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東方二次創作アクション『Touhou Luna Nights』1.0リリースなど ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は東方Project二次創作のアクションゲームのバージョン1.0リリースなど3本です。

2D探索型アクションゲーム『Touhou Luna Nights』バージョン1.0リリース

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PLAYIMSおよび株式会社バカーは26日、昨年8月よりSteamにてアーリーアクセスを実施していた東方Project二次創作の2D探索型アクションゲーム『Touhou Luna Nights』のアーリーアクセスを終了し、バージョン1.0をリリースした。ローンチ割引として26日から1週間、20% OFFで購入可能。

2D探索型アクションゲーム『ファラオリバース』(紹介記事)などで知られるクロボン氏が所属する開発チームladybugが開発を手がける作品。十六夜咲夜を主人公とし、時間停止能力を活用するマップギミックなどが用意されている。東方Projectの「グレイズ(かすり)」システムをアクションゲーム向けに翻案して実装しているのも特徴。

対戦アクションゲーム『BATTLLOON – バトルーン』リリース

インディーゲーム開発チームnoname studioは28日、対戦アクションゲーム『BATTLLOON – バトルーン』をPC(Steam)およびNintendo Switch向けにリリースした。

風船になってぶつかり合い、相手をトゲに当てて倒していくゲーム。2~4人でのローカルマルチプレイ専用。

横スクロールシューティングゲーム『Rolling Gunner』Nintendo Switch版リリース

株式会社メビウスは28日、横スクロールシューティングゲーム『Rolling Gunner(ローリングガンナー)』のNintendo Switch版をリリースした。原作はProject Rolling Gunnerで、Switchへの移植はメビウスが担当している。

自機のモードによって射出方向を360度回転させたり固定させたりできる「ローリングガン」の使いこなしがポイントとなる作品。原作のPC版は同人ショップ等で委託販売が実施中。


リアルタイムバトルアクション『リトルセイバー』体験版公開、『被虐のノエル』ドラマCDキャスト情報&PV公開など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はアクションゲームの体験版公開など5本です。

リアルタイムバトルアクションゲーム『リトルセイバー』体験版公開

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おのでら氏は28日、リアルタイムバトルアクションゲーム『リトルセイバー』の体験版を公開した。有償の完全版が近日リリース予定。

ビットアイランドに生息する生物「ビット」の暴走を止めるべく戦うというステージクリア型の作品。2Dトップビューのフィールド上で、多数のユニットがリアルタイムに戦い合うシステムとなっている。プレイヤーはそのうちの一人を操作し、他のユニットはあらかじめ設定した命令に沿って行動する。操作するユニットは随時切り替えることが可能。

ステージをクリアすると戦ったビットの中から一定数のビットを仲間にすることができ、チームを編成して戦うのも特徴となっている。ローカルで4人までの協力プレイにも対応。

伝奇アドベンチャーゲーム『被虐のノエル』ドラマCDキャスト情報およびPV公開

連載型の伝奇アドベンチャーゲーム『被虐のノエル』のドラマCD『ドラマCD「被虐のノエル」SEASON 0 〜叛逆〜』のキャスト情報がPVと共に公開された。

『被虐のノエル』はカナヲ氏が株式会社バカーのゲーム配信サイト「ゲームマガジン」でフリーゲームとして連載している作品。契約によって願いを叶える悪魔が実在する世界の港町「ラプラス市」を主な舞台に、両手両足を奪われた少女ノエル・チェルクェッティと大悪魔カロンのコンビによる復讐の物語が描かれる(紹介記事)。ドラマCDは本編主要キャラクターの一人であるフーゴ・ドレッセルをメインとした本編の前日譚で、東宝より4月24日発売予定。

ドラマCDのキャストとしてはノエル役を市ノ瀬加那さん、フーゴ役を杉山紀彰さん、オスカー・ドレッセル役を佐藤拓也さん、ラッセル・バロウズ役を細谷佳正さん、パイソン(ラウロ・マエストリ)役を羽多野渉さん、ジーノ・ロレンツィ役を竹内良太さんが担当することが発表された。また、今回のドラマCDではカロンは登場しないが、PVでは梅原裕一郎さんが声をあてている。

ノベルゲーム『ハルカの国』クラウドファンディング開始

Studio・Hommageは7日、ノベルゲーム『ハルカの国』の早期発表を目的としたクラウドファンディングを開始した。

『ハルカの国』は、第10回ふりーむ!ゲームコンテストにて大賞を受賞したフリーゲーム『キリンの国』や一昨年同人ゲームとしてリリースされた『雪子の国』(関連記事)に続く、「国シリーズ」の第4弾。天狗や「化け」と呼ばれる獣の様子を残しながら人の姿をした者が存在する架空の日本を舞台に、のちに賢狼と呼ばれる狼の化けであるハルカと、狐の化けであるユキカゼを主人公として明治から平成までの物語を描いていく。序盤にあたる明治越冬編がフリー公開中。

