム関係の記事執筆などを少々。プレイヤーとしては、色々プレイしますが「システムが凝ったRPG」を特に好んでプレイしています。(編注:「週末ゲーム」の連載は4月に終了し、中村氏は現在もぐらゲームスにライターとして参加している。)

poroLogueさんには窓の杜にご執筆いただいているといったご縁もありまして、今回参加させていただくことになりました。よろしくお願いします~!

poroLogue:それでは、2016年のフリーゲームを振り返っていきましょうか。年末にはフリゲダウンロードサイト「ふりーむ!」のDL数ランキングや、「フリゲ2016」の結果なども出ました。ユーザーによる人気投票であるフリゲ2016では『ニュー・スーパーフックガール』(紹介記事)や『メイジの転生録』など、話題となっていた作品も登場していましたね、皆さんプレイされましたか?

ノンジャンル人生:『ニュー・スーパーフックガール』は可愛らしい見た目に反し、予想以上に難しくて最後までクリアできてないんですよね。プレイヤーに何度も挑戦させるような作りなど、デームデザインで学ぶところが多い作品だと思います。

vanillaice:かなり手ごわかったですが、それが気にならないくらいに豊富なギミックで楽しませてもらいました。正規ルートと裏ルートがうまく両立した、表裏一体のステージ設計も素晴らしかったです。疾走感のあるサントラは今でもドライブ中に流すことがあります。

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『ニュー・スーパーフックガール』

友次郎:『メイジの転生録』は、厳密には2015年末のゲーム投稿イベント「VIPRPG紅白2015」が初出の作品ですが、年間を通して人気でしたね。昨年の11月くらいからさらに盛り上がってきた印象があります。私もプレイしましたがとても面白かったです。

vanillaice:転生録はTwitterで感想が飛び交っていまして。その流れでプレイしたのですが、想像以上に引き込まれました。

友次郎:引き込まれますよね……。独特の台詞回しが癖になります。ダンジョン探索などのプレイアビリティが高く、するするプレイを進められるのも魅力かなと。ベースの部分の作りがよく、ゲームプレイの部分でストレスなく進められるからこそ、あの独特の世界観が引き立つのかなと個人的には思っています。

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『メイジの転生録』

vanillaice:転生録の台詞といえば、巧妙な誤字も特徴ですね。

poroLogue:誤字をゲームの演出のひとつとして組み込めてしまってるのが、メイジの持つ世界観の強さかもしれませんね。想定されているにせよ、そうでないにせよ。

友次郎:あの、狙ってるんだか狙ってないんだかわからない感は狙って出せるものではないと思います(笑)

poroLogue:それと『メイジ』が凄いなと思ったのは、一見アーティスティックで尖った作品という印象を受けるんですが、その実、伝統的なノンフィールドタイプのRPGをさらに洗練させたゲームデザインで、ストレスなく気持ちよくプレイできるところなんですよね。実は、かなり幅広いユーザーにおすすめできる作品と感じています。

友次郎:ですね。シリーズ前2作も尖った魅力はあるのですが、転生録でゲームとしての完成度が段違いに上がったと感じます。ストーリー的には、前2作の「24億年分の伏線」があってこそのシナリオだと感じるので、順番にプレイするとより感慨深いかなとは思いますが。まず転生録を少しプレイして、合いそうなら改めて第1作から、というルートをお勧めされている方もいたのですが、自分もそれがお勧めかもです。

ノンジャンル人生:自分の場合、1作目の『メイジの悲劇譚』、2作目の『メイジの因果録』からプレイしたんですが、やられた!と思いましたね。想像なのですが、たぶん1作目を出してからの10年の間にツクールの技術力を高めて、2作目を発表したのではないかと……。

poroLogue:たしかに、1作目から最新までプレイすると、ゲームデザインの進化を感じますね。

vanillaice:作者さんの新作予定『メイジの百騎録』ではBGMの選曲にものすごく時間をかけているそうですが、転生録でもそれは十分に感じました。

poroLogue:選曲もすばらしいですね。それぞれのシーンにあった音楽を的確に選ばれている印象があります。『四月馬鹿達の宴』の作者さんと同じような、選曲へのこだわりを感じます。

友次郎:1作目の『悲劇譚』は王道RPGのミニマム化作品としての纏まりはすごく良いと思っていて、個人的には「気軽にゲーム1本クリアしたと感じられる短編」としても素晴らしいと思います。

終盤以降はややゲームバランスがやり込み寄りになる印象ですが、それに関してもレベル上げ済みのセーブデータが用意されていたりと、プレイヤーへの配慮は第1作から見られますね。 実際は難しい仕掛けとかはないんだけど、何となく雰囲気がそれっぽいマップになっていて、達成感を味わえるのも面白かったです。

vanillaice:ゲームを始める前からすでにあるセーブデータ、あれにはびっくりしました(笑)

ノンジャンル人生:実況プレイする方は、まずそこにツッコミを入れていますね(笑)。ゲームデザインについては、一見粗いようですが、実際プレイしてみるとRPGの面白さを凝縮させているんですよね。つい語りたくなる作品なので、メイジがきっかけで知り合いになれた方も沢山います。

vanillaice:そういえばノンジャンルさんと知り合ったのは、メイジシリーズがきっかけでしたね。

ノンジャンル人生:どうしても話が弾んでしまいます(笑)

poroLogue:ひとつの作品をきっかけにフリゲファンの輪が広がるのは、素晴らしいですね!いまではファンの方が色んな絵柄でファンアートも出していますね。グラフィックについては以前、友次郎さんと話していたときには『東方Project』みたいという話もしてました。

友次郎:ですね。デザインとして魅力があり、それでいて固まりきっておらず解釈の余地があるようなイラストだと、「自分ならこう描く」みたいな二次創作の盛り上がり方もするのかなーと思ったりしました。もちろん、純粋にキャラクターの魅力というのも大きいとも思いますが。

ノンジャンル人生:確かに、想像の余地のある作風なので、自分たちでそこを補えるのが創作しやすい理由かなと思いました。自分も趣味でファンアートを描いていますが、やっぱり楽しいです!

友次郎:メイジの転生録のイラストは、ダイナミックな構図で勢いやアクションが伝わってくるのでゲームイラストとして非常に正しいと思っていたのですが、新作予定の『百騎録』ではその魅力は完全に残ったままで、一般的な絵としての観点においても品質が上がっているので、もう完全に隙がないなこれ……と圧倒されています(笑)

ちなみに、『メイジの転生録』が発表された「VIPRPG紅白2015」は他にも良作RPGが多かった印象です。

poroLogue:なにかイチオシの作品はありましたか?

友次郎:個人的には『アイマス』が年間を通しても一押しの作品になりました。渋みのあるシナリオなども良いのですが、「ボス残機制」が自分にとってはとても新鮮で……。端的には「第○段階」みたいなボスの耐性・行動パターン変化の可視化ですが、これにより段階ごとの戦略などが立てやすく、その行動パターンもボス毎に個性的で、ボス戦が本当に楽しいゲームでした。主人公側もヒロインごとに戦闘スタイルもキャラクターも個性があって魅力的でした。

なので好きな子のシナリオをプレイするのもよし、全員分コンプするもよし、そのあたりはプレイする方の自由でよろしいかと思います。自分はコンプしましたが(笑)

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『アイマス』

vanillaice:『アイマス』についてはTwitterで友次郎さんの熱い感想を見かけまして、タイトルだけは知っていました。

友次郎:1周なら2時間くらいで気軽にできますよ~、と言いつつ5周した人です。ギャルゲー的に、ヒロインごとに後半のストーリーが分岐しますので。ルートによって待ち受けるダンジョンやボスも別々になりますね。

ノンジャンル人生:メイジのインパクトが凄かったですけど、紅白2015のゲームは魅力的な作品ばかりでしたね。

友次郎:VIPRPG紅白2015作品だとRuinaオマージュの『金リカ2』も良かったです。『Ruina』が面白いから面白い、というのももちろん大きいのですが、あのシステムでちゃんと中編1本作り上げるのは凄いと思いますし、いわゆる魔法具現化ベースで多数のキャラクターを揃えつつ、個々の戦闘スタイルなどキャラも立っていました。

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『金リカ2』

ブラウザ公開の環境が充実してきた2016年

poroLogue:2016年のフリーゲームは全体的にどんな感じだったんでしょう。各々、主観的なもので構わないので、プレイした作品やトレンド感について聞ければなあと。

vanillaice:これまでオフラインで遊べるフリーゲームを中心にプレイしていた自分としては、RPGツクールMV製のゲームに注目していました。ツクールMVについては、「AndApp」にてPCとスマホ間でセーブデータを共有できるゲームが出てきたり、「RPGアツマール」が登場したりと、オンラインという名の風を強く受けました。フリゲはダウンロードして遊ぶようなフリーウェアのイメージが強かったのですが、昨年はブラウザゲームを相当プレイしていて、フリゲに対する捉え方が少し変わりました。

poroLogue:「PLiCy」の作品数も10,000を超えて、「ふりーむ!」もブラウザ対応しましたね。

vanillaice:そういえば今年に公開されたものですが、座談会が始まる前にアツマールで『The Hotel 337』のデモ版をプレイしていました。このドット絵に惹かれてしまう……。

poroLogue:これは完成が本当に楽しみです。

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『The Hotel 337』(デモ版)

ノンジャンル人生:フリゲを作る人も増えてきた印象がありますね。ツールそのものが扱いやすくなり、気軽に作品も投稿できるようになったという感じに。

友次郎:ふりーむ!のブラウザ対応とRPGアツマールの開始が印象としては特に大きく、ブラウザプレイが一気に進んだ年という印象でしたね。ミニゲームなど気軽に遊べるゲーム、掌編ノベルゲームなどには非常にマッチしていると思います。

一方でじっくりプレイするようなRPGですと、セーブデータを手元にずっと残しておきたいのでオンラインのみというのはややもどかしい感じも。ある程度のボリュームの作品だとローカル版も用意していただけていることも多いので助かります。

ノンジャンル人生:アツマールは向き、不向きがはっきり分かれますよね。皆でワイワイするのが楽しいゲームと、ひとりでじっくり遊ぶゲームだと、全然違いますし。

vanillaice:アツマールのゲームをいくつか遊んでいたときに、ユーザーの投稿コメントにより話の展開がわかり、気になってしまったことがありました。今は事前に対処していますが。

友次郎:タイトル画面に感想コメントを書く場合も多いので、そういうのを読みたくなければページを開いた瞬間にコメント表示をオフにするなどの対処も必要になりますね。システムは色々とアップデート予定ではあるようですが。

ノンジャンル人生:アツマール、ふりーむ!、PLiCy、それぞれ特性があるので、どこにフリゲを投稿するかも大切になるかもしれませんね。

poroLogue:現状の所感だと、今後数年間はブラウザは体験版や短編向けで、長編はダウンロード形式、という感じで分かれる気はします。

友次郎:ですね。長編RPGに関しては、テスト版や体験版の公開をブラウザ版でという流れになると嬉しいなーと思っています。じっくりプレイする際はローカルでプレイしたいのですが、まずはダウンロードせずに気軽に試せるといいなと。

poroLogue:ツールでいえば「ティラノビルダー」もブラウザ対応してますし、今後が楽しみな領域ではあります。

ノンジャンル人生:フリゲそのものの容量も増えていますしね。音楽にこだわった作者さんも多く、曲のデータが増えたことで容量も自ずと増えてきた印象です。

poroLogue:たしかに。それでいうと、ボイスつきの作品もかなり増えてきた印象です。RPGですと『ラルスと白夜城のお姫様』(紹介記事)、あとはアドベンチャーの『霧と太陽の王』とかもそうですね。

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『霧と太陽の王』

ノンジャンル人生:『霧と太陽の王』もぜひ遊んでみたいですね。去年は、短編中編が目立つ年だった印象です。

友次郎:ですね~!自分はシステムに凝ったRPGを特に好んでプレイするのですが、その観点で2016年は短編~中編の良作が多かった印象です。

個人的に特に良かった作品を挙げるなら『アイマス』『ひびかけ色のキセキ』(紹介記事)『作葬グレイブキーパー』(関連記事)『いばらのうみ』『Vengeance -禁じられし魔術-』といったところでしょうか。良作が多くて絞るのが難しいです……。リソース管理ゲーとしては『幽獄の14日間』も良かったです。

vanillaice:RPG・アドベンチャーですと自分も短編~中編を一気に遊ぶことが多かったです。

ノンジャンル人生:短編中編は製作期間も比較的短いので、ボイスなど、今までのフリゲの枠に囚われない挑戦も多かったのではないかと。個人的に良かったのは、『きらきら星の道しるべ』(紹介記事)『ダークオルヴェリア』『美術空間』(編注:公開は前年の12月)など…… 幽獄も楽しみました。

poroLogue:『幽獄の14日間』は『カリスは影差す迷宮で』(紹介記事)の作者さんの作品ですよね。あの作品もゲームデザインが凄く面白くてずっとプレイしてました。

ノンジャンル人生:ツクールMV作品が出始めた段階で、本当にお手本のように完成度の高いゲームでした。

vanillaice:ずっと気になっていたゲームです……これはやらねば。

友次郎:程よいランダム性もあって、周回も捗るゲームですね。

poroLogue:そして女の子がかわいい……!

ノンジャンル人生:赤い子と青い子がお気に入りです。

友次郎:金 髪 ツ イ ン テ ー ル 最 強 (火力も)

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『幽獄の14日間』

ゲームに込められた作者のこだわりと、広がりを見せる制作ツール

ノンジャンル人生:短編中編RPGの充実もそうですが、去年はシミュレーションRPGが凄くなかったですか?

poroLogue:そうですね、特に「SRPG Studio」製の作品が一気に増えた印象です。

ノンジャンル人生:『ヴェスタリアサーガ』、『Heartium』(紹介記事)、あと触っていないですが『アポロガル・エピソード』。 特にふりーむ!のランキングを見ていると、SRPGが定期的に出ていた印象です。

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『Heartium』

vanillaice:シミュレーションRPGはよく見かけました。『Heartium』制作者さんの過去作『魔法少女』の、SRPG Studioでのリメイク版も期待しています。

友次郎:『魔法少女』、ストーリーの評価が非常に高いのですがプレイを検討している時にリメイクを知ったので、リメイク待ちですねー。楽しみです。多作なのは、やはりSRPG Studioの効果が大きいのでしょうね。ツールって大事だなあ。

poroLogue:作品数は本当に増えていました。作品として『ヴェスタリアサーガ』が個人的にとても印象に残っています。

ノンジャンル人生:『ヴェスタリアサーガ』参入が追い風になって、かなり盛り上がったのかもしれませんね。poroLogueさん、実際ヴェスタリアサーガをプレイしてみていかがでした?

poroLogue:ゲームシステムとしては古典的なターン制SRPGなんですが、キャラクターごとの性能差や能力上限が明確に設定されていて、1キャラでのゴリ押しではなく、仲間の全員をうまく活用することで戦局を打開できるデザインが素晴らしかったです。

また、マップごとに毎回異なるギミックが用意されていて、一見、難攻不落に思える戦場で、適切に仕掛けを活用してクリアできたときの爽快感たるや。古典的なゲームデザインでもここまで新鮮に楽しめるのか、と勉強になるタイトルでした。

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『ヴェスタリアサーガ』

友次郎:めっちゃ気になるし面白そうですね……ギミックまわりの話がとくに。

vanillaice:マップごとに毎回異なるギミック、でふと思い出したのですが、『ステージ1 コンプレックス』(紹介記事)が面白かったです。次はどんなアイデアが襲ってくるのかとわくわくしながらプレイしていました。

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『ステージ1コンプレックス』

ノンジャンル人生:単純に規模を大きくするのではなくて、アイデアをしっかり練り上げる作品は増えてきた印象です。アイデアの勝利と言えば『どとこい』(紹介記事)とか。

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『どとこい』

vanillaice:あの作品はインパクトありましたね。「ティラノビルダー」を知るきっかけとなったのが『どとこい』、という方も多いのでは。そういう意味では先ほどの『ヴェスタリアサーガ』の勢いも合わせて、シミュレーションRPGの制作ツールとして「SRPG Studio」、ビジュアルノベルゲームの制作ツールとして「ティラノビルダー」が知れ渡った年といえるかもしれません。

ノンジャンル人生:3DRPG制作ツールの「SMILE GAME BUILDER」も発売されましたし、新規の作者さんは入りやすい年だったのかも。

vanillaice:「SMILE GAME BUIDER」や「ティラノビルダー」は直感操作でゲームが作れる、ということを売りにしていましたね。プログラミングを必要としないゲーム制作ソフトが増え、イラストや小説の創作をしている方がビジュアルノベルゲーム制作に挑戦する、といったように自作ゲームを作ろうとするきっかけも多様になっていくのではないかと。

poroLogue:ツールや素材が充実して、制作技術の蓄積もされた結果、「誰もがゲームを作れる時代」が始まっているのかもしれませんね。

友次郎:ツール関係だと、「WOLF RPGエディター(ウディタ)」のワイド対応も現在ベータ版、そろそろ正式版が近そうで気になっています(編注:その後、3月に正式版が公開された)。さっそく対応を模索されている作者さんも見かけますが、やはり画面がリッチになりますね。見ていてワクワクします。

ノンジャンル人生:ワイド版のリッチさは魅力的ですね。個人的には、旧ツクールやウディタのウィンドウの小ささは気になっていました。だから今回のワイド化は凄い嬉しいですね。制作の幅が広がると思います。

友次郎:現在体験版が公開されている『箱庭セレナータ』のワイド対応が楽しみです。作者さんがワイド版の画面を公開されていますがめっちゃ綺麗で、普通にコンシューマの画面だこれ……みたいな。デザインを非常に考えて模索されている様子がTwitterでも伺えて、すごいなあと。

