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「東京インディーフェス」で見つけた注目のゲーム7選

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5月14日に開催されたインディーゲームの展示イベント「東京インディーフェス」。東京サンドボックスという複合イベントのひとつとして開催されたこの催しは、1200人の参加者(一般公開日)が入場した盛況なイベントとなった。

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今回もぐらゲームスでは、会場で遊べたインディーゲームの中から7つをピックアップ、面白さやポイントを紹介する。現在は開発中段階となっている作品もあるが、いずれも配信の予定があったり、海外からの出展作でも日本語展開が予定されているものが多い。この記事で気になった作品を見つけた方は、ぜひこれから情報を追ってみてはいかがだろうか。

ゴルフは、冒険だ。芝生の上を旅するRPG『RPGolf』

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Chorus Worldwideブースにて展示されていた『RPGolf』は、その名の通り「RPG」と「ゴルフ」を融合させたスマートフォン向けタイトルだ。配信は今夏の予定。
使用するクラブ・ボールを飛ばすコース・かけるスピンを決め、タイミングを計ってパワーを決定し、ショットを打っていくのは一般的なゴルフゲームと同様。
しかし次のショットを打つためにはボールのもとへ移動する必要があり、その道中は怪物たちが邪魔をするのでクラブを振るって撃退しながら進むことになる。

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「RPG」に「ゴルフ」というミスマッチにも思える組み合わせだが、池の向こうへ打ったボールにたどり着くために洞窟に回り道したり、長いホールとホールの間を馬車ならぬゴルフカートで進むなど、目的地へ向かってフィールドを移動していくフィーリングはRPGそのものだ。
他にも、怪物を倒してレベルアップした際にSTR(筋力値)に能力を割り振れば、怪物への攻撃力だけでなくショットの飛距離も伸ばせる、といったようにゴルフとRPGが相互に作用する奇妙な味わいのある作品となっている。
(真野 崇)

公式サイト:http://chorusworldwide.com/

お寿司屋さん大忙しなパズルアクション『ペコペコスシ』

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Hanaji Games『ペコペコスシ』は回転寿司をモチーフとしたスマートフォン向けのパズルアクションゲーム。こちらも今夏の配信が予定されている。

ルールはいたってシンプルで、来店したお客さんの要望に合わせて寿司ネタをドラッグして届けると売上が上がり、一定時間内でどれだけ売上を稼げるかに挑戦することになる。
隣り合った同じ種類の寿司ネタをひとつにまとめて届けたり、ミスなく連続で寿司ネタを届けてコンボにすると高収入を得られる。ハイスコアを狙う際は寿司ネタをまとめて届けやすいよう寿司ネタの位置を入れ替えたり、スムーズなコンボができるようにお客さんへ寿司ネタを届ける順番を考えていくことが重要といえるだろう。

なんだかどこかで見たことがあるようなお客さんたちをはじめとする、ピクセルアートのポップで可愛い見た目とは裏腹に、お客さんも寿司も次々と流れていくため、終始てんてこ舞いになること請け合いだ。
(真野 崇)

公式サイト:https://www.hanaji.com/

引力で”月”を振り回して敵を破壊 『EARTH DEFENSE SATELLITE』

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インディーゲームディベロッパーのニカイドウレンジ氏が手がけた『EARTH DEFENSE SATELLITE』は、宇宙を舞台に月を武器にして戦うシューティングゲーム。宇宙空間に現れる敵機を全て倒すことで進むWave式となっている。本作の攻撃方法は、プレイヤーが操作する地球からの攻撃ではなく「月との引力を利用して破壊する」1つのみ。

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地球と月との引力にはルールが定められており、月は引力によって地球に引っ張られている。そのため地球と月との距離が近いと月のスピードが遅く、地球と月との距離が遠いと月のスピードが早くなる。この法則を利用して、敵の位置に上手くコントロールして破壊していく。

地球のHPはとても多いとは言えず、月と衝突しても一撃でゲームオーバーとなってしまう。地球を動かせる範囲も決まっているので、月を操るスペースを確保しつつ、どの敵を先に破壊すれば良いのかと考えるのが楽しい。本作は、攻撃方法は1つのみでシンプルに見えるが、月を操る感覚が難しくもプレイを歯ごたえのあるものにさせている。

・『EARTH DEFENSE SATELLITE』購入ページ
https://r-nikaido.itch.io/earth-defense-satellite

(みたらし)

青と黒で描かれた、「手紙」が伝える物語『From_.』

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黒色と青色のみの世界観で描かれた2Dドットアドベンチャーゲーム『From_.』を制作したのは、インディーゲームディベロッパーのなかじま氏。TokyoIndieFes2017での展示では、黒いカーテンに囲まれ水の音を聞きながら独特な空間での試遊を体験。本作の試遊には長蛇の列ができ、約1時間待ちになるほどの人気となっていた。

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『From_.』の舞台は一面水で覆われた「水の国」。プレイヤーは、個々の島で暮らしている住人に手紙を届ける役目の「郵便屋さん」を操作する。主人公は舟で島々を移動しながら手紙を届け、住人との会話を通して物語が進んでいく。

主人公の背後には、いつも連れ添う存在がいる。そのものについての説明は特にされず、言葉も発することはない。しかし、ある時、謎の男から「とんでもないものを連れているじゃないか」と言われる。住人が口々にする、ある悲しい噂と主人公らの関係性はいかに……。

本作はまだ開発途中とのこと。今後の続報が待ち遠しい。
(みたらし)

『聖剣伝説』菊田氏も参加する戦略SLG『タイニーメタル』

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ヨーロッパの小国を思わせる国「アルテミシア」、同国の王を暗殺した国とされた「ジパング」の戦争を描いた、戦略シミュレーションゲーム。アメリカに拠点を構えるインディーデベロッパー「AREA34」が開発。『聖剣伝説2』などで知られる作曲家・菊田裕樹氏を始めとする日本の著名なクリエーターも多数参加している。

自軍・敵軍の行動順で進行するユニット単位のターン制シミュレーションゲームで、「工場」などの施設でユニットを生産。敵のユニットを撃退したり、マップに点在する「都市」などの施設を占領して資金源を得ながら、敵の本部(HQ)の占領を目指していく。

特徴として、登場するマップのほとんどが全体像の見えない索敵仕様で、地形を探っていく行軍が求められる。また、ユニットには方向の概念があり、攻撃時に背後を突くことで、大きなダメージを与えることができる。ユニットによっては「ロックオン」、「突撃」と言った特殊なコマンドを選択でき、活用することで相手を吹き飛ばしたり、援護射撃を展開させる戦術を駆使することもできる。

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プレイ感覚は王道の戦略シミュレーションだが、索敵仕様のマップ、方向の概念によって、独特の駆け引きが楽しめる。歩兵、戦車と言ったユニットを動かす度に日本語ボイスで喋り、それぞれ独自のキャラクター付けが行われているのも面白い。筆者個人としては、ダメージを受ける度に「はわわ~!」と叫ぶ偵察車が強烈な印象を残した。というか、なんで女の子なの。

ゲームシステムの手軽さから、この手のジャンルを経験したことのないプレイヤーも安心して遊べそうな作りの今作。開発は順調のようで、今年下半期にプレイステーション4、パソコン、更にニンテンドースイッチでのリリースが予定されている。戦略シミュレーション好きなら、要チェックだ。

(シェループ)

公式サイト:http://www.tinymetal.com/

まるでゲームボーイの新作アクション?『助けてタコさん』

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『助けてタコさん』は個人開発者のChristophe Galati氏が製作中の2Dアクションゲーム。

人類とタコ達が生存圏を求め、戦争中にある世界を舞台に、争いを嫌う主人公・タコさんが人間の女性を助けてしまったことで、数奇な運命に翻弄されていくストーリーが描かれる。
アクションゲームとしては王道のステージクリア型で、行く手を阻む敵に墨を吐きつけ、足場にしながらゴールを目指す。ステージによっては、無くなったキーアイテムを探し出すなどの「クエスト」も発生し、それを攻略することで、基礎ステータスを向上させる装備品を獲得できる。他にアクションを拡張するアップグレードなど、RPG的な要素もふんだんに盛り込まれている。

今作はゲームボーイの生誕25周年を祝う為に立ち上げられたプロジェクトとのことで、モノクロのグラフィックから8ビットの音楽に至るまで、徹底してゲームボーイの新作っぽさを出している。アクションもジャンプと墨を吐くの二つのアクションだけと、非常に取っつきやすい。また、ステージ選択画面が『星のカービィ(具体的には、星のカービィ2)』に近いスタイルであるなど、ゲームボーイで生まれた名作のオマージュが盛り込まれているところには筆者自身、ニヤリとしてしまった。

タイトル名から分かるように、日本語化も行われている。試遊では、アップグレードまで体験することは適わなかったが、童話な香り漂うストーリーを始め、奥深い体験が堪能できる作品になっていそうで、正式リリースの時が楽しみだ。

(シェループ)

公式サイト:http://www.indiedb.com/games/tasukete-tako-san-save-me-mr-tako

「走行」と「飛行」 二つの形態を使い分けるSFレースゲーム『LIGHTFIELD』

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オーストリアの独立系ゲームスタジオ「Lost in the Garden」制作によるSFレースゲーム。「走行」と「飛行」の二つの形態を持つマシンを操縦し、ライバル達との順位争い、タイムアタックに挑む。

地上を走行する場合はアクセルボタンとスナップ(接地)ボタン二つの同時押し、飛行する場合はスナップボタンから指を離し、アクセルボタン単体を押しっぱなしにする、地形の構造に応じた切り替えが要求されるマシンの操作系が最大の特徴。

その操作に応じた局面がコース上に用意されており、プレイヤーに瞬時の判断を求めてくる。意外な抜け道や分岐点も豊富で、一周する度に新たな発見がある。何より、飛行形態の活用の仕方によっては、大胆な近道(ショートカット)をできてしまうのが痛快。基本、チェックポイントさえ通過すれば、どう進もうがペナルティは課せられないので、まさに「勝てばよかろうなのだ」の競争が満喫できる。

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プレイして感じたのが「開放感」。コースが広々としているのもあり、単純に走っている(空を飛んでいる)だけでも気持ちよい。走行だと高速で移動できるが、飛行だと行動範囲が広がる一方で低速移動になるなど、それぞれのデメリットもしっかり設定されていて、ゲームバランスの調整も万全。今回の試遊ではよく聴き取れなかったが、音楽にも力を入れているようで、美しいグラフィックとの相乗効果による爽快なレース展開が楽しめそうだ。

今年の秋にプレイステーション4、パソコン向けに配信予定。今後、オンラインのマルチプレイも実装されるほか、架け橋ゲームズによる日本語ローカライズも実施される。
試遊ではローカライズ担当者の方が案内を務めていて、現在、頑張って作業しているとのお話しを聞くことができた。正式リリースの時が待ち遠しい。

(シェループ)

公式サイト:http://lightfieldgame.com/


子供時代に感じた恐怖との再会 アクションADV『リトルナイトメア』

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子供の頃は、恐怖がもっと身近にあった。建物の影、知らない道、そっと這い出てくる夜の闇。そこには得体の知れない何かが潜んでいて、じっとこちらを見つめている。そいつらに捕まったら最後、助けを呼ぶ声も届かない、誰も知らないどこかへ連れて行かれるのだと、そう信じていた。

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『LittleNightmares-リトルナイトメア-』は、そんな子供時代に感じた不気味な恐怖を描いたアクションアドベンチャーだ。LBPシリーズにも携わったスウェーデンのデベロッパー Tarsier Studiosによって、かつては『Hunger』というタイトルで開発が進められていた。発表以来その不気味でキュートなビジュアルが注目され、去年の8月に開かれたgamescom Award 2016ではインディーアワードも受賞している。

内容としては、ジャンプ・しゃがむ・掴まるといった基本的なアクションを主体に、ステルスと環境パズルを含んだオーソドックスな作りとなっている。

主人公は黄色いレインコートを着た「シックス」という名前の幼い少女で、気がつくと“胃袋”という意味を持つ巨大な船舶「モウ」の中で目を覚ました。プレイヤーは彼女を導き、その船と呼ぶには余りに巨大で奇妙な構造をした監獄からの脱出を目指す。

海中に佇む謎深き船「モウ」

シックスが目覚めたのは「モウ」の最深部、そこはもっとも暗く冷たい空気で満ちている。そこかしこに死のイメージが転がり、海のただなかに建つがゆえ波に揺られて、部屋は常にゆっくりと動いている。

その名が示す通りまるで巨大な生物の胃の中にいるかのような、心理的な圧迫を感じるだろう。シックスはライターの明かりだけを頼りに、生き血に誘われ這い寄ってくるヒルから逃げ、巨大な家具が配置された部屋、血の臭いに満ちた台所、大量のご馳走が並べられたゲストルームと、知恵と勇気を振り絞り、出口があることを信じて上へ上へと進んでいく。

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 悪夢にうなされ目覚めるシックス、ここから少女の脱走劇が始まる
 
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 船内では象徴的に吊り下げられた多くのものを見ることになる
 
また「モウ」には、シックス以外にも多くの子供たちが囚われている。さらわれてきたのか、あるいは自ら迷い込んだのかは不明だが、檻の中で不安と恐怖に駆られてうずくまり、まったく生気を感じられない。逃げ出そうとした者もいたようだが、その試みは最も残酷な形で失敗を告げられている。船内の至る所に配置された巨大な“目”の意匠が、「誰もここからは逃げられない」と暗に語っているかのようだ。
  
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 子供たちをどこかへと連れ去っていく長い腕
 
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 逃げ出そうとする者を監視する“目”

幼い日の恐怖が具現化したかのような奇妙な住人たち

「モウ」の住人たちは、逃げ出したシックスを決して歓迎してはくれない。異様なほど長い腕を持つ管理人、肉を愛する残酷な双子のシェフ、無機質な白い仮面を被った着物の女性…か弱いシックスがそれらに対抗しうる手段は1つもない。捕まってしまえば一巻の終わりだ。息を潜め、机の下を隠れて移動し、ある時は物音で注意を引き、こちらの気配を悟られぬよう静かに逃げ延びなくてはならない。
 
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 シェフに見つかってしまえば、美味しいご馳走にされてしまう
  
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 ベッドの下で息を潜めていても、安心はできない
 
だが、住人たちは決して血に飢え無軌道に暴力を行使しているわけではない。例えば、腕の長い管理人はベッドの上に寝かされた赤ん坊たちを起こさぬようそっと部屋を見回ったり、双子のシェフは上階のゲストルームへ運ぶご馳走をせっせと拵えている。あくまでも自分たちのテリトリーへ侵入したシックスを異物として排除しようとしているだけで、その行動原理は我々のそれと何ら変わらない。テレビに夢中になったり、洗い物に励む姿を見て、あるいは共感してしまうかもしれない。

しかし、ただ怒りや暴力の衝動で襲い掛かってくるクリーチャーよりも、一定の倫理観を持ち秩序を守ろうとしている「人間」の方がずっと恐ろしいと思える。見た目こそ不気味ではあるが、彼らは子供から見えている大人たちの姿なのかもしれない。
 
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 丁寧に梱包され何処かへ「出荷」されていく子供たち
 
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 船内で唯一の友好的な存在「ノーム」 好奇心旺盛だが臆病で、殆どの個体は近づいてもすぐ逃げてしまう

ゲームに隠されたいくつかのテーマ

ここまで読んで頂けたなら、おそらくこのゲームをホラーだと認識されている方が多いだろう。実際にそれは正しい。筆者もこのゲームをホラーだと称して差し支えないと思っているからこそ、そのように書いてきた。何より導入としてはそちらの方が分かり易い。
しかしデベロッパーであるTarsier Studiosは、このゲームを一概にホラーとして位置付けてはいないようだ。それにはいくつか理由があると筆者は考える。

まず1つ、このゲームは子供時代に体験した言い知れぬ不安や恐怖と同時に、「好奇心」や「遊び心」を刺激するようデザインされている。身の丈の何倍も大きい家具をよじ登り、想像力を駆使してパズルを解いていくのはまさにそれだ。
 
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 子供の頃はどんな場所でも遊び場になった
 
次にもう1つ、それは「モウ」の住人たちにある。先述したが、住人たちは自らの生活規範に沿って船内で働いている。自分たちの生活を脅かすシックスを捕らえ、排除する。悪い子へのおしおきとしては残酷性が過ぎるが、ある種の古典的童話の表現としても解釈できる。
 
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 彼らには彼らの生活があり、それを守っているに過ぎない

そして最後にもう1つ、このゲームが最終的に「サスペンス」とされた理由がここにあると筆者は考える。

主人公であるシックスは、ゲームを進めていくと一定の間隔で空腹に苦しみ、食べ物を強く求めるようになる。そう、このゲームの旧タイトルが「Hunger」であった所以だ。このゲームの根底には「飢え」という満たされない欲望が沈んでいる。最初は孤独感の表現に過ぎないと思われていたそれは、しかし、それまで感じてきた恐怖とは別のある「不安」を伴って少しずつ浮かび上がってくる。やがてそれが完全に姿を現した時、あなたはこのゲームが単なるホラーに留まらない作品であることに気づくだろう。
 
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 極度の飢えに苦しむシックス、食べ物を求めて力なく彷徨う

如何だったろうか。不気味で、愛おしく、退廃的で、どこか美しい。大人になるにつれ、あなたが忘れていったものたちが、もしかするとこの「モウ」に流れ着いているかもしれない。懐かしいものも、思い出したくないものも、運良く再会できたのなら一時だけでも浸ってみよう。