今回のクラウドファンディングは、当初の予定より作品のボリュームが大きくなったことに伴い、資金調達のために作品の制作を中断することなく完成させることを目的としたもの。目標金額は45万円で、執筆時現在すでに達成しているが、引き続き支援は受け付けられている。受付期間は4月30日まで。

ゲーム投稿イベント「ウディフェス」投稿受付期間終了、作品数は30作品に

ゲーム制作ツール「WOLF RPGエディター」製ゲームの投稿イベント「ウディフェス」の投稿受付が3日に終了した。投稿された作品は順次公開されており、作品数は30作品となった。

「ウディフェス」は有志による企画で、公式イベントである「WOLF RPGエディターコンテスト(ウディコン)」と異なり順位を競うコンテスト形式を取っていないことが特徴。投稿されたゲームに対する応援イラストを投稿することも可能で、こちらの受付期間は3月17日12時くらいまで。

PLAYISM、最大90%OFFのアクションゲームセール開催

PLAYISMは4日、PLAYISMストアで配信中のゲームを対象としたアクションゲームセールを開始した。セール期間は15日まで。

セールの対象は47作品。割引率は20%から最大90%となっている。

恋愛ファンタジーADV『心を開く歌い方』モバイル版リリース、「ツクールMV」期間限定フリープレイ実施など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はADVのモバイル版リリースやゲーム開発関連など5本です。

女性向け恋愛ファンタジーADV『心を開く歌い方』モバイル版リリース

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roseVeRteは、フルボイスの女性向け恋愛ファンタジーADV『心を開く歌い方』のモバイル版をリリースした(Android版 / iOS版)。プロローグまでを無料でプレイでき、続きはアプリ内課金によりアンロックする形となっている。PC版は今年1月にリリース済み。

人間と半人半猫種族が暮らす「エルーリア島」を舞台とした「エルーリア物語」シリーズの第3弾。前作『嘘つきな王様の騙し方』に登場した半人半猫の種族「ルクレシア」の国「ラズ」の長である歌姫「ミャーナ」が主人公で、物語はミャーナが人間の国「エルーリア」を訪れ、エルーリアの近衛兵長「ルドビク」と出逢うことから展開していく。

「RPGツクールMV」「アクションゲームツクールMV」「ラノゲツクールMV」フリープレイおよびセール実施

ゲーム制作ツール「ツクール」シリーズ最新作品のフリープレイおよびセールがSteamにて開始された。期間は20日の午前3時頃までとのこと。

RPG制作ツール「RPGツクールMV」、アクションゲーム制作ツール「アクションゲームツクールMV」、ノベルゲーム制作ツール「ラノゲツクールMV」を期間中無料で利用可能。また、「RPGツクールMV」が75% OFFの1,995円など割引価格で購入できる。

Web即売会「BOOTH Festival デジタルゲーム回」開催

16日10時から17日いっぱいまで、ショップ作成サービスBOOTHにて、Web即売会「BOOTH Festival デジタルゲーム回」が開催される。

BOOTH FestivalはBOOTHが開催するオンラインのイベントで、BOOTHに作品を登録することで参加可能。デジタルゲームを対象としたBOOTH Festivalは今回が初となる。なお開催にあたり、BOOTHではダウンロード販売の容量追加や動画埋め込みへの対応、ダウンロードコード販売といったPCゲーム向けの機能を追加したとのこと。

ゲーム開発用ライブラリ「DXライブラリ」iOS版公開

ゲーム開発用ライブラリ「DXライブラリ」が11日にアップデートし、新たにiOS版が追加された。

「DXライブラリ」は、DirectX等によるゲーム開発向けのライブラリの定番として長年利用されているC++言語用ライブラリ。iOS版は以前より公開されているAndroid版と同様にOpenGL ESを使ったアプリ開発を補助するものとなっている。文字コードの違いを除いてWindows版のDXライブラリと同じ感覚でiOSアプリが開発でき、Windows用に開発したソフトの移植もある程度容易に行うことができるとのこと。

BGM素材集「MUSE of MAGIC -RPG Sound Materials-」ダウンロード販売開始

趣味工房にんじんわいんは9日、音楽素材集「MUSE of MAGIC -RPG Sound Materials-」のダウンロード販売を開始した。

RPG『ネフェシエル』『イストワール』の音楽担当としても知られるARA氏による楽曲集。本作は使い勝手を重視した軽いノリの楽曲集となっているとのことで、脱力系の曲などを収録しているのが特徴。価格も同サークルのBGM素材集の中では比較的安価となっている。

MUSE of MAGIC -RPG Sound Materials-

MUSE of MAGIC -RPG Sound Materials-(趣味工房にんじんわいん)
版権フリー 商用・アダルトOKのゲームBGM集。「明るいRPG」用に描き下ろした新作です。