ノンジャンル人生:コンシューマーで思い出しましたが、最近のフリゲはだんだん市販の作品との差異がないものが増えてきたように感じます。

友次郎:「市販の作品との差異がなくなって来た」という話はよく聞きますね。ただ、全部が全部そういう方向ではなく、コンシューマ的なカッチリとした完成度を追求するという方向もあるし、とことん尖った作りでもいい。どこに力を入れるかは引き続き作者さんの自由で良いだろうし、それが届くべき人には届く界隈であって欲しいなと個人的には思います。そういった中で、UIやマップ等のデザインに凝るというのも1つの方向性としてもちろんありかなと。

ノンジャンル人生:そうですね。どこかでめちゃくちゃこだわりつつも、どこかで手を抜けるというのがフリゲの特徴のひとつかなとも思います。

友次郎:ですねー。特徴であり魅力かなと。ちなみに最近の、マップデザインのクオリティの全体的な底上げに関しては、「ねくらマップチップのいろいろ」さんのマップチップの普及の恩恵が大きいのかなという印象です。少し前から見かけましたが、昨年は作者さんの間でもマップ制作に関する情報交換などもよく見られた気がします。

ノンジャンル人生:Twitterで、皆で自作のマップを公開し合うあれですね。見ていて楽しくなります。

友次郎:あくまで個人的な印象、かつファンの贔屓目が入っているかもですが、稲穂スタジオのなすーさんが「マップ制作の凄い人」として一気に注目を浴びた感があります(笑)

ノンジャンル人生:そういえば去年話題になった『箱庭えくすぷろーら』(紹介記事)は、こだわりというかフェチズムの塊でした。

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『箱庭えくすぷろーら』

vanillaice:そもそもなぜ自分はフリーゲームが好きかといいますと、狂気すら感じるこだわりと出会うことがあるからです。

poroLogue:好きな部分に好きなだけこだわれるのがフリーゲームのよさですよね。

ある作者さんの「フリーゲームは高校野球のようなもの」という言葉が印象に残っていて、個人的な解釈なのですが、高校野球のようにアマチュアとして続けることもできるし、甲子園に行って将来的にはメジャーリーグに……みたいな、色々な選択肢が許容されているのも、フリーゲームのいいところだと感じています。

友次郎:作り込み、突き詰めた内容という話ですと、ノベルゲームでは『詩歌を嗜むRe』がとても良かったです。シナリオも、それを伝えるための演出も極まったものを感じました。キャラクターもそれぞれ、物語上の役割というのがしっかりしているのですが、その上で個々の人物としての描かれ方も濃くて。一部過激な表現があるので、苦手な方はそこだけ要注意ですが。

vanillaice:はじめの過激なシーンで面食らいましたが、濃厚なアクションノベルでしたね。

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『詩歌を嗜むRe』

さまざまなテーマでイベントが開催。海外作品も充実

友次郎:ほかに昨年の話題というと、夏をテーマにしたゲーム投稿イベント「フリゲ展!theFinal 夏(フリゲ展夏)」が個人的にアツかったです。『終わり逝く星のクドリャフカ』『戦海ディザイア』など短編RPGの良作がありました。『戦海ディザイア』の作者さんは1年の間で、『ショコラいろのセレナーデ』でツクールの基本システム+αのまとまりの良い短編を作られて、『戦海ディザイア』でノンフィールドRPGをリリース。加えて現在開発中の新作では自作戦闘と、1作ごとにステップアップされているのが凄いなと思います。

年末に第1章まで版が出た『きみと ゆうきの ものがたり』もトップビューのアクションRPGとしてマップやゲームバランスの作り込みが良い感じなのですが、どちらかというと完成期待枠かも。

poroLogue:フリゲ展夏も良作が多かったですねえ。個人的には『アノ・リュンヌ・ソレイユ』など面白かったです。

vanillaice:ゲーム投稿イベントといいますと、昨年もウディコン(WOLF RPGエディターコンテスト)が開催されましたね。クッキークリッカーやハクスラ、ドット絵盛りだくさんといったゲームが大好物の私は『Rush Dungeons!β』にハマりました。

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『Rush Dungeons!β』

poroLogue:vanillaiceさんには2016年のおすすめフリゲ・インディー作品を挙げる記事でも『Rush Dungeons!β』について語っていただきましたが、「放置ゲーだけど、放置するのはもったいない」というのはまさにと思いました。ウディコンだと個人的には『Defense Saviors』も、初心者におすすめできるシミュレーションゲームとして面白かったです。キャラもかわいい。総合グランプリに輝いた『収穫機道ろぼふぁーむ』といい、今回のウディコンはコンパクトにまとまった良作が多かった印象があります。

友次郎:良作短編~中編という流れがウディコンにも通じるのかもしれませんね。『いばらのうみ』もゴールまで30数歩という短いノンフィールドRPGですが、体験としては非常に濃いものでした。私は4周したので総プレイ時間は結構長くなりましたが(笑)。より効率的なプレイを追求するのが楽しいゲームだったので、メモを取りながら周回してました。

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『いばらのうみ』

ノンジャンル人生:『いばらのうみ』は挫折してしまったので、くやしいです!

poroLogue:ノンフィールドRPGは『三億年帝国の夢』などもあり、最近また増えてきた気がするので遊びたいですねえ。

友次郎:ノンフィールドRPGだと『ONE world QUEST』も面白かったです。ノンフィールドだとソロパーティとかコンパクトな作品が多い印象ですが、こちらはダンジョンハクスラ的な内容でキャラも多く、それでいてダンジョンはノンフィールドでサクサク進行という。

poroLogue:フリゲではありませんが『ShrineStory オヤシロ物語』もノンフィールドタイプで面白いですね。

友次郎:オヤシロ物語は、コミケで最初に持ち込んだ数が売れてしまい、そこからは名刺に手書きのダウンロードコードを頒布という形になった人気作ですね。自分はその手書き版を入手しました(笑)

vanillaice:もっとたくさんのフリーゲームを見てみたいという思いから、最近は海外のフリゲも触るようになりました。日本で親しまれている探索アドベンチャーを中心にプレイしています。

poroLogue:海外作品は増えてますよね。さっきvanillaiceさんが挙げてくれた『The Hotel 337』はかなり海外フリーゲームに近い作風だと思いますし、もしよければおすすめのゲームについて語ってもらえると。

vanillaice:昨年の海外フリゲですと、RPGツクール製の『Pocket Mirror』が真っ先に思い浮かびます。『Ib』や『魔女の家』といったフリゲに影響された謎解きホラーアドベンチャーなのですが、馴染み深い作風になっていて一気に飲み込まれました。

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『Pocket Mirror』

poroLogue:元がツクール製のフリゲで、いまでは有償作品としてリメイクされた海外作品『OneShot』もアートワークや仕掛けなどが素晴らしいですね。現在、日本語ローカライズもされている作品で、リリースが待たれます。

vanillaice:『OneShot』の翻訳版、楽しみです!あと海外のゲーム投稿サイト「itch.io」で開催された「Pixel Horror Jam」というゲーム制作イベントでは、謎解きがメインの『Lavender』などをプレイしていました。このPixel Horrorという言葉は、『Ib』や『魔女の家』といった日本のフリーゲームにも関わりがあります。

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『Lavender』

poroLogue:そんなイベントがあったんですね。

vanillaice:もぐらゲームスでは昨年、「itch.io」でのゲームボーイ風をテーマとしたゲーム制作イベントの記事がありましたね。なんという名前でしたっけ。

poroLogue:GBJAM 5」(関連記事)ですか?

vanillaice:そうです!そちらのイベントでは、日本発の『SHINKENDO』をプレイしていました。使える技が2つだけのシンプルな格ゲーなのですが、何も考えずに特攻して終盤で見事に撃沈。何度か挑戦するうちに間合いを気にするようになって、自然と技の出し方がわかっていく、という華麗なる流れを体験しました。

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『SHINKENDO』

友次郎:フリゲ展夏といい、特定のテーマからゲームが生まれるというのも興味深いですね。

vanillaice:他に印象に残った海外フリゲですと『The Huntress of the Hollow』を挙げたくなります。おとぎ話のような短編RPGです。海外フリゲとして話題になった『OFF』の戦闘が好きな方はニヤリとするかもしれません。色使いはゲームボーイ時代のポケモンに影響を受けているそうなんですが、とても綺麗でした。

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『The Huntress of the Hollow』

友次郎:海外作品の話からは逸れちゃいますが、ドットグラフィック的な話ですとアクションゲームの『赤い目のレシアス』が良かったです。ステージデザインも秀逸でした。昨年は海外インディーで『Momodora: 月下のレクイエム』(紹介記事)に『Rabi-ribi』(関連記事)と、キャラクターが可愛くてやり応えのあるサイドビュー探索アクションが目を惹きましたが、そういった作品が好きなら本作もお勧めです。現状、第1話までですが結構遊び応えのある内容でした。

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『赤い目のレシアス』

poroLogue:『赤い目のレシアス』はプレイしましたが、キャラデザインも凄く作り込まれてましたね。今後が楽しみです。

魅力的なゲームは尽きず。ホラーゲームも引き続き人気

ノンジャンル人生:フリゲやインディーも魅力的なゲームが多すぎて、ちょっと遊んで目移りしてしまうことってよくあります。

友次郎:昨年、特に11月中盤から気になる作品が次々にリリースされていて、徐々にプレイしていますがなかなか追い付きません……。

vanillaice:積み重なっているゲームの数はもう数えていません(汗)

ノンジャンル人生:去年話題になっていて、個人的にもヒットしたのが『高速廻転寿司』です。寿司でレースする奇抜さと、ちゃんとレースゲームとして成立しているのがツボにはまりました。でもこれ、2015年制作のゲームなんですよね。いつブームが来るかなんて誰にもわからないもんですね。

poroLogue:実況などで同時多発的に取り上げられてましたね。ふとしたきっかけが流行に。

vanillaice:まさに疾走するように、新鮮な寿司ブームがありました。レース系のフリゲが話題になるというのは珍しい光景でしたね。

『高速廻転寿司』と同じくUnity製の『言霊の迷宮』も独特なフリゲです。しりとりをしながら進んでいくローグライク風のゲームなのですが、緊張の連続で常に発想力が試されます。語彙力とタイピングに自信ありという方に限界までプレイしてほしいなぁと。

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『言霊の迷宮』

ノンジャンル人生:そういえばホラーゲームの話はまだでしたね。ホラゲもコンパクトになっている傾向はあるのでしょうか?

poroLogue:そうですねえ。多くの作品が出ている分、ゲームデザインが洗練されてきているような。最近だと『徒花の館』(紹介記事)がよかったです。厳密にはホラーゲームというか特殊なジャンルなんですが。

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『徒花の館』

vanillaice:主人公が殺人鬼というだけでも「おっ?」と思っていました。初回プレイのやり直し無しでのイカサマ勝負が楽しかったです。こういう頭脳バトル系はもっと遊んでみたいなあ。

poroLogue:クリアまでに2時間ほどで、それぞれルールの違う「ライアーゲーム」風の心理戦が複数あって面白いんですよね。

友次郎:『徒花の館』、Twitterでも話題になっていて気になってたんですよね。2時間くらいなら気軽にできそうですし、やってみようかな。

vanillaice:他に注目されたホラーフリーゲームといいますと『狂い月』(紹介記事)や『トラウマ*トラウム 翠眼の人形』(紹介記事)、そして台湾発の『ファウストの悪夢』(紹介記事)などがありましたね。ホラーアドベンチャーはこれからも不動の人気を誇っていくことでしょう。

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『狂い月』

2016年の一推し作品、そして今後の期待作は!?

poroLogue:最後に、これまでもう出ているかもしれませんが、皆さんの「2016年のフリゲで個人的に推したい作品」「今後楽しみにしているフリゲ」を改めて語ってもらえればと。

ノンジャンル人生:『箱庭えくすぷろーら』や『メイジの転生録』は記事に書いたので、そのほか一作挙げるとしたら……『デッドラインのその先で』、これですね。

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『デッドラインのその先で』

vanillaice:未プレイでした。どんなゲームなんです?

ノンジャンル人生:死んでしまった冴えない父親が、娘を守るため奔走する話です。パズルを解きながら進んでいくのですが、話も丁寧で、めちゃくちゃ感情移入してしまいました。ぜひどうぞ~。

今後楽しみな作品は……気になる大作RPGが今年5本ほどリリースされそうなんですが、完成を急かしてしまうかもしれないのであえて答えません!

vanillaice:うーむ、気になります!さて自分は、イチオシは『Pocket Mirror』です。日本語版が出る予定は今のところありませんが、もし翻訳されることがあれば日本でも多くの人に遊ばれてほしいという思いも込めています。

これから楽しみな作品については……先ほど触れた『The Hotel 337』です。挙げていくとキリがないですが、他には『ムラサキ』の続編や『帽子世界』のリニューアル版、あと『星の王女さま』にも注目していきたいです。

友次郎:『星の王女さま』、年末に公開されたデモムービーを見ましたが本当に楽しみですね。

私の一推しは……改めて、という感じですが『アイマス』です。短編・中編RPGが豊作と感じた今年を象徴する作品として挙げさせていただきます。

そして楽しみにしているフリゲは……ノンジャンル人生さんが開発中の探索RPGです。

ノンジャンル人生:!?

友次郎:驚かせてしまい恐縮です(汗)とはいえ全く他意はなく、純粋に以前プレイさせていただいた体験版が面白かったので……完成を楽しみにしております。

ノンジャンル人生:名作が数々挙げられていてハードルが高すぎるのですが……制作はぼちぼち進んでいるので頑張りますね。

友次郎:あとは有償同人なので参考程度ですが、フリゲ界隈繋がりでいうと稲穂スタジオさんの『アスクギア』が楽しみです。

ノンジャンル人生:有償ありなら……友次郎さんがツイートされていた『イストワール』ライクな新作も気になっています。イベントに行かないと買えないのですか?

友次郎:Eulogia/IXNOS』ですね。あれは気になりますねー。体験版も面白かったです。 今回の体験版はイベントのみだったようです。完成版がどうなるかは不明ですが、一般的にはショップ委託やダウンロード販売などもよくあるので、期待したいですね。

あとはまだ完全にこれからですが、SmokingWOLFさんが新作に着手されるようで楽しみにしています(編注:その後ゲームの概要などが発表されている)。

poroLogue:ロードマップのしっかりした報告になっているというのがさすがですね(笑)

友次郎:熟練者ですね……。

poroLogue:最後に自分ですね。結構迷ったのですが、やはり2016年の推しは『ヴェスタリアサーガ』かなと。この作品の出自を考えると「特別枠」な感じがあるんですが、ゲームデザインや作劇など学ぶことの多かった作品なので、よりプレイされてほしいなと思いました。

ノンジャンル人生:第一線を駆けてきた方なので、お手本になりますよね。

友次郎:poroLogueさんらしい選定だと思います~!SRPGもじっくりプレイしたい作品が沢山あります……。

poroLogue:今後の期待作は……個人的にはやっぱり『フシギセブン』(関連記事)かなと。世界観や文章、システムの独特な雰囲気が前作から好きなので、楽しみにしている作品です。

ノンジャンル人生:12月に体験版が出たとき、Twitterのタイムラインに衝撃が走ってました。

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『フシギセブン』(体験版)

vanillaice:そういえば百騎録も気になっています。

友次郎:そうそう、百騎録も期待の作品でしたね。どの程度開発が進んでいるのかわからないので言及しそびれていました。

poroLogue:『メイジの百騎録』、開発状況を見ていると意外と形になっている気もしますが、どのくらいのボリュームなんでしょうね。とはいえ開発中ゲームの情報があるということ自体が希望です……。

ノンジャンル人生:そうですよね……。『Elona』の作者さんの新作『Elin』(関連記事)も出ることになりましたし!

poroLogue:完成時期はまだまだ先のようですが、楽しみすぎますね!昔からいた作者さんの活動が活発になりそうな年でもあります。

ノンジャンル人生:『Elin』はむしろ買わせて下さいという気持ちです。

poroLogue:Steamへの登録を目指しているとのことですので、有償になるのかもしれませんね。

vanillaice:2016年の終わり頃、Twitterのトレンドに『Elona』があったのはびっくりしました(笑)

ノンジャンル人生:ファンの方の漫画がきっかけでしたっけ?

poroLogue:そうでしょうね。漫画がリツイートされてトレンドに。

vanillaice:いかにフリーダムなゲームなのかがよく伝わってきます(笑)

友次郎:おーなるほど、この漫画は拝見していましたがこんなに広まったんですねえ。凄い!

ノンジャンル人生:フリゲを語ると、やっぱりElonaにたどり着きますね。

poroLogue:確かにそれはある……。

といったところで、開始から実に5時間超!いったん座談会はこのあたりで閉めますかね。たぶん、区切りをつけないとエンドレスで語れると思うので(笑)

友次郎:了解です、いやー楽しかったです!ありがとうございました。2016年を語り尽くした……!

ノンジャンル人生:楽しかったです(笑)

vanillaice:あらためて振り返ると、とても充実した年でした!

poroLogue:本当にそうですね。今回はご参加ありがとうございました!