どんなものにせよ、それらは全て、あなたが子供だった頃の記憶なのだから。

[基本情報]
タイトル 『LittleNightmares-リトルナイトメア-』
ジャンル サスペンスアドベンチャー
開発元 Tarsier Studios
販売元 バンダイナムコエンターテインメント
クリア時間 4~5時間
対応機種 PS4/Steam/Xbox One(海外のみ)
価格  PS4版 2376円/Steam版 2376円

多人数視点推理サウンドノベル『朱き炎の悲歌』体験版ダウンロード開始 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は多視点型サウンドノベルの体験版や、将棋をテーマにしたミステリーADVの公開など6本です。

Wooberg! 、多人数視点推理サウンドノベル『朱き炎の悲歌』体験版ダウンロード開始

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オリジナル創作サークルWooberg!(うーばーぐ!)は25日、サウンドノベル『朱き炎の悲歌』体験版のダウンロード頒布を開始した。Windowsでプレイ可能。

『朱き炎の悲歌』は、炎を操る能力者「炎術師」がごくわずかに存在する世界を舞台に、多視点で描かれる推理もののサウンドノベル。体験版では炎術師の少女「霞城(かじょう)あかね」と、「ホームズくん」の渾名で呼ばれる少年の視点で物語の序盤をプレイ可能。平穏な日常が描かれる一方、あかねの周囲で不審火が発生するなど今後の展開も予感させる内容となっている。

表情や仕草、眼鏡の有無など豊富な差分が用意された立ち絵でシーンを演出したり、女性キャラクターの可愛らしさを画面いっぱいに表現したスチルが挟まれたりと、オリジナルのキャラクターイラストも魅力だ。

体験版では選択肢が制限されているが、完成版では選択肢によるストーリー分岐なども発生する模様。完全版は2018年夏のリリースが予定されている。また今後、体験版で読めるストーリーの内容の追加も検討されているようだ。

kotonoha*氏のフリゲRPG最新作『RiSE -囚われ少女の魔法譚-』が公開

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RPG『ラハと魔法の園~the graystory~』などで知られるkotonoha*氏のフリーゲームRPG最新作『RiSE -囚われ少女の魔法譚-』が27日に公開された。RPGツクールMV製で、Windows、MacおよびWebブラウザ上でプレイ可能。想定プレイ時間は7~12時間。

同氏が2016年1月に公開したRPG『ナイトオブシンデレラ』のリメイク作品。魔法が失われた世界で、魔法を持つ少女の謎を解くため旅に出る少年が主人公となり、物語が展開する。

今回のリメイクではストーリーが一から書き直されており、マップデザインやユーザーインターフェイスなども一新され、コスチューム変更やテレポート機能といった新要素も追加されている。

Child-Dream、完全無償スマホアプリの将棋ミステリー『千里の棋譜』完結編を公開

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ゲーム制作集団Child-Dreamは23日、ミステリーアドベンチャーゲーム『千里の棋譜-完結編-』をAndroid/iOS向けにリリースした。

『千里の棋譜』は、将棋をテーマにしたミステリーアドベンチャーゲーム。コンピューターとの決戦を前に名人が失踪するという事件の真相や、将棋界で隠され続けた禁忌の棋譜の謎に迫っていく。実在の棋士・高橋道雄九段がゲーム内に出演するという趣向や、別アプリと連携し、ゲーム内での対局を実際に体験できる仕組みも特徴だ(対局をせずに進めることも可能)。

完結編からでもプレイ可能だが、将棋初心者やストーリーを最初から楽しみたい場合は『千里の棋譜Ⅰ序盤』からのプレイがお勧め。解説なども随時用意され、将棋を知らなくても楽しめる内容となっている。なお、全編ともに完全無償のアプリとして公開されている。

フリーゲームRPG「ひびかけ色のキセキ~portable~」のブラウザ版が公開

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ゲーム創作サークルecoddrのフリーゲーム『ひびかけ色のキセキ~portable~』のWebブラウザ版が、ゲーム投稿サイトPLiCyにて公開された。

『ひびかけ色のキセキ~portable~』は、同サークルが昨年、Windows向けにフリーゲームとしてリリースしたステージクリア型アドベンチャーRPG『ひびかけ色のキセキ』のリメイク版(関連記事)。これまでAndroid/iOS版が公開されていたが、ブラウザ版の公開によりPCでもプレイ可能となった。

PhantomIsland、オープンワールド3DACT『SLEEPWALKER』最新プレイムービー公開

ゲーム開発サークルPhantomIslandが開発中のオープンワールド3DアクションRPG『SLEEPWALKER』の最新プレイムービーが22日に公開された。

ムービーでは鎌による攻撃や、時間の流れを遅くする、空中を飛翔するといった特殊なアクションの様子を確認できる。完成は来年の春頃を予定しているという。

魔法を創るダンジョンRPG『魔法の女子高生』、アップデートでクリア後ダンジョンを追加

同人サークルilluCalabのダンジョンRPG『魔法の女子高生』のSteam版およびiOS版が22日にアップデートし、クリア後ダンジョンの追加などが行われた。

『魔法の女子高生』は、魔法の世界に迷い込んだ女子高生が主人公のダンジョンRPG(関連記事)。魔法へ自由に名前を付けることができ、それによって効果が決まるシステムが特徴となっている。今回のアップデートではクリア後ダンジョンが追加されたほか、既存のダンジョンのバランス調整なども行われている。

京都インディーゲーム祭典めぐり1日目 「Bitsummit」注目作14選やグッズを紹介

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5月20日から21日の期間中、京都にてインディーゲームの展示イベント「Bitsummit」が行われた。同期間には、「Megabit Convention」「関西学生ゲームコンソーシアム Connect Fest」という2つインディゲーム展示企画も開催されており、二日間で全3つのインディゲーム関連イベントが同時開催されるという豪華な催しとなっていた。

今回もぐらゲームスでは、2日間のイベントの集中取材を行った。特にBitsummitは日本語にローカライズされたゲームが国外からの持ち込まれるケースも多く、参加者の多さとともにインディーゲームの盛り上がりを一層感じられるイベントとなっていた。ここからは全2回にわけて、そんな熱気あふれる2日間のレポートをみなさまにお届けしたい。

紹介するゲームは開発中の作品だけでなく、既に配信が開始されているゲームもある。気になった作品はぜひ遊んでみてほしい。

Iconoclasts

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”Konjak”という名前を出せば、それだけでピンとくるインディーゲームファンは多いことだろう。
『Noitu Love 2:Devolution』『Legend of Princess』など2Dアクションゲームの名作の数々を送り出してきたKonjakことJoakim Sandberg氏が、本作のプロトタイプといえる『Ivory Springs』から8年の歳月をかけて制作した待望の大作2Dアクションが『Iconoclasts』である。

Konjak作品の特色と言える職人的な描き込みのドット絵と滑らかなアニメーションは本作においても健在だ。操作性も良好で横穴をスルスルと潜り抜けていくだけでも楽しい。
巨大レンチを持ったメカニックの少女が主人公となっており、レンチは敵を倒す以外にも、ボルトを回してシャッターなどの仕掛けを動作させて道を切り開くのに使用する。

それ以外にも急降下踏みつけで敵を気絶させたり、オートで照準してくれる銃を使った攻撃も存在している。

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会場で展示されていたバージョンでは平原を抜けて街へたどり着くまでのシーンをプレイすることができた。Konjakの公式サイトでは2012年に公開された初期α版が現在でもダウンロード可能なので、興味を抱いた方はそちらをプレイしてみると概要がつかめるだろう。

リリース時期は夏ごろの予定。Steamのほか、PlayStation4およびPlayStation Vitaでの配信が予定されている。会場で公開されていた体験版は日本語ローカライズがなされており、リリース時点で日本語にフル対応する予定とのこと。これまでKonjak作品の日本語ローカライズや日本国内での家庭用ゲーム機への進出が無かっただけに嬉しいニュースと言えるだろう。

CrossCode

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ドイツのインディディベロッパー「Radical Fish Games」が開発を進める早期アクセス作品『CrossCode』の日本語ローカライズが会場でプレイアブル展示された。実は先日中国語ローカライズが実装された際のアップデート告知でBitSummit参加と日本語ローカライズをがんばってるよ!と発表していた。……のだが、下の方に小さく書かれていたものだから全然気づいていなくて、会場について「ああ!日本語がついてる!」と驚かされた。

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『CrossCode』は昔ながらの見下ろし視点のアクションRPG作品だ。開発が本作を「
retro-Inspired 2D Action RPG」と呼んでいるように、スーパーファミコンのようなグラフィック、テンポの早い戦闘システム、そしてステージにちりばめられたパズル要素などなどあの頃を思い出すファクターで満ち満ちている。仮想世界『CrossWorld』を舞台に、記憶喪失の主人公のLeaは自身の正体の謎と、Crossworldの裏に蔓延る陰謀へ挑むこととなる。

日本語ローカライズは高い完成度で、本作は文章を表示するウインドウのサイズが可変式で、そのまま移植するとよくある文章のはみ出しが起きてしまうのでは?と心配してしまうところもしっかりと対応されていた。日本語のファントランスレーション開発が断念された本作だけに、公式での日本語化は非常にありがたい。

日本語の実装時期は近々とのこと。毎月の更新報告をワクワクして待とう。

参考:日本の名作ゲームを思い出す海外作品『CrossCode』。MMORPG風の仮想世界が舞台の2DアクションRPG

Brave Earth: Prologue

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ある種の伝説にまで上り詰めた死に覚えハードコアアクションゲーム『I wanna be the guy』。その作者であるKayinさんの新作Brave Earth: Prologue』がプレイアブル出展、しかもすでに日本語ローカライズ付きで展示された。『I wanna be the guy』は日本においても高い人気を誇る。会場ではKayinさんと記念撮影を求めるファンも見られた。

ファンタジーな世界の一国エイストリアは突然化物たちの襲撃を受ける。エイストリアの騎士ナオミはいち早くその現場にたどり着くが、そこはすでに地獄と化していた。ダークファンタジーな世界観と陰謀うごめくストーリーはハードなゲーム性と非常にマッチしており、オールドスクールな色使いも雰囲気を盛り立てている。

展示ではナオミ以外にも、もう一人のキャラで遊ぶことができ、製品版ではさらにプレイできるキャラが増えるそうだ。

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とにかく難しい作品であることは間違いない。HPゲージがあるため一発食らえば終わりというわけではないが、ダメージを受ければノックバックして奈落へ落ちてしまうし、数発食らえば死んでしまう。もちろん、初見殺しの罠も満載だ。様子見をしてじっとしていると死んでしまう罠。乗った瞬間沈む床。まさしくKayin作品といった出来栄えである。

Steamにて本年中のリリースを予定しており、日本語は発売から後になるがしっかり実装されるとのことだった。『I wanna be the guy』のファンは今から腕を磨いておこう。

Momodora V

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redinさんが率いる「Bombservice」の人気シリーズ『Momodora』。先日その続編にあたる『Momodora V』の開発が発表され話題となった。それが早くも今回のBitSummitでプレイアブル展示されていた。アルファ版であることは承知であるが、それでもこの展示の早さは驚きを隠せない。しかも日本語までついている。すごい。

『Momodora』シリーズは1~3がいわゆるプラットフォーマーアクション、4作目である『Momodora 月下のレクイエム』がメトロヴァニアと全て2D作品であったが、『Momodora V』はなんと3D作品へと進化を遂げていた。

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ファンの方には、今までと全く違う作風のためどう変わってしまうのかと不安を感じている方もいるかもしれない。だが心配は不要だ。3Dになっても『Momodora』シリーズらしい、難しくも操作感がよく遊びやすい手触りはしっかりと残っていた。

『Dark Soul』に近い操作系統で、回避を上手に使い、敵の攻撃をよく見て反撃するあたりはまさしく『Momodora』シリーズであろう。また、効果音がこれまでのシリーズと同じものが使われていたのもよかった。まだアルファ版なので今後どうなるかわからないが、今までと大きく変わったものの、しっかりとつながりを感じさせてくれるところはファンとしてうれしいところだ。

まだまだアルファ版が発表されたという段階ゆえ、リリースがいつになるのか、どのような形態でのリリースになるのか、全くわからない。だが、期待できる作品には違いない。

『Iconoclasts』『Crosscode』『Brave Earth』『Momodora V』の上記4作品はいずれも新興のパブリッシャー「DANGEN Entertainment」からの配給となっている。すべての作品で日本語対応を着実に行っているうえ、人気作家で固めたラインナップに日本市場への気合いの入り方を感じさせる。今後の動向に要注目だ。

OneShot

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Little Cat Feet(Team OneShot)が開発した人気パズルアドベンチャー『OneShot』の日本語デモが展示されていた。BitSummit合わせで日本語ローカライズ発表がなされ、日本語化が待たれていた作品だけに会場での注目度も高かった。

猫目猫耳の可愛らしい主人公「ニコ」を操作して、マップ内を探索してアイテムやキーワードを探し出し、それを対応する箇所へあてはめていくことで先へと進んでいく。唐突にゲーム外のPC画面上に現れた「OKダイアログ」にタメ口をきかれるといった、メタフィクショナルで奇妙奇抜なイベントが多数盛り込まれている。ゲーム好きならば必ずその演出に驚かされ、楽しめるはずだ。

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RPGのような見下ろし視点での作風は本作の前身となるRPGツクール版『OneShot』の雰囲気をそのまま別エンジンで再現したものだ。前身の作品はフリーゲームであり、もぐらゲームス読者の方にはそちらをプレイしたことがある方も多いだろう。だが、Steam版『OneShot』はそれとは全く別の作品へと進化している。日本語化を機会にRPGツクール版プレイヤーにもぜひSteam版を遊んでほしい。気になる日本語ローカライズの実装時期だが、3カ月程度での実装を予定しているそうだ。

話はそれるが、本作は日本語ローカライズ発表以前にファンアートコンテストを開催していた(なんと日本語での案内もあった)。今回お話を伺った配給のDegica Gameの担当者によれば、新規プレイヤーに向けたプロモーションだけでなく、こうしたファンに向けたイベントやグッズ展開といった、ファンを盛り上げていく活動にも力を入れていきたいとのことだ。こうした動きにもぜひ注目していきたい。

VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action

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ベネズエラの「Sukeban Games」が開発し、Vitaへの移植をアメリカの「Wolfgame」が担当したサイバーパンクアドベンチャーゲーム。すでにSteam版は配信している本作ではあるが、日本語化が切望されていた作品であり、日本語ローカライズの発表とVita版のプレイアブル出展が目玉となっていた。

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近未来のディストピア都市グリッチシティ。その片隅で営業するバー「Va-11 Hall-A(ヴァルハラ)」を舞台に、主人公であるバーテンダー「ジル」を操り一癖も二癖もあるお客にカクテルをサーブしていく。

サイバーパンクな世界観、PC-98時代のアドベンチャーゲームにインスパイアされたグラフィックデザインなど人を引き付ける要素は多くあるが、注目すべきは選択肢ではなくお客にサーブするお酒によって展開が変わってくるシステムだろう。落ち込んだお客に何を提供するべきか?途中で注文を変えたお客にどちらのカクテルを提供するか?すべてはバーテンダーであるジル、プレイヤーの手に委ねられる。バーテンダーを主役としたアドベンチャーゲームとして、これ以上ないシステムだ。

Vita版の操作感はよく、タッチパネルでのカクテル作りはゲームによく合っていた。Vita用に調整されたUIも美しい。携帯機に向けしっかりとチューンされ、Steam版をすでに遊んだプレイヤーも買う価値のある作品へと仕上がっている。

加えて、先日Steam版に追加実装されたプロローグエピソードもVita版にしっかり実装されている。特別に触らせてもらったが、こちらもしっかり翻訳済み。Vita版から遊ぶ人も、Steam版と差異なく遊ぶことができる。

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日本語ローカライズはしっかりしていて、フレーバーテキストのような細かい部分まで翻訳されていた。英語だからと避けていた方も安心して遊ぶことができるだろう。ただ、本作はスラングや英語でのジョークが大量に出てくる作品だ。こうした部分に生じる原語版との差異がどうなってくるのか?翻訳作業を行った「PLAYISM」の方は、そこが非常に大変な作品で気を使って翻訳しているとおっしゃっていた。長く翻訳を手掛けてこられたその手腕に期待したい。

Vita版の配信やSteam版への日本語追加時期はまだわからないそうだ。だが作業はしっかりとすすんでいるとのこと。続報を待とう。

TOKYO DARK

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鎌倉に拠点を置く「Cherrymochi Game Studio」の開発するポイントクリックミステリーアドベンチャーゲーム『TOKYO DARK』が本年も展示されていた。昨年から注目を集めていた作品だけに、今後の展開について伺ってきた。

『TOKYO DARK』は主人公伊藤刑事の相棒が行方不明になるところから始まる。伊藤は相棒を探し単独で捜査に乗り出すが、捜査を進めるうちに事件は複雑な様相を見せ始める。謎に近づくにつれ伊藤は自分の過去と向き合うことを余儀なくされ、伊藤の精神は揺らいでいく。果たして自分は正気なのか?それを確かめてくれる相棒はいない。