対戦格闘アクションシューティング落ちもの音楽リアルタイムストラテジーゲーム『∀kashicforce -inundation of brigade-』フリー版公開など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は独特なジャンルの同人ゲームのフリー版公開など2本です。

対戦格闘アクションシューティング落ちもの音楽リアルタイムストラテジーゲーム『∀kashicforce -inundation of brigade-』フリー版公開

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同人サークルエンドレスシラフは16日、対戦格闘アクションシューティング落ちもの音楽リアルタイムストラテジーゲーム『∀kashicforce -inundation of brigade-』のフリー版を公開した。

落ち物パズルゲームのような画面で落ちてくるブロックをショットで破壊することによりゲージを溜め、対戦格闘ゲームのようなコマンドで各キャラクターごとの「メソッド」を発動して戦っていくという作品。一定時間画面が音楽ゲームのようになるメソッド「エリミネーター」も特徴となっている。なお、画面構成は落ち物パズルゲーム風だがパズル要素はない。

ジャンル名からもわかるように非常に独特なゲームシステムとなっているが、チュートリアルを兼ねたミッションモードをプレイすることで基本的な遊び方を把握することが可能。また、初心者向けのFAQなども掲載された公式攻略wikiが公開されている。初リリースは2017年で、3月29日からはFruitbat FactoryのパブリッシングによりSteam版が配信予定。

フリー版は従来の体験版に代わるもので、製品版に比べて使用できるキャラクターや選択できるCPU難易度等に制限があるほか、ミッションモードはチュートリアルにあたるミッション11までプレイ可能となっている。

“サイコキネシス”回転アクションゲーム『Kinesis / キネシス』リリース

HZ3 Softwareは22日、“サイコキネシス”回転アクションゲーム『Kinesis / キネシス』をリリースした。

無敵になって宙に浮き、ステージを90度ずつ回転させることができる能力「PK(サイコキネシス)」が特徴のステージクリア型アクションゲーム。数々の罠が仕掛けられた36ステージが用意されている。

80年代アクションRPG『デーモンクリスタル2 ナイザー』Switch版リリースなど ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は1986年にリリースされたアクションRPGのSwitch版発売など3本です。

アクションRPG『デーモンクリスタル2 ナイザー』Nintendo Switch版発売

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有限会社レジスタは28日、ソフトウエア開発グループYMCATのアクションRPG『デーモンクリスタル2 ナイザー』のNintendo Switch版のダウンロード販売を開始した。

オリジナルは1983年設立の米子マイコンクラブを前身とするYMCATが、1986年にリリースした作品。サイドビューのステージを、さまざまなアイテムで主人公をパワーアップさせながら攻略していく。

なお、『デーモンクリスタル2 ナイザー』の発売を記念して前作『デーモンクリスタル』Nintendo Switch版の20% OFFセールが4月7日まで実施中。また、29日には『デーモンクリスタル』Steam版の配信が開始された。こちらは発売から1週間、15% OFFセールが実施される。

対戦格闘アクションシューティング落ちもの音楽リアルタイムストラテジーゲーム『∀kashicforce -inundation of brigade-』Steam配信開始

同人サークルエンドレスシラフは29日、対戦格闘アクションシューティング落ちもの音楽リアルタイムストラテジーゲーム『∀kashicforce -inundation of brigade-』のSteam配信を開始した。4月6日まで10% OFFで購入可能。2017年にリリースされた作品で、一部要素に制限のあるフリー版も公開中。

落ち物パズルゲームのような画面で落ちてくるブロックをショットで破壊することによりゲージを溜め、対戦格闘ゲームのようなコマンドで各キャラクターごとの「メソッド」を発動して戦っていくという作品。一定時間画面が音楽ゲームのようになるメソッド「エリミネーター」も特徴となっている。なお、画面構成は落ち物パズルゲーム風だがパズル要素はない。

ジャンル名からもわかるように非常に独特なゲームシステムとなっているが、チュートリアルを兼ねたミッションモードをプレイすることで基本的な遊び方を把握することが可能。また、初心者向けのFAQなども掲載された公式攻略wikiが公開されている。

Sonniss、25GB以上の効果音素材を無償配布中

プロ向けの効果音素材を販売しているSonnissは、Game Developers Conference 2019(GDC 2019)の開催を記念して25GB以上分に及ぶ効果音素材を無償で配布している。配布終了時期は不明。

内容は販売している素材から抜粋したもので、ロイヤリティフリーで商用利用も可能。クレジット表記は不要で利用期限もない。

壁が私でゴールが君で!?役割入れ替えパズル『Baba is You』

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今回紹介する『Baba is You』はArvi “Hempuli” Teiker氏が制作したパズルゲーム。
ノルウェーのゲームジャムイベントNordic Game Jam 2017内で制作され大賞を受賞、その後Independent Games Festival 2018においても学生部門とデザイン部門の2冠を獲得し、最優秀賞にもノミネートされるなど、かねてより高評価を得ている作品だ。

itch.ioにてゲームジャム内で制作されたバージョンが2017年4月より無償公開されていたが、グラフィックやサウンドの刷新・ステージ数のボリュームアップ等、各要素を強化したフルバージョンが2019年3月13日にリリースされた。各種ダウンロードサイトで購入可能な他、海外Nintendo eShopではSwitch版もリリースされている。
今回はこのフルバージョンを元に『Baba is You』を紹介する。