強制横スクロールRPG『片道勇者』次回作のゲーム概要や画面ラフが公開 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は人気RPG次回作の情報公開や新作フリゲRPG・SRPG公開など8本です。

SmokingWOLF氏、『片道勇者』次回作のゲーム概要、画面ラフ公開

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ゲーム制作ツール「WOLF RPGエディター」や強制横スクロールRPG『片道勇者』などの作者として知られるSmokingWOLF氏は17日、現在開発中の『片道勇者』次回作のゲーム概要やゲーム画面のラフ画像をブログにて公開した。

『片道勇者』は、フィールドが強制的に横スクロールしてくシステムが特徴のローグライクRPG。次回作もこのコンセプトを踏襲しつつ、大きな変更としてカードを使ってアイテムやスキルを表現する、カードゲーム的なシステムとなることが今回公表された。プレイ中にデッキへカードを足したり抜いたりして臨機応変にデッキを強化していく、デッキ構築型ゲームのようにアイテムやスキルなどのリソースを管理していく形となるようだ。また、フィールドがヘクスマップとなるのも注目の変更点と言えるだろう。

今回公開されたラフ画像は実際のゲーム画面ではなくあくまで完成イメージのイラストだが、スキルやアイテムがカードとして並ぶ様子や、『片道勇者』にもあった「覚醒」システムの存在などを見て取ることができる。なお、同氏のブログでは引き続き、イメージイラストに込められたさまざまな特徴について紹介されていく模様。

フリゲ短編RPG『雛鳥フェアリーテイル』公開

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青汁氏は19日、ノンフィールドRPG『雛鳥フェアリーテイル』を公開した。おばあさんから家の裏山へ、薬草を採りに行くように頼まれた少女が主人公の短編フリーゲーム。公称プレイ時間は15~40分となっている。

さまざまな魔法から6つまでをあらかじめセットして戦闘で利用するシステムや、戦闘中の行動で溜まるTPを使用し、ターンを消費せず即時発動する「即応魔法」が特徴。TPは多く溜まるほど与ダメージが増え被ダメージが減るほか、即応魔法は再使用にクールタイムが設定されているため、TPの管理や即応魔法の使い所など、戦術的なバトルを楽しめる作品となっている。

敵を倒して入手できるManaを使って装備品などのアイテムを生成する要素もあり、アイテムは損失なしでManaに還元することも可能。変更可能な装備枠は計6つあり、キャラクターカスタマイズの戦略も醍醐味だ。

フィールド進行中は少女のモノローグを任意で閲覧できるほか、回想シーンなども挟まれる。少女の秘めた想いが徐々に明かされていくシナリオも見どころだ。

フリゲSRPG『ロンドリア物語2』公開

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ひーりんまる氏は17日、フリーゲームのシミュレーションRPG『ロンドリア物語2』を公開した。

昨年公開された『ロンドリア物語』の続編。魔法使いの少女リアを始めとした前作でおなじみのキャラクター達や新キャラクター達による、新たな戦いが描かれる。「SRPG Studio」製で、システムはオーソドックスな交互ターン制。

難易度が複数用意されており、キャラクターロストの有無も選択可能。アニメ調のキャラクターグラフィックやキャラクター同士のコミカルな掛け合いも魅力となっている。

超水道、デンシ・グラフィックノベル『ghostpia』第3話ブラウザ版公開

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創作ユニット超水道は18日、デンシ・グラフィックノベル『ghostpia』第3話「はたらくしごとをみつける日」のブラウザ版をノベルスフィアにて無償公開した。

『ghostpia』は雪に閉ざされた、幽霊の住む町を舞台にしたノベル作品(関連記事)。第3話では主人公の小夜子と新人幽霊のヨルによる仕事探しや、そこから巻き起こる騒動などが描かれる。第3話のiOS版は5月末に配信されており、ブラウザ版は後日公開予定となっていた。

スマホ向け物理パズルゲーム『Slash/Dots.』配信開始

個人開発者のNASPAPA氏は、物理パズルゲーム『Slash/Dots.(スラッシュ/ドッツ.)』の配信を開始した。Android版およびiOS版が提供されている。

サイドビューの画面上に配置されている木を任意の位置で切ることにより、道を作ったりギミックを作動させてボールを動かし、ボール同士をぶつけることでステージをクリアしていく作品。ジャンプ台や歯車、ドミノといったギミックが用意され、100以上のステージを収録しているとのこと。

ドットグラフィックエディタ「GraphicsGale」フリーソフト化

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ADV・ノベルゲーム制作ツール「LiveMaker」の開発元としても知られる有限会社ヒューマンバランスは18日、同社が有償販売していたグラフィックエディタ「GraphicsGale」をフリーソフト化した。

ゲーム素材やアイコンなど、ドット絵の編集に適した機能を持つグラフィックエディタで、アニメーションにも対応。レイヤー機能や各種エフェクトなども搭載している。

Creative Freaks、無償で利用できる背景イラスト素材を提供開始

株式会社Creative Freaksは17日、ゲーム制作などに無償で利用できる背景イラストの配布を開始した。執筆時現在は「女の子の部屋」のイラストが数点公開されており、加工や商用利用も可能。イラストは以後も随時追加予定とのこと。

同社は京都府にあるスマートフォンアプリの開発会社で、イラスト制作事業も行っているという。

「デジゲー博2017」のサークル参加要項が公開

デジゲー博準備会は21日、同人・インディーゲームの展示・即売会「デジゲー博2017」のサークル参加要項を公開した。サークル参加の申し込みは7月1日より受付開始となる予定。

今回のデジゲー博は秋葉原UDX2階のアキバ・スクエアに加え、4階のUDXギャラリーも会場として開催される。4階は3m四方のフリーレイアウトで通路側を除く3方向に仕切りが設けられ、VRや全身認識などの広さを要する展示に適しているとのこと。なお、2階での展示とはサークル参加費や申し込み期限などが異なっている。

Steamサマーセール開催!暑い夏に涼しく遊びたい”海ゲー”5選

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初夏が過ぎ去り本格的な夏へと移り変わろうとしている昨今、いかがお過ごしだろうか。
レジャーシーズンとなる反面、うだるような暑さの前にして、部屋でクーラーを効かせて涼しく過ごしたい!と思う人も多いことだろう。

今回はそんな夏に部屋の中で遊ぶのにぴったりな、見た目に涼しい「海」を題材としたインディーゲームを5作品紹介する。

いずれの作品もPCゲームのダウンロードプラットフォーム「STEAM」から購入することが可能だ。

『ABZÛ』

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一目して飛び込んでくる極彩色。505 Games『ABZÛ』は『風ノ旅ビト』(原題:Journey)のクリエイターが独立して手掛けたダイビングアドベンチャーゲームだ。
『風ノ旅ビト』同様にゲーム中には文章や会話がなく、映像と音楽によるアート性が重視された作品となっている。

プレイヤーはダイバーとなって神秘的な海底の世界を自由自在に泳ぎまわることができる。
道中では扉などがが道をふさいでいる場合があり、それらは仕掛けを探して開放していくことになる。
複雑な操作は特に必要とせず、賞味2時間弱と映画を見るような感覚でプレイできる。
圧倒的な映像美の前には言葉は不要だろう。ただただ海の美しさに酔いしれよう。

『Narcosis』

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夏といえば肝試しの季節でもある。肝を冷やしたいという方にはHonar Code制作の深海ホラーアドベンチャー『Narcosis』はいかがだろうか。

舞台は太平洋の海底の資源採掘基地。そこで発生した大地震からのサバイバルを目指す。
プレイヤーは日光の届かない海の底で、ただ独りで何が潜むかわからない闇の先へと進んでいかなければならない。
極限状態にあって、潜水服にナイフ、数に限りがある照明弾と装備は心もとない。突発的な事態が起きても、潜水服のせいで素早くは動けないし、潜水服に何か強い衝撃が加わってしまえば決壊して死は免れない。
なによりも刻一刻と減っていく潜水服の酸素残量が緊迫感に拍車をかけてくる。替えの酸素ボンベが見つけられない時の焦燥と絶望感たるや強烈だ。

日本語表示に対応しているほか、Oculus/HTC Vive/OSVRによるVRプレイにも対応している。ヘッドセットを所持している方は試してみるとよいだろう。

『Diluvion』

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キンッキンに冷えた極寒の深海に、ヒカリゴケや海底都市の照明が映えるSFチックなビジュアルが美しい『Diluvion』はArachnid Games開発によるオープンワールドタイプのRPGだ。こちらは4月末のアップデートによって日本語に対応した。

天変地異により厚い氷の下の海に閉じ込められた人類は、そこに海底都市を築いて生活を続けていた。
プレイヤーは潜水艦の新米船長となり、見果てぬ海の底にあるという「神の贈り物」を求めてロマンあふれる冒険へと突き進むことになる。

海底都市でクルーを雇用したのちに機関室やソナー室などの船室にクルーを配置し、トグル方式で機関へ前進を伝えれば一端の船長気分が味わえる。
ソナーで地形を走査して沈没船などを見つけ、装甲板などの物品をサルベージしたり、各地でクエストをこなして資金を稼ぎつつ、潜水艦をより深い深度に耐えられるものへ強化して探索を進めていこう。

旅路は決して平穏無事とはいかない。海賊たちや戦艦を背負った巨大な蟹などとの激しい戦闘も注目ポイントだ。

『Aqua Moto Racing Utopia』

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水中が舞台のゲームの紹介が続いたので、水上を舞台としたゲームも紹介しよう。
スウェーデンのZordix AB開発による水上バイク(PWC)を操るレースゲーム『Aqua Moto Racing Utopia』だ。

レースではコース上にブイ(浮標)が浮かんでおり、赤のブイは右を、黄色のブイは左を通過する必要がある。間違った方向にブイを通過してしまうとペナルティが課せられる。
ブイのインコースを突けばゲージが溜まり、最大まで溜まればターボが使用可能となる。
水上を走行するため不規則な波にハンドルを取られることもあるのが地上の乗り物と勝手が違う点だ。上手く波を乗りこなしていこう。

またレースで早さを競うだけでなく、トリックを決めて得点を競うモード、自由に散策するモードなど、様々なモードで水上バイクを楽しむことができる。
画面分割で4人・オンラインで最大8人までの同時プレイも可能なので、レースでひと勝負といくのも良いだろう。

『Dolphin Up』

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Rawkins Gamesの『Dolphin Up』は、イルカやシャチを操作して2分間の時間制限内でトリックを決めてスコアを競うシンプルなアクションゲーム。

ジャンプや回転、ひねり、立ち泳ぎなどを織り交ぜてスコアを稼いでいこう。
飛び込みを繰り返したり、設置されているフープを通り抜けることで自身のスピードが上昇していく。そして、スピードが乗った状態から大ジャンプをかませば星空まで突き抜け花火が上がるハチャメチャさが爽快だ。

いかがだっただろうか。
おりしもSTEAMでは日本時間6月23日から7月6日までサマーセールが開催される。この機会に気になった作品をチェックしてみて欲しい。

フリーゲーム短編ADV『アントールの犬』 一人の男の人生と、共に歩んだ犬たちの物語

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古来より犬は人間の良きパートナーとして共に暮らしてきた。言葉は通じず意思疎通を卒なくこなすことも難しいが、親愛の情を持って接してくれる彼らを家族同然の存在と考える人も多いだろう。

しかし犬と人間とでは決定的に違うものがある。それは寿命だ。犬に与えられた一生は、人のものとは違いすぎる。それ故に同じ時間を生きながらも、ずっと一緒に生きていくということは叶わない。

今回紹介するのは、一人の男の長い人生と、彼に寄り添い共に歩んでいった犬たちの物語である。
 
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緻密なドット絵とシンプルな進行が想像力を掻き立てる

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『アントールの犬』は、以前もぐらゲームスでも紹介した『狂い月』などを手掛けたゲームサークル「3色ぱん」によるドット絵で描かれた横スクロール短編アドベンチャーだ。WOLF RPGエディターの練習も兼ねて3色ぱんのグラフィックス担当がほぼ一人で制作したタイトルだということで、現在の所は自サイトのみで公開されている。

しかしビジュアル、演出面を取っても非常に丁寧な作りとなっており、決して安直ではない、心を震わせる体験になることは筆者が保証しよう。

ピアノの美しい旋律が流れるタイトル画面から「walk」を選びゲームを開始すると、何者かの独白が浮かび、ほどなく暗闇の中に身体を伏せている一頭のボーダーコリーが見えてくる。鼻の先には黄色い蝶が止まっている。時間が停止しているかのような静寂。飛び立つ蝶。背後から一人の妊婦が近づいてくる。街灯が点滅し、一人と一頭はゆっくりと暗い路地を歩いて行く…
 
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幕間に挿入される短い独白を除けば、このゲームにテキストは一切存在しない。キャラクターたちの遣り取りは、吹き出しに表示されるイラストと身振り手振りだけで表現される。

またゲーム内の操作は基本的に「歩く」「調べる」のみで、選択肢やアクション要素はなく、ゲームオーバーもない。一本道であり移動箇所も制限されているので、誰がプレイしてもおおよそ40分前後で終わるだろう。セーブ機能すらないのだ。
 
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極めてシンプルかつ直線的な進行と聞いて、淡白なゲームプレイを想像するかもしれない。しかし緻密に描き込まれたドット絵と、キャラクターたちの活き活きとしたアニメーション、シーンに応じて効果的に使われるサウンドは想像力を刺激し、いつしかその世界に惹き込まれてしまうだろう。キャラクターたちの息遣いや遣り取りがはっきりと聞こえてくるようだ。

時間の流れと、出会いと、別れと

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『アントールの犬』で描かれるのは、ある男と家族の日常だ。そしてその傍らにはいつも犬がいる。彼らももちろん家族の一員だ。その舞台となるのは彼らの家に限定され、ユーモアをたっぷり交えて繰り広げられるイベントはさながら海外ホームコメディの味わいがある。

また物語を進めていくことで劇中の時間も過ぎていくようになっており、冒頭では妊婦だった女性が次のシーンではお腹が小さくなり家の中には乳母車が置いてある、といったように、一つの家庭の時代と共に移ろっていく様子が語られていくのだ。
 
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それら時間の経過による変化が、細部に渡って丁寧に描写されているのは特に注目すべき点だろう。例えば冷蔵庫が大きな物に買い換えられているのを見て家族が増えたことを実感するし、対岸に見える街並みでは古くなった建物が取り壊され新しいビルが建っていく、出会いと別れを繰り返す家族の記憶は写真の形をとって飾られ増えていく。そういった一家を取り巻く環境一つ一つの変化に、語られていないストーリーが宿っているのを感じて欲しい。

また、一つのシーンが終わり、次のシーンへ移行する際は、街灯に照らされた暗い路地を男と犬が一緒に歩いていく演出が取られている。

この暗い路地は単なるシーン間の繋ぎとしてではなく、ある概念を表しているのだ。暗闇に浮かびあがる犬と過ごした楽しげな記憶、一度踏み出してしまえば二度と後には引き返せない歩み、そしていつのまにか途中でいなくなってしまう犬、これらを顧みれば自ずと理解できるだろう。

他でもないプレイヤーの手でその一歩一歩を歩んでいくこと、それこそ、この作品がゲームという媒体を選んで表現された意味なのだと。

このゲームをプレイするにあたって、心構えのようなものは何もない。ただ1時間弱のまとまった時間を確保するだけ。それだけでいい。

あなたが今も歩んでいるその一歩に、この『アントールの犬』を加えて欲しいと願う。

[基本情報]
タイトル:『アントールの犬』
ジャンル:短編アドベンチャー
製作者:3色ぱん(製作者様サイトはこちら
クリア時間:約40分
対応OS:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
https://3colors-bread.com/dog/index.html

ブラウザSFフリゲアドベンチャー『PROTOCOL』900年の彼方から想いを繋ぐ、約束の物語

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神々の機織りである織姫星が、牛飼いの彦星と出会い相思相愛になるも、二人の仲を危惧した神様に天の川で引き離され、一年に一度、七月七日にだけ会うことを許される…という七夕の伝承は、一般によく知られている物語のひとつだろう。
今回はそんな「星々を巡る想いの物語」がひとつ届けられてきたので、それを紹介したい。

『PROTOCOL』はまんまるくま氏の制作によるSFアドベンチャーゲーム。5月17日よりWebサイトにて公開されている。

Adobe Flashを使用しておりPCのWebブラウザ上でプレイすることができるが、各Webブラウザの現行のFlashへの対応状況から、WindowsではFirefox、MacではSafariが専用ブラウザとして規定されている。動作条件の詳細については公式サイトを参照してほしい。

毎日1時間の作業をコツコツと積み重ね、7年がかりで完成させた作品となっており、Flashの特性を活かしたフルアニメーション&フルボイスの力作に仕上がっている。

遠く離れた星の彼方で、物語は幕を開ける

舞台は西暦3931年、地球より16光年離れた場所にあるアルタイル星系第三惑星フォートテナール。その近郊にある探査船のドックに、宇宙を漂流していた脱出ポッドが漂着する。
やがて脱出ポッドの中からひとりの男が目を覚ますが、男は漂流の影響か、自らの記憶を失った状態となっていた。

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ドックに廃棄されていた作業艇の中から、汎用人工知能デバイス「RAY-NOARE SYSTEM 25」通称「レア」を発見し、彼女のサポートを受けて探査船の内部に入ることに成功する。
しかし探査船の中はとうの昔――およそ900年前に無人となっており、船内の各所に走るヒビや慌ただしい録音音声など、何らかの事故が起きたことをうかがわせる痕跡が数多く残されていた。

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加えてレアの内部にもアクセスすることができないメモリー領域が存在し、言うなれば部分的な記憶喪失の状態にあるという。

900年前の探査船内で何が行われていたのだろうか?そして何が起きたのだろうか?
漂流者とレアがそれぞれ失った記憶とは果たして何なのだろうか?
それらの謎を解き明かし、彼らは無事に生還することができるだろうか?