本作の大きな特徴は主人公の取った選択によって4つの精神値、S.P.I.N(Sanity,Professionalism,Investigation,Neurosis)が変動し、ストーリーの展開やキャラクターとの関係を変える部分だ。狂気に晒され続ければ正気を失ってしまうし、ストレスがたまればノイローゼになる。この精神値の加減によって、エンディングが11にも分岐する。ポイントクリック系ゲームでこれだけ多くのエンディングを備えた作品というのは珍しい。

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昨年から大きな変化としては、リッチなアニメーションカットが追加されていたところだろう。このアニメーションカットはアニメ制作会社「グラフィニカ」に依頼して制作したもので、全編の多くの場所で差し込まれるそうだ。プロによるクオリティの高いアニメーションでさらにストーリーへのめり込めるだろう。

作業が全て終了しているらしく、現在はパブリッシングの調整を行っている。本年中にリリースされるそうなので、ミステリーゲームファンはぜひとも注目してほしい。

RUINER

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ポーランドの「REIKON Games」が開発するトップダウンシューター『RUINER』。サイバーパンクな世界観や、クールなアートワーク、平沢進氏が楽曲を提供したことなどで世界的に注目が集まっている本作が、なんとBitSummitでプレイアブル出展されていた。

本作は雰囲気としては『Hotline Miami』シリーズのような、近接攻撃と銃を使いこなし、敵を排除していくトップダウンシューターだ。同作のように一発貰うだけ死ぬわけではないし、エナジーゲージを使って貼れるシールドもあるが、それでも敵の攻撃は重く、すぐに死んでしまう。さらに、銃は弾数が限られており、多用はできない。そこで活用すべきが、本作の特徴であるダッシュである。

ダッシュ中は無敵でどんな攻撃も当たらない。しかもこのダッシュは回数制限はあるものの続けて利用可能で、銃弾をすり抜け敵を殴り殺す……なんてことが簡単にできる。まあ、ここまでならよくある回避アクションだ。面白いのはここからで、ダッシュボタンを長押しすることで時間が止まり、この状態でポイントを指定すると、ダッシュ経路を事前に設定することができるのだ。

徒党を組んで攻めてくるたくさんの敵であっても、時間を止め、事前にそれぞれ敵の背後に回り込む経路を設定することで、あとはダッシュ終了地点でタイミングよく攻撃を加えるだけで敵を倒せる、というわけだ。ハードなプレイングと、敵をバッタバッタとなぎ倒す爽快感を両立した作品と言えよう。

プレイ中はどうしても写真が取れないためダッシュの経路指定が伝わりづらいかもしれないが、例えるなら『Transistor』のTurn()システムが近い。事前に行動を設定し、アクションゲームながら戦略的に立ち回れるのが本作の魅力だ。

加えてめちゃくちゃカッコいいグラフィックにも注目したい。サイバーパンクな世界観を余すところなく再現したリッチなグラフィックはインディとはとても思えないレベルで、画面に突然メッセージが差し込まれる演出もカッコいい。

本年にSteamにてリリースされる予定の本作。ますます期待が高まる展示だった。

SOULLOGUE

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noitems studioが開発中の『SOULLOGUE』は見下ろし視点の2DアクションRPG。

作者であるはちのす氏が以前に制作していた同タイプのRPG『The Souls of Yore』からゲームエンジンを一新し、そこへ数々のアイデアを盛り込んだ後継プロジェクトとなっている。

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本作の鍵となるのが敵キャラクターに乗り移る「憑依」のアクションで、鬼火のような敵キャラクターに乗り移って行く手を塞ぐ木箱や他の敵を燃やしたり、乗り移った敵をスイッチまで移動させて扉を開ける、というように、迷宮の先へ進むために「憑依」を活用していくことになる。実際に試遊させてもらった際には、魂を持たないロボットの敵には「憑依」することができないという点が強く印象に残った。

編笠を被った主人公の主な武器はクロスボウであるが、持てる矢の数に限りがある上に、矢に火が付いた時には急いで回収しなければ矢が燃え尽きてしまうなど難点が多い。「憑依」の力を駆使しなければ複数の敵を相手取るような大立ち回りは難しく、総じてパズル性が重視されている作品と言えるだろう。

「ドット絵=レトロ」の観念を覆さんとするアジアンテイストのこだわり抜かれたピクセルグラフィックスは必見だ。

本作の完成は来年以降の予定、これからの続報に期待したい。

BackSlash

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『BackSlash』(バックスラッシュ)は1on1の横スクロール対戦アクションゲーム。
海外作品のような雰囲気を醸し出してはいるが、Bitsummitの開催地である京都のスタジオSkeleton Crew Studioの作品であり、英語・日本語に両対応となっている。
対戦前に二種類のバトルスタイルを組み合わせ、それに応じてキャラクターの見た目や二つ名が変化するようになっている。

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フィールド内を右へ左へ駆け回り、殴る蹴るの格闘攻撃、落ちている剣を拾って繰り出す剣技、一発逆転の秘術などを組み合わせて武侠映画さながらのバトルを展開することができる。攻撃によって地形が削れるようになっている点もダイナミックだ。

対戦ゲームとあれば気になるのはネットワークを介した対戦機能の有無についてであるが、実装は未定とのこと。ここはぜひともネット対戦の実装に期待したいところである。本作はSTEAM GREENLIGHTを通過済みであり、PC版のリリースは今秋を予定している。また、Nintendo Switchへの対応も発表された。

in:dark

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『in:dark』(インダーク)はオヅミカン氏が開発しているスマートフォン向け2Dアクションゲーム。スマートフォンの縦長の画面に合わせた上から下へ向かう縦スクロール方式となっており、奈落へと落ちていく少女を、人魂を操作して護っていく。

幻想的なシチュエーションの一方で、タップで炎を出して迫る敵を焼き払い、フリックによる高速移動で道を塞ぐブロックを破壊し、トラップのある地域はスライドで慎重に進む、といったように指をフル稼動させるアクションの激しさも兼ね備えた作品となっていた。

そのほかにも「カルマ」と呼ばれるアイテムを回収してパワーアップや体力回復にあてたり、小魚などを食べて「ソウル」を溜めてスキルを発動させる、といった要素があり、これらの活用が攻略のカギを握ることになるだろう。

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リリースは当初今年6月を予定していたが、今回のBitsummitで得た意見をフィードバックしたうえでリリースしたいと更なる作りこみに意欲を見せていたのが印象的だった。

この灯を今すぐ消せ(仮)

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『この灯を今すぐ消せ』(仮)は『ヒーラーは二度死ぬ』を制作したPon Pon Gamesの新作RPG。

グリッドベースの3DダンジョンRPGであり、試遊台のそばには地図をメモするための方眼紙が用意されていた。昔気質の3DダンジョンRPGのファンにはハートに訴えかけてくるものがある光景だろう。

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この手のダンジョンゲームはただでさえ迷いやすいものだが、本作はダンジョン内がただただ暗く、さらに迷いやすい作りになっている。壁に備え付けられた灯りをつけることができるようになってはいるものの、その灯りが届くのは一部でほとんどの場所は暗いままである。どうしても迷ってしまいどうしようもない。そんなときのため、プレイヤーはYボタンで松明をいつでもつけることができる。

ならずっと松明をつけておけばいいだけでは?
そうは問屋が卸さない。松明をつけると、敵との遭遇確率がどんどんと高まりダンジョン探索が危険なものへと変わっていく。

暗闇の中をぐるぐると迷ったすえ敵に殺されてしまうか、それとも起死回生をかけて灯りをつけるのか。灯りを付けるか消すのかの葛藤が肝になるといえるだろう。

リリースは来年を予定しており、可能であればSteamでの販売も行いたいとしている。

GREEN

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『GREEN』は青山真弥氏が制作しているプラットフォーマーゲーム。プルプルした緑のブロック生物GREENくんを操り、体からブロックを左右に発射してステージを進んでいく。

発射したブロックはブロック発射ボタンを押している間は飛び続け、ボタンを離すことで空中で静止し足場にすることができる。うまく狙った位置に足場を作りたいところだが、ジャンプの頂点でブロックを作ってしまうと上に乗れないという間抜けなことも起きるので、ジャンプボタンを含めてボタンの押し加減が重要になる。

これ以外にもブロック同士をぶつけてブロックを消す、敵にブロックをぶつけて敵をやっつけるなど、ブロックには数多くの使い道があり、シンプルながら骨太な作品となっている。

本作は元々はアクションゲームツクールで開発されたが、エンジン由来のバグが解消できないままエンジンのサポートが終了してしまい、現在はUnityへの移植を行っている。前身となるアクションゲームツクール製のものは公式サイトで公開されている。

本年中にSteamにてリリースし、その後他コンソールへの移植を検討する予定とのことである。

Strange telephone

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モバイル向けに配信され人気を博しているアドベンチャーゲーム『Strange Telephone』。だが開発エンジンの関係で、コンシューマ移植が難しい作品であった。そこで現在、コンシューマ機への移植を目標にゲームをUnityへ移植する作業が行われている。開発者であるyutaさんは先日のUnite Tokyoでもご登壇されており、Unityのもつ幅広いハードへの対応力に期待を寄せているようだ。BitSummit会場でもUnityへの移植作業を行っていた。

Unityに移植しているという展示ですか?と伺うと、空いた時間ができたので開発を進めていましたと言われびっくり。なんとイベント会場で開発作業をされていたようだ。

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また、同作に関連したステッカーやバッジ、Tシャツなどのグッズが販売されていた。ゲーム自体はリリース済なので、ゲームを既に遊んだファンに向けて提供できるものをとグッズ販売を計画したそうだ。反響は好調で、二日目終盤には売り切れが目立っていた。

こうしたグッズの好評を見るに、本作の移植には注目が集まってくるだろう。今後の動向に注目したい。

参考:『Strange Telephone』配信開始 6桁の電話番号で自動生成される夢世界を探索するADV

番外編:グッズ関連

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Strange Telephone以外にも今回はグッズの販売を行うブースやグッズメーカーの出店が多くあり、例年のBitSummitに比べゲームのグッズが非常に目立った。その様子も一部紹介したい。会場の雰囲気の一端が伝われば幸いだ。

様々なゲームグッズを製造・販売するアメリカの企業「ファンゲーマー」のブースでは、人気作『Undertale』のぬいぐるみや『ショベルナイト』のTシャツなどが並んでいた。クレジットカードやPayPalアカウントがあれば公式サイトから注文・輸入することもできるので、興味のある方は購入方法ガイドを参考に注文してみると良いだろう。

このほかにも「EDITMODE」ブースではBitsummitのオフィシャルTシャツや任天堂作品のグッズ、「サンシー」のブースでは『FREEDOM PLANET』や『Skullgirs』といった海外ゲーム関連グッズが販売されていた。会場ではこれら専門メーカーによるクオリティの高いグッズが人気を集め、二日目には一日目に購入したであろうTシャツで会場を歩く参加者が目立った。

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room6」では制作中のアドベンチャーゲーム『OPAKE』の展示に合わせ、登場キャラクターのアクリルキーホルダーなどのグッズの販売も行われていた。ピクセルアートで描かれた幽霊と少女のキャラクターがキュートだ。

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パブリッシャ―「GameTomo」のブースでは「ここ数年見た中で、もっとも革新的なTシャツだ。」というゲームレビューからのフレーズをあしらった『SUPERHOT』の日本語版Tシャツが異彩を放っていた。その革新的な図柄に惹かれ、取材の合間にTシャツを購入したところ、STEAMのダウンロードコードが書かれたカードも合わせて付いてきた。Tシャツのオマケにゲーム、これは革新的だ。

参考:”今年遊んだ中で最も革新的”とのレビューが蔓延するFPS『SUPERHOT』の何が革新的なのか?

フリーゲーム・サイコADV『SPIEGEL EI』 虚ろな少女が“鏡の世界”に惑う。

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鏡に向かって「お前は誰だ?」と言い続けると気が狂う。そんな都市伝説を聞いたことはないだろうか。
実際にやってみたところを想像してみて欲しい。きっと言い知れぬ不安感が湧き上がるはずだ。何も起こるはずはない……しかし万が一でも、何らかの反応が返ってきてしまったら。鏡に映った自分の顔がぐにゃりと歪んで返事をしたら、という思いが浮かんでしまう。

今回紹介するゲーム『SPIEGEL EI』は、そういった鏡が抱かせる不安感を題材にした作品だ。
 
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虚ろな目をした一人の少女が、孤児院に入所した。少女の名はアイ。
同じ棟で暮らす二人の少女・フロイとテューマに暖かく迎え入れられるが、アイの心は頑ななままだ。
そんな少女が心を奪われたのは玄関の大鏡。あるときアイは、鮮血のように真っ赤なチョークの粉が、鏡の中へ誘うように続いているのを目にするが……。

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現実と鏡、少女は二つの世界を行き来する

プレイヤーは主人公であるアイを操作し、現実世界と鏡世界の双方を行き来しながら謎を解いていく。
たとえば、現実世界で暗証番号のロックがかかった扉があるとき、鏡の世界で暗証番号を知ることができる。逆に、鏡の世界で必要となるキーアイテムを現実世界で拾えたりする。

ただし、注意点がある。そもそも「鏡の世界へ行く」ことは、少女にとって危険な行為だということだ。
鏡の世界には奇妙な住人たちがいる。可愛い外見のものもいるが、中には少女を餌食にするものもいる。また、鏡の世界は少女の持つトラウマをも映し出す。すなわち、トラウマが実体を持って襲い掛かってくる。
謎解きを誤ったり、トラウマに捕まったりすると即ゲームオーバーになってしまう場面もあるため、こまめにセーブすることが重要だ。

さらに、冒頭の都市伝説の話を思い出して欲しい。鏡の世界という曖昧な世界に浸りすぎると、少女の精神は戻ってこられなくなるかもしれない。よりゲーム的に言うなら、BAD ENDに近づいてしまうのだ。
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ゲームという特性を活かした演出は不安を煽るのに効果的

ゲームという媒体ならではの演出も、工夫があって面白い。
ゲーム開始直後、プレイヤーネームを入力すると、アイに似た少女が見透かしたように「それ、本当にあなたの名前なの?」と問うてくる。「いいえ」を選ぶと「駄目だよ、嘘ついちゃ」と叱られてしまう。
もちろんゲーム側がプレイヤーの本名を知る由もないのだが、ドキッとさせる演出だ。

他にも、ドアから漏れ聞こえる会話をアイが盗み聞きするかどうかなど、「いけないこと」の是非をプレイヤーに委ねられる場面がある。
もちろんゲームの中の出来事だから、どれを選んでもプレイヤーの自由だ。好奇心に負けて聞き耳を立ててもいい。しかし、その行いは「見られている」。名前の入力時と同様に、ゲームプレイ中に突然糾弾されることも覚悟しなければならない。

このように、小説やアニメと違い、ゲーム特有の「プレイヤーのアクションに対するフィードバック」として不安をかきたてられる演出が本作の優れているところだ。

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人を選ぶが、ハマる人にはとことん魅力的な世界観

「儚げなキャラクターとサイケデリックな鏡世界」という独特の組み合わせが気に入った方や、少女が精神的に追い詰められていくサイコな世界観をのぞきこんでみたい人は、本作をプレイして損はないだろう。
また、本作はホラー系ADVにありがちな、音で驚かせたり、画面いっぱいの顔でおののかせたりする演出はない。ただ静かに、プレイヤーの精神を揺さぶって不安を煽ってくる。直接的なホラー表現に食傷気味という方にも、ぜひおすすめしたい。

[基本情報]
タイトル SPIEGEL EI
制作者 タオ (制作者様サイトはこちら)
クリア時間 1~2時間
対応OS win
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se511477.html

京都インディーゲーム祭典めぐり2日目 「メガビットコンベンション」出展作7選

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5月20日から21日の期間中、京都にてインディーゲームの展示イベント「Bitsummit」が行われた。その二日目である21日には、Bitsummitと同じ会場、そのひとつ上のフロアにて「Megabit Convention(メガビットコンベンション)」という、もうひとつのインディゲーム展示企画も開催されていた。

そこで展示されていたゲームは、Bitsummitとはまた異なる趣を持つ、特徴ある作品群だ。今回は、そんなメガビットコンベンションの会場でプレイしたゲームの中から、7作品を紹介したい。

先日に引き続き、今回紹介するゲームは開発中の作品だけでなく、既に配信が開始されているゲームもある。気になった作品はぜひ遊んでみてほしい。

ネコネイビー&淀屋橋お嬢様倶楽部

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かわいらしいキャラクターがぶつかり合う非常にゆるい世界観の癒し系ゲームだ。だが、その作りは全くゆるくない。非常に熱いシューティングゲームとして仕上がっている。

Steamでの配信が発表されている本作。気になるSteamでの配信時期についてお伺いすると、現在実績といったのSteamの機能をパブリッシャー側で実装している最中とのことで詳しい発売時期はまだわからないとのこと。また、Steam以外で配信されているものと、ビルドの差もつかないそうだ。配信の関係上ズレが生じる可能性はあるが、どの配信サイトでも安心して購入することができるだろう。

参考:”2DSTGが苦手な人にこそオススメしたい、ゆるくて熱いSTG『ネコネイビー』
 
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加えて、同サークルがメガビットコンベンション用に急きょ開発されたお嬢様FPS『淀屋橋お嬢様倶楽部』は会場で話題だった。