「Babaは君、壁は止まる、岩は押す、旗は勝利。」

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“Baba Is You, Wall Is Stop, Rock Is Push, Flag Is Win.”
(Babaは君、壁は止まる、岩は押す、旗は勝利。)
このわずか4センテンスが『Baba Is You』を説明する全てである。

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『Baba Is You』では、犬のような生き物のBaba君を操作して、ゴールとなる旗の元にたどり着くことが目的となる。壁は通り抜けることができず、岩はBaba君で押すことができる。自身の通り道を塞いでしまわないよう気を付けながら岩を押して旗へとたどり着こう。
パズルゲームの古典『倉庫番』を連想させる、ごくごくシンプルなパズルゲームだ。

ただし、あくまでも、基本的には。

フィールド内には旗や岩や壁の他にも、「Baba」「Is」「You」などのように、英単語で「役割」を示したブロックが配置されている。
そして、この役割ブロックを動かしたり入れ替えたりすることで、その通りに役割を変化させてしまうことができるのである。

もしかしなくても、私たち、入れ替わってる!?

役割の変更が一体どういうことなのか、実際に順を追って見ていこう。

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例えば、「Wall」「Is」「Stop」となっている組み合わせのうち、「Stop」の部分だけをBaba君で押し出してしまえば、

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壁は「Stop」しなくなり、Baba君や岩は自由に壁をすり抜けることができるようになる。

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更に組み合わせを変えて「Wall」「Is」「You」にしてしまえば自分自身が壁となって十字キーで動けるようになり、「Wall」「Is」「Win」とすれば壁に触れることでステージクリアとすることができる。

ステージが進めば更に「And」「All」のような指定範囲を広げるキーワードや、「Float」(浮く)のような新しい状態、「Keke」君や「Me」君といた新キャラクターやギミックなどが登場するようになる。
「Empty」「Is」「Baba」とすると画面の空白一杯にBaba君が大増殖するなど、爆笑必死の組み合わせも作ることが可能だ。

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操作や基本的なルールがシンプルでとっつきやすい点に加えて、パズルゲームでありながらも前提となるルールや求めるべき回答そのものを変更できてしまうという他に類を見ないダイナミズムが本作の魅力と言える。

ゲームにおける「ルールの在り方」に投じられた一石

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一方、見方を変えれば「ルールに則って勝利条件を目指す」という、狭義の意味での「ゲーム」の大前提ともいえる原則をプレイヤーがねじ曲げ、その構造を否定する行為すらもゲームシステムとして織り込んだ”メタな”作品として本作を捉えることもできるだろう。
「はしを渡れないのなら真ん中を渡ればいい」と頓智を効かせたつもりでも、それすらお釈迦様の掌の上…というのは穿ち過ぎかもしれないが、一見して好き勝手ができるように見えて、実際にはあまりのシビアさに悩まされるパズルゲームとして本格的な出来栄えになっており、ついそんなことを考えてしまう。
果てはステージそのものをあるものに変化させて先に進むという、「ルールを破壊するゲーム」の面目躍如というべき展開も待ち構えている。

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総数200を超えるステージはボリューム満点。とにかく斬新な作品をプレイしたいという人以外にも、手強いパズルゲームを求めている人に推薦したい作品だ。

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記事冒頭でも触れているが、ゲームジャムバージョンは製品版がリリースされた現在でも任価でダウンロードできる(「Download Now」→価格を指定、またはダウンロードのみなら「No thanks, just take me to the downloads」を選択)ので、本作に興味を持たれた方は体験版としてまずはこちらをプレイしてみると良いだろう。

[基本情報]
タイトル: Baba Is You
制作者: Hempuil Oy
クリア時間:  20時間~
対応OS: Windows
価格: $15.00

↓ダウンロードはこちらから
(STEAM)

(itch.io)
https://hempuli.itch.io/baba-is-you

JRPGの王道ここにあり!コンシューマ級の遊び応えと練り込まれたプレイアビリティを誇る長編大作『アスクギア』

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コンシューマRPGのメインストリームがフル3Dのアクション型に寄っていく中、個人制作のRPGでは2Dのコマンド型が現在でも大きな存在感を示している。独自のシステムや2Dならではのグラフィック表現に凝った作品、制作期間をかけた長編作品なども生まれ続けているジャンルだ。

今回紹介する同人RPG『アスクギア』もそうした作品のひとつ。システムの完成度やフィールドマップの作り込み、漫画家のスバルイチ氏が手がけるキャラクターグラフィック、クリアまで想定プレイ時間30~40時間というボリュームなど、総じてプレイステーション1~2時代のコンシューマRPGに匹敵する作品に仕上がっている。