スムーズ操作の「トリガーコマンド」で宇宙船内を探索しよう

本作は画面内にあるオブジェクトをマウスでクリックして調べていくことで進行するポイント&クリック型のアドベンチャーゲームとなっている。

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最大の特色は「調べる」「開ける」「取る」「使う」などの動作をマウスホイールを回転させて選択する「トリガーコマンド」だ。
この「トリガーコマンド」により、逐一カーソルを操作してメニューからコマンドやアイテムを選択するという手間無しにワンハンドで探索に集中できるようになっており、新鮮な操作感覚をもたらしている。

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主な探索箇所はオート起動する「サーチモード」により表示されるが、サーチモードで示された箇所以外の部分もよく観察し、怪しそうな箇所は念入りに何度も調べたり叩いたりしてみることが重要だ。

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また、序盤で入手する人工知能デバイス「レア」は、様々な機器に備え付けられた「ソケット」へ接続することができる。レアは探査船内のことに詳しいので、彼女と会話したり、彼女に機器を動作させてもらうことでも道が開けるだろう。

先へ進むためのカギになるものは巧妙に隠されている。筆者のプレイ時には公式サイト内のヒントページありきでも数日行き詰まることもあった。本作の謎解きは決して生易しいものではない。

何が手掛かりとなるのか、よく見て、よく聞いて、よく考え、時には過去にも遡って情報を整理し、行動へと移していこう。
また、6月12日付のアップデートにより「ヒントモード」が搭載された。謎解きは苦手と言う人やどうしても行き詰った場合には活用してみよう。

アンドロイド・ガールに首ったけ!

本作は全部で5つのエピソードから構成されている。
そのなかでも文字通りの花形となるのが、中盤からの登場となるアンドロイドの少女の存在だ。彼女は無邪気かつ食いしん坊な性格でこちらを面食らわせてくれるが、そこがまた愛嬌ともいえる。

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映像投影の特技を披露して、このドヤ顔。
 
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たこ焼きのことを「かわいい!」と言う彼女。だが食べる。
 
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崩落のあったエリアでもこの調子である。お前それどこから見つけてきたの…

際限がないのでこのあたりで止めにするが、冒頭で述べた通りのフルアニメーション&フルボイスで、とにかくイキイキとした表情と仕草を見せてくれる。一方でやや頑固で寂しがり屋な側面も持っており、そんな彼女に対する「あるコマンドの使い方」も印象に残る。

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彼女もまた探査船の事をよく知る人物として、船内の探索を進めていくうえでの良き相棒として活躍する。そして、果てしない年月の間隙をつなげる鍵として、やがて彼女自身の存在こそが探索の原動力となる時が来るだろう。

900年の彼方から想いを繋ぐ、約束の物語。その結末はどうかその目で見届けてほしい。

[基本情報]
タイトル: PROTOCOL(プロトコル)
制作者: まんまるくま
クリア時間: 8時間~
対応OS: PCブラウザ(詳細な動作条件は公式サイトにて掲載)
価格: フリープレイ

↓ゲームプレイはこちらから
http://www.geocities.jp/protocol_game/

シネマティック・アドベンチャーノベル『fault – SILENCE THE PEDANT』体験版公開 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はノベルゲーム体験版の公開など6本です。

ALICE IN DISSONANCE、シネマティック・アドベンチャーノベル『fault – SILENCE THE PEDANT』体験版公開

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同人ゲームサークルALICE IN DISSONANCEは、シネマティック・アドベンチャーノベル『fault – SILENCE THE PEDANT』の体験版をSteamにて配信開始した。

『fault – SILENCE THE PEDANT』は、マナクラフトと呼ばれる技術のある世界を舞台とし、とある事件で国を離れた姫セルフィーネと、そのガーディアンであるリトナの帰郷の旅を描く連作ノベルゲームの第3作。第1作の5年前、ガーディアンとなる前のリトナを主人公とした前日譚であり、前2作をプレイしていなくても楽しめるという。

場所を選んでの移動、一部シーンでのポイント・アンド・クリックやアイテム等によるゲーム進行といった、アドベンチャーゲーム的な要素が加わっているのもこれまでのシリーズ作品にはない特徴となる。精細に描き込まれフルHD環境でも綺麗に表示されるグラフィック、レイヤー分けされた背景やイベントスチルのパララックス(視差効果)による奥行きの演出や立体的なカメラワーク、UIデザインなども見どころだ。

海底を目指すアクションゲーム『in:dark – インダーク』スマホ向けにリリース

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個人ゲーム開発者のおづみかん氏は6月28日、アクションゲーム『in:dark – インダーク』をリリースした。Android版iOS版が提供されている。

身体とむきだしの魂が一本の鎖で繋ぎ留められた主人公が、タップによる炎攻撃やフリックによるダッシュタックル、魂が敵に噛みつく「ソウルたべ」を駆使しながら海底を目指していく作品。敵を倒して「カルマ」を集めることで主人公が強化されるとともに混濁した記憶が復元されていき、ストーリーが浮かび上がっていく。

RayarkのSFアクション『IMPLOSION』Nintendo Switch版の配信日決定、ティザームービー公開

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音楽ゲーム『Deemo』などで知られる台湾のゲームデベロッパーRayark Inc.のSFアクションゲーム『IMPLOSION(インプロージョン)』のNintendo Switch版の配信日が7月6日に決定した。ダウンロード専売ソフトで、発売元はフライハイワークス株式会社。配信に先立ってティザームービーが公開されている。

シンプルな操作性で爽快な本格アクションが楽しめる作品で、ハイクオリティなグラフィックやフルオーケストラによる楽曲なども特徴。Nintendo Switch版は日本語音声となっており、ストーリーはフルボイス。石川界人さん、瀬戸麻沙美さんといった豪華声優陣も魅力だ。

Playdeadのインディーゲーム『LIMBO』『INSIDE』PS4版のバンドル版が配信開始

Playdeadのインディーゲーム『LIMBO』『INSIDE』PS4版をセットにした『LIMBO + INSIDE バンドル』の配信が6月29日に開始された。

影絵によるグラフィックや高い難易度などが特徴の『LIMBO』と、言葉を使わずにストーリーを構築している『INSIDE』(紹介記事)、いずれもインディーゲームの名作とされる作品を収録。それぞれを単品で購入するより安価に購入できる。

ayato sound create、『classical music for games vol.3超絶技巧戦闘曲集』ダウンロード販売開始

ayato sound createは6月26日、『classical music for games vol.3超絶技巧戦闘曲集』のダウンロード販売を開始した。

ショパン、リスト、ラフマニノフのクラシック楽曲を、戦闘曲風にアレンジした楽曲を9曲収録。ファイル形式はWAVE、MP3、Ogg Vorbisおよびループタグ付きOgg Vorbisが用意されている。

『ムラサキ』続編のタイトルが『ムラサキ劍』となることが明らかに

カタテマの爆発パズル物理アクションゲーム『ムラサキ』続編のタイトルが『ムラサキ劍』となることが6月26日に、同サイトのブログにて明らかになった。続編については昨年12月に製作中であること、メインスタッフは前作と共通であることが公表されている。

レトロ風ドット絵タワーディフェンス『ダンジョン守り:勇者の侵攻』 見た目はお手軽、中身は超骨太

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今回紹介するのは、『ダンジョン守り:勇者の侵攻』。どこか懐かしいレトロなグラフィックが目を引くタワーディフェンスゲームである。

個人開発者である「GameCoaster」氏の2作目である本作は、お手軽そうに見えて、中身は非常に骨太だ。武器の改造やツリー形式の研究開発、転生システムなど、やり込み要素が満載でとにかく飽きさせない。

ここからはゲームの流れに沿って、本作の見た目からは想像できない意外な奥深さについて紹介していこう。
 
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勇者たちの魔の手からダンジョンを守れ

世界に残された唯一のダンジョンを攻略すべく、世界中から集まった勇者たちが侵攻してくる。ダンジョンの守護者=魔物となり、勇者たちの手からダンジョンを守りきるというのが『ダンジョン守り:勇者の侵攻』のストーリーだ。

まずは操作キャラクターを選択しよう。初めはスケルトンやオークといったオーソドックスな魔物から選ぶことになる。他のタワーディフェンスゲームに登場する主役たちと比べると華やかさに欠けるかもしれないが、プレイするうちに少しずつ愛着が湧いてくるのは間違いない。また、ゲームをやり込むことでサキュバスや五大精霊など強力なキャラクターがアンロックされるので、そこを目指すのもいいだろう。
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シンプルな戦闘はタイミングが命

操作方法はいたってシンプル。武器を投げつつ、ゲージが溜まったら必殺技を放ち、所狭しと迫りくる侵入者を殲滅しよう。必殺技は敵全体を毒状態にしたり、スタンさせたりなど各キャラクターごとに個性がある。タイミングを見計らって発動させるのが攻略のポイントだ。
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豊富なスキルによるカスタマイズが楽しめる

侵入者を殲滅するとキャラクターがレベルアップし、スキルを習得する。一人のキャラクターが持つスキルの数は約20種類。まんべんなく上げるか、それともいずれかに特化させるかーーどのスキルを選ぶかによって、キャラクターの自由なカスタマイズが可能だ。

また、敵がドロップした武器を吟味するのも楽しみの一つ。武器にはレアリティが設定されており、高いレアリティの武器ほど多くの能力アップ効果を期待できる。伝説クラスの武器を求めて何度もステージに挑戦することになるだろう。
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どれを開発するか迷うツリー形式の「研究」

研究開発を行うことで、ダンジョンに新しい設備を追加したり、新技術を開発したりすることができる。それぞれの開発メニューはツリー形式になっており、どういったルートを進むべきか頭を悩ませられるポイントだ。もちろん、やり込めば全ルートを制覇することもできる。
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「強くてニューゲーム」を繰り返して地獄級へ挑戦しよう

様々なやり込み要素を駆使しても、敵が強くて攻略に行き詰まってしまったら――そんなときのために転生システムが用意されている。進行度合いに応じて転生石を獲得し、また1日目からやり直すことができるのだ。転生石は特別な通貨のようなもので、便利な機能の追加や能力アップ、キャラクターのアンロック権を購入するのに使用する。周回プレイをするほど強さが底上げされていく仕組みだ。

スキルや武器を吟味してパーティを強化し、資金や時間を費やしてダンジョンを拡張してステージをクリアしていく。煮詰まったら転生を繰り返してより高い難易度へ挑戦する。以上がゲームの大まかな流れとなる。
 
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これまで紹介してきたほかにも、無限に湧き出る敵にどこまで耐えられるかを試す「無限の軍勢モード」や、集めるのが楽しい実績解除など、まだまだ盛りだくさんの内容となっている。

本作のプレイは1ステージあたり1~2分程度でクリアできる。サクサク遊んでいるうちに、気がつけば多くの時間を費やしてしまうタイプのゲームだ。レトロな味わいのグラフィックに惹かれた方はもちろん、歯応え満載のやり込めるゲームを求める方にもぜひおすすめしたい。

[基本情報]
タイトル: ダンジョン守り:勇者の侵攻(Android版は『ダンジョン守る』)
制作者: GameCoaster
プレイ時間: 10〜15時間
対応OS: Android/iOS
価格: ¥120 (iOSでの価格)

ダウンロードはこちらから
App store
https://itunes.apple.com/jp/app/ダンジョン守り-勇者の侵攻/id1195035357
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.GameCoaster.ProtectDungeon&hl=ja


フリーホラーゲーム『666laboratory』 少女のカウンセリングから、「あなた」が生き残るアドベンチャー

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ゲームは、どれほど自由度があっても、どうしても「受け身」にならざるを得ない部分がある。

ゲームを起動し、画面を表示させ、その「枠組み」にのっとってプレイする。「村人A」に自分から話しかけるところでさえ、「A」のセリフを与えられているという側面は否定できない。

通常、「会話」というのは、ゲームの基本を成す。もちろん音ゲーやパズルゲー、シューティングのように「会話がなくてもよい」ゲームはあるし、あるいは「ゆめにっき」のように会話を意図的に(そして徹底的に)廃したゲームも存在する。

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だが「会話」がゲームにおいて重要なのは変わらない。
物語を盛り上げ、情報を知り、親睦を深める。謎を解き、魔王を倒し、意中の彼女をゲットする。

『666laboratory』は、そんな「会話」をするゲームだ。

あなたは新米のカウンセラーである。「イオ」という名の少女の、担当を任された。

もちろん彼女は問題を持っている。カウンセラーにかかる人の、ほぼ全てがそうであるように。

ただ彼女は妙なのだ。「直接会うことが許されない」。彼女とのカウンセリングは、「デバイス」の電話機能を使って行なわれる。そしてデバイスには「ライブラリ」機能があり、あなたは会話に出てきた気になる「単語」を調べて、物語を進めていく。

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例えば「イオ」が、日曜にやっているテレビアニメのキャラクターが好きだと話す。あなたはそのアニメについて調べ、おもちゃを買ってあげるよう先輩に頼む。

あるいは、「イオ」の前の担当の話が出てくる。あなたはそのカウンセラーについて調べ、すでに彼女が「退職」していることを知る。

何も知らされていない「あなた」が少女について知り、謎を解き、選択をし、そして彼女の誕生日である七日目を迎える。このゲームに、その七日目より先はない。

登場人物を書いておこう。

主人公
「666laboratory」に赴任した新任のカウンセラー。カツラギいわく「腕はいい」らしい。

イオ
主人公が担当する少女。8歳。自分は「出来」が悪いと、気に病んでいる。アニメの「プリエル」が好き。

カツラギ
主人公の先輩。長めのぼさぼさ頭で、顔は隠れている。映画の「スーパーウォーズ」のファン。主人公より多くの情報を持っており、いろいろアドバイスをしてくれる。
 
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『666laboratory』のゲームシステムは、開始冒頭でのカツラギの説明にほぼ集約される。すなわち「デバイス」のデスクトップにある「通話アプリ」で「イオ」と話し、「ライブラリ」で「気になる言葉」を確認する。基本はこれだけであり、これ以外の要素は取り払われている。

しかし、注意しなければならないことが2つある。

・イオに気に入られなければならない
・ウソをついてはいけない(イオに「ウソをつかれた」と思われてはいけない)

このゲームはホラーアドベンチャーだが、更に細かく言えば「閉鎖空間からの脱出」である。

赴任した「あなた」は、決して無理に閉じ込められているわけではない。雇われの身ではあるが、「イオ」のように隔離されているわけではないようだ。

しかし、ゲームシステムとしては、ずっと「デバイス」の前に張りついているし、この機械を通じた動作しかできない。会話の相手も、「イオ」と「カツラギ」しかいない。

この状況を「無事」に切り抜けるのが、あなたの目的となる。

『666laboratory』は、プレイ時間が30分ほどの、短編である。

ただ、「デバイス」という端末に縛られていること、会話でさえ電話のみであること、情報集めが「検索」なこと、そして「カウンセラー」という職業設定など、短いながらも極めて現代的な要素を持つゲームと言える。

ゲーム内のあなたが、危険を回避しようと必死に思考を働かせたのでなく、最終段階で実は自分が無事に済む選択をそれまで選んでいたと気づくところも、漠然とした不安を抱えた現代の、人知の及ばなさを表しているように感じる。

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『666laboratory』は、プレイ時間に限って言えば、通勤通学の電車の中なのでやるのにうってつけのゲームだろう。

しかし、個人的には、夕方から夜に変わる暗がりのなか、机に向かい、まるで本当に「デバイス」を操作しているようにプレイすることをお勧めしたい。

BGMもSEも、それぞれ片手で間に合う数しかないが、どれも雰囲気にあっている。特に「電話の着信音」は、プレイ開始直後とクリア後ではまったく印象が変わるはずだ。

短い時間で、「ぐっ」とのめりこむホラーゲームを求めている方には、うってつけだろう。ダウンロードも原則不要で楽しめる。

ただ、一箇所だけショッキングな場面があるので、そこは注意を促しておく。

【基本情報】
タイトル:『666laboratory』
制作者:HIJIKI
製作ツール:RPGツクールMV
クリア時間:30分~
対応OS:Windows/XP/Vista/7/8/10 及びスマートホン(safari,chromeがお勧めブラウザ)
価格:無料

プレイはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14751

制作者様サイト
http://kurage06.web.fc2.com

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「スキーヤー」を狙撃してゲレンデは血の雨、しかし巻き起こるのは拍手!?『Ski Sniper』

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暑い夏が来る。レジャーの季節だ。海水浴にバーベキュー、キャンプに旅行にお祭りと、皆さんさぞかし忙しいことであろう。だが、残念なことに私にはそんな予定もなければ、余裕もない。みんなが夏を満喫する間も、部屋にこもってゲームをしているだろう。むなしい夏である。

いや!ゲームだって立派な夏の楽しみ方に違いない!ということで今回はそんな迫る夏に逆らって、冬のゲレンデが舞台のゲーム『Ski Sniper』を紹介しよう。

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『Ski Sniper』はポーランドのインディディベロッパー「Crazy Rocks Studios」が開発した作品だ。ゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて498円で販売されている。

Steamグリーンライトを通過するため、希望したYoutuberにベータ版を配る施策が功を奏したのか無事グリーンライトを通過。2017年5月18日にリリースされた。

あとに触れるが、本作は見た目のインパクトが凄まじい一発ネタのゲームだ。そうした強みを理解した上のSNS時代を感じさせるプロモーションもうまく機能している。

スキージャンパーを撃ち殺せ!前代未聞のスナイピングアクション!