お嬢様となり襲い掛かってくる大量の敵お嬢様たちをマイクロUziでメッタ撃ちにする異色な作品で、プレイヤーの通ったあとは倒したお嬢様たちの血で真っ赤に染まるというスプラッターな内容だ。『DOOM』といった古き良きFPSをオマージュしており、それらの作品にある弾を避けながら大量の敵を倒していく手ごたえが本作でもしっかり感じられた。展示だけにしておくにはもったいない。今後配信を計画されているそうなので、続報に期待しよう。

Million Shells

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インディディベロッパー「FlyteCatEmotion」が開発中のタワーディフェンス型シューティングゲーム。

プレーヤーが操る自機は画面には収まらないほど巨大な戦闘機。画面下部全体が、大きな自機になっており、ここにタワーを設置して続々と現れる敵軍と対峙する。タワーディフェンスでは自動で敵を攻撃してくれるのが常だが、本作は砲台を全てマニュアルで操作するところが特徴だ。発射する砲台をタッチで選択し、次に撃つ場所をタッチすることではじめて攻撃がなされる。地点指定のため当然外れるし、リロードに時間もかかるため、たくさんの砲台を並列で操作しなければ大量の敵を処理することができない。

これだけ大きな自機だと敵の攻撃が絶対当たるのでは?と思うかもしれないが、敵のショットはタッチするだけで消すことができる。ただ、最大15個になる砲台を操作しているとどうしても注意がそれる。広い視野と並列操作が求められる非常に忙しい作品だ。

また、タワーの設置、強化に使うポイントが自機のHPと共通になっているところもポイントだ。強化すれば敵を効率的に倒せるが、強化しすぎるとHPが減ってしまいやられるリスクが高くなる。さらにはこのポイントを大量に使うことで発動する必殺の一斉射もある。上記の並列処理にリスク管理までついてくる、手ごたえのある作品だ。

本作は本来PlayStarion Mobileでリリースされる予定のものであった。だが、ご存じのとおりPSMはサービスを終了してしまった。PlayStarion Vitaというコンソールを極限まで活かし、PSMという市場を引っぱっていこう!と意欲を燃やしていたそうだが、サービス終了でその夢は道半ばで途絶えてしまったそうだ。だがそこで終わることなく、現在まで開発を続けてこられた。すさまじい熱意である。

本年の東京ゲームショウあわせで配信、もしくは発売日発表を計画しているそうだ。熱意溢れる本作の今後に期待したい。

PHRASE FIGHT

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同人ゲームサークル「超OK」が開発中のリズム対戦ゲーム『PHRASE FIGHT』は指示に従ってリズミカルにボタンを押すシンプルなリズムゲームだ。

格闘ゲームになっているのが特徴で、画面上部に表示された音符に合わせてボタンをタイミングよく押すと対戦相手のキャラクターを攻撃して後ろに押すことができる。交互に同じリズムを刻み合い、最終的にどちらが対戦相手を押し込めていたか、つまりどちらがより確実にリズムを取れていたかどうかで勝敗が決まる。現在はタイミングの合い具合を4段階で評価しているそうだが、今後はより段階を細かく分ける予定とのこと。細かい判定になることで、対戦もより熱くなるはずだ。

ボタン一つで操作できるうえ、ルールも明快で面白い。完成が待ち遠しいタイトルだ。開発のcoolstepさんはTwitterにて感想や要望を募集している。プレイした方はハッシュタグ#PHRASEFIGHTで要望をつぶやいてみるといいだろう。

本作は年内にPC版の完成を目指している。完成後はNintendo Switchへの移植のための活動を始めるそうだ。どこにでも持ち運べる、Joy-conをシェアしてみんなと遊べる、というSwitchの長所が確かに本作のコンセプトとがっちりとハマる。ぜひともがんばってほしい。

常世ノ塔

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//commentout」の制作する『常世の塔』は何度でも楽しめる、ハードコアなプラットフォーマーアクションゲームだ。

プレーヤーは魔界のメイド「ココア」を操り、危険な敵や罠で溢れる塔を上へ上へと昇っていく。ココアはMPを消費しての魔法しか攻撃手段を持っておらず、しかもこの魔法は連発できない。ここぞというタイミングでしか敵に反撃することができないのだ。であるというのに、敵は全く攻撃の手を緩めてくれない。MPは時間で自動回復されるので回復を待って先に進む作戦も思いつくが、同じ場所に留まれば強力な悪魔が発生する。少しくらい手加減してくれてもいいのでは……?高い難易度でプレイヤーを待ち受けるハードな作品だ。

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本作の大きな特徴は塔、ステージの構成が毎日サーバー側で自動生成されてプレーヤーに配信されるというところだ。毎日構成が変わる塔をいかに高く登れるか?世界中のプレイヤー同士が競い合う作品というわけだ。プレイヤーが死亡した箇所は記録され、お墓が立つのだが、このデータもサーバーを介して共有され、全世界のプレイヤーがどこで死んでしまったのかわかるようになる。

ハードコアなアクションゲームファンは世界中にいる。この作品も注目を集めることになるだろう。年内のリリースを予定しており、Steamでの配信を計画しているそうだ。世界のプレイヤーと塔をめぐる競争が始まるのはもう間もなくだ。

さて、海外では女の子の格好をしたかわいい男の娘を「トラップ」と呼んで、アニメで出てくるたびそんなまさかファックと騒いでいるそうだ。本作はたくさんの罠が待ち受ける作品である。ココアは男の娘。ココアちゃんではなくココアくんだ。こんなにかわいい子が女の子なわけないだろう?海外のプレイヤーがこのトラップに引っかかるのが楽しみだ。

GRAZE COUNTER

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『GRAZE COUNTER』は同人ゲームサークル「びっくりソフトウェア」の開発する危険行為推奨縦スクロールシューティングゲームだ。GRAZEと名の付く通り、敵弾をかすりにかすって窮地を打破する作品だ。

この作品の特徴は、敵弾に接近することで放てる必殺技グレイズカウンターと、グレイズカウンターで敵を倒すことで発動できるブレイクモード、この2つの組み合わせによる危険に飛び込みチャンス切り開くゲームシステムだ。

本作では自機を敵弾に接近させ、かすめればかすめるほどグレイズゲージが貯まる。これを消費することで強力な必殺グレイズカウンターを発動できる。グレイズカウンターは敵を一瞬で屠る威力を誇る上に、ゲージを満タンまで貯めて発動する無敵状態になる。あえて敵弾に近づく危険を冒せば冒すほど、敵を倒しバンバン倒して有利に立つことができるというわけだ。さらに、グレイズカウンターで敵を倒すことで得られるアイテムを集めると、自機能力を高めるブレイクモードを発動できる。危険に自ら飛び込むことで、それが逆にチャンスとなる作品なのだ。

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作者曰く「どんどん強い攻撃を放ってごり押しできるSTGを作りたかった」とのこと。狙い通り強力な攻撃をガンガン使用でき、ストレスを感じさせない爽快感のある作品に仕上がっている。本年7月Steamで配信予定なので、シューティングゲーム好きはぜひチェックしておこう。

ちなみに、画面に映っているメガネでセーラー服のキャラクター銀寄卯月は男の娘だそうだ。え?なに?男の娘が流行ってるの?

マヨナカ・ガラン

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マヨナカ・ガラン』は『わすれなオルガン』『真夜中は星づくよ』など製作したサークル「CAVY HOUSE」の新作ノベルゲーム。演出にこだわり、ただの立ち絵でなく3Dモデルのキャラクターが映画のように画面上で演技するのが特徴の手間のかかった作品だ。

舞台は古くより隠れキリシタンが住んできた大臼村。牧師である橘はもるるは村おこしのため、村の歴史と民話をまとめる依頼を受けこの村を訪れる。村は念願の大聖堂の完成に沸く真っ只中。はもるるは村人の信頼を得て、村おこしを順調に進められると思われた。だが、そのすぐそばに不穏な影が忍び寄っていた……。プレイヤーは橘はもるるを案内する村の者となり、奇妙で恐ろしい事件へと巻き込まれていく。

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本作はノベルゲームとしては珍しくVRに対応している。VRで遊ぶノベルゲームというまだ他では見ない演出に挑戦し、新たなVRの楽しみ方を示す作品にしたいとのことだ。しかもVRと通常のモードでは表現をまるっと変え、別々の演出を用意している。通常は映画のようなカメラワークを意識しているが、VRモードでは案内役の視点で物語が展開される。プレイさせていただいたが非常に興味深い演出だった。完成が待ち遠しい。

本作は今年の夏コミでリリース予定。夏コミ後に、SteamとOculusストアでの配信も計画されている。体験版も配信されているので、興味のある方はぜひプレイしてみるといいだろう。

ノナプルナイン

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「Painfulchild」の開発する『ノナプルナイン』は以前から同人イベントなどで注目を集めている開発中の探索アドベンチャーゲームだ。ビルの一室に監禁された主人公となり、モニター越しに記憶喪失の少女に指示を出し彼女の記憶に隠された謎に挑む。

オフィス街で起きた頭部破裂事件と被害者の勤務先が行っていた人体実験、そして32階だけがループするビルの謎。それらの事件を解き明かす鍵は消えた彼女の記憶にある。もし彼女の記憶を取り戻せなければ、主人公と彼女は殺される。
 
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本作はノベルゲームをより多くの方に楽しんでもらうため、横スクロールのポイントクリック形式を採用したそうだ。他にも細かい部分までグラフィックやイベントを作りこんでいるようで、アニメーションシーンをたくさん用意し、探索する資料のグラフィックといった細い部分までこだわっているらしい。普段ノベルゲームやアドベンチャーゲームに触れない層にも楽しんでもらえるよう、こうした様々な工夫を行っているとのことだ。

多くのインディ作品がUnityやUEといった既存のゲームエンジンを使用する中、自作のエンジンで開発されているというのも野心的だ。

少ない人数での開発でどうしても時間がかかってしまうが、更なるクオリティアップを図るため完成は来年を予定。Steamでの配信も検討しているそうだ。

超水道のデンシ・グラフィックノベル『ghostpia』第3話が配信開始 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はデンシ・グラフィックノベル『ghostpia』の最新話公開や、ノンフィールド・リソース管理RPGの新作リリースなど7本です。

超水道、デンシ・グラフィックノベル『ghostpia』第3話配信開始

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創作ユニット超水道は5月31日、デンシ・グラフィックノベル『ghostpia』iOS版のアップデートを行い、第3話「はたらくしごとをみつける日」を追加した。ブラウザプレイが可能なノベルスフィア版については、後日アップデート予定となっている。

『ghostpia』は雪に閉ざされた、幽霊の住む町を舞台にしたノベル作品(関連記事)。第3話では主人公の小夜子と新人幽霊のヨルによる仕事探しや、そこから巻き起こる騒動が描かれる。イラスト枚数は約200枚、さまざまな演出も盛り込まれており、ボリューム、密度ともにこれまで以上の内容に仕上がっている。

ノンフィールド・リソース管理RPG『Ark Noir / 箱舟のノワール』がリリース

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Amamori Labは5月31日、リソース管理RPG『Ark Noir / 箱舟のノワール』のダウンロード販売を開始した。WindowsおよびMacに対応しており、体験版も公開されている。

沈没しつつある巨大移民船からの脱出を目指すノンフィールド型の作品。ランダムに入手した、使用回数に限りのある武器などのアイテムを駆使して戦っていくというローグライクRPG的なシステムが特徴となっている。幸運を数値化した「FR」という値の管理もポイントで、FRは休息によりHPを回復したり、物資コンテナからアイテムを入手したり、他の乗員を救助したりとさまざまな行動で消費する。

沈没事故の真相に迫っていくアドベンチャー要素も特徴。3人の主人公を選べるほか、条件を満たすことでゲーム開始時にあらかじめセットできるパッシブスキルが増えるなど、周回プレイも楽しめる作りとなっている。

フリーゲーム短編RPG『魔剣少女の物語』公開

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個人開発者のRISE氏は5月28日、短編RPG『魔剣少女の物語』をふりーむ!にて公開した。Windowsに対応するフリーゲームで、公称プレイ時間は2~3時間。

亡き父から不思議な力を持つ剣を受け継いだ少女「ラーマ」が主人公の作品。剣を使って村の平和を守りながら暮らしてきたラーマだが、ある目的で村へ訪れた王女「クレア」との出逢いにより、剣の持つ力の真実に触れ、人と人ならざる者の戦いへ関わっていくことになる。展開は基本的にシリアスだが、王女という立場ながらフランクな性格のクレアや、ラーマを支える兄貴分の「エクスシオ」と弟分の「ミドル」など、キャラクター達の賑やかな掛け合いが描かれるシナリオも見どころだ。

戦闘ではスキルなどの使用で消費する「気力」が低下すると被ダメージが上がる要素が特徴で、難易度はやや高め。1戦闘に3回だけ使える特殊技「ブレイドアーツ」なども駆使して戦っていく。バランスタイプ、スピードタイプなどの戦闘スタイルを切り替える要素もあり、スタイルによってステータスや使用可能なブレイドアーツが変化。さらに、瀕死状態でのみ発動可能な自己強化技「リミットブレイク」やリミットブレイク中のみ使用できる特殊技「ファイナルアーツ」といった要素もあり、手に汗握るバトルを楽しめる作品だ。

Unity 1週間ゲームジャムが開催、「転がる」をテーマにした150本以上の作品が集まる

Unity製ゲームの投稿サイトunityroomにて、5月22日から28日にかけて「Unity 1週間ゲームジャム」が開催された。

「Unity 1週間ゲームジャム」は、発表されたテーマをもとに、1週間でゲームを制作して投稿するというオンラインイベント。2回目の開催となる今回のテーマは「転がる」で、サイコロを転がすパズルゲームや、土地を(物理的に)転がしてお金を稼ぐゲームなど、テーマをさまざまな形で解釈したユニークなゲームが150本以上投稿されている。投稿されたゲームはブラウザ上でプレイ可能だ。

unityroom-saikorori

サイコロの上面に描かれた数字の数だけサイコロを四方向へ転がすことができ、一定の手数内でゴールを目指すパズルゲーム『サイコロリ -Saikorori

 

unityroom-tochi

土地を物理的に転がしてお金を稼ぐ『土地ころがせ

 

趣味工房にんじんわいん、『RPG用音楽素材集 [Yuggdrasill Seed]』ダウンロード販売開始

フリーゲームRPG『ネフェシエル』『イストワール』の楽曲担当としても知られる音楽製作サークル趣味工房にんじんわいんは5月30日、『RPG用音楽素材集 [Yuggdrasill Seed]』のダウンロード販売を開始した。

過去に音楽CDとしてリリースされた『Yuggdrasill Seed -opening episode-』をベースとしたコンテンツ。MP3ファイルのほか、ループ処理が施されたOgg Vorbisファイルが同梱されており、使用権利込みの商品として提供されている。

ALICE IN DISSONANCE、「Patreon」による支援に関する日本語の解説ページを公開

ノベルゲーム『fault』シリーズの開発元である同人ゲームサークルALICE IN DISSONANCEは、クリエイター支援プラットフォーム「Patreon」での同サークルの支援に関する日本語の解説ページを公開した。

Patreonは、毎月指定した金額を支払うことでクリエイターを継続的に支援できる米国のサービス。国内ではEntyやFantiaなどが知られているが、こうしたサービスの先駆けと言える存在だ。英語サイトのため少々とっつきにくい印象もあるが、解説ページではALICE IN DISSONANCEのPatreonで用意されている支援額別特典の内容のほか、Patreonへの登録方法や支援方法も日本語で解説されているので、Patreonがどういったサイトなのか興味のある方もチェックしてみてはいかがだろうか。

なお記事執筆時現在、ALICE IN DISSONANCEのPatreonでは月額4,000ドル弱の支援が集まっている。

てりやきトマト、Fantiaにてファンクラブを開設

同人サークルてりやきトマトは2日、月額制のクリエイター支援プラットフォームFantiaにて同サークルのファンクラブの本格運用を開始した。

てりやきトマトは、フリーゲーム『積層グレイブローバー』『虚白ノ夢』(関連記事)などの作者として知られるフリーランスのクリエイター、カナヲ氏の運営する同人サークル。ファンクラブの会員プランには無料を含む複数のプランが用意されており、無料プランでも開発中のゲーム制作SLG『じげじょ。』の開発状況を確認したり、今後リリースされる同作の開発バージョンをダウンロードできるという。

加えて有料プランでは、開発ブログの閲覧や、通常公開されているゲームに追加要素が実装された「アドバンスver.」のダウンロードといった特典がプランに応じて用意されている。すでに開発ブログの#01が掲載されており、月額100円以上のプランに入会することで、現在開発中の短編ダンジョンRPGについての情報を確認することができる。

なお、同氏は株式会社ドワンゴの電ファミニコゲームマガジンにて連載中のアドベンチャーゲーム『被虐のノエル』の作者としても知られるが、こうした企業と関わりのある案件にて制作したゲームはFantiaで扱う対象外となるとのこと。

SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第5回:カナヲ『虚毒ノ夢』②

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※本記事は、1月7日より開始した「SMILE GAME BUILDER」制作実演の連載です。

フリーゲーム作者による「SMILE GAME BUILDER」制作実演連載が開始 完成作はダウンロードして遊べる!

Qpic『スーパーフックガール外伝』 制作連載 / 2 / 3 / 完成作品ダウンロード
カナヲ『虚毒ノ夢』制作連載


 
カナヲです。前回の記事から引き続き、SMILE GAME BUILDERによる『虚毒ノ夢』の制作状況をご紹介します。

3D探索ホラーADV『虚毒ノ夢』制作中!