その一方で、プレイが冗長にならないようテンポやユーザビリティは現代的に整えられており、長編RPGとして中だるみせず最後まで熱中してプレイすることが可能。本記事ではそうしたプレイフィールを支える要素を中心に紹介していきたい。

ボーイ・ミーツ・ガールから始まり世界の真実へと至る“ド直球RPG”

本作の舞台は、扱う者に智慧と力を与えるという先史文明期のデバイス「アスクギア」の恩恵によって発展を遂げている国エリルミア。物語はある目的のためエリルミアを旅する少年ユアと、彼に「先生」と呼ばれる女性メモリアが、ある遺跡の最深部で眠っていた少女ミイナと出逢うことから始まる。

彼女のもつ不思議な力により、本来は先天的にアスクギアを扱うことができなかったユアがアスクギアの使い手「交信者コネクター」として覚醒。そしてこの出逢いをきっかけにユア達はミイナを狙う組織との戦いに身を投じることになり、やがてアスクギアやエリルミアそのものの謎へと迫っていく。

ボーイ・ミーツ・ガールから始まりスケールを増していくシナリオ、ファンタジーをベースとしつつSF的な要素も端々から覗く世界観、数々の出逢いと徐々に増えていく仲間達……などなど、いわゆるJRPGにおける王道を感じさせる内容だ。制作コンセプトとして“ド直球RPG”が掲げられており、物語もバトルもストレートに熱い展開が繰り広げられる。

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ミイナの力により、ユアは本来は扱えないはずだったアスクギアの使い手として覚醒。メモリアを助けるため、そしてミイナを守るためにその力を振るっていく

“シチュエーションの多様化”により最後まで飽きさせないバトル

長編作品というのは、ある意味「飽き」との戦いである。RPGでプレイ時間の多くを占める戦闘においては新しいシステムの解放や、キャラクターやスキルといった要素の追加で変化を出していくというアプローチもあるが、数十時間級のゲームでシステムや要素を延々と増やしていくと、プレイヤーが処理できるキャパシティを越えてしまいかねない。

そこを絶妙にバランス取りしつつ多くの要素を使いこなす楽しみを追究した名作もあるが、本作はプレイヤーキャラクターが最大6人で各キャラクターが戦闘時に使うスキルの数もそれぞれ一桁程度と、プレイヤーが扱う戦闘の要素自体は比較的シンプル。その上で、敵が持つユニークな特殊能力の数々により、多様な戦闘シチュエーションを生み出すというアプローチを取っているのが大きな特徴だ。

ある特殊能力を持つ敵と最初に遭遇した際には解説が表示され、以後も戦闘中に解説を参照することが可能。本作独特の特殊能力も多いが、じっくり内容を把握しながら戦っていくことができる。戦闘時に操作するメンバーは3人で、パーティが4人以上の場合は控えと交代しながら戦う仕組み。物理アタッカーに魔力アタッカー、デバッファー、盾役といった役割が明確なメンバーの連携でさまざまな状況を切り抜けていく。

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敵の数に応じて攻撃力や魔力が倍増するというユニークかつ恐ろしい特殊能力「大軍」。一見無茶だが実際に戦ってみると絶妙にバランスが取れているのも見事だ

もちろん独自のシステムも充実。基本は敵味方が入り交じって順次行動するCTB方式だが、特徴的なのは攻撃における属性の扱いだ。攻撃スキルには炎・水・風の属性が設定されており、敵には弱点や耐性が設定されている。ここまではオーソドックスだが、「なら弱点属性で集中攻撃すればいいじゃん」とはならない仕掛けが用意されている。それが「EAの蓄積と解放」だ。

属性攻撃を仕掛けると、与えたダメージの半分に相当する量の「EA」という値が敵に蓄積される。そして3属性のEAが溜まったあとにさらに属性攻撃を仕掛けると「EA解放」となり、蓄積したEA分のダメージが上乗せされる仕組み。EAが通常より多く溜まるスキルや特殊能力によりEAの溜まりやすさが通常と違う敵、EA解放を行うことで状態変化を起こす敵なども居て、本作の戦術の要となっている。属性は基本的にキャラクターと対応しているため、パーティ編成の戦略もポイントだ。

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戦術の要となるEA。解放時は一気に大ダメージを出せるのが気持ちいい

もう一つ特徴的なシステムが「アクセラレイト」。戦闘中、攻撃を行うことで減少していく「FP」という値が0になると発動待機状態となり、この状態で攻撃を行うと自動で発動する。発動中は発動したキャラクターの攻撃力が上昇するほか、あらかじめセットした複数の効果が発生する。この効果はダンジョン等で入手できる「ネコバッジ」によりカスタマイズでき、強力な効果ほどFPの初期値が増加してアクセラレイトは起こしにくくなるという仕組み。とはいえFPの初期値に応じて上昇する攻撃力も増えるため、発動しやすくするか、強力な効果を得るかといったカスタマイズも練り甲斐がある。