では、バズりを狙えるだけのインパクトある『Ski Sniper』の内容とはいかなるものか?ざっくりと言えば、『Ski Sniper』はスキージャンプ場で、スキージャンプ中のスキージャンパーを、スナイパーとなって射殺するゲームだ。……まったくもって意味がわからないだろうが、暑さに脳がやられたわけではない。

滑空するスキージャンパーの脳天を貫く凶弾。崩れ落ちる脳髄。赤く染まるゲレンデ。そして巻き起こる拍手。……どういう人生を歩めば、こんなゲームを思いつけるのだろう?脳天を撃ち抜かれたような、強烈なインパクトだ。
 
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ゲームの流れを順を追って説明しよう。プレイヤーはスナイパーとなって、ゲレンデに設定された狙撃ポイントから好きなポイントを選択する。このゲームは初めからすべての狙撃ポイントを選択することができる。狙撃ポイントには射殺成功報酬がそれぞれ設定されており、より難しいポイントになるほど報酬が高くなる仕組みだ。自身の腕に合わせベストなポイントを選ぼう。
 
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ポイントを選択すれば、すぐさま実践だ。スキージャンパーが滑り降りる最中や着地した後に撃ち殺しても、狙撃は失敗扱いになる。スキージャンパーが空中を飛ぶその瞬間に狙い撃ちしよう。スキージャンパーを見事狙撃できれば、無意味にカッコいいバレットカムが差し込まれる。
 
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さてここで重要なのが部位破壊報酬だ。先ほど射殺成功報酬に触れたが、これに加えて破壊した部位に合わせ追加ボーナスが得られる。部位破壊で報酬が追加されるのはでっかいモンスターぐらいだと思っていたが、スキージャンパーもその対象になるようである。心臓などの重要部位は当然報酬がたくさんつく。撃ち抜くのはなかなか難しいが、積極的に狙っていきたい。
 
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ほかにも報酬アップ要素として、死体が飛んだ距離が長いほどもらえる飛距離報酬や、狙撃ポイントに設定された目標を達成するともらえる多額の達成報酬、たまにスキージャンパーが複数人一気に滑ってくるボーナスゲームが用意されている。

このボーナスゲームはスキージャンパーを見事全員射殺できれば、殺した人数分報酬が倍になるというものだ。スキージャンパーをダブルキル~クアドラプルキルできるゲームは、たぶん世界にこれしかない。ぜひこの快感を体験してほしい
 
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スキージャンパーへの狙撃を5回繰り返すと1プレイ終了。報酬が支払われる。これを繰り返すのがこのゲームの流れだ。なお報酬は装備品のアップグレードに使え、アップグレードでより難しい狙撃に挑めるようになる。

小粒なミニゲーム作品と言えるが、ミニゲームにしてはアクが強いゲーム内容だ。一度遊べば忘れられない記憶になることは間違いない。

小粒ながら丁寧に作られた作品。他にない「狙撃」をぜひ体験!

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スキージャンパーを狙撃するという、なにをどうやったら思いつくのかわからない独特の作風を誇る本作。強烈な内容に印象をすべて持っていかれるが、意外なほどに丁寧に作られている。

たしかに本作は偏差や風なんかを考慮にいれなくとも、照準を合わせればレーザービームのように当たる。これを手抜きだと考える人もいるだろう。が、本作の根幹はずばりスキージャンパーを狙撃するというシチュエーションだ。難しい狙撃の知識や技術を問われることなく、ゲームのキモを楽しめるのは好感触だ。
 
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加えて、高い報酬を得るには部位破壊や狙撃ポイントの目標達成といった難しい要素にチャレンジしなければならない。一発ネタを楽しんだそのあとに、ちゃんとやりこみの道筋を見せてくれる。一発ネタだけで終わらない丁寧な作りを感じさせる。
 
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プレイする感触も実によく、何度もリプレイさせる魅力がある。見た目だけのバカゲーと侮るなかれ。夏の予定を全て抹殺するポテンシャルを備えたゲームなのだ。

もっとも本作は時間をかけないさっくりしたプレイでも十分楽しめる。夏が楽しい予定でいっぱいの方、夏も忙しくて全然余裕のない方、そんな方にもぜひぜひ『Ski Sniper』を楽しんでもらいたい。

[作品情報]
タイトル :『Ski Sniper』
制作者:Crazy Rocks Studios(制作者様サイトはこちら)
対応OS: Windows® 7 32/64-bit / Vista 32/64 / XP
プレイ時間:1プレイ3分程度 全装備アンロックまで2時間程度
価格:498円

購入はこちらから

個人事業主がID@Xboxへ参加可能に。初参加は『トルクル』 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は2D回転アクションゲーム『トルクル(TorqueL) 』のXbox One対応に関するものなど6本です。

FullPowerSideAttack.com、Xbox One/Windows 10向け『トルクル(TorqueL) 物理調整版』開発告知。個人事業主によるID@Xbox参加の最初のケースに

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FullPowerSideAttack.comは7日、Xbox One/Windows 10向けに『トルクル(TorqueL) 物理調整版』を開発中であることを告知した。販売情報については今後発表予定。

トルクル(TorqueL)』は、四辺から棒を伸ばせる箱を転がして、さまざまなギミックのあるステージをクリアしていく2D回転アクションゲーム。現在Windows/PS4/PS VIta/Wii Uでリリースされている。Xbox One/Windows 10向けとなる『トルクル(TorqueL) 物理調整版』ではXbox Liveサービスの実績やコネクテッドストレージ(いわゆるクラウドセーブ)などに対応。なお、技術的理由によりゲームエンジンをUnity 4からUnity 5へ移行し、その結果物理エンジンが更新され挙動が変わったものを、同等に遊べるように調整したことによりこのタイトルになったという。

『トルクル(TorqueL) 物理調整版』は、マイクロソフトのインディーデベロッパー向けセルフパブリッシングプログラム「ID@Xbox」を通じてリリース予定。なお、ID@XboxのWebサイトには参加の条件として「インディーズデベロッパー(開発会社)の皆様のみを対象としております。申し訳ございませんが、個人のお客様や教育機関のご応募は受け付けておりませんのでご了承ください」との記載があるが、今回の告知によると「日本マイクロソフトの担当者が日本の個人事業主が可能な手続き・書類で参加できる調整を行い、その最初のケースとして参加しております。 個人事業主で参加・リリースを希望される方は同プログラムへ登録後、担当者と相談を、とのご案内をいただいております」とのこと。

超OK、音楽格闘ゲーム『PHRASEFIGHT』作品ページ開設

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(画面は開発中のもの)

超OKは1日、開発中の音楽格闘ゲーム『PHRASEFIGHT』の作品ページを開設した。

『PHRASEFIGHT』は、音楽ゲームの操作性と格闘ゲームのプレイ感を合体させた作品で、CPU対戦や2人対戦が可能(関連記事)。指示されたタイミングに合わせてボタンを押すことにより、互いに攻撃を行っていく。音色は4つあるものから好きなものを鳴らすことができ、キャラクターによって鳴らせる音色が異なるなど、楽器を演奏するように技を繰り出してくのが特徴だ。

本作はWindows/macOS版が2017年内に完成予定で、そのほかiOS/Android版の配信や、Nintendo Switch向けの販売などを目指しているという。

シネマティック・アドベンチャーノベル『fault – SILENCE THE PEDANT』体験版、アップデートでシナリオが追加

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同人ゲームサークルALICE IN DISSONANCEは、シネマティック・アドベンチャーノベル『fault – SILENCE THE PEDANT』体験版をアップデートし、シナリオを追加した。

『fault – SILENCE THE PEDANT』は、マナクラフトと呼ばれる技術のある世界を舞台とし、とある事件で国を離れた姫セルフィーネと、そのガーディアンであるリトナの帰郷の旅を描く連作ノベルゲームの第3作。第1作の5年前、ガーディアンとなる前のリトナを主人公とした前日譚であり、前2作をプレイしていなくても楽しめるという。

体験版ではゲーム冒頭の数日間をプレイ可能で、今回のアップデートでは3日目が追加された。体験版の更新は今回で終了とのこと。なお、製品版の発売予定日は2017年第四四半期とされている。

「デジゲー博2017」サークル参加受付開始

デジゲー博準備会は1日、同人・インディーゲームの展示・即売会「デジゲー博2017」のサークル参加の受付を開始した。

今年のデジゲー博は11月12日(日)、秋葉原UDX2階のアキバ・スクエアおよび4階のUDXギャラリーにて開催される。今回新たに追加された4階のUDXギャラリーは、サークル参加の申込期限が2階と異なるのでご注意いただきたい。期限はそれぞれ2階が8月31日中、4階が7月31日中までとなっている。

また、有志のボランティアスタッフの募集も開始されている。

えーでるわいす、「同人ゲームまとめ動画 2017夏」募集開始

えーでるわいすは4日、「同人ゲームまとめ動画 2017夏」に参加する作品の募集を開始した。

「同人ゲームまとめ動画」は、夏と冬のコミックマーケットで頒布される同人ゲームのPVなどをまとめた動画を制作する企画。同サークルのなる氏がとりまとめを行っている。動画を送ることで参加できるほか、静止画とテキストで作品を紹介する「プチまとめ」枠も用意されている。

参加対象となるのはコミックマーケット92で頒布予定の同人ゲーム。サウンドトラックや、同人ゲーム関連の技術本・設定資料集(ファン活動物は除く)も対象となる。参加の締め切りは8月4日の正午とされている。

「RPGツクールMV」体験版使用許諾契約書が改定予定、8月より体験版で制作したゲームの公開が可能に

株式会社KADOKAWAは3日、「RPGツクールMV」体験版の使用許諾契約書の改定予定について告知を行った

8月1日に改定が予定されている新しい使用許諾契約書では、ユーザーが体験版を使用して作成したゲームを公開することが可能となる。有償での公開も可能。改定日以降に体験版をダウンロードした場合に、新しい使用許諾契約が適用されるとのこと。

“純血種”ながらも軽快操作な魔界アクションゲーム『マルディタカスティーラ』

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1980年代初期から終わりにかけ、アーケードゲーム市場では数多くの手ごわい横スクロールアクションの名作が生まれた。

だが、時代はパズル、対戦格闘に傾倒していき、横スクロールアクションの新作は減少。気づいた頃には、その存在自体が過去の遺産となってしまった。

当時、その手のゲームに魅了されたスペイン在住の二人のプレイヤーは、新作が消え失せたことに不満を募らせていた。そして、しびれを切らした彼らはある日、一大決心をする。
だったら、自分達で作ってしまえ!」…と。
 
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そんな経緯の末に生まれたのが今作、『マルディタカスティーラ ドン・ラミロと呪われた大地』だ。新作が出ないことにしびれを切らした二人のプレイヤーこと、個人開発者のLocomalito、Gryzor87の両氏によって制作され、2012年にフリーゲームとして公開された。

その4年後にはAbylight Studios、YoYo Gamesの協力を得て、パワーアップ版の『MalditaCastilla EX』がSteamで配信。プレイステーション4、XboxOneにも移植された。日本でも同年12月、プレイステーション4版がフライハイワークスよりリリースされている。また、2017年2月にはニンテンドー3DSへの移植も発表。こちらもフライハイワークスより、同年7月12日に日本でリリース予定だ。

見た目からして、80年代の横スクロールアクション全開の今作。後発のパワーアップ版(兼日本語ローカライズ版)を軸に置く形で、その魔界な魅力を紹介していこう。

遊びやすくて良心的な、「魔界」アクションゲーム

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時は西暦1081年。戦争で恋人を失い、深い悲しみの中に陥った少女モーラは古代の悪魔に惑わされ、その涙を鍵に魔界への扉を開いてしまった。やがて悪魔の軍勢がカスティーラ王国を襲い、滅亡へと追いやってしまう。
 
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悪魔の軍勢が迫りつつあるトロメラ王国の王は、騎士ドン・ラミロとその部下達に悪魔討伐を命じる。王の命を受けた彼らは、悪魔達のはびこるカスティーラ王国へ向かい、その根城とされる魔界を目指す…というのが大まかなストーリーだ。
 
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内容としてはステージクリア型で、ゾンビを始めとする魔物達を「ソード」と言った投てき型の武器で倒しながら、最後に待ち構えるボスの撃破を目指す、単純明快な作りとなっている。

主人公が騎士。投てき型の武器で敵と戦う。ゾンビが出てくる。ついでに、立派なヒゲを生やしている

それらの要素から、80年代からゲームに親しんでいる世代のほか、90年代の家庭用ゲーム機のアクションゲームを楽しんできた世代も、某有名メーカーの「魔界のアレ」を連想することだろう。

正直なところ、筆者も初めて今作を見た時、「魔界のアレ」を連想した。同時に鎧が「パリーン」と砕け散って、「パン・ツー」が丸見えになっちゃうあの姿も浮かんだ。更に言うなら、赤い悪魔の先生も。
 
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実際、どうなのか?結論から言うと、イメージ通り
紛れもない、魔界アクションゲームである。「純血種」と言っても良い。
 
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一方で「遊びやすさ」への工夫にも注目。特に操作性が素晴らしく、ジャンプ動作には少し慣れが必要かもしれないが、移動、攻撃と言った基本アクションの反応が軽快。プレイヤーの思うがままに動いてくれる気持ちよさに満ちている。
 
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難易度もランダム要素を抑えているので、失敗してやり直しを繰り返すにつれ、確実な突破法が分かってくる調整。更にライフ制が採用されているため、多少のミスを許してくれる。
 
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普通にエンディングを目指した場合の難易度も、そのような調整というだけあって、悲鳴をあげたくなるほどの厳しさはない。

しかしながら、今作には複数のエンディングが用意されており、その内の完璧なエンディングを目指した場合だと、推定四~五倍の難しさに跳ね上がる。ただ、これも前述の難易度調整によって、気持ちいい達成感が味わえる「手ごわさ」を描けている
 
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なので、魔界な難しさはあれど、その味付けは決定的に異なる。また、ステージごとの制限時間が99秒に固定、主人公のアクションを拡張させる装備アイテムの存在など、システムにも独自の試みが成されているので、そちらでも同じ感覚を覚えること間違いなしだ。

まさに「初心者も上級者も公平に受け入れる魔界」。全てのプレイヤーに80年代由来の「手ごわさ」を素晴らしい操作性、配慮を利かせた難易度で楽しませてくれるのだ。

80年代にこだわり尽したグラフィックと音楽

「手ごわさ」だけでなく、グラフィック、音楽も80年代にこだわり尽している
 
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中でもブラウン管の走査線まで、忠実に描かれたグラフィックは鮮烈。ドット絵もその時代らしく、色数を制限して描かれていて、「俺達はこういうアクションゲームをもっと遊びたかったんだ!」…という、制作者の心の叫びが聞こえてきそうな仕上がりになっている。(※ちなみにオプションには走査線を消す機能も実装されている)

音楽も全曲がFM音源で作曲された80年代仕様。しかも制作者曰く、実際にその当時のアーケードゲームで使われていたFM音源チップ「Yamaha YM2203」をエミュレーションして作っているのだとか。なんたる執念。なんたる80年代LOVE。
 
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ゲームを起動した時も、本当に筐体を稼働させたかのように「RAM OK」、「ROM OK」のシステムメッセージが表示されたり、そこから微妙な間を挟んだ後、オープニングのストーリー紹介が始まったりと、「そこまでやるか!」と笑いながらツッコミを入れたくなるほどこだわっている。

当時のアーケードゲームに慣れ親しんだ世代ほど、今作の80年代を再現することへのこだわりには感動必至。直撃世代ではない若いプレイヤーも、独特の表現の数々には新鮮さを感じること請け合いだ。新旧のプレイヤーを受け入れる魔界の懐の広さを垣間見るだろう。

豊富なやり込み要素と凝ったローカライズも見逃せない

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(日本経由では)Steam、プレイステーション4、そして2017年7月12日よりニンテンドー3DSで購入できるパワーアップ版は、新たなステージとボス、魔物図鑑、サウンドテスト、実績(トロフィー)などの新要素が追加されており、盛り沢山且つ、やり込み甲斐のあるボリュームになっている
 
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プレイステーション4、ニンテンドー3DS版に関しては、フライハイワークスによる日本語ローカライズが実施されているので、ストーリーも含めた「魔界のすべて」を味わえる。プレイステーション4版の発売を間近に控えた頃、同社のメールマガジンで語られた裏話いわく、わざわざ今作の為に専用の日本語フォントを作成し、翻訳を行ったというほどなので、ぜひ、そのこだわりの成果をチェックしてみて欲しい。
 
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新旧プレイヤーを受け入れる魅力的な80年代由来の要素、優れた遊び心地を特色とする今作。あの頃の「手ごわいアクションゲーム」を体験してみたい、当時の雰囲気にまた浸りたい、そして悪魔の軍勢に責め込まれて興奮したい、そんなプレイヤーの思いに応えてくれる執念の力作だ。
ぜひ、古き良き時代の魔界の手ごわさとそこを乗り越える面白さを感じ取って欲しい。

なお、もしもタイトル名が読みにくい!分かりにくい!なめとんのか!…と思ったら、『丸太とカステーラ』と覚えるのがお薦めだ。ちなみにフライハイワークス公認の略称です。

[基本情報]
タイトル: 『マルディタカスティーラ -ドン・ラミロと呪われた大地-(Cursed Castilla (Maldita Castilla EX))』
制作者: Locomalito、Gryzor87 (販売:フライハイワークス、Abylight Studios)
クリア時間: 50分~4時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
対応OS: PC(Windows)、PlayStation 4、XboxOne(※海外のみ)、ニンテンドー3DS
価格: ¥1200(PC、PS4、XboxOne、3DS)

ダウンロードはこちら

プレイステーション4版
https://store.playstation.com/#!/ja-jp/cid=JP1178-CUSA06881_00-CASTILLA00000000?EMCID=jGMsoftware-JP1178-CUSA06881_00-CASTILLA00000000

ニンテンドー3DS版(※2017.7.12より配信開始)
https://www.nintendo.co.jp/titles/50010000042940

PC(Windows)版

「Humble Trove」で、ここでしか遊べないゲームを堪能しよう!