今作は、2015年公開の探索ホラーADV『虚白ノ夢』の数年後の世界を舞台としたホラーADVです。ただし物語の理解に前作の知識はほとんど必要なく、主要な登場人物はいずれも新規キャラとなっており、 前作に触れていなくても今作単体で楽しめるようになっています。
 
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記憶障害のせいで記憶が一日しか保てない主人公の未散(ミチル)が、3LDKの部屋に同居する兄の目を盗みながら記憶のかけらを探し、隠された真実に迫っていきます。このゲームの舞台はこの部屋のみで、SMILE GAME BUILDERならではの主観視点を最大限に活かした構造になっています。

『虚毒ノ夢』の登場人物を紹介

 
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折原未散(オリハラ ミチル)

主人公。記憶障害を持つ16歳の少女。 眠ると多くの記憶を忘れてしまうため、毎日記憶ノートをつけないと物事を覚えられません。プレイヤーは彼女を操作し、いつの間にかできていた『記憶ノートの謎の黒塗り』に隠された記憶の手がかりを探すことになります。ある画家の絵をとても気に入っているようですが……。
 
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折原悠(オリハラ ユウ)
 
ミチルの兄で、21歳の大学生。 現在は大学を休学し、ミチルの世話をするためほぼ一日中家にいます。ミチルをとても大切にしている一方で、時折冷淡にミチルの行動を監視し、咎めます。たとえ彼が睡眠薬を使ってミチルを気絶させたとしても、ミチルは自分がされたことを次の日まで覚えていられないでしょう。彼には、そうまでして隠したいことがあるのでしょうか……。

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織原未来(オリハラ ミライ)

ミチルの夢に出てくるガサツな少女。「名前が似ているから」という理由で仲良くなった彼女は、ミチルとどんな関係にあったのでしょうか……。

ポイントとなるゲームシステムとは

今作のメインパートである3LDKの探索時は基本的に、怪奇現象や幽霊などによる恐怖演出が起こりません。ホラー要素は、兄に見つからないように背中を気にしながら「調べるな」と言われた場所や兄の部屋、ときにはその懐を調べる背徳感と緊張感がほとんどです。もちろん、兄に見つかってしまった際は怖めの演出が入る……かもしれませんが、おそらく本質は「もし見つかったら……という見つかるまでの緊張感」にあるのではないかと思います。

こうして見ると、敵から身を隠して進むステルスゲームの独特の緊張感を、ホラーで補強したような感覚かもしれません。ただしこのゲームには、タイミングをうまく見計らって素早く突撃、といったアクション要素はありません。すべては、絶対に見つかるタイミングと絶対に見つからないタイミングの二通りだけです。
 
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たとえば、兄が今シャワーを浴びていることに気づいたあなた。今ならこっそり兄の部屋を調べられるかもしれませんが、果たして兄はいつまでも長々とシャワーを浴びているのでしょうか? 確率要素もアクション要素もないので、兄の気配などから導き出したプレイヤーの判断、推察さえ正しければ行動は成功です。今作はアクションゲームではないので、それ以外のプレイヤースキルは要求しないことにしています。
 
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兄が本当にただの優しい兄なら、なにも恐れることはないのですが、果たして……。

SMILE GAME BUILDERの使用感

SMILE GAME BUILDERは、マップ制作がとても簡単です。それでいて完成したマップは3Dゆえに2Dよりもはるかに没入感あるものになるので、雰囲気を重視したゲームを作りたい場合は相性がよさそうです。さらに3Dの世界を彩るためのカメラワークもイベントで直感的にいじれるため、カメラ操作を駆使してイベントシーンを作り込めば映画のようなワンシーンの制作も夢ではないです。

反面、3Dは自作素材を用意するハードルが2Dより高いため、既存の素材では表現できないようなマップやシーンを作りたい場合は苦労しそうです。また、よく使うイベント内容を丸ごと保存して呼び出せるコモンイベント機能がないため、内部処理で何度も条件分岐させる自作戦闘や探索ゲームなどを作る際はエディタがごちゃごちゃしてしまいがちです。『虚毒ノ夢』でも、兄に見つかった時の処理などをコモンイベントで作れればなお快適……だったかもしれません。

とはいえ、なにより複雑な知識なしに、これまでにないインパクトある演出が作れるのはSMILE GAME BUILDERの強みだと感じました。

次回の記事では、いよいよ完成品をもとにした内容をお届けする予定です。お楽しみに!

※本連載で制作しているゲームは完成後、作品を遊べるようにダウンロード形式で公開することに加え、SMILE GAME BUILDERを持っている人向けに、ゲームの実装の中身を見ることができるプロジェクトファイルも合わせて公開する予定です。


謎解きサスペンスホラーADV『狂い月』 積み重なった狂気を解く、「月」を巡る脱出劇

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『狂い月』は2016年1月に公開された直後から、ネットの各所で話題になった作品だ。謎解きを重視したシナリオと、丁寧にツボをついたホラー演出、そして全ての謎が解かれたときのカタルシスによって、多くフリーゲームプレイヤーを驚かせた。ファンイラストも多数描かれている。
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主人公「神崎満」は、クラシック曲「月の光」ばかり聞いているおとなしめな高校生だ。ある日の学校で、幼なじみで活動的な「新岡梓紗」から、天体観測ついでにお月見をしないかと誘われる。彼女は天文部に所属しているのだ。

ところが、現実社会でもよくあるように、話しが盛り上がる。ちょうど友人の「皆川進」たちが話していた「幽霊屋敷に行こう」の計画と合体し、「幽霊屋敷の近くで天体観測をしよう」という企画にミラクルフュージョンを果たす。幽霊屋敷は裏山の上にあり、「山は空気が澄んでるから、星がキレイに見える」だそうだ。

しぶしぶと、友人たちと共に屋敷の下見へと向かう主人公。

これが、惨劇の始まりであった・・・
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下見もそこそこの所で、まるで魔術のように降り出す雨。導かれるように屋敷の中へと避難する主人公たち。そして、お決まりのように開かなくなるドア
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もちろん、携帯電話も圏外と抜かりはない。

主人公たちは脱出を果たすべく、広大で複雑な屋敷を手分けして探索する事になる・・・

ここで、屋敷に閉じ込められた五人の人間を紹介しよう。
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渡 康平
冷静で霊感体質。特に隼人と仲が良い。一度気になったことは突きつめる性格で、個人行動が多い
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海道 隼人
お調子者で、トラブルメーカー。幽霊屋敷探索の発案者。メンタル面に若干の難がある。
 
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皆川 進
満の幼なじみで、響也とは中学時代からの同級生。ガラと口が悪く、満とも「ある事件」をきっかけに仲が悪くなった。いざとなったら守りに入ってしまうタイプ
 
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速水 響也
満のクラスメイトにして、中学時代からの同級生。二面性を持つ優等生キャラ。幽霊屋敷は、名目上彼の一家の管理になっている。
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神崎 満
主人公。記憶喪失、情緒不安定な母親、別離した弟と、人生の困苦にこと欠かない。その境遇ゆえ「ぼっち」でいることが多い。

さて、屋敷を探索すると、この屋敷が尋常でないことがわかる。妙な仕掛けが多すぎるのだ。
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あちこちの部屋は鍵がかかっており、仕掛けを解かないと先へ進めない。崩壊している場所も多く、ここが無人だと改めて認識させられる。本棚にあった屋敷の記録を紐解くと、明治3年に建築され、大正時代には学生寮として使われたこともあったようだ。学生寮時代に、大量殺人事件が起こっている。

不気味な雰囲気に飲まれつつも、探索は続く。そして・・・
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ここで簡単にゲームシステムについて説明しよう。

ジャンルはサスペンスホラー系の脱出アドベンチャーゲームで、アイテムを使い、謎を解いて屋敷の行ける範囲を広げつつ、「過去に何があったか」を解いていく。アクション要素は少なめだが、その分「がっつりとしたシナリオ」に、取り組む形になる。
 
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次々と手に入る、過去の人物達の日記帳
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明らかに惨劇のあと
 
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出没する弟「翔」の影
 
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憔悴する仲間たち
 
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ついに悲劇が・・・

『狂い月』が優れているところは、まず「シナリオの完成度の高さ」だろう。

「主人公満に関するもの」と「かつて屋敷で起こった出来事」、この二つが交差していて、それが徐々に明るみになる構造になっているのだが、その情報の出し方がうまい。

過去の日記、かつて屋敷で起こった出来事の幻覚、そして不意に思い出される失った記憶など、情報を伝える手段としてはオーソドックスなものの、それを適切なタイミングで適切な量を知らせるのは、かなりの熟考と手腕が必要だ。

そしてすごいのは、それら「なぜなに?」がゲームの完全クリアでほぼ解消される点だ。「どうしてここはこうなんだろう?」という「もやもや」が残らず、非常に大きな満足感を、得ることができる。

また、プレイ中の細かい配慮がなされているところもいい。
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例えば、「思考する」というコマンド。ゲームの進行具合ごとに、次に何をしたらいいか「ヒント」を出してくれる。ゲームを作る際に、いちいちこのイベント設定をするのは「とんでもなく面倒くさい」はずで、頭が下がる思いだ。

テキストスキップが実装されていたり、東西に別れた屋敷内の地図が常時参照できたりする。何よりも主人公の移動速度が速いのは、細かいようだが重要なポイントだ。これらはフリーゲームにおいて、どうしても手の届きにくい「かゆい」ところだが、『狂い月』ではしっかり配慮されている。

作者の3色ぱん氏は、このゲームが始めて制作したアドベンチャーゲームだそうだが、そうだとは思えない完成度を誇っている。アドベンチャー初心者にもおススメだ。

ただ、注意点を一つ言っておくと、謎解きがややむずかしいところがある。

「ヒントが少ない」とか「理不尽にむずかしい」とか、決してそんなことはないのだが、謎の出し方に「独特のクセ」があって、慣れないと手こずる。

例を一つ出すと、この画像。
 
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ただの絵ではない。謎を解くためのヒントなのだが、初見だと「?」と思ってしまうかもしれない。

もう一つ出す。
 
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「なにか重要な仕掛けだ」とはわかるけど、さまざまな文字や文様から、一見して難しさを感じる。筆者はここで一番苦労した。
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なお、しっかりとゲームオーバーもあるので、油断は禁物だ。

この作品には、「ノーマルエンド」と「トゥルーエンド」がある。全ての謎を解決したことによって見られるトゥルーエンドは専用のムービー付きで、「こう来たか!」と思わず息を呑む。

いったい屋敷で何が起こったのか? 幽霊の正体とは? 満の記憶は戻るのか?
「狂い月」の意味とは?

書きたいことはたくさんあるけど、緻密な構成のためネタバレを意識するとほとんど書けない、そんな作品だ。

とにかく、「とりあえずプレイしてみてくれ」と言うより他ない。

今までホラーゲームのプレイ動画を見るだけだった初心者の人や、またある程度やりこんでいる人にも、ぜひプレイして欲しい。多少の脅かし・流血表現・残酷描写など、一部ショッキングなシーンがあるが、ホラーゲームとは「そういうゲーム」だ。

「クトゥルフ神話」の、とくに大正時代や現代の日本を舞台にした作品が好きという人も、好んでくれると思う。恐怖の組み立て方に、それらと通じるものがある。

【基本情報】
タイトル 『狂い月』
制作者 3色ぱん氏
製作ツール WOLF RPG エディター
クリア時間 1時間~5時間
対応OS  WindowsXP/VISTA/7/8/10

価格無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/11038

制作者サイトはこちらから
http://3colorsbread.web.fc2.com/kuruiduki/

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改めて見ると、このタイトル画面もすごく意味深なカット。

もしも90年代の有名シューティングゲームの機体が、他ゲームの敵と戦ったら…? 野心作『MoonStriker』を紹介

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時代と共にゲームは進化していく。キャラクターの表示数が増したり、色数が増えたり、演出が派手になったり。プレイヤーが操作するキャラクターもまた、進化と共に動きが多彩になったり、目を見張る攻撃を繰り出せるようになってきた。そんな進化の過程を追い続けて、こんな事を妄想したプレイヤーも少なからずいるかと思われる。

もし、このゲームで生まれたキャラクターが同じジャンルの別ゲームで主人公を務めたら、どんなことになってしまうのか、と。
 
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そんな「もしも」をシューティングゲームの場で描いたのが、今回紹介する『MoonStriker(ムーンストライカー)』だ。製作者は当もぐらゲームスでもレビューを掲載している『Image Striker(イメージストライカー)』(関連記事)のてらりん氏。2017年3月にiOS、Android、PC(Windows)向けに配信された。

内容は縦スクロールのシューティングで、迫りくる敵機を撃墜ながらステージを攻略していくという王道のものだ。しかしながら、システム周り及びその本編は、90年代のシューティングゲームの機体(自機)が他のシューティングに殴り込みをかけるという、個性的なものになっている。

二つの装備を駆使して、既視感のある敵達を撃て!

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今作でプレイヤーが操縦する自機は一口で言えば、タイトーのレイシリーズ(レイフォース、レイストーム、レイクライシス)と一緒。敵弾をかき消せる性能を持つ「ショット」、敵に狙いを付け、誘導レーザーの集中砲火を浴びせる「ロックオンレーザー」の二つの武装を搭載している。この(変な表現だが)「レイ感」溢れる機体で、プレイヤーは迫りくる敵達を撃墜していく。

そして、そんな自機を操縦して撃墜していく敵達は皆、見覚えのある容姿と動きを特徴としている。一括りに言ってしまうと、80~90年代仕様。その頃に生まれたシューティングゲームとほぼ同じ動きで、プレイヤーに襲い掛かってくるのだ。
 
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例として、ステージ1にて下方向から現れるこの大型宇宙戦闘機。
 
image2 ▲参考画像:『ストライカーズ1945 II』(※ゲームアーカイブスで配信中)

第二次世界大戦終結後を舞台に、新型兵器を駆使して謎の組織と戦うシューティングゲーム『ストライカーズ1945』に出てくる戦闘機だ。ご丁寧に登場の仕方まで同作っぽくしている。
 
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次のステージ2では、古くからのゲーム世代なら苦笑い必至の光景が。
 
image13 ▲参考画像:『ゼビウス』(※Wii、WiiUバーチャルコンソールで配信中)
 
そう、1983年にアーケードゲームとして誕生し、後にファミリーコンピュータにも移植された『ゼビウス』だ!しかも、道中には飛行新素材という名の回る鉄板「バキュラ」のような敵も登場する。更にステージを進めていくと、「ゼビウスと言えばこれ」という代名詞的なものも。それが何なのかは実際にプレイしてのお楽しみだ。
 
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他にも『イメージストライカー』でもネタにされていた、『イメージファイト』由来の巨大戦艦が出てきたりと、至れり尽くせり。そんな他の著名なシューティングゲームを模した敵達をレイシリーズ由来の機体で撃退していく。これこそが今作の魅力で、著名なシューティングゲームの機体で、他のゲームに殴り込みをかける「もしも」なドッグファイトを楽しめるのだ。
 
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90年代から80年代の過去へタイムスリップしたかのような雰囲気も醸し出しており、特に先の『ゼビウス』を模したステージにおいては、「未来からの殴り込み」とも言うべき、『ドラえもん』(主に映画シリーズ)の時間犯罪者になった気分を体験できるのが面白い。タイムパトロールもいないから、まさにやりたい放題だ!(※歴史改変は重罪です。よい子はマネしないように。
 
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未来の機体で過去の敵を相手にするなら、一方的になるのではと想像してしまうが、意外とそうならないのも面白い。というのも、敵の耐久力が高めに設定されている上、通常ショットの威力が低めなので、発射までにワンテンポ挟むロックオンレーザーで撃墜していく立ち回りが要求されるのだ。

なので、ロックオンする際に別の敵に裏をかかれ、撃墜されるなんてことも。先のゼビウスの面々も、ショットを数発撃ち込まなければ撃墜できないので、結構な脅威だったりする。さすがは超知性体ガンプ、南米を制圧した力を持つだけにあると言うべきか。

そんな具合に、一方的になりそうに見えてそうならないゲームバランスも今作の魅力。最新の装備があれば、昔の脅威も一網打尽にできるという考えが如何に浅はかか、そして昔の敵達の侮り難さというものを思い知らされるだろう。 まさに古きを知り、新しきを知る。温故知新なゲームバランスとはこのことだ。

遊び易さと手応えを両立する難易度

『イメージストライカー』の良いところもしっかりと継承されている。具体的にはシューティングゲーム初心者に優しい、ストレスを減らす配慮を凝らしたステージ構成と抑えた難易度。

今作でもステージの攻略に費やす所要時間は短く、3分以上の時間がかかることはほとんどない。遅くても2分以内には終わるボリュームでほぼ統一されている。これにより、長期戦になるが故のいつ撃ち落とされるかのヒリヒリ感も控え目なので、気持ちよく遊べる設計になっている。
 
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難易度も派手な弾幕が展開されることもなければ、大半の敵の弾はショット攻撃でかき消せるので、圧迫感を感じさせない。単純に回避するだけでなく、打ち消すという二つの回避方法を用意して、脅威を緩和させる。これによって回避に自信の無いプレイヤーでもやって行けるハードルの低さを演出している辺り、初心者に対する意識が現れている。
 