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アクセラレイト発動時に発生する効果は複数のものを組み合わせてカスタマイズ可能

さらにアクセラレイト発動中に1回だけ、任意のタイミングで敵の行動に割り込む「ディレクト」を使用可能。行動する直前の敵に割り込みをかけて攻撃すると行動を1回分遅らせることができ、さらにそこで追い打ちをかけるとクリティカルとなりダメージが増加と、使いこなせば非常に強力なシステムだ。

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左の敵の攻撃中にディレクトを発動することで右の敵の行動に割り込みをかけた場面。このまま右の敵を攻撃すれば行動を1回分遅らせることができる

こうしたシステムを駆使して、ユニークな強敵の数々と戦っていくのが本作の醍醐味。ポイントはEA解放、アクセラレイトともに意識せずとも自動で発動することで、ガチガチに戦術を詰めなくても自然と大ダメージを出せたりチャンスがやってきたりと戦闘状況に緩急がつく。その上で、タイミングを調整したりディレクトを活用したりと自分なりの立ち回りを考えるのも面白い。スキルも数が多くないぶん一つ一つが特徴的でスキル同士のシナジーなどもあり、間口は広く、突き詰めると奥深いバトルであると言えるだろう。

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アクセラレイト中は「EXスキル」を発動することも可能。ゲーム中盤以降に習得できる各キャラの奥義と言えるもので、使用するとアクセラレイトが即座に終了する代わりに高い威力や唯一無二の追加効果を持つ。発動時のカットインも見どころ

“RPG哲学”を感じる練り込まれたプレイアビリティ

長編RPGのプレイにおいて、煩雑になりがちなルーチンワークを極力廃しているのも本作の特徴だ。例えば回復などの消費アイテムについて基本的なものはアイテム支給制を採用しており、街などの支給スポットで残り個数に関わらず決まった数まで補充できる。細々としたアイテムの残数に気を遣う必要がなく、また支給数はそれほど多くないためダンジョンではリソース管理の戦略が生まれてくる。

ダンジョンでのエンカウントの仕組みも独特だ。本作はシンボルエンカウント方式で、ザコ敵のシンボルが停止し接触判定がなくなる「エンカウントキャンセル」を一定時間発動可能。その一方でもし敵シンボルと接触し戦闘が始まった場合は基本的に逃走は不可能となっている。

逃走不可能というと一見ストレスフルに感じるかもしれないが、エンカウントを避ける手段が十分に用意された上であれば「捕まった時くらいは戦うか」と納得もいくというもの。世の中にはRPGでザコ戦をとことん避けて進むことに喜びを見出す人種が居るが(筆者もその一人である)、そんな人でも敵に捕まった時は戦っていくことで、ほどほどにレベルも上がっていく、といった具合だ。

さらに、ダンジョンにはシンボルの色と大きさでザコ敵とは区別される賞金首的なモンスターが居て、倒すと支給アイテムのグレードアップなどに使える「アルターパーツ」を入手できる。エンカウントシンボルの色と形で通常の敵とは区別されており、避けやすいザコと、積極的に戦うことにメリットがある強敵を織り交ぜることで、ダンジョン探索においてもプレイの緩急が意識されている印象だ。

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ザコ敵はエンカウントキャンセルも駆使して避けつつ賞金首的な強敵は狙っていくという、緩急のついたダンジョン探索を楽しめる

ほかにも、経験値やレベルは個別に存在せずパーティで一元化など、ちょっと珍しいがよく考えると確かに合理的と感じる仕様が散りばめられている。もちろん本作が採用した仕様が唯一の正解ではないが、確実に言えるのはコンセプトレベルから細部まで、「何となく」「慣習だから」で実装されていると感じる要素が全くないということだ。RPGのさまざまな要素を分析し、「自分ならこう作る」というRPG哲学のようなものが感じられる。

ボリュームと密度の両面で完成度の高い大作

ここまでシステム面を中心に紹介してきたが、キャラクターやシナリオも大きな見どころ。懐の広い風流人でありつつ指揮官としての強かさも併せ持つ姫騎士エスティアなど、立ち位置も抱える想いも異なる6人のキャラクター達がある重大局面に向けて集結していく展開が胸を打つ。数々の謎と伏線が集束して迎えるクライマックスも圧巻だ。戦闘時のSDキャラによるアニメーション、掛け声や勝利台詞といったボイスなど演出面も凝っており、ボリュームと密度の両面で完成度の高い作品となっている。

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エリルミア騎士団の副団長として陣頭指揮を執る姫騎士エスティア。国を護るというその想いとユア達の運命が交差していく

JRPGの名作の数々が生み出されたプレステ初期の長編作品に匹敵する遊び応えと、現代の作品らしい遊びやすさを兼ね備えた『アスクギア』。RPGが好きな人、とくに大作をじっくりプレイしたいという方に心からお勧めしたい作品だ。

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[基本情報]
タイトル:アスクギア
制作者:稲穂スタジオ
クリア時間:30~40時間ほど(公称)
対応OS:Windows
価格:ダウンロード販売 2,484円など(無料体験版あり)

『アスクギア』作品公式サイト
http://www.inahostudio.x0.com/askgear/

アスクギア

アスクギア(稲穂スタジオ)
遺跡の中に眠る少女と出逢いから始まる物語。市販RPG並みの大ボリュームの王道&激熱のド直球RPG!