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インディゲームファンは、まだ自分の知らないゲームを探すことに躍起だ。もぐらゲームスという名の由来のように、掘って掘って宝石を見つけるのが楽しくて仕方がない。それがインディゲームファンの一つの側面である。幸い、そんな探求心を満足させるだけの膨大な数の作品が、現在様々な形で配信されている。

しかし、ゲームの配信が終了したり一度きりの配信だったりで、もう二度と手に入らない作品もまた存在する。ハードで流通しない、デジタル配信ゆえの壁である。
 
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「Humble Original」もまた、そうした二度と手に入らないはずの作品群だ。同シリーズはゲームバンドルサイト「Humble Bundle」の定期購入バンドル「Humble Monthly」に毎月入っているオマケのようなものだ。加入者だけが遊べるプレミアムなゲームというのを売りにしているシリーズだ。(中には発売前の特別配信や後に一般販売されたものもある)

同シリーズでは、名だたるディベロッパーが開発した作品や新興のディベロッパーによる意欲作といった、探求心をくすぐる作品が配信されてきた。正直、二度と手に入らないのが惜しいものばかりだった。

それが先月、「Humble Monthly」加入者ならいつでも「Humble Original」作品をダウンロードできるサービス「Humble Trove」が開始された。いくつか抜けはあるものの、手に入らなかった作品を今からでも遊べるようになったのだ。

「Humble Trove」スタートから半月たち、先日最初のタイトル追加もなされた。そこで今回は「Humble Trove」で配信されている、ここでしか遊べないゲームを数点紹介しよう。

『Cat Girl Without Salad: Amuse-Bouche』

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『Shantae』シリーズや『Mighty Switch Force!』で知られるアメリカのディベロッパー「WayForward」が手掛けた横スクロールSTG。本作はもともとは同ディベロッパーが2013年にエイプリルフールジョークとして発表したフェイクニュースだった。パズル、アクション、STG、ADV、ストラテジー、格闘、リズムゲーム、アーケード、ホラー、RPG、TPS、RTS、そしてビジュアルノベル。そのすべての要素を持ったゲームという、エイプリルフールらしいジョークであった。

それを本当に開発してしまったのが『Cat Girl Without Salad: Amuse-Bouche』だ。スペースバウンティハンターであるケバコを操り、スペース指名手配犯を捕まえに行くストーリーで、ディベロッパーの持ち味であるかわいらしいデザインが目を引く。
 
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本作の特徴は何と言ってもアップグレードだ。様々なゲームの要素を組み合わせたというコンセプト通り、アイテムをゲットするとショットが様々なゲームジャンルにちなんだものへと変化する。パズルガンはショットが某バブル系パズルのものになり、同じ色を3つくっつけると大爆発が起こる。RPGガンは攻撃方法がコマンド入力に変わる。ダンスガンは流れてくるノーツに合わせてタイミングよくボタンを押すと強力なショットがでる。といった具合だ。

強引なミックスでシューティングの体を保っていない節もあるが、そもそもジョークなのだから笑って楽しむのがいいだろう。

『Keyboard Sports – the final tribute』

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『Keyboard Sports – the final tribute』はデンマークのインディディベロッパー「Triband」が開発したアクションゲームだ。「Triband」は小さなディベロッパーで、ほとんど無名のチームだ。だが、本作の出来を見るにそれは非常に惜しい。

本作はタイトル通り、キーボードでの操作がコンセプトの作品だ。といってもWASD操作や十字キー操作とは、キーボード活用の次元が違う。文字キーから左右Shift、Capslockに至るまで、全てのキーを使って操作するのがこのゲームだ
 
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本作の操作キャラクターは画面上に示されたキーボードのキーの上に立っており、別のキーを押すと画面に示されたそのキーの位置まで移動する。簡単そうに見えるがこれが非常に難しい。障害物をよけたり、狭い橋を渡ったり、様々なアクションを要求されるが、画面上と自分の想像の間に微妙な差がありミスしてしまう。

押した場所に動く直観的な操作でありながら、うまく操作できなずあたふたしてしまう。ゲームのボリュームは少ないものの、個性ある楽しい作品だ。

『Jawns』

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『Jawns』は『Intake』や『SPLICE』を手掛けたアメリカのインディディベロッパー「Cipher Prime」が開発した作品だ。縦長の画面だが、スマホ向けではない。

本作はデジタルボードゲームで、チェスや将棋のように1対1で戦い、王である二重丸のコマを取り合うゲームだ。オンラインマルチに対応していて、友達とネットを介して遊ぶことができる。もちろん、CPU戦も実装されている。
 
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本作のコマは道が続いているならばどこまでも進めることができる。だが、敵のコマを取るときは直進でないと取れない。コマにはさいころの目が書かれており、これがコマの強さを表している。

何も書かれていないコマは特殊コマで、同じ特殊コマしか取れないがどれだけ強いコマであろうと特殊コマは取れない。本作の王は一切コマを取れないため、こうした壁役が重要になるわけだ。壁を作りつつ、いかに相手の王を詰むか。カジュアルながら、奥深さを感じさせるルールだ

通常ルールに加え、4つのルールが用意されており、プレイバリューも高い。ボードゲーム好きはぜひ遊んでみるといいだろう。

「Humble Monthly」に加入しよう!

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ここでしか遊べない作品が揃う「Humble Trove」。ここまで読んでくれた方はおそらく興味深々であろう。だが、「Humble Monthly」がどういったサービスかわからない方も多いはずだ。ざっくりではあるがこれについても説明しよう。
 
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「Humble Bundle」はゲーム振興とチャリティを目的にゲーム販売を行っているサイトだ。テーマに沿ったゲームのまとめ販売(バンドル)を行い、販売額のいくらかが募金される(「Humble Bundle」では自分でその割合も決められる)。

今回紹介した「Humble Monthly」は「Humble Bundle」のサービスのひとつで、契約しておくと毎月ゲームの福袋が届くというものだ。来月の目玉作品は公開されているものの、そのほかの作品は来月の配信日までナイショのお楽しみ。月々12ドルで契約できる。ちなみに中身が公開されたあとから欲しいゲームが入っていたからといって、それを買うことはできない。

「Humble Monthly」加入者にはいくつか特典があり、「Humble Trove」もその特典のひとつ。加入すればすぐに今回紹介した「Humble Original」作品を遊ぶができる。

今回は「Humble Original」シリーズに焦点を当てて紹介した。が、メインである福袋にも毎月けっこうな有名作が入っている。ここだけでしか手に入らない作品に、毎月届く福袋。インディゲームファンはぜひ加入してみるといいだろう。

「参考リンク」

Humble Bundle
Humble Monthly
Humble Trove

「基本情報」
『Cat Girl Without Salad: Amuse-Bouche』
制作者:WayForward(制作者様サイトはこちら

『Keyboard Sports – the final tribute』
制作者:Triband(制作者様サイトはこちら

『Jawns』
制作者:Cipher Prime(制作者様サイトはこちら

危険行為推奨系弾幕シューティング『Graze Counter』体験版公開 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はSteamで配信予定のシューティングゲームの体験版公開など7本です。

かすり系弾幕シューティング『Graze Counter』体験版・ロンチPV公開

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びっくりソフトウェアは11日、29日にSteamで配信予定の縦スクロールシューティングゲーム『Graze Counter(グレイズカウンター)』の体験版を公開した。

敵弾にかすることで「カウンターゲージ」が溜まり、これを消費して強力な「カウンター攻撃」を放てるのが特徴の作品。敵の攻撃は激しめだが、カウンターゲージは比較的溜まりやすくカウンター攻撃で敵弾を消すことも可能。さらに、カウンターゲージが満タンの時にカンター攻撃を行うとバリアが発生する。積極的にかすって反撃していくアクティブな立ち回りが醍醐味で、“危険行為推奨系弾幕シューティング”と謳われている。

体験版では2つの機体で1面をプレイ可能。また、短い課題をクリアしながらゲームの基本的なテクニックを覚えられる「ミッションモード」を10面までプレイできる。そのほか、ロンチPVや作者によるプレイ動画も公開された。

和風アドベンチャーゲーム『雪絵』Steam配信開始

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ImCyan(アイムシアン)の和風アドベンチャーゲーム『雪絵』のSteam配信が14日に開始された。

2014年にフリーゲームとして公開された作品。人の命を奪う雪女「雪絵」への復讐を誓う男「雪路」を主人公とし、横スクロールの画面を進みながらフルボイスで物語が語られていく。敵の殺気を音で察知してすばやくボタンを押すことで斬る「心眼」などで戦うアクション要素のある戦闘も特徴。モノクロを基調としたグラフィックで表現される雪の世界や、スタイリッシュな演出も見どころだ。

本作は引き続きフリーゲームとしても提供されるが、Steam版ではトレーディングカードが付属する。パブリッシャーはPLAYISMで、PLAYISMの作品ページにてフリー版のダウンロードやSteamキーの購入も可能。

痛みで怯ませて逃げるRPG『逃亡性痛み症候群』Web体験版公開

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ゲーム制作サークルNumber-Animalは14日、開発中のRPG『逃亡性痛み症候群』のWeb体験版を公開した。

攻撃などでダメージのほかに「痛み」を与えることができ、敵を倒すのではなく痛みで怯ませて逃走率を上げ、逃げながら進むというシステムが特徴のノンフィールドRPG。攻撃を受けるなどして痛みが限界に達すると「悪性痛み症候群」に陥って1ターン動けなくなり、敵がこの状態になるとアイテムをドロップするといった要素もある。さらに自分がスキルを使う際にも痛みを受けるなど、痛みのコントロールが戦術要素となっている。

体験版では最初のダンジョンの途中までをプレイ可能。また、コミックマーケット92(夏コミ)にて本体験版より先までを収録した開発途中版が頒布される予定。

シネマティック・アドベンチャーノベル『fault – SILENCE THE PEDANT』オープニングムービー公開

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『fault – SILENCE THE PEDANT』キービジュアル

同人ゲームサークルALICE IN DISSONANCEは、現在開発中のシネマティック・アドベンチャーノベル『fault – SILENCE THE PEDANT』のオープニングムービーを公開した。

『fault – SILENCE THE PEDANT』は、マナクラフトと呼ばれる技術のある世界を舞台とし、とある事件で国を離れた姫セルフィーネと、そのガーディアンであるリトナの帰郷の旅を描く連作ノベルゲームの第3作。第1作の5年前、ガーディアンとなる前のリトナを主人公とした前日譚であり、前2作をプレイしていなくても楽しめるという。リリースは2017年冬予定。

今回公開されたオープニングムービーはゲーム内の当該シーンをそのまま録画したもので、現在配信中の体験版内でも閲覧できる。なお、体験版はこれまでSteamにて配信されていたが、DLsite.comでの配信も開始された。

モンスター画像素材集『イラスト素材集-異界のアリス』ダウンロード販売開始

マゼラン氏のモンスター画像素材集『イラスト素材集-異界のアリス』のダウンロード販売がBOOTHにて開始された。

“「不思議の国/鏡の国のアリス」をモチーフとした 人間のネガティブマインド領域から湧き出た魔獣たちのイラスト素材集”とのこと。52種のイラストを収録し、RPGツクールVX/MVの規格に合わせたサイズのPNGや、レイヤー未統合のPSDなど複数の種類のファイルが用意されている。

なお、本素材集の内容には同氏のWebサイト「シアンのゆりかご」(現在閉鎖中)で配布されていたものも含まれている。また、同様に「シアンのゆりかご」で配布されていたイラストを含む有償素材集として、クトゥルフ神話に現れる神性や奉仕種族、異形の怪物などを扱った『神話生物素材集-邪神礼賛-』も以前より販売されている。

HZ3 Software、『StrangeTelephone』のアクリルフィギュアをBOOTHにて受注販売開始

アドベンチャーゲーム『StrangeTelephone』(紹介記事)の開発元であるHZ3 SoftwareはBOOTHにて、配信しているゲームの関連グッズなどを販売する公式ストアを開設した。

第一弾としてこれまでイベントで販売されていた、『StrangeTelephone』に登場する「ジル」と「グラハム」のアクリルフィギュア(関連記事)を受注生産で販売。受注期間は7月31日22時頃まで、配送予定は8月中旬〜下旬となっている。

「ラノゲツクール」ユーザー投稿作品1,000作品突破を記念してキャラクター素材が無料配信

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株式会社KADOKAWAは14日、同社が提供するスマートフォン用ノベルゲーム制作アプリ「ラノゲツクール」において、ユーザー投稿作品が1,000作品を突破したことを発表した。また、投稿作品のダウンロード数は2万を超えたとのこと。

この2つを記念して、ニンテンドーDS用ゲーム制作ソフト「RPG ツクール DS+」の現代用キャラクター素材19体を、「ラノゲツクール」用にリファインしたものの無料配信が開始された。

完成作品も公開中! SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第7回:坂本昌一郎『たそがれのひ』①

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※本記事は、1月7日より開始した「SMILE GAME BUILDER」制作実演の連載です。

フリーゲーム作者による「SMILE GAME BUILDER」制作実演連載が開始 完成作はダウンロードして遊べる!

Qpic『スーパーフックガール外伝』 制作連載 / 2 / 3 / 完成作品ダウンロード
カナヲ『虚毒ノ夢』制作連載 1 / 2 / 3 / 完成作品ダウンロード


 
こんにちは!「SMILE GAME BUILDER」制作実演連載・第三回担当の坂本昌一郎です。

17年ほどゲーム音楽作曲家として活動しつつ、インディーレーベル「sound sepher」を主催しています。作曲家としての代表作はPS4「アスタブリード」、アニメ「11eyes」など。

近年はゲーム制作もはじめまして、現在は”童話”や”物語”を題材にしたRPG「箱庭セレナータ」を鋭意開発中です。こちらでは、ゲームデザイン・シナリオ・ドット絵・UIデザイン・プログラミング・BGM・効果音を担当しています。体験版もありますので、ぜひ遊んでみてくださいね。

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さて、今回は実演連載第一回・第二回とは趣向を変えましょう! 私の連載は、より「ゲームを作りたい方」に向けたものにします。まずゲームの完成品を実際に遊んで頂いたあと、ここではこういう意図を込めた……実際に組み込む際にどうしたのか……テストプレイの反応からこう修正した……といった開発秘話を次回以降に解説していく予定です。

マルチバッドエンドRPG「たそがれのひ」リリース!

公開ゲームは「たそがれのひ」。主人公の少年「セロ」が”約束された世界のたそがれ”……世界の終末に、どう関わっていくかを描いたマルチバッドエンドRPGです。
この世界は過去に”大災害”と呼ばれる大きな災厄に遭遇しました。人類は当時なにがあったのかをほとんど覚えていません。わかっていることは、”大災害”の影響で大きな海の亀裂と大きな壁によってへだてられた、”内側”と呼ばれる世界に閉じ込められている――ということです。

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主人公「セロ」の両親は、閉じた世界の謎を解明しようとする「歴史研究家」たちのトップに立つ、”教授”と呼ばれる高名な学者「レベック」と「シターン」。彼らは、ついに”壁の向こう側”へ行く方法を突き止め、いざ向かおう――といったところからゲームはスタートします。

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しかし、彼らは”壁の向こう側”から帰りませんでした。セロの目標は、行方不明になった両親を探しに”壁の向こう側”へ向かうこと。そんなある日。自らを”時代も場所も次元さえも問わず、あらゆる物語を集めさまようもの”と名乗る少女「シャルロット・ペロー」と出会ったところからセロの運命の歯車は大きく回り始めます。さあ、プレイヤーである貴方とセロは、どんな終末を選ぶのでしょうか?
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3D要素はとことん演出用途に!

やりたかったことは「冒険」「プレイヤーごとにプレイ体験が変わるRPG」「バッドエンド」。短編でどこまで詰め込めるかに挑戦しました。

ゲームをスタートして30分もすれば、プレイヤーはまず大きな選択を行うことになります。その選択によってストーリーの展開がガラリと変わりますが、次のプレイでまた別の選択を行うことで、前回は見えてこなかった真実が明かされるでしょう。目の前にある遺跡を探索するかどうかさえ、プレイヤーの自由です。どこへ行くか、なにを選ぶか、そんな選択肢を数多く用意しています。

手軽に3D画面のRPGを作れる「SMILE GAME BUILDER」は、その演出に大きく役に立ちました。あえて3Dならではのカメラ自由操作を禁止して、イベント毎に細かく視点を変えることで、操作を簡易化しつつ、視覚的によりドラマチックな演出にすることに注力しました。

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また、3Dであることを逆手にとって隠しアイテムをたくさん配置しました。こうした「視点」を利用したギミックをたくさん配置することで「3Dならでは」の遊びが追加できたのではないでしょうか。

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まっすぐストーリーを追うもよし、世界中を旅するもよし、ハック&スラッシュでレベル上げ・アイテム集めするもよし、高難度ダンジョンに挑戦するもよし。ダンジョンにはたくさんの凶悪な裏ボスも潜んでいます。ぜひ好きな遊び方に挑戦して頂けたら……と。

BGMも全曲オリジナルで用意しましたので、そちらもぜひお楽しみくださいね。

次回はストーリーとそれに伴った3Dカメラ演出、そして「SMILE GAME BUILDER」で実際にどう3D演出を行ったか。そして次々回はシステム的な細かい工夫と「SMILE GAME BUILDER」でどう再現したかを順番に解説していきます。おまけにゲーム中の隠し小ネタも掲載しますので、引き続き「たそがれのひ」連載をどうぞお楽しみに。

坂本昌一郎さんによる『たそがれのひ』完成版はこちらからダウンロード!