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上級者に対するフォローも欠かしていない。『イメージストライカー』は最高難易度のハードでもやや物足りなさのあるバランスだったが、今作は底上げが実施され、非常に手ごわい難易度に改められている。ステージの総数も7つに増え、個々のステージでは二つの攻撃手段の癖を活かす立ち回りを心掛けていく必要があるので、やり応えは十分だ。
 
image3 制限時間以内に何処まで得点を伸ばせるかを競う「キャラバンモード」も健在で、ショット攻撃全般の癖の強さによって、独特の手応えを演出している。どの敵にロックをかけて一網打尽を図るか、と言った戦術性もシステムの恩恵もあって高めで、独特のバランスと遊び心地が描かれている。

作品としては完全新作に当たるが、前作の良かった所を残して磨き上げるという点で正統進化系と言い切れる出来。そして、相変わらずの上級者だけにフォーカスしない良心的なバランスの取り方はお見事の一言に尽きるばかりだ。

溢れ出るファミコンの新作っぽさも見逃せない

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ファミコンっぽさに富んだグラフィック、音楽も独特の味わいを醸し出しており、それが80年代と90年代が争う独特の世界観と雰囲気を構築している。特に音楽は80年代のナムコ、カプコン作品に近い味わいに満ちており、直撃世代ならノスタルジーを喚起させられること請け合いだ。

他にも一部のステージで特殊な動きをすることで隠しエリアに入れたり、いきなりパワーアップと言った隠し要素も仕込まれているのも、その頃のゲームっぽさを醸し出している。

一方で気になる点も幾つか。特にボスの強弱が激しい。ステージ1のボスは攻撃を二段階変化させるなど手強い調整なのに対し、次のステージ2のボスはロックオンレーザーを集中砲火させれば直に倒せるほどあっけないなど、難易度曲線に波が立ち過ぎている。特にステージ1のボスは強さとしても最初に相応しくないし、できれば後半のステージでの登場にして欲しかったところだ。
 
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また、効果音も残機アップとボーナススコアの効果音が共通なのが紛らわしい。何度か残機アップしたと勘違いすることがあり、それが元で安易な突撃を行ってしまって窮地に陥ることが筆者の場合、何度かあった。音を共通にしたのは容量の節約も兼ねているのかもしれないが、ここは普通に独立した効果音を用意して、紛らわしさを緩和すべきだったと思う。

そう言った惜しいと感じる箇所もあるが、総じて良質なシューティングゲームとして完成されている。90年代の機体で他のシューティングゲームの敵達を殲滅していく展開には、まさに「もしも」な楽しさと難しさが満ちている。スコアアタックのやり込み甲斐も健在且つ、往年のシューティングゲームをネタにした要素も満載なので、シューティングゲーム好きならば要プレイ。シューティングゲームが苦手なプレイヤーに優しい設計になっているので、その入門編としてもどうぞ。

[基本情報] タイトル: 『MoonStriker(ムーンストライカー)』
制作者: てらりん
クリア時間:30分~1時間
対応OS:iOS、Android、PC(Windows)
価格: iOS、Android版 ¥120 / PC版 $1.00

ダウンロードはこちら
https://itunes.apple.com/jp/app/moonstriker/id1213359897?mt=8&ign-mpt=uo%3D4

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.terarin.MoonStriker

https://terarin.itch.io/moonstriker

直感的な3Dマップ制作が可能 RPG制作ツール『GAME DESIGNER WORLD』提供開始

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フリーゲーム投稿・配信サービス「PLiCy」を運営する浮田建設株式会社は、同サービス内にて2017年6月2日より、3DマップRPG制作ツール『GAME DESIGNER WORLD』の提供を開始した。

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「PLiCy」は個人で製作したゲームの投稿・配信サービス。全ての投稿作品はWebブラウザ/Android/iOSなどマルチプラットフォームでプレイ可能となっている。

また、「Unity」、「RPGツクール」シリーズや「WOLF RPGエディター」、「ティラノスクリプト」をはじめとしたゲーム制作ツールによる投稿や、HTMLゲームの直接投稿にも対応。

今回サービスが開始された『GameDesignerWorld』は、「ボリューム (volume)」と「ピクセル(pixel)」を合わせた造語である「ボクセル」型の3Dマップを作成できるRPGツールとなっている。本ツールは、スマートフォンやPCを使用しブラウザ上で作成することが可能である。

直感的に3Dマップを作成可能な「マップエディター」

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PC操作の場合、キーボードの「Z」を押しっぱなしにすることで連続してマップを描画することができ、見下ろし型の視点にも切替えられるので直感的な3Dマップ作成が可能。

自動で3Dマップを生成する「ランダム地形生成」

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ランダム地形生成を利用することで、雪や砂漠、オアシス、ダンジョンなどテーマに合った地形が自動で生成される。生成されたマップをベースに手書きで調整することも可能。

フィールド上で直接敵ユニットと戦う「シームレスエンカウントバトル」

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フィールド上の敵ユニットと触れることでシームレスに戦闘へと進行。接近した敵ユニット同士でリアルタイムに敵グループを形成するシステムとなっている。

プレビュー付き「ウィンドウ編集機能」

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本ツールでは、ウィンドウの直接編集モードが搭載。プレビューを見ながら、各ウィンドウをマウスドラッグ、文字などは直接入力で調整が可能。また、スマートフォン用メニュー個別に編集が可能となっている。

初心者から上級者まで幅広く使える「作成モード設定」

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『GameDesignerWorld』には3つの作成モードが搭載。簡単に3Dでマップを制作できる「初心者向けモード」、イベントコマンドやバトルモードを実装した本格的なRPGを作成できる「中級者向けモード」、パーティクル機能やスキン変更機能が備わった「ADV、探索ゲーム向けモード」から自分の用途にあったモードを選択することが可能。

また、上記の全てのモード+拡張機能が増えた「エキスパートモード」も存在する。

なお本作は作成ゲームのEXE出力機能にも対応しており、「PLiCy」サイト外での作品公開・頒布が可能となっている。

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(参考)
公式サイト

短編フリゲアドベンチャー『One week, My room』 あなたが救う、ちいさな世界

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壁に空いた穴、ゴミの詰まったゴミ箱、女の子の人形、放置されたランドセル、棚、時計、机、ベッド、布の被された鏡、開けられないドア、カレンダー、ラジオ、押入れ、日記、薄暗い八畳の部屋。今回紹介する『One week, My room』の世界の全てである。

とある理由から小さな世界へ閉じこもってしまった少年は、毎週土曜に聴くお気に入りのラジオ番組だけを楽しみに生きている。この世界であなたがすべきことはただひとつ。一日に一度だけ部屋の中の物を調べること。ただそれだけだ。そしてそのささやかな行動が、少年を救うことになるかもしれない。
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『One Week,My room』は、こやまなつみ氏とおうる氏によるゲーム制作サークル「常夜灯」の処女作となる短編の謎解きアドベンチャーだ。室内で謎解きと言うと脱出ゲームのシチュエーションを想像するかもしれないが、本作の目的は部屋からの脱出ではなく、クリスマスから始まる少年の一週間を最後まで無事に見届けることである。

前述の通り一日に一度だけ部屋内の物を調べてアクションを起こすことでゲームは進行していくが、もちろんただ闇雲に選んでいるだけでは最良の結末へ到達することは中々できないだろう。その鍵はアクションを起こす“タイミング”にあるが、決して複雑なものではない。数分ほどで終わる1プレイを何度か繰り返していれば、自然とどうすれば良いのかが見えてくるはずだ。
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また、本作には何度か繰り返しプレイすることでTipsが開放されていく要素がある。このTipsはタイトル画面から確認することができ、その内容は新聞記事の切り抜きやラジオ番組からのお知らせといったものから、なぜかオンラインゲームのチャットログといった一見すると無関係な情報が存在している。

これらは文字通りヒントとなっているものもあるし、また本編では語られない少年を取り巻く環境を深く知るためのアーカイブとなっているものもある。最良の結末へ辿り着き、Tipsを全て読むことで、この小さな世界の全貌が見えてくるだろう。
 
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筆者としてはなるべく先入観や前知識など抜きで遊んでみて欲しいと思うが故に、あっさりとした紹介になってしまったかもしれない。最良の結末まで辿り着き、Tipsを全て埋めたとしても、おそらく一時間も要しないと思われる。そんなささやかな作品である。

しかし、この作品が扱っているのは、現代社会におけるいくつかの深刻な問題だ。主観としての閉じた本編とそれを補完するTipsにより、短編というよりはショートショートほどの物量にも関わらず、その重苦しさを見事に表現してみせた。プレイヤーが考え、「気づく」ことで心に突き刺さる、秀逸なストーリーテリングをぜひ体験して欲しい。

あなたの一時間はとても貴重だが、それを費やす価値がこのゲームにはあると思うのだ。

[基本情報]
タイトル:『One week, My room』
ジャンル:謎解きアドベンチャー
製作者:こやまなつみ氏,おうる氏(サークル 常夜灯)
クリア時間:1時間(Tips全解除まで)
対応OS:Windows
価格: 無料

ダウンロードは下記より

ふりーむ
http://www.freem.ne.jp/win/game/14961

BOOTH
https://nightlight.booth.pm/items/541520

敵に“憑依”するアクションアドベンチャー『SOULLOGUE』デモ版がEnty支援者向けに配布 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は2Dアクションアドベンチャーのデモ版配布やオープンワールド3Dアクションゲームの公式サイト開設、同人ゲーム表彰イベントの結果発表など6本です。

noitems studio、2Dアクションアドベンチャー『SOULLOGUE』プレイアブルデモをEnty支援者向けに配布

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インディーゲーム開発チームnoitems studioは6日、開発中の2Dアクションアドベンチャーゲーム『SOULLOGUE』(関連記事)のプレイアブルデモを、同チームのEntyの支援者限定で配布開始した(月額150円以上のプランが対象)。本作はWindowsおよびMac向けのリリースが予定されているが、今回のデモ版はWindows用となっている。

『SOULLOGUE』は、憑依することで敵を操り、その能力を使いながら戦闘や謎解きを進めていくのが特徴の作品。今回配布されたデモ版は先日開催された「A 5th of BitSummit」の展示用バージョンに調整等を施したもので、「ゲームに慣れている方であれば5分もかからない程度のボリューム」とのことだが、基本的なシステムやアクションなどを体験することができる。

PhantomIsland、オープンワールド3Dアクションゲーム『SLEEPWALKER』公式サイトおよびファーストトレイラームービーを公開

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ゲーム開発サークルPhantomIslandは8日、オープンワールド3Dアクションゲーム『SLEEPWALKER』の公式サイトを開設した。合わせてファーストトレイラームービーも公開されている。

ハイスピードなコンボアクションと、広大な世界を“翔け抜ける”体験を謳う作品。ムービーではさまざまなフィールドを駆け抜けたり飛翔する様子や、鎌を使ったスタイリッシュなアクションを見て取ることができる。2018年にWindows向けにリリース予定。

「おすすめ同人紹介による同人ゲーム・オブ・ザ・イヤー2016」授賞作発表

同人ゲーム紹介サイトおすすめ同人紹介は4日、同サイトが主催する同人ゲーム表彰イベント「おすすめ同人紹介による同人ゲーム・オブ・ザ・イヤー2016」の授賞作を発表した。

ノベルゲーム・アドベンチャーゲームを中心に、2016年4月~2017年3月に発表された作品から同サイトを運営するみなみ氏がさまざまな部門で作品をノミネートし、授賞作を選考して発表するイベント。「おすすめ同人紹介による同人ゲーム・オブ・ザ・イヤー」は、前身となるイベントも含め今年で10回目の開催となる。

授賞作の発表は東京・水道橋で開催された授賞作発表会にて行われ、みなみ氏による全ノミネート作品の紹介も行われた。発表会には同人ゲーム開発者やプレイヤーが集まり、受賞作の作者からはコメントが寄せられるなど、オンライン配信も含め、同人ゲームファンの交流の機会としても盛況なイベントとなった。発表会の内容は動画でも公開されている。

Novectacle、7月16日に大阪でライブイベントを開催

Novectacleは4日、7月16日に大阪にてライブイベント「The Live in Fata Morgana in Osaka」を開催することを発表し、9日には開催概要を公開した。

Novectacleのノベルゲーム「ファタモルガーナの館」の楽曲の演奏や、同サークル代表の縹けいか氏やイラストレーターの靄太郎氏によるトークなどが予定されている。内容は5月に東京にて行われたイベントと同じものが予定されているが、異なるアレンジなどもあるかもしれないとのこと。

「RPGツクールMV」バージョン1.5.0配信開始、スマホアプリ化サービスとの連携機能が追加

株式会社KADOKAWAは8日、「RPGツクールMV」バージョン1.5.0の配信を開始した。

本バージョンでは同日提供が開始されたクラウドサービス「Monaca for RPGツクール」との連携機能が追加。同サービスを利用すると、「RPGツクールMV」製のゲームを簡単にAndroid/iOSアプリ化できるという。「Monaca for RPGツクール」は有償サービスで、2週間の無料トライアルが用意されている。

バージョン1.5.0ではそのほか、リソース読み込みの失敗時にリトライする機能の追加や、メモリ管理の改善、不具合の修正などが施された。なお、オープンソースで開発されているコミュニティ版コアスクリプトのバージョン1.2cをさらにデバッグしたものが組み込まれているとのこと。

Home Security Company、『星詠みの紡ぐ詩』背景制作担当および先行プレイヤー募集

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ゲーム開発サークルHome Security Companyは4日、現在開発中のノベルゲーム『星詠みの紡ぐ詩』の背景制作担当および先行プレイヤーの募集を開始した。 背景制作についてはデジタル・アナログを問わず、また「写真素材の提供などでもありがたい」とのこと。

『星詠みの紡ぐ詩』は、ある「異変」により大きく変容した世界を舞台にしたノベルゲーム。同サークルの過去作『Colors/Forest』『春へと続く丘』と共通の世界観で、特殊な能力を持つキャラクター達の姿が描かれる。現在「Episode1」が公開されており、「Episode2」以降が開発中となっている。

空気が無くなるまでの数分間を味わう“俳句型”短編ゲーム『Orchids to Dusk』

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現在、ゲームはとても多様化している。敵と戦いながら冒険するゲームやキャラクターの成長や物語を楽しむゲームといった昔ながらのゲームも沢山あるが、一方で「何もせず放置するゲーム」や「リアルで歩くゲーム」「見知らぬ誰かに手紙を送るゲーム」など、旧来のゲームという枠組みを越えた作品も多く出てきている。

今回紹介するタイトルもそういった「枠組みに囚われない」タイプの作品だ。

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ただ「死ぬ」だけのゲーム

『Orchids to Dusk』は、数分ほどのプレイで終わる短編ゲームだ。プレイヤーは宇宙飛行士。宇宙船が墜落して見知らぬ星に不時着するところからゲームが始まる。その星には空気も文明もなく、宇宙船は大破。宇宙服の空気はあと数分しか持たない。助かるのは絶望的な状況…。

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もう少し正確に言おう。プレイヤーは絶対に助からない。延命する方法すらもない。

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↑唯一の可能性である宇宙船もすぐに大破してしまう。

プレイヤーは酸素が尽きるまでの数分間、その星をさまようことになる。絶対に助からないということがじわじわと突きつけられていく状況の中で、どこに行き、何を見て、どうやって死ぬのか。「死ぬまでの数分間」を体験するゲームなのだ。

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まるで俳句のような作品

このゲームにはいわゆるゲームらしい競技性や攻略性といった概念はない。プレイヤーができることは、ただ星をさまよって、死を迎える、それだけだ。物語が語られることもなく、深い世界設定をがあるわけでもない。

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しかし一方で、寂しげながらに美しい風景や、プレイヤーの行動で変化する幻想的なBGMと環境音などによって情緒溢れる体験を味わえる。また、施された「とある」仕掛けにより、意味が分かるとハッとなるような要素もある。既存のゲームを「映画」や「小説」とするなら、このゲームは「俳句」に近いもの、と筆者は感じた。

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良さが分からない人には分からないが、その一方で深く感動できる人もいるはずだ。少なくとも筆者は後者の方であった。

『Orchids to Dusk』は購入者が価格を自由に決められる販売方式で、あなたが望むならば無料でダウンロードすることも可能だ。起動からクリアまで10分以内に終わるし、難しい要素も一切ないので、軽い気持ちでプレイしていただけると幸いだ。夜寝る前のゆったりした時間にプレイするのがピッタリだろう。

楽しむためのヒント

ネタバレにならない範囲で、このゲームを楽しむためのヒントを2点ほどお伝えしておきたい。

このゲームは公式の説明文に書かれている通り、ネット接続環境が必須な「オンラインマルチプレイゲーム」である。
プレイヤーは歩くだけでなく、数秒間立ち止まることで「座る」ことも可能である。

また、自分がもし同じ立場になったらどうやって死を迎えたいか考えながらプレイしてみるとより楽しめるかもしれない。

先ほど「自由に価格を決められる」と書いたが、ゲームをプレイした後でもお金を支払うことが可能だ。もしプレイして心打たれたならば、再度購入ボタンを押してクリエイターにお金を届けてあげるとお互いに幸せになれるだろう。

[基本情報]
タイトル:Orchids to Dusk
制作者:Pol Clarissou
プレイ時間:10分程度
動作環境:Windows / Mac / Linux
価格:0円以上(ユーザーが任意に決められる)

ダウンロードはこちら
https://polclarissou.itch.io/orchids-to-dusk

歴史上の大合戦からスパルタVSペンギンまで。大規模戦闘シミュレータ『Ultimate Epic Battle Simulator』で自分だけの戦場を演出せよ!