リアルタイムバトルアクションゲーム『リトルセイバー』発売、現代異能ライト・ノベルゲーム『ReIn∽Alter Ep.1』公開など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はアクションゲームやノベルゲームのリリースなど5本です。

リアルタイムバトルアクションゲーム『リトルセイバー』ダウンロード販売開始

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おのでら氏はリアルタイムバトルアクションゲーム『リトルセイバー』のダウンロード販売を開始した。MicrosoftストアにてWindows 10およびWindows 10 Mobileに対応するUMP版を、DLsiteにてWindows 7以降に対応するデスクトップ版を購入可能。体験版も公開されている。

ビットアイランドに生息する生物「ビット」の暴走を止めるべく戦うというステージクリア型の作品。2Dトップビューのフィールド上で、多数のユニットがリアルタイムに戦い合うシステムとなっている。プレイヤーはそのうちの一人を操作し、他のユニットはあらかじめ設定した命令に沿って行動する。操作するユニットは随時切り替えることが可能。

ステージをクリアすると戦ったビットの中から一定数のビットを仲間にすることができ、チームを編成して戦うのも特徴となっている。ローカルで4人までの協力プレイにも対応する。

リトルセイバー

リトルセイバー(ソーサリーフォース)
リトルセイバーは多数のユニット同士が戦い合うリアルタイムバトルアクションゲームです。プレイヤーはユニットの中の一人として直接操作して戦います。

現代異能ライト・ノベルゲーム『ReIn∽Alter Ep.1』公開

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anubis氏は3日、現代異能ライト・ノベルゲーム『ReIn∽Alter Ep.1』をフリーゲームとして公開した。

日常に居場所がないと感じ、どこか鬱屈した思いを抱えている主人公の少年が、未解決の猟奇殺人事件の犯人として噂されている「魔族」の実在を確かめにいくことから物語が展開していく作品。全4エピソード構成の物語のうちの1エピソード目で、公称プレイ時間は30分~1時間程度。

なお、本作は同作者のRPG『Acassia∞Reload』(紹介記事)の関連作品だが、『ReIn∽Alter』単体で完結している物語であるため事前プレイ・事前知識は必要ないとのこと。

「デジゲー博2019」開催日発表

デジゲー博準備会は5日、同人・インディーゲームの展示即売会「デジゲー博2019」の開催日が11月17日に決定したことを発表した。

例年同様、秋葉原UDXにて開催予定。サークル参加要項は6月中旬発表、7月から8月がサークル参加受付期間となる予定とのこと。

イラスト素材集『-混沌悪屠戯草子-』ダウンロード販売開始

マゼラン氏のイラスト素材集『-混沌悪屠戯草子-』のダウンロード販売が開始された。BOOTHおよびDLsite.comにて購入できる。

異形化した童話やお伽話、児童文学作品のキャラクターたちのイラストを収録。RPGツクールVXおよびMVのモンスターグラフィック規格に合わせた画像も用意されている。

素材集-混沌悪屠戯草子-

素材集-混沌悪屠戯草子-(暗黒セクト)
異形化した童話やお伽話、児童文学作品のキャラクターたちのイラストファイルを収めた素材集てです。

「ウィンドウ&UIパーツ素材セット4」ダウンロード販売開始

Krachwareは30日、ゲーム制作向けのウィンドウ&各種デザインパーツ素材集「ウィンドウ&UIパーツ素材セット4」のダウンロード販売を開始した。

バリエーション違い込みで全316種類の素材を収録。ウィンドウ素材はすべてWOLF RPGエディターの「お手軽ウィンドウ」機能に対応するほか、RPGツクールMV用の素材も少数収録している。

ウィンドウ&UIパーツ素材セット4

ウィンドウ&UIパーツ素材セット4(Krachware)
ゲーム制作のためのウィンドウ+デザインパーツの詰め合わせ第4弾です。3セット+αを収録。


世界は彼女を殺せない。”銃弾逸らし”の少女と共に進むパズル&シューター『Please Fail Safely and Deadly』

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銃で撃たれれば人は死ぬ。音速を超える初速で放たれた鉛の塊は容易く肉の身体を裂いていく。それが常人の肉体の限界。放たれた後の銃弾を避けたり、受けて耐えたりなんてのは、コミックやアクションゲームのヒーローでもなければありえないし、それにしても限度はある。しかし、もしも本物の「不死身」が存在するとしたら?