リソース管理型ノンフィールドRPG『箱舟のノワール』 “幸運”を捧げて極限状況を生き延び、真相を解き明かせ

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マップなどによるフィールドの表現がなく、戦闘を中心にテンポよく進行する「ノンフィールドRPG」。ランダム入手した消費型の武器などで戦っていくローグライク的なゲームデザインとの相性もよく、リソース管理や意志決定にフォーカスした名作が生まれているジャンルでもある。

Amamori Labのダウンロード販売作品『Ark Noir / 箱舟のノワール』もそうした、リソース管理型ノンフィールドRPGのひとつ。沈みゆく巨大船という舞台設定や、“幸運”を捧げることでさまざまな状況を切り抜けていくシステムが魅力の作品だ。

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沈没しつつある巨大移民船から脱出し、真相解明を目指せ

本作の舞台となるのは、新大陸へと向かう巨大移民船「ノワール」。原因不明の事態により沈没を始めた船から脱出するため、5つのフロアを踏破するのがゲームの目的となる。各フロアの道中では檻から逃げ出した獣との戦闘がランダムに発生。使用回数が限られている武器などのアイテムを駆使して撃退していく。

ノワール沈没の謎に迫っていくアドベンチャー要素も特徴で、他の乗客・乗員を救出し、証言を集めるのもゲームの目的。プレイの内容によってエンディングが変化する。さらに主人公を3人から選択可能で、主人公によって能力だけでなく一部のイベントも変化するほか、さまざまな条件によってアンロックされる実績要素もある。1周のプレイ時間は数十分程度で、繰り返し遊べる作品となっている。

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大陸間移民のため建造された2隻の巨大蒸気船のひとつ「ノワール」。この船が沈没し始めたことから物語は始まる

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ノワール沈没の謎に迫っていくアドベンチャー要素も見どころ

限られた「幸運」の使い所が攻略の鍵を握る

本作ではHPのほかに、「幸運の量」を表す値である「Fortune」が存在。これをさまざまな場面で使用していくシステムが最大の特徴だ。フロア内で物資コンテナを発見した際にはFortuneを消費することでランダムにアイテムを入手できるほか、休憩ポイントを発見した際はFortuneを消費して休憩すればHPを全快させることが可能。また、各フロア最奥のボス戦以外の戦闘からはFortuneを消費することで必ず逃走できる。他の乗客・乗員を救出する際もFortuneが必要となるが、状況によっては戦闘や特定アイテムの使用で代替できることもある。

Fortuneはフロアを10歩進むごとに最大値の1/7ずつ回復していくが、その用途の広さに対して入手量が十分とは言い難い。使い過ぎてしまうといざ必要な時に足りなくなってしまうが、かといって使い惜しんでいても武器やHPが足りずジリ貧になっていく。極限状況の中で、限られた「幸運」をどのタイミングで何に使うかというリソース管理が攻略の鍵を握っているのだ。

物資コンテナからは、Fortuneが足りる限り何度でもアイテムを引き出せるのもポイント。必要なアイテムがなかなか出ずFortuneを注ぎ込んでしまったり、逆に良いアイテムを引けた勢いでもう1回……!と望みをかけてみたりと、いわゆるガチャに近い感触もある。

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Fortuneを消費してコンテナからアイテムを引き出す。すべての基本だ

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他の乗客・乗員を救助する際もFortuneを消費する。戦闘や特定アイテムの使用で代替できる場合も

オープンな情報をもとに戦術判断を行うロジカルなバトル

本作の戦闘は自分と敵が交互に行動する1vs1形式。敵のHPと防御力の値はオープンになっており、攻撃の威力から敵の防御力を引いたものが最終的なダメージになるという、シンプルな仕様となっている。また武器を選んで攻撃するだけでなく、防御は防御用のアイテムを選択することで行う(当然、持っていなければ防御はできない)など、逃走を除き戦闘中のあらゆる行動がアイテムを選ぶことに集約されているのもポイントだ。

敵の行動内容は単純な攻撃のほかに大技や自己強化などさまざまで、次の行動は自動で開示されることがあるほか、自動で開示されなかった場合もFortuneを1消費することで任意に開示することが可能。敵が防御を固めたら防御力を無視できる「貫通攻撃」タイプの武器を使うなど、状況に応じた選択が重要となってくる。攻撃は基本的に必中、ダメージ算出にランダム要素は一切ないため、手持ちのアイテムの組み合わせにより何手かけて、どの程度の損失で敵を倒せるか、あるいは諦めて逃げるべきか……といった先読みも重要な、ロジカルなバトルに仕上がっている。

とくに中盤以降は敵の攻撃も激しく、1ターンの価値が重い。スリップダメージを与える「毒」や敵が行動できなくなる「気絶」など、状態異常の活用も非常に重要だ。逃げることができず、まさに死闘となる各フロアのボス戦に向けて、「ボスに勝てるアイテム構成」を作り上げていく戦略面もポイントとなっている。

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攻撃力や武器の性能などから算出された最終的な攻撃の威力がアイテム一覧上に表示される

戦闘に勝利した場合、および他の乗客・乗員を救出した際は「経験点ランプ」が1つ点灯し、4つ点灯するとレベルアップ。HP全快、Fortuneが最大値の50%回復、攻撃力上昇、防御力上昇という4つのレベルアップボーナスから1つを選べるほか、パッシブスキルにあたる「Perk」がランダムに2種類呈示され、どちらか1つを選んで習得できる。

Perkはステータスを上昇させるもののほか、「休憩ポイントを出現しやすくし、休憩に必要なFortuneを減らす」「銃器による攻撃の威力を上げる」など特殊な効果を持つものが多数用意されており、状況や主人公の能力、プレイの方針などに応じて必要なものを取捨選択していくのが悩ましくも楽しい。欲しいPerkがなければFortuneを消費して再呈示を行うことも可能だ。

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Perkはユニークなものが多数用意されている。呈示される2つから、「今回のプレイで必要なのはどちらか?」と選んでいくのが悩ましくも楽しい

歯応えのある難易度と豊富なバリエーション。何十周でも遊べる傑作

本作の難易度は高めで、最初のうちはノワール沈没の真相解明どころか、脱出すらままならずゲームオーバーになることも多いだろう。繰り返しプレイすることでコツを掴んでいくなどプレイヤー自身が経験を積むことも重要だが、システム上の強化要素としては実績をアンロックすることで、ゲーム開始時にあらかじめセット可能なPerkの種類とセットできる数が増えていくという仕組みがある。これによりキャラクターを強化し、さらに実績をアンロックしてPerkを拡充させていく……といったサイクルが、本作の周回ゲームとしての大きな流れとなるだろう。

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繰り返しプレイすることでゲーム開始時にセット可能なPerkを充実させていくことが可能

実際のプレイ感として筆者がとくに感じたのは、ランダム要素の振り幅がかなり大きい点だ。物資コンテナには出やすいアイテムの種類が設定されているのだが、「おそらく武器」と書かれたコンテナからそれ以外のアイテムばかり出る、なんてことはしょっちゅうだし、エンカウントの頻度もバラツキが大きい。最後の最後までプレイ内容が安定することはほとんどない。

そのぶん、何十周しても似たような展開になることはまずない。筆者の場合、20時間以上プレイしたところで初見のレアアイテムに遭遇することまであって驚かされた。ゲーム開始からクリアあるいはゲームオーバーまで、途中でセーブのない一発勝負である点も心地良い緊張感に繋がっている。

近現代の欧州がモチーフと思われる世界観も見どころで、モダンな趣のあるイラストに冒険小説やミステリーのような渋みのあるシナリオと、コンピュータRPGとして見るとなかなか独特であり、ゲームブックやTRPGのような雰囲気が漂っているようにも感じられた。救助した乗客・乗員の中には各主人公と縁の深い人物もいて、会話シーンなどを通じて描かれるキャラクターも魅力的。また、アンロックした実績に応じてさまざまな文書を閲覧することもでき、物語の背景などを垣間見ることが可能だ。

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縁の深い人物との会話シーンでは、主人公のキャラクターがより深く掘り下げられることも

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実績をアンロックすることで「アーカイブ」にて読める文章が増えていく。さまざまな側面から物語の背景などを垣間見ることが可能

ルールはシンプルで把握しやすく、それでいてアイテムや敵の行動、Perkのバリエーションの掛け合わせにより思考と判断で頭をフル回転させられるのが醍醐味の作品。体験版も用意されているので、リソース管理や意志決定が好きならぜひ触れてみていただきたいRPGだ。

【基本情報】
タイトル:『Ark Noir / 箱舟のノワール』
制作者:Amamori Lab
クリア時間:1周数十分、エンディングコンプリートまで10~20時間程度(筆者推定)
対応OS:Windows、Mac OS X
価格:1,080円(税込)

ダウンロードはこちらから
http://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ201290.html

制作元サイト
https://amamorilab.wixsite.com/amamori-lab

そこは小規模ゲームの宝石箱。ゲーム販売サイト『itch.io』とは

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皆さんは「itch.io」というサイトをご存じだろうか。もし良く知っておられるならこの記事は読む必要はありません。記事の下の方にitch.ioで遊べるオススメゲームを紹介しているので見ていってくださいな。

itch.ioをよく知らないというそこの方! インディーゲームに興味があるなら新たなゲームとの出会いがそこで待っています。あるいはゲーム製作に興味がある方。itch.ioの存在を覚えておいて損はないはずです。ぜひ本記事をお読みくだされ。

itch.ioとは

itch.ioは、インディーゲームを中心とした「ゲームの販売サイト」だ。製作者がゲームを登録し、値段を付けて販売(あるいは無料で配布)することができる場のひとつだ。
 
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ゲームの販売サイトといえば「Steam」や「PLAYISM」などが代表的だろう。しかし、PLAYISMは製作したゲームを販売してもらう際に審査が必要で、Steamは新制度により誰でも販売することが可能となったものの、手続きが複雑で事前にお金がかかる。このため小規模ゲーム製作者にとっては少々ハードルが高い。筆者も個人で小規模ゲームを製作しているが、このどちらでもゲームを販売することはできなかった。

しかし、itch.ioでは販売することができた。なぜならitch.ioはゲームを有料販売できる場でありながら、審査やお金などが不要で、誰でも気軽にゲームを登録できる仕組みとなっているからだ。筆者のような小規模ゲーム製作者にとっては非常にありがたい場だ。他の製作者にとってもそれは同様のようで、小粒かつ意欲的な作品が数多く集まっている場でもある。ユニークなゲームを遊びたいプレイヤー達にとっても魅力的な場でもあると言える。

ゲームの価格をユーザーが自由に決められる

itch.ioの最大の特徴は、ゲームの価格をユーザーが自由に決められるPWYW(Pay What You Want)方式が採用されている点だ。例えば製作者がゲームを登録する際に「最低価格:0ドル」と設定した場合、そのゲームは無料でもダウンロードできるが、お金を支払って購入することも可能となる
 
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↑ダウンロード時に購入金額を入力する画面がある。

「無料なのにわざわざお金を払う人がいるの?」と疑問に思うかもしれないが、結論から言えば、いる。

この場で支払ったお金は製作者に直接届く。製作者はそれによってモチベーションが高まり、次の作品を作るための資金にもできる。だから次の作品が作られる可能性が高まるし、作品がより良くなる可能性も高まる。結果的にユーザーはより魅力的なゲームが楽しめる。このことを理解してくれているユーザーが一定数いるからなのだと私は考えている。

実際、筆者が公開している作品でも、最低価格に上乗せして買ってくれる人がいる。「最低価格:0ドル」で公開した作品も数パーセントの人がお金を支払ってくれているし、「最低価格:2.8ドル」に設定した作品は4割以上の人が最低額を超えてお金を支払ってくれた。(中には10ドル以上支払ってくれる人もいた!)
 
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↑最低価格0ドル以上で公開している作品の売上げデータだ。最初に提示される額が1ドルであるためその通りの金額で購入してくれる人もいるし、そこにさらに上乗せしてくれている人もいる。

PWYW方式は、筆者にとって2つの利点があった。1つはまず「責任が重くならない」という点だ。最低価格を「0ドル以上」にして無料でも遊べるようにすれば、有料販売特有の責任と不安感を避けることができ、その上で少額だが収入を得ることができる。

2つ目の利点は「純粋に嬉しい」という点だ。固定額の場合と違い、PWYW方式の場合はユーザーが自らの意思で金額を上乗せしている。それはつまり「作品に価値を感じてくれた」という事を意味するからだ。製作者としてこんなに嬉しい事はないだろう。

英語サイトであるため、小規模ゲームを海外プレイヤーにゲームを遊んでもらいたい場合は最適な場だろう。(日本人ユーザーについては、この記事によって増えることを願いたい) ゲーム製作している方、ゲーム製作に興味がある方は、itch.ioでの作品公開を検討してみてはいかがだろうか。

インディーゲーマーにとっても魅力的な場

itch.ioは純粋に「ゲームが遊びたい」というインディーゲーマーな人にとっても魅力的な場だ。最大の特徴は「ゲームとの出会い」がとてもやりやすい場となっている、という点だ。

itch.ioにはSteamでは配信されないような小規模ゲームや、ユニークな実験的作品が山のようにある。また、itch.ioにはゲームジャム(短期間でゲームを製作するイベント)を開催するための機能があるため、ゲームジャムによって生まれたユニークな作品もこの場に沢山登録されている。多くの作品は小規模かつ無料で、短い時間で遊び尽くせるタイトルも多く、気軽に起動できるのも利点といえるだろう。

また、作品との出会いも非常に便利になっている。多くのゲームはgifアニメによって事前に内容が分かるように掲載されている事が多く、サムネイルの段階でゲーム内容がイメージできるようになっているタイトルも多い。また、公式で配布されている専用のクライアントソフトを使用すれば「ダウンロード」「起動」「アンインストール」がそれぞれワンクリックでできるようになる。条件を設定して、それに合致するゲームがランダムで提示されていく「Random Game」機能も、新しいゲームとの出会いを促進してくれる。
 
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↑クライアントソフトの画面だ。自分のお気に入りのゲームが並ぶのも純粋に嬉しい
 
このように、itch.ioはゲームを見つけて起動するまでがとてもスムーズにできるようになっているのだ。ダウンロードそして起動、合わなかったらすぐに消す、ハマったらサッとクリアする、とテンポ良くやっていく感覚は、一度体験するとやみつきになるはずだ。itch.io全体のサイクルがある種のゲームなのではないか、とも思えるような心地よさがある。

よく、Steamのことを「ゲームを詰むゲーム」などと揶揄されることがあるが、itch.ioは「ゲームの山を掘り進むゲーム」と言えるかもしれない。

登録方法と簡単な使い方

ここまで読んで興味を持った方のために、登録方法と簡単な使い方を解説しておこう。

…といっても、まったく難しいことはない。最低限使うだけなら登録も不要だ。itch.ioのトップページにアクセスすればオススメのゲームが並んでいるので、そこから気になるゲームを見つけるだけだ。カテゴリやキーワード検索もできる。
 
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1.トップページだ。右側にずらっと並んでいるのが配信中オススメタイトルだ。マウスポインタを合わせると簡単な説明が見れる。左側の項目から条件を指定してゲームを探すこともできる。
 
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2.ゲームを選ぶと作品紹介ページに飛ぶ。ゲームを遊んでみたい場合は「Download Now」ボタンを押す。
 
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3.支払い金額を決める画面。最低価格0ドルからのタイトルの場合、「No thanks, just take me to the downloads」のリンクをクリックすることで無料でダウンロードすることができる。(もちろんお金を払ってもOK)
 
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4.使っているOSに合わせたダウンロードボタンを押せばダウンロードが始まる。あとは楽しむだけだ。
 
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5.より便利に活用したいのであれば、「Get app」をクリックしてクライアントソフトを使うのがオススメだ。ゲームの入手と管理が格段に便利になる。

それでは素敵なitchライフを!

付録:itch.ioでダウンロードできるオススメタイトル

itch.ioでダウンロードできるゲームの中から、筆者が独断で選んだオススメゲームを紹介させて頂きたい。いずれも最低価格0ドルからで、15分程度で遊べるタイトルばかりなので気軽に遊んでいただきたい。

ウィンドウがゲームに影響を与える『windowframe』

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Windowsのウィンドウを活用してゲームを攻略するアクションゲーム。ウィンドウを固定したり、ドラッグしてウィンドウサイズを変えることでゲームを攻略する。説明だけで分かる通り、かなり斬新なゲームだ。

ダウンロードはこちら:
https://managore.itch.io/windowframe

バグったキャラがバグった世界を探索する『GlitchDungeon』

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バグによって壊れている世界を探索していくパズルアクション。主人公自身も「落下フラグがおかしくなる」「当たり判定がなくなる」などバグを纏うことで攻略していく。カオスな見た目に反してかなり丁寧な作り。バグっぽさも相当リアル。

プレイはこちらから:
https://cakeandturtles.itch.io/glitch-dungeon

倒した敵を生き返らせて仲間にできる『Right Click to Necromance』

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自軍を移動させて戦わせるだけのシンプルな戦争ゲーム。敵の集団を全員倒したら死体を生き返らせて仲間にできる。戦力の収支を考えながらどんどん味方を増やしていくのが楽しく、延々と遊べてしまう。

ダウンロードはこちら:
https://juicybeast.itch.io/right-click-to-necromance

盲目の侍が戦う『BlindBlade』

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何も見えない状況の中、音を頼りに敵の位置を推測しながら戦うアクションゲーム。敵が攻撃してくる直前に見えるので、そこをすかさず切り捨てる「見切り」感がとても渋い。

ダウンロードはこちら:
https://potionc.itch.io/blindblade

リズム×観察×ジャンケン『The Rock the Paper and the Scissors』

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相手がリズムに合わせてジャンケンの手を出してくるのでパターンを呼んで対応した手を出して敵を倒す。結構難しいが総合的な完成度が高い。ゲームの進行に合わせて音楽がシームレスに盛り上がっていく様は必聴。

ダウンロードはこちら:
https://toastygames.itch.io/the-rock-the-paper-and-the-scissors

『ファタモルガーナの館』フルカラー・ハードカバー仕様のアートブックが予約開始 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は開催まで1ヶ月を切ったコミックマーケット92(夏コミ)関係の作品情報や体験版、PV公開に関するものなど11本です。

『ファタモルガーナの館』公式アートブック「THE ART -あなたに捧ぐ回想録-」予約開始

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Novectacleは15日、ノベルゲーム 『ファタモルガーナの館』のアートブック「THE ART -あなたに捧ぐ回想録-」の通販予約受付を開始した。執筆時現在、NovectacleのBOOTHのほか委託販売店のとらのあなおよびメロンブックスでも予約受付が行われている。

描き下ろしのイラストほか、今まで商業誌で公開した表紙・口絵や、漫画版の未公開資料などを収録した公式アートブック。A4サイズ、表紙込みで68ページ、ハードカバー・フルカラーの豪華仕様となっている。