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夏が近づいているのを感じる近頃。あまりの暑さにエアコンのスイッチを入れてしまった人も多いだろう。そしてここに梅雨まで被さってくる。何とも憂鬱な季節だ。

ああ。こんな辛い季節は何も考えず気楽に笑ってスカッとしたい!いやいや。快適な室内にこもってじっくり自分の世界に浸りたい!憂鬱な余暇をいかに過ごすか。意見の分かれるところだろう。
 
今回はそんなまるで違う欲求二つをどちらも解決できる作品『Ultimate Epic Battle Simulator』を紹介しよう。

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『Ultimate Epic Battle Simulator』はカナダ人のRobert Weaverさんが一人で切り盛りしている個人ディベロッパー「Brilliant Game Studios」が開発しているシミュレータだ。ゲーム配信プラットフォームSteamにて1,580円で販売されている。

本作は多くのインディ作品同様、Unityで開発されている作品だ。だが、Unityエンジンを本作のため開発者自らチューンしているのがすごい。さらに、たくさんのユニットで複雑に反射する光を再現するため、わざわざ専用のライティングシステムを開発して実装している。

「Brilliant Game Studios」は以前よりUnityのアセットを開発、販売している実績がある。その技術がいかんなく発揮された作品と言えるだろう。

スパルタ兵VS1万のペンギン?究極の多人数戦をシミュレート!

早速内容の説明に移ろう。最初に断っておきたい。この作品はゲームではない。シミュレータと名の付くゲームがたくさんあって誤解を招いてしまいそうだが、本作は正しい意味でのシミュレータだ。

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『Ultimate Epic Battle Simulator』は、プレーヤーがマップ上にいくつかの部隊を配置し、これら部隊をぶつけあわせて戦闘を起こし、その様を眺めるシミュレータだ。ユニットに憑依して操作することもできなくはないが、基本はAIが動かすユニットを眺め、巻き起こる戦闘を眺めて楽しむ作品である。
 
ユニットの種類は早期アクセス中とあってまだまだ種類は少ないが、米軍や中世の騎士、スパルタ兵、はてはペンギンやチャック・ノリスまでバラエティ豊かに揃えられている。
 
……これだけ聞くと、ユニットで笑いを狙った一発ネタと感じる人もいるだろう。

待ってほしい。本作の強みはそこではない。配置できるユニットの規模がとてつもなく巨大なところなのだ。

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見よ!300のスパルタ兵が10000のペンギンと対峙するさまを!なんとバカバカしく、すさまじい光景か。本作で配置できる部隊の規模は100ユニットや200ユニットは当たり前、1000の兵隊だろうが10000のペンギンだろうが、制限なくに配置することができる。300のスパルタは果たして10000のペンギンに勝てるのか?本作ならこんなミラクルマッチを実現し、その結果を知ることができるのだ。

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1万を超えるユニット数を同時に、しかもAIで自動制御できるソフトというものはそうあるものではない。映画用の群衆シミュレータが本作の類似ソフトになるのだろうが、それらはあくまでプロユースだ。個人が使って遊ぶような代物ではないし値段ももっと高額になる。これだけのユニット数を自宅のパソコンで自動に戦わせることができる。これがこの作品の最大の特徴だ。

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もちろん人数が増えれば増えるほどPCスペックが要求される。が、本作はこれだけの処理をしているにしては意外に軽く、ある程度のスペックがあれば超大規模戦闘を自宅のPCで楽しむことができる。Steamストアページの必要最低スペック欄によれば、Intel Core i5 4590かAMD FX 8320以上、メモリ8GB以上、グラフィックはAMD Radeon HD 5770 1024MB、 NVIDIA GTS 450 1024MB、Intel HD4000以上で本作は動作する。最低スペックとしてみると少し要求は高いかもしれないが、十分手の届く範囲だろう。

奇跡のマッチアップから軍師ごっこまで、遊び方はユーザー次第

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先ほどスパルタとカンガルーの戦いをお見せしたが、やはりこのゲームの大きな魅力のひとつはこうした超多人数による異種格闘戦だろう。WW2米軍とファンタジー世界のオークがぶつかったらどうなるのか?中世騎士とスパルタ、それにローマ兵が三つ巴の激突をしたら?本作はこうした素朴な好奇心にすぐさま応えることができる。

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T-Rexにカンガルー、ドワーフにタンスなど、どんどんとユニットの種類が追加されているのも素晴らしい。今後も様々なユニットが追加され、さらなる異種格闘戦が実現できるはずだ。……タンスってなんだよ。

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また本作にはユニットのステータスを調整し、オリジナルのユニットを作る機能が実装されている。通常よりマッシブな性能の兵士で大隊に挑んだり、足が速い戦士と攻撃が強い兵士をぶつけてみたり、デフォルトだけでは実現できない様々なシチュエーションをこの機能を使うことで実現することができる。

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もちろん信じられない性能のユニットを作ることもできる。超高速で移動する騎士、近接攻撃を90%カットする怪物、銃からカタパルトの岩で発射する米兵も制作できる。この機能でさらに好奇心を揺さぶるミラクルマッチが実現できるだろう。

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さて、本作のありえないマッチアップの楽しさは十分伝わっただろう。本作のこういった側面はユーザーがアップした動画などで広く知れ渡っており、ご存知の方も多いかもしれない。だが、本作の楽しさはそれだけではない。部隊の陣形やユニットの設定を細かく設定できるのだから、より細かく設定することで自身の思い描く戦場をつくることができる。自分好みの陣形、戦術で戦争を起こせるのだ。これが楽しくなくてなんなのだ。……え?わからない?

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ゲームからは少し離れた話になるが、陣形の話をしよう。100の米兵と5000のニワトリを戦わせるとする。このとき米兵を何も考えず配置すると

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ニワトリ5000匹に押し切られ負けてしまう。

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これを陣形を横隊にして迎え撃ってみると、

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先ほどはあっさり押し切られた5000の大群に勝つことができる。このように数だけで勝負がつかないのが陣形の面白さである。ここに地形などの要素も絡んでくるのだからさらに面白い。
 
大量の数をぶつけられることがこの作品の大きな強みだ。そこにプレーヤーの思い描くシナリオ、陣形、戦術が加わることによって、戦場はより楽しいものになってくる。

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傷ついた小隊に敵が襲いかかったところに騎兵隊が助けに来るというロマンあふれるシナリオを実現したり、城に陣取った敵にどういった戦術で挑めば勝てるのかいろいろ試したり、悪魔の軍団に打ち勝つミラクルチームを結成したり。

本作はシミュレータだ。ゲームとしての目的がないただのツールだからこそ、ユーザー次第で様々な遊び方、使い方ができる。シチュエーションを作り、軍師になって戦略を練るもよし。ありえないマッチアップで笑うもよし。

ついにフルリリース!究極の戦いをプロデュースせよ!

早期アクセス時代からネットを賑わせ注目を集めていた本作だが、先日の6月1日、ついにフルリリースとなった。待望されていたマップの追加、ゴッドモード、ユニットへのラグドールフィジックス追加などなど、多くの追加要素を引っ提げてのフルリリースだ。もちろんユニットも多く追加され、楽しみの幅もぐっと増えた。ユーザーのアップした動画を見て気になっていた方はぜひこの機会に買ってみるといいだろう。

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フルリリースされたとはいえ、まだまだv1.0。開発は今後もアップデートを継続するとしている。追加されたゴッドモードはアビリティが少ないし、部隊への命令を細かく出したいし、もっともっといろんなマップやユニットがほしい。わがままな要求だとはわかっているが、様々な遊びを楽しむにはさらなる機能強化が必要だ。今後のアップデートに期待したい。

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他では絶対見れないミラクルマッチに笑うもよし。自分だけの戦場にのめり込むもよし。それぞれが好きなように楽しめるシミュレータで、楽しい余暇を過ごしてみるのはどうだろう?迫りくる梅雨。ジメジメムシムシに憂鬱な季節に、楽しい作品で戦略的に勝利しよう。

[作品情報]
タイトル 『Ultimate Epic Battle Simulator』
制作者 Brilliant Game Studios (制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows Vista以上
プレイ時間 なし
価格 1,580円(早期アクセス)

購入はこちらから


フリーゲームRPG『アンダルシアの森』 魔法少女がコツコツとアイテム作りに励む

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「SMILE GAME BUILDER」は、ゲーム開発会社のスマイルブームより販売されているRPG制作ソフトだ。プログラミング不要で3DマップのRPGを生み出せるという手軽さが備わっている。今後はVRに対応していく予定で、柔軟なゲーム開発ツールとしても期待が高まる。

フリーゲーム制作者による「SMILE GAME BUILDER」の制作実演記事
SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第一回:Qpic『スーパーフックガール外伝』①。
SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第4回:カナヲ『虚毒ノ夢』①

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『アンダルシアの森』はMickeysmith氏により公開されたSMILE GAME BUILDER製のフリーゲームだ。ひたすら材料を採ってきてアイテムを合成していくことがメインの、小規模なアトリエ系RPGとなっている。早速紹介していきたい。

あらゆるものが調合で生み出される

とある森に一人で住んでいる魔法少女、アンダルシア。長らく行方不明となっている魔女の母をずっと待ち続けている。13歳の誕生日を迎えたアンダルシアは夢の中で母の声を聞き、そして家の中には奇妙なイスが置かれていた。その不思議な現象の正体は、母が仕掛けていた魔法によるものであり、一人前の魔女になるための試練が用意されていたのである。アンダルシアは試練を乗り越えるべく冒険を繰り広げていく。
 
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アンダルシアと一緒に暮らす使い魔のコウモリ、モリ太。冒険やアイテム合成のヒントをくれる。

試練の初日、突然現れたしゃべるイスに驚きを隠せないモリ太であったが、しゃべるコウモリもいかがなものか。ほのぼのとしたキャラクター達がコミカルな会話をしていく。

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まずは家の近くを歩き回ってみよう。

探検していくと橋が壊れていたり、大雨が降っていたりして困った問題が出てくる。それを解決するために材料を集め、家にある壷を使って必要なアイテムの調合をしていく。材料は釣りや伐採、戦闘により入手できる。この繰り返しがゲームの基本的な流れだ。

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戦闘にて魔法を使うアンダルシア。魔法は探索時の困った問題を解決するときにも使える。

アンダルシアが暮らしている場所ではお金というものがなく、魔法書を買って簡単に魔法を覚えることはできない。魔法習得にも、アイテムの調合が関わってくることになる。さらには装備品や頼りになる味方キャラも、調合により生み出される。

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食料を食べてステータスを上げよう。

卵や魚といった食料については、キャラクターの育成に使用する。ひたすら食べて戦闘を有利に進めよう。ついには魔法を使うまでもなく、杖を一振りしただけでモンスターをノックアウトしてしまうことも。

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手ごたえのある3Dダンジョンの中を、覚えた魔法を使いながら攻略していく。

調合して出来上がるアイテムすべてにレシピが用意されているわけではなく、手探りで未知の物を作り出していく面白さもある。のほほんとした日々を過ごしながら、コツコツとアイテム作りに励んでみてはいかがだろうか。

[基本情報]
タイトル:アンダルシアの森
制作者:Mickeysmith
プレイ時間:5時間程度
動作環境:Windows
価格:無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14786

3Dバトルも体験可能!プログラミング不要、3DのRPG制作ツール「SMILE GAME BUILDER」新体験版が配信

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株式会社スマイルブームは、3Dの世界を冒険するRPG制作ツール「SMILE GAME BUILDER」の新体験版を、2017年6月15日より配信を開始することを発表した。

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SMILE GAME BUILDERは、3Dの世界を冒険するRPGを作成できるツール。本ツールの特徴は「プログラミングを必要とせずに、マウス操作で直感的にゲーム作れること」だ。現在、ゲーム配信プラットフォーム「Steam」にてダウンロード可能となっている。

今回新たに配信される本ツールの体験版は、旧体験版で必須であったSteamアカウントの取得が不要となっている。2016年8月26日より配信している旧体験版の期限が切れにいる方も利用可能とのこと。言語は、日本語版と英語版に対応。

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ストーリー進行の会話やアイテムの入手、ボスバトルなど全てのイベントは「イベントパネル」という命令を組み合わせて制作可能。作ったイベントは即時実行して確認ができる。

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表現力を向上させる機能として、従来からの機能である2Dバトルシステムに加え、3Dバトルシステムの実装が追加。自由にカメラワークを設定することもできる。

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またゲーム内の3D空間内において、カメラ位置を自由に設定できる事により、特定のキャラクターに寄ったり、カメラを引いてマップ全体を見たり、主観視点にしたりというような視覚演出も可能。

また発表に伴い、SMILE GAME BUILDERの操作方法などを説明した動画が、動画配信サービスサイトYouTubeのチャンネル「SMILE GAME BUILDER」から視聴することができる。

新体験版の仕様と機能、制限事項は以下の通り。

新体験版の仕様と機能

  旧体験版 新体験版
Steam会員登録 必要 不要
SMILE GAME BUILDER体験版単体での利用 ×
オフライン環境での利用 ×
3Dバトルシステム機能 ×
カメラの自由制御 ×
2Dキャラクター、3Dモデル、サウンドなど各種素材の追加 × ○(最大3つまで)
マルチビューカメラシステムの搭載
製品版へのゲームファイル引継ぎ
製品版同様の3Dマップ制作
製品版における全てのイベントテンプレートの使用
製品版における全てのパーティクルエフェクトの利用

SMILE GAME BUILDER新体験版の制限事項

・公開用ゲームデータの作成の機能制限。
・テストプレイ実行時のロゴ表示。
・マップの新規作成、マップサイズ変更の制限。(1ゲームにつきマップは5つまで)
・体験版に収録されているSGBクエストは、製品版とは内容が異なる。
・グラフィックや音楽などの収録素材数の制限。
・体験版の使用期間はワンタイムコードの認証が成功してから30日間。体験版で作成されたゲームのデータは、製品版で読み込むことが可能。

ソフトウェアの概要

SMILE GAME BUILDER体験版

配信開始日 2017年6月15日
ダウンロード 日本および、海外
価格 無料
チャネル SMILE GAME BUILDER公式サイトおよびSteam
動作環境 OS:Microsoft Windows7/8/10 日本語版(32/64bit版)
必須/推奨動作環境 製品動作環境ページ http://smilegamebuilder.com/jp/system-requirements/

公式サイト
http://smilegamebuilder.com

公式ツイッターアカウント
@Smileboom_SGB

YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCprqrEk5NwuL7KsMRQ2RLgg

ブースト移動で要塞を探索!ASTRO PORTの新作アクションSTG『ロケットロン』体験版公開 ほか ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はアクションSTGやアクションパズルの体験版公開など9本です。

ASTRO PORT、アクションSTG『ロケットロン』体験版公開

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ゲーム開発サークルASTRO PORTは15日、アクションSTG『ロケットロン』の体験版を公開した。

メカメカしい2Dドットグラフィックや、作り込まれたステージデザインが魅力のアクションゲームやシューティングゲームを多数リリースしている同サークルの最新作。ロケット噴射による高速移動や短時間の飛行が可能な主人公を操作して敵の大要塞を攻略していく内容で、ロケット強化により噴射時間が延びて行動範囲が広がるなど、探索アクションゲーム的な要素も備えている。さまざまな武器を入手し、切り替えながら利用できるのもポイントだ。

体験版では最初のエリアの一部をプレイ可能で、ボス戦も収録されている。完成版はコミックマーケット92(夏コミ)での頒布が予定されている。

ノンリニア、パズルゲーム『ころころぼっくす』v2.0フリー公開

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同人サークルノンリニアは14日、パズルゲーム『ころころぼっくす』の最新版v2.0を無償公開した。

『ころころぼっくす』は、各面に色の付いた箱を、面の色と床の色が重なるように転がしていき、すべての床を1回ずつ通ることでステージクリアとなる一筆書き系のパズルゲーム。v2.0ではステージが自動生成される「ふりーぷれい」モードが追加された。

デスモフモフの横スクロールシューティングゲーム『ネコネイビー』のSteam配信が開始

ゲーム製作サークルデスモフモフのシューティングゲーム『ネコネイビー』のSteam配信が、15日に開始された。

『ネコネイビー』は今年1月にリリースされた、ネコが主人公の横スクロールシューティングゲーム(紹介記事)。Steam版では多言語対応が施されたほか、実績やワールドランキングなどが追加されている。

なお本作には無料版『コネコネイビー』もあり、こちらは難易度HARD(3段階のうち真ん中)のみ選択可能でコンティニュー不可だが、最後までプレイ可能という仕様になっている。

JumpGun! Project、2Dアクションパズルゲーム『JumpGun!』最新体験版公開

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JumpGun! Projectは10日、開発中の2Dアクションパズルゲーム『JumpGun!』の最新体験版を公開した。

当たったものをジャンプさせる銃『ジャンプガン』を利用し、反射させた弾を自分に当ててジャンプしたり、敵を浮かせて通り抜けたりしながらステージをクリアしていく作品。2013年から開発が続けられている。今回公開された体験版は、先日大阪で開催された同人ゲームオンリーイベント「同人ゲーム.fes 2017」で展示されたバージョンとなる。