『Please Fail Safely and Deadry』はseqvalence氏の制作したパズル&シューティングゲーム。HTML5で作成されておりブラウザ上でプレイする形式をとっている他、Google PlayにてAndroid版が公開されている。言語は英語および中文に対応。自殺や暴力をほのめかす内容が含まれていることから13歳以上推奨としている。

彼女が死なないのは、この宇宙の法則。

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「私は銃弾を避けない。銃弾が私を避けるの。」
どこか悪戯っぽさが残る少女は、そう不敵に微笑んでみせた―――

謎の爆発事故による、Antonn Aabye博士の死。博士の”友人”であったエージェントBrandonは、博士の葬儀の折、博士の娘Astrithと出会う。自分の新たな任務はAstrithの護衛だとするBrandonを彼女は挑発する。

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折り畳みナイフや尖ったバッジですらも、彼女には届かない。
それは彼女が身にまとう「棄却サンプリング装置」(Rejection Sampler)の力によるもので、しかもひとつ間違えれば核融合爆発の危険を秘めた代物だった。
彼女はその装置を解除する手掛かりを求め、Brandonに父の研究所へ向かうよう要請する。

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そのような稀代の発明が見過ごされる訳もなく、BrandonとAstrithは瞬く間にエージェントたちに取り囲まれ、どうにかその窮地を脱するも、博士の遺体を収めた棺はどこかへと運び去られていた。
果たして棺にはどのような秘密が隠されていたのか?二人の奇妙な旅路が始まろうとしていた。

撃ちつ、撃たれつの二人三脚

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『Please Fail Safely and Deadly』では、BrandonとAstrithの二人組を操作し先へと進んでいく。銃を持つBrandonが前を行き、後ろからAstrithが付いてくる形となる。
操作方法はキーボードのWASDもしくはバーチャルパッドで移動、左右キー・マウス移動・タップのいずれかで銃の照準(発砲は自動)、Shiftキーもしくは二本指でのタップででスローモーション発動となっている。スロー発動には回数制限などは存在しないので、アクションに自信が無いという人は適宜発動させつつ落ち着いて操作を行おう。

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道中にはゲートが存在しており、ゲートについている青いスイッチの前に立つことでゲートを開錠できる。
ゲートは戦闘中の状態だと開錠できないので、周囲で警備している敵は排除する必要がある。

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Astrithの「棄却サンプリング装置」をもってすれば、敵から放たれた銃撃は全て逸らしてしまうことができる。彼女は不滅の存在なのだ。
ただし「AstrithはBrandonの後ろをついてくるように動く」という点がポイントになっており、Astrithが敵の方向を向いているということは銃を持っているBrandonが敵に対して背中を向けているということでもある。敵に撃たれた状況のまま反撃することはできない。
タイミングよく振り返って危険に身をさらしつつ反撃するか、そのままAstrithを盾に走り抜けるか、判断が問われることになる。背中合わせのBrandonとAstrithの前後を入れ替えて攻撃と防御を切り換える点は本作に独特のプレイ感覚をもたらしているといえるだろう。

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また、スナイパーが潜んでいたり、敵の大群が居ると予期される場所では、Brandonは身を電話ボックスへと隠しておき、Astrithが先行して敵をかく乱し同士討ちを狙うといったことも必要になる。この際、Brandonが電話ボックスから飛び出さないよう、電話ボックスの向きを考慮する必要がある。

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電話ボックス以外にも、銃撃が着弾すると爆発するドラム缶など、ステージに応じて様々なギミックが登場する。爆発物についても爆風の範囲内にAstrithがいる限りは絶対に起爆しないという、彼女の不死性を絡めた性質付けがなされている。こうしたギミックを活用しつつ先へと進んでいこう。

不滅の少女と常人エージェントのデコボコ珍道中

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「なぞなぞタイム!赤い殻を持つ、不老不死で、世界でもっとも美しい生き物は?」「正解は…ロブスター!」(注釈:実際には脱皮によって不老は保てるものの不死というわけにはいかないようである)

本作の難点としては、会話パートの分量が多く、日本語訳もないため、ストーリーを読み進めるのにはいくらか根気が必要な点が挙げられる。特にパズル&シューターの部分を中心に楽しみたい人にとってはストレス要素ともなるだろう。

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しかし「棄却サンプリング装置」のようなハードなSF設定や、ヒロインAstlithの小生意気さを感じさせるキャラクター性、ナイフ等の危険物を取り扱うシーンでは「ご家庭では真似しないでください」の注意喚起が入るといった軽妙さは、ハードルを乗り越えて読みたいと思わせるだけの魅力もまた持ち合わせている。
掛け替えなしの一大スペクタクルがここには眠っているのだ。

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日本語対応が望めれば