初頒布は8月11日、夏コミにて。通販での発売時期はショップにより異なるが、いずれも夏コミ以降となる模様。

あきら小屋、シューティングゲーム『鋼鉄のヴァンパイア』情報公開

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あきら小屋は17日、シューティングゲーム 『鋼鉄のヴァンパイア』の作品情報を公開した。

「激攻撃型猛密着系シューティング」を謳う作品。掲載されているゲーム画面からは鉄錆の浮いたような質感のあるメカニックなど硬派な世界観が感じられ、「錆が砕け火花が飛び散り黒煙が舞う!」というキャッチコピーも添えられている。ゲーム内容としては時間経過やミス、ボムの使用、アイテムの取得によりランクが上下し入手スコアが変化するランクシステムや、敵に接近して撃ち込んで倒すと回復アイテムやボムアイテムがたくさん出るシステムなどが特徴となるようだ。

丸ダイス、夏コミにてギミックパズル『ピタゴラスの永久機関』を頒布予定

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サークル丸ダイスは17日、夏コミの出展内容を告知した。

新作として頒布されるのは、ギミックパズルゲーム『ピタゴラスの永久機関』。3Dで描かれたステージ上でスイッチを押したり物を動かしたりして、さまざまな仕掛けを使いこなして“永久機関”を作っていくのが目的。ステージは40以上あり、ヒントやスキップ機能も用意されているという。

Windows/Android/iOS向けのリリースが予定されており、夏コミではWindows版が頒布予定。

ASTRO PORT、アクションシューティング『ロケットロン』PV公開

ゲーム開発サークルASTRO PORTは18日、アクションシューティングゲーム『ロケットロン』のPVを公開した。

ブースト飛行が可能なロケット銃を使い、敵の大要塞を探索していく作品。飛行時間が増えるたびに行動範囲が広がっていくという、探索アクションゲーム的な要素も特徴となっている。夏コミにて頒布予定。

電核製鋼、3Dアクションシューティング『時止電殻2』試作版PV公開

同人ゲームサークル電核製鋼は16日、3Dアクションシューティングゲーム『時止電殻2』の試作版PVを公開した。

PVからは時間を止めるシステムや、機体のカスタマイズ、巨大な敵と戦う「討伐戦」などの要素が見て取れる。夏コミでは「C92 試作版」が頒布される模様。

スタジオ・おま~じゅ、ノベルゲーム『雪子の国』体験版公開

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スタジオ・おま~じゅは20日、ノベルゲーム『雪子の国』の体験版を公開した。

東京からとある地方城下町へとやってきた少年・ハルタと、「天狗の国」から帰化した少女・雪子を中心に描かれる、「青春ハートフルラブコメディ+地方都市ミステリー」を謳う作品。天狗が人と交わって暮らしている現代日本という世界観も特徴となっている。

体験版では製品版に収録予定の6つのエピソードのうち3つを収録し、公称プレイ時間は4~5時間。製品版は夏コミでリリース予定のほか、通販やダウンロード販売も予定されている。

少年舎、ノベルゲーム『ナツイロセールトリム』第1章体験版公開

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同人サークル少年舎は20日、ノベルゲーム『ナツイロセールトリム』の第1章を収録した体験版を公開した。公称プレイ時間は30分程度。

湘南を舞台に、ヨット競技の「セーリング」に挑む女子高生達を描いた作品。図解などによるセーリングの解説や、実写映像を交えた演出なども特徴となっている。

ALICE IN DISSONANCE、『fault』関連グッズ予約開始

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同人ゲームサークルALICE IN DISSONANCEは19日、夏コミにて頒布予定の新作グッズの通販予約の受付をサークルのBOOTHにて開始した。

同サークルはマナクラフトと呼ばれる技術のある世界を舞台とした連作ノベルゲーム『fault』シリーズをリリースしており、グッズは同作に関するものとなっている。Tシャツが2種類とマウスパッド、および作品に登場する「デュアルクラフター」(マナクラフトの使い手の一種)のマークをあしらったピンズ「クラフターズピンズレプリカ:デュアル」が用意されている。

また、Tシャツの購入者には特典として、現在開発中で体験版が公開されている『fault』シリーズ最新作『fault – SILENCE THE PEDANT』の体験版範囲のサウンドトラック(作中BGMおよび主題歌を収録)が8月11日よりダウンロード提供される予定。

いくちおすてご、短編アクションゲーム『救う(SHE SAVE)』リリース

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いちおくすてごは15日、短編アクションゲーム『救う(SHE SAVE)』をSteamにてリリースした。

角の生えた少女が巨大な竜達と戦う2Dサイドビューのアクションゲーム。竜が画面の奥から迫ってくるなど、描き込まれたドット絵のアニメーションによりダイナミックで立体的な演出がなされているのが特徴となっている。

犬と猫、鍛冶屋経営シミュレーション『王国のソウルスミス』サントラ動画公開

同人サークル犬と猫は17日、鍛冶屋経営シミュレーションゲーム『王国のソウルスミス』のサントラ動画を公開した。

ゲームの使用楽曲を動画にまとめたもの。約28分にわたり、8トラックが収録されている。

「SMILE GAME BUILDER」向け『ヒーラーは二度死ぬ』コラボ素材が発売

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株式会社スマイルブームは20日、ゲーム制作ソフト「SMILE GAME BUILDER(スマイルゲームビルダー)」の追加ダウンロードコンテンツとして、3Dモデル素材集『A Healer Only Lives Twice Character Resource Pack』を発売した。

Pon Pon Gamesのシミュレーションゲーム『ヒーラーは二度死ぬ』とコラボレーションした素材集で、同作の主人公キャラクターや敵キャラクターの3Dモデルを、カラーバリエーションを含め全95種類収録。『ヒーラーは二度死ぬ』と同じモーションも設定されている。SMILE GAME BUILDERで作成されたゲームへ利用する場合に限り、商用、非商用を問わずロイヤリティーフリーで利用できる。

さらに、Pon Pon GamesがSMILE GAME BUILDERで制作し、フリーゲームとして公開しているスニーキング謎解きアドベンチャーゲーム『黒鉄の意思』のゲームファイルが同梱されており、内部で利用されているテクニックを自作に応用したり、同作の二次創作を行うことが可能。

高難度アクション+クリッカー系?奇妙なローグライクアクション『Nongünz』に挑め!

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高難度のアクションゲームは、もはやジャンルと呼んで差支えがないほどファンの多いものになった。プラットフォーマーや3Dアクション、ツインスティックシューターなどその内容は様々だ。だが、難しければ難しいほど挑戦し甲斐があると、その内容を問わず腕に覚えのあるゲーマーが集まってくる。歯ごたえのあるゲームが求められる時代なのかもしれない。

そうした高難度ゲームは腰を据えてじっくり長時間遊ぶ必要がある。しかし、現代人は何かと忙しいもので、高難度ブームとは裏腹にゲームの時間を取れない方も多い。そんな中で人気となのが、クリッカー系、放置系と呼ばれるゲームだ。ゲームを起動しっぱなしにして、自動で増えるポイントを貯める。こうしたプレイに腰を据えない放置スタイルが人気を博し、クリッカー系ゲームは様々な派生を生み出す一大ジャンルへと成長した。クリッカー系ゲームもまた、時代に求められたゲームなのであろう。

今回紹介する『Nongünz』はそんな相反する二つのジャンルをミックスした、とても変わった作品だ
 
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スペインのインディゲームディベロッパー「Brainwash Gang」が制作したゲーム『Nongünz』はゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて698円で販売されている。開発中の段階から注目されていたようで、スペインのゲームメディアでは開発中の本作が何度も取り上げられていた。注目の集まる中、本作は2017年5月19日にリリース。その硬派なゲーム内容に評判は広まり、ヒット作となった。

海外のゲームなので、言語に不安を覚える方もいるだろうが心配ご無用。本作はゲーム内に言語が出てこない。ゲーム内容からオプションの設定項目に至るまで全て絵で説明している。この絵は何を意味しているのか?この設備は一体何をする場所なのか?こうしたゲームシステムをプレイヤーに考えさせる作りなのだ。言語の隔たりなく、世界の誰もがわからないゲームなのである。逆に、安心して遊ぶことができるだろう。

レビューに移る前に、断っておかなくてはならない。本作がそうやって言語を使わずあえてわかりづらくしているゲームシステムを、一部ではあるがこの先解説しようと思う。ゲームのレビュー上仕方のないことだが、それはゲームの謎を紐解くことに他ならない。ネタバレと感じる方もいるだろう。ご容赦いただきたい。

アイテムとポイントを貯めまくる!独特のゲームシステムで強くなれ!

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『Nongünz』は横スクロールアクションゲームだ。主人公である骸骨を操り、グロテスクなデザインのモンスターが蔓延るダンジョンを攻略する。道中にはショットガンや刀といった武器や、二段ジャンプやダッシュなどのスキルが宿った頭蓋骨、ステータスがアップするアイテムがある。これを集めることで骸骨はどんどん強くなっていく。いわゆるローグライクゲームと呼ばれるものだ。

本作の敵は雑魚キャラであってもかなり強い。なかなか倒せない上、攻撃を一回食らうだけで骸骨のHPはごっそり削れる。倒せば少しHPが回復するものの、強い敵と渡り合うための装備品は耐久がなくなれば壊れる使い捨てだ。さらに、ステータスアップアイテムの入った宝箱を開けるにはHPを消費しなければならない。まったく一筋縄ではいかないハードさだ。
他の多くのゲームと同様に、本作も敵の猛攻に敗れ死んでしまえば、これまで集めたアイテムは全てを失われてしまう。いくらハードとはいえ、本当にこの作品をクリアすることができるのか?
 
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クリアできないほど難しいなら、クリアできるくらい骸骨を強くすればいい。このゲームは、死ぬ前にダンジョンの窓から飛び出すと、なんと拠点に帰ることができる。拠点に帰ればどれだけ死にかけていたとしてもHPは全回復する。もちろん集めたアイテムは手元に残ったままだ。ダンジョンにはまた始めから挑まねばならないが、死んでこれまでの努力が消えてしまうよりはずっといい。
しかも、ダンジョンに行って帰ってくるを繰り返せばアイテムは貯め放題だ。たくさんアイテムを集めれば、あれだけ痛かった敵の攻撃も辛くないし、敵を楽に倒すことだってできる。拠点にはアイテムを保管するストレージ(棺桶)もあるので、アイテムを貯めに貯めて死んだときに備えることも可能だ。
 
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本作にはアイテム以外にも、プレイすると貯まっていくものがある。画面中央下部に表示されたポイントだ。これは自身が攻撃ボタンを押したり敵を倒すと増えるのだが、ゲームを進めるにつれステータスアップアイテムの効果とダンジョン道中で救った骸骨たちの祈りにより何もせずとも増えるようになる。クリッカー系ゲームの要領である
 
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このポイントは拠点で武器と交換したり、お店でステータスアップアイテムを購入したりするとても重要なものだ。あればあるほど骸骨を強くできる。これも死んでしまえば0になってしまうが、死なないように遊べばどんどん増えていく。
 
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もちろん何もせずとも増えるのだから、放置すれば大金持ちになる。本作はメニュー画面よりゲームを終了すると、『Nongünz』を遊んでいる人の部屋に画面が切り替わり、『Nongünz』を遊んでいる人を操作することができる。『Nongünz』を遊んでいるのは私たちのはずだが、この際そこはいい。『Nongünz』を遊んでいる人を操作する画面では、時計が高速で動いており、ゲーム内の時間が高速で流れてたくさんポイントがもらえる。要するに、ポイントを貯める間の放置用画面なのだ。クリッカー系ゲームは数あれど、放置用画面が存在するゲームは珍しい。なお、ダンジョン内でゲームを終了させると、いくら『Nongünz』を遊んでいる人が退席しただけとはいえ死亡扱いになるのでご注意を。
 
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腰を据えてプレイするときは何度もダンジョンを往復してアイテムを貯める。プレイできないときは放置だけしていればポイントが貯まって、結果アイテムがたくさん手に入る。プレイしようがしまいが、起動さえしていれば骸骨をひたすらファーミングできるのだ
ローグライクゲームと呼ばれる作品は数あれど、ここまで楽なファーミングを許しているゲームは珍しい。なにより強さに直結するポイントがクリッカー系ゲーム方式で貯まるというのも変わっている。ハードなゲームを楽しみたいが、何時間も腰を据えられない!という現代人にピッタリの作品だろう。

強化してもなお凶悪!難攻不落のダンジョンに挑め!

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これだけ楽に骸骨を強くできるなら、クリアも目の前!と思うだろう。だが、本作はそれでもなお難しい。数層にわたって広がるダンジョンは非常にいやらしい作りで、一つのミスが大ダメージにつながってしまう。さらに、各層の最後に待つボスは非常に厄介だ。
 
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それでもとことん骸骨を強化すれば、優位に立てると考える人も多いだろう。このゲームの武器と頭蓋骨には赤、青、緑の3段階のレベルがあり、高レベルの装備品は強力なパフォーマンスを持っている。ポイントを貯めて強力な装備を大量に揃えれば、敵を楽に倒すことはたしかにできるだろう。
だが、ダンジョンに持ち込んだ高レベル装備の数に応じ、ダンジョン内のモンスターもレベルが上がるようになっている。いくら強力とはいえ、大量に持ち込めば逆に環境は厳しくなってしまう。強化が逆に自分を苦しめるのだ。高レベル装備をたくさん持ち込むかどうか。装備品の持ち込み数はプレイヤーを常に悩ませる。
 
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さらにプレイヤーを悩ませるのがHP回復だ。本作にはHP回復アイテムが存在しない。先述の通り敵を倒して少しずつ回復することはできるが、それではピンチを脱することはできまい。どうしても今、回復しなければ死んでしまう!そんなときのため、本作には頑張って貯めたアイテムを砕いて消費することでHPを回復する緊急手段が用意されている
しかし、これはステータスを下げる諸刃の剣だ。ステータスを高く上げるアイテムほど、回復量は当然多い。どのステータスなら下げられるか?更に深くダンジョンを潜るのに、今ステータスを下げて本当に大丈夫か?リスクとリターンを天秤にかけたプレイヤーの決断が求められる。

いくら強化したとしても、ダンジョンは決して甘くない。プレイヤーの選択が、決断が、全て今後のプレイにのしかかってくる。非常にハードコアな作品といえよう。

説明を放棄した意味深な作風。プレイの果てに待つものとは……?

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ローグライクゲームにファーミングを持ち込んだゲームシステム、白と黒を基調としたクールなグラフィック、プレイヤーを躍起にさせるハードな難易度。本作の持つ魅力は濃厚だ。
何時間ものめり込んでプレイするもよし、短い時間のプレイを積み重ねて強くなるもよし。プレイスタイルを選ばない本作は多くの人にこの魅力が届くだろう。どんなプレイスタイルにせよ時間のかかるゲームだが、その価値のある作品だ。

さて、本作はゲーム本編とそれを遊ぶ人、その両方を操作するメタフィクション的な構造をしている。これは説明したとおり、クリッカー系ゲームの要素である。だが、本当にそれだけなのだろうか?ゲームが進むにつれ『Nongünz』を遊ぶ人にちょっとした変化が現れる。もしやこのメタフィクション構造にはなにか別の意味があるのでは……?

よくよく考えれば他にも謎はたくさんある。主人公は何者なのか?ダンジョンに挑む理由は何なのか?そして、このゲームのクリアとは一体何を指しているのか?それは自分で見つけ出すしかない。

一切の説明がない奇妙なゲーム『Nongünz』。時間を忘れてのめり込むなら今だ。

[作品情報]
タイトル: 『Nongünz』
制作者:Brainwash Gang(制作者様サイトはこちら)
対応OS:Windows 7 or later, Mac OSX Mountain Lion (10.8), Ubuntu 14.04 / SteamOS
プレイ時間:10時間以上
価格 698円:

購入はこちらから

第9回「WOLF RPGエディターコンテスト(ウディコン)」開催! 20本以上の応募作品が早速プレイ可能

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数々の名作を生み出した無償のゲーム制作ツール「WOLF RPGエディター」。本ツールで制作されたフリーゲームのコンテスト「WOLF RPGエディターコンテスト(通称ウディコン)」が23日より開催されている。

本コンテストは、「WOLF RPGエディター」の作者であるSmokingWOLF氏が主催・運営しており、年1回開催され今年で9回目となる。応募作品は順次公開され、作品ごとの掲示板が用意されたり、一般投票のみで審査が行われたりと、ユーザー参加型のイベントとなっている。執筆時現在すでに20本以上の作品が公開されており、ダウンロードしてプレイすることが可能。

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第9回「WOLF RPGエディターコンテスト」応募作品一覧ページ

応募できる作品はオリジナルかつ未発表の「WOLF RPGエディター」製ゲームで、作品募集期間は23日から29日23:59まで。その後、応募された作品数に応じて投票期間が設けられ、投票期間終了後に結果が発表される。投票の際は「熱中度」「斬新さ」「物語性」「画像/音声」「遊びやすさ」「その他加点」という6部門で点数評価を行い、これをもとに部門別の順位と総合順位が決められる。詳しい応募方法や規約はコンテスト公式サイトを参照してほしい。

「WOLF RPGエディター」はRPGに限らず、2Dゲームの制作に汎用的に利用できるツールで、ウディコンにおいても毎回、さまざまなジャンルの力作が応募されている。昨年開催の第8回では、総合1位に収穫アクションゲーム『収穫機道ろぼふぁーむ』、同2位にボードゲーム×ローグライクRPG『箱庭フロンティア』、同3位に電子ゲームブック『電子ゲームブック 自由落下』が選出されている(関連記事)。

また、「WOLF RPGエディター」は今年3月のアップデートで、従来より大きな画面サイズや、1,280×720といったアスペクト比16:9の画面サイズでゲームを制作可能になった。これに伴い今回のウディコンより、応募時に提出するスクリーンショットの縦横幅の上限が上がり、16:9サイズにも対応した。新たに制作可能となった画面サイズを活用したゲームの登場にも期待したい。

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