えーでるわいすの稲作シミュレーション&探索コンボアクションゲーム『天穂(てんすい)のサクナヒメ』E3トレイラーが公開、PS4でのリリースが発表

えーでるわいすが開発中の稲作シミュレーション&探索コンボアクションゲーム『天穂のサクナヒメ』のE3 2017トレイラームービーが公開された。PCのほかPS4でのリリースが発表され、2018年リリース予定とされている。また、同サークルによるとコミックマーケット92(夏コミ)にて最新の体験版を頒布予定とのこと。

AECRNIA、3D横スクロールアクションゲーム『ELMIA』紹介動画公開

AECRNIAは12日、3D横スクロールアクションゲーム『ELMIA』の紹介動画を公開した。

少女と妖精を同時に操作し、妖精の位置へ少女をワープさせられるシステムが特徴の作品。コミックマーケット92(夏コミ)にて頒布予定となっている。作品公式サイトではデモ版も公開されている。

趣味工房にんじんわいん、『フルオーケストラ RPG GAME音楽素材集vol.04 【遺跡】』ダウンロード販売開始

フリーゲームRPG『ネフェシエル』『イストワール』の楽曲担当としても知られる音楽製作サークル趣味工房にんじんわいんは16日、『フルオーケストラ RPG GAME音楽素材集vol.04 【遺跡】』のダウンロード販売を開始した。

収録楽曲は全曲新作で、MP3ファイルのほか、ループ処理が施されたOgg Vorbisファイルが同梱されている。ゲームのBGMとして、無報告、クレジット無しでの使用が可能とのこと。

Novectacle、ライブイベント「The Live in Fata Morgana」大阪公演チケット販売開始

Novectacleは10日、ライブイベント「The Live in Fata Morgana in Osaka」のチケット販売を開始した。

Novectacleのノベルゲーム『ファタモルガーナの館』の楽曲の演奏や、同サークル代表の縹けいか氏やイラストレーターの靄太郎氏によるトークなどが予定されている。5月には東京で「The Live in Fata Morgana」が開催されており、今回はその大阪公演として、関西で初のライブイベントとなる。イベントの内容は基本的に東京公演と同じものが予定されているが、異なるアレンジなどもあるかもしれないとのこと。

ふりーむ!、作品へのレビュー投稿により制作者とレビュー投稿者に米や米菓が当たる企画「コメ騒動」 を開催

フリーゲーム投稿サイトふりーむ!は14日、レビュー投稿企画「コメ騒動」を開始した。

ふりーむ!に投稿されているゲームへレビュー(コメント)を投稿することで、レビューされたゲームの制作者には米5kgが、レビュー投稿者には米菓が抽選で当たるという企画。6月14日0時から7月31日24時までに新規投稿されたレビューが企画の対象となる。とくに応募手続きなどはなく、レビュー投稿を行うと自動的に抽選対象となる仕組み。当選者には8~9月頃にメールで通知が送られるとのこと。

直球でお手軽、誰でも遊べるほんわか系ステルスアクション『まるとさんかく』

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敵の視界に入らないよう、隙をついて動き、目標を達成する。「かくれんぼ」という、伝統的な遊びから発展したステルスアクションゲームは、KONAMIより発売されたメタルギアシリーズを機にメジャーな存在となり、今日ではゲーム全体にアクセントを加える要素の一つにまで発展した。

しかし、「見つかったら最後」というシビアなルールとそれによる緊張感などから、ハードルの高い遊びという印象も根強く、人によって好みが大きく分かれる側面がある。
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そんなステルスアクションを誰もが手軽に遊べるよう、人を選ばないように作った作品が今回紹介する『まるとさんかく』だ。個人開発者のなかなか氏が制作。2017年4月にiOS、Android向け無料アプリとしてリリースされた。
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なんとビックリ、主人公の恋人が敵に連れ去られちゃった!
助けに行きましょう!

以上、ストーリー紹介終わり。

内容も敵に見つからないように主人公を動かし、ゴールにたどり着けばステージクリアとなる、直球の横スクロール型ステルスアクションゲームである。そして、直球ならではの「ハードルの低さ」を最大の売りとしている。

「気づかれなければ正義!」のご意見無用・突っ込み上等のお手軽設計

「ハードルの低さ」を象徴するのが、敵をやり過ごす方法。
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視界に入らない。
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帽子の中に隠れる。

それだけ。
このたった二つの動作で、ステルスの醍醐味を楽しめてしまうのだ。
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特に二番目の「帽子の中に隠れる」は非常に強力で、この状態になれば絶対に気づかれない。敵が近くを横切ろうが、その場に留まろうが絶対に気づかれない。さすがに隠れる直前、敵に気づかれてしまった時は別で、その場合は例え隠れようが見つかってミスになってしまうが、気づかれてない状態で隠れれば無敵。段ボールの要領で、敵が帽子を「スポッ」と取り上げ、「あっ」となることもない、安心・安全の状態になれてしまう。
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また、気づかれていなければ、敵を後ろから押すこともできる。そのまま段差に落としてしまえば、その場所は誰にも襲われる心配のない安全地帯になる。押している最中に敵がプレイヤーの存在に気づくこともないし、段差から落とした後、その場に戻ろうとする行動に出ることも絶対にない。段差から落ちたところにある、場所を巡回するようになるだけ。
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まさに「気づかれなければ正義」。強力な隠れ技と押し出し技、(いい意味で)警戒心の低い敵によって、ご意見無用・突っ込み上等の立ち回りで、手軽にステルスアクションを楽しめるのである。

「見つかったら最後」というシビアなルール、緊張感あってこそのステルスアクションだが、逆にそれがゲームとしての難しさ、息苦しさを醸し出し、プレイヤーを選んでしまう。今作はその緊張感を薄くして、シビアさを除外。敵をやり過ごし、あざむくという最も面白い部分を集中的に楽しめる作りを実現させている。
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シンプルな操作性とその使い勝手の良さもその魅力を引き立てる。スマホのゲームらしく、バーチャルパッドを使ってプレイヤーキャラクターを動かすのだが、パッドとして用意されたボタンは左右の移動、隠れるの三つだけ。それら以外の操作は一切求められず、段差を飛び越えるジャンプも自動で行ってくれるので、驚くほど自然にキャラクターを動かせる。

各ボタンの配置も的確で、動かすのに煩わしさは感じさせないし、キャラクターがボタンと重なってしまわないよう、レイアウトにも気を配っている。バーチャルパッドを使う横スクロールアクションと聞くと、抵抗を覚えるプレイヤーも少なくないと思われるが、実際に触ってみれば、その使い勝手の良さが分かるはず。ボタンを絞り込んだなりの強み、そして僅かな操作であってもステルスアクションの面白さは失われないことを実感させられるだろう。

「右肩上がり」を綺麗に表現した難易度と起伏に富んだステージ

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舞台となるステージもシンプルながら、地形から敵の配置まで、工夫を凝らした作りになっていて、やり応えは十分。基本、敵に気づかれず、ゴールにたどり着くことの繰り返しだが、凸凹の激しい道を進んだり、エレベーターとその先にいる敵の動きを見極めながら行動していくなど、起伏に富んでいるのもあって、単調な展開になりにくい。
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敵も決まった地点を左右に移動し、巡回するタイプだけじゃない。ある程度ゲームが進むと、高速で移動するタイプ、どこかのチョロチョロするモグラみたいに地中から現れる不意討ちタイプも登場。中でもモグラタイプは、出現によって巡回している敵の数が増えることにも繋がり、簡単に突破できそうと思った道が急に難しくなったりする。更にゲームが終盤に入ると、各種の敵が連携する形で現れ、それぞれの動き方を読んで慎重に動いていく、ステルスアクションらしいスリリングな展開が繰り広げられたりも。
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たった二つのアクションで敵をやり過ごす基本的な内容からは想像もつかない作り込まれた構成には、アクションゲームが好きなプレイヤーほど唸ること請け合い。「右肩上がり」を文字通り表現した、序盤から終わりにかけての難易度の上昇も素晴らしく、「隠れてやり過ごす楽しさ」をストレスなく楽しんでもらいたいという制作者の配慮が見え隠れする。
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救済措置として10秒間、相手に気づかれないようにするお助け機能も実装し、豪快に進めて行きたいというプレイヤーの欲求に応えてくれる余地が作られているのも特筆に値する。それらの難易度から細かい配慮からも、「ハードルの低さ」への強いこだわりを感じさせられるはずだ。

ほんわかとした世界で、ステルスアクションの緊張感を

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ただ、一つ難点を言ってしまうと、ボリュームが少ない。ステージの数こそ30あるのだが、クリアするのに1分もかからないので、順調に行けばエンディングまでは30分ぐらいで行けてしまう。高難易度のステージも用意されてなく、ステルスアクションに手慣れたプレイヤーほど物足りないと感じやすい密度になってしまっているのも惜しい。
一応、今後のアップデートでステージの追加が検討されているようなので、願わくばそう言ったプレイヤーの欲求を満たす余地が確保されることに期待したい。
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そう言ったボリューム面の粗があるが、「気づかれなければ正義」を貫き通したゲームルールは痛快で、ステージごとの作り込み、難易度調整も丁寧。キャラクター、世界観もほんわかとしていて可愛らしく、デザインのシンプルさもあって、子供のプレイヤーが落書きで描きたくなる魅力に満ちている。

ステルスアクションにおいて、どうしても寄り添ってきてしまう暴力・出血表現も一切ないし、心臓が「ドキッ!」とするような演出もない。ついでに言うと、ストーリー上で説教されることもない。こんなゲームで説教されたら子供どころか、おじさん、おばちゃんも泣いちゃいます。

ステルスアクションに硬派な印象を持ってしまっている人にこそ遊んでみて欲しい、万人向けステルスアクションゲームの決定版。気軽に敵をあざむく快感を味わいたいなら、ぜひ、今作をお試しいただきたい。そして、素晴らしきステルスアクションの世界に足を踏み入れてみよう。

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[基本情報]
タイトル: 『まるとさんかく』
制作者: なかなか
クリア時間:30分~1時間
対応OS: iOS、Android
価格: 無料

ダウンロードはこちらから
https://itunes.apple.com/jp/app/%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%8F/id1225089688?mt=8

https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.pronama.Marusannkaku
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ギリシャ神話の女神が銀河を駆ける!?レースゲームじゃないようでレースゲームな怪作『The Next Penelope』

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ストイックさとスピード感を併せ持つレースゲームは昨今、縮小傾向にある。かつては『F-ZERO』、『WipEout』と言った作品が人気を博していたが、いずれも人気に陰りが現れ始めるなどして、新作が出なくなってしまった。

後者は先日、旧作三本をまとめたリマスタータイトル『WipEout Omega Collection』が販売され、シリーズは辛うじて存続しているが、前者に関しては停止状態にあり、主人公格のキャラクターは今やゲームではなく、お昼のランチの人として知られるようになっている状況だ。
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『The Next Penelope Race to Odysseus』は、そんなレースゲームの系譜を汲みつつ、一石を投じる試みを行った作品である。開発はフランス在住のゲーム開発者、Aurelien Regard氏。氏は国内ではニンテンドーDS向けに発売された『BRICKDOWN ブロックくずしのフランス革命やぁ~!(販売元:サクセス)』、プレイステーション3、Xbox 360、Windows PC向けに発売された『地獄だい好き Hell Yeah!(販売元:セガ)』などで知られるゲーム開発会社Arkedo Studioの設立者の一人で、今作ではゲームデザイン、プログラム、音楽まで、ほぼ全てを一人で手掛けた。

宇宙船型のマシンを操縦し、2Dの見下ろし視点で構築されたサーキットを駆け抜けるレースゲームというのが大まかな内容。しかしてその実態は「レースゲーム…?」と、誰もが首を傾げてしまうこと確実なものになっている。

ジャンルの常識に捉われない、何でもありな要素を詰め込んだレースゲーム

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基本的なルールは、ライバル達との順位争いに挑み、上位入賞を目指すというもの。まさにレースゲームである。だが、今作においてそのルールは「コースの一つ」に過ぎない。
 
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一体、どういうことか?実は今作は、複数のコースで構成された「惑星」を攻略していく形で本編が進む。そのコースの中に、先のレースゲームお馴染みの順位争いが含まれているのだ。
「コースの一つ」なら、他に違ったコースがあるのかと言えばその通り。そして、それらこそが思わず首を傾げてしまうようなものなのである。どんなものか、その一部を紹介すると、
 
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自機を飲み込もうと、後方から迫りくる怪物から逃げたり、
 
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巨大な虫を捕獲したり、
 
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ゴースト(本物)と共に無人のコースを駆け抜けたりなど。

単なる順位争いに留まらない、ハチャメチャな展開が繰り広げられるのだ。
 
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また、本編のワールドに絡まない独立したコースも用意されているのだが、こちらは更にぶっ飛んでいて、自機を操縦してホッケーをしたり、コース上に散らばるコインを回収し続けると言った、「レースは何処へ!?」なシチュエーションの連続。
 
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更に惑星の最後にはボス戦が展開されるのだが、その内容もレースゲームだから順位争いをする…というものではなく、普通に殺るか殺られるかの真剣勝負。相手の攻撃を掻い潜りながら自機に実装された攻撃用の装備を使い、ダメージを与えていくという、レースゲームらしからぬ戦闘が繰り広げられるのだ。もちろん、自機にも耐久力が設定されているので、敵の攻撃を受けて空になってしまえば大破し、ゲームオーバー。力押しで乗り切ることもできない。

そんな順位争いと文字通りの戦闘を繰り返していくのが今作の詳細な内容。レースゲームでありながら、シューティングあり、アクションありの常識外れなゲームデザインを売りとしているのである。それもあって、プレイすればほぼ誰もが衝動的に首を傾げたくなる斬新としか言い様がない、レースゲームのような「なにか」に仕上がっている。

複数の装備、成長機能まで搭載した風変わりなマシン

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プレイヤーが操縦するマシンも一線を画している。というのも、アクセルとブレーキが無い。自動的に走行するのだ。その為、プレイヤーはカーブを曲がる際のハンドリングに集中するだけでいい。
 
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また、自機には攻撃などを実施できる「装備」が搭載されている。「ブースト」、「ショット」、「機雷」、「テレポート」、そして「クリスタル」、「フック」の六種類があり、ゲームの進行に応じて一つずつ習得されていく。また、一連の装備を使うと、自機の耐久力を指す「エナジーゲージ」が減少し、乱用すればするほど、自機が大破する危険が増していく。その為、順位争いにせよ、ボス戦にせよ、状況を見計らった活用と制限を心がけて使わなければならない。安易な力押しを許さないバランス調整が図られているのだ。
 
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常識外れなレースの数々のみならず、このように自機も強烈な個性付けが施されていてインパクト抜群。また、使う度に「エナジーゲージ」を消費するシステムは、任天堂の『F-ZERO(F-ZERO X)』っぽさ全開。他にもエナジーゲージの回復を行う「ピットエリア」、順位争いにおける一周目時の装備ロック(及び、二周目以降からのアンロック)など、同作を髣髴とさせる要素はあるので、経験者ならばニヤリとしてしまうこと請け合いだ。
 
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装備に関してはもう一つ、コースを攻略する度に獲得する「XP」を割り振り、強化を図るアップグレードの要素もある。当然ながら、強化すればレースを有利に展開していけるようにもなり、実力での対処が厳しい所をカバーすることができる。そんなロールプレイングゲームな遊び方で楽しめるのも、今作の魅力。
そして、「これレースゲームなの…??」と思わず首を傾げる戸惑いと驚きを味わえるのだ。

ここでしか味わえない、唯一無二のレースバトルがある

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様々な要素をごった煮の如く盛り込みながら、そのレース一つ一つが違和感なく遊びとしてまとまっているのも見事。それに貢献しているのがストーリーで、様々な惑星を巡っていくという設定が展開の多彩さにマッチしている。
 
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肝心の内容も主人公のペネロペが夫のオデュッセウスの行方を捜すべく、銀河を駆けるというギリシャ神話をモチーフにしたもので、それにちなんだネタが豊富に盛り込まれている。終盤の展開も、まさにストーリーがあってこそ、と言わんばかりの常識外れなものになっていて、思わず「なにこれ!?」と声を上げてしまうこと必至。同時に「レースゲームなの…?」という違和感も(お約束のように)爆発するだろう。
 
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ここまで魅力を中心に語ってきたが、ゲームの難易度は高い。通常の順位争いにせよ、ボス戦にせよ、常にデッドヒートと死闘が繰り広げられる。アップグレードによる強化を図っても多少、楽になる程度なので、レースゲームに苦手意識のあるプレイヤーには、残念ながらお薦めできない。
 
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しかし、そんなプレイヤーでも一度は体験するべき唯一無二の遊びが今作には詰まっている。『F-ZERO』などのストイックさとスピード感を特色にするレースゲームの伝統を踏襲し、革新的な遊びを盛り込んだ、まさに怪作と言うに相応しいこの作品。競争は飽きた、昔ながらのストイックな駆け引きを味わいたいという欲求が溜まっているプレイヤーなら、ぜひ、挑んでみて欲しい。ローカル専用だが、最大四人のマルチプレイにも対応しているので、接待用にもどうぞ。
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[基本情報]
タイトル:『The Next Penelope Race to Odysseus』
制作者: Aurelien Regard
クリア時間:2時間~4時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
対応OS: PC(Windows、Mac)
価格: ¥1280

http://store.steampowered.com/app/332250/

https://www.amazon.co.jp/Next-Penelope-Race-Odysseus-%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89/dp/B010Q0CN58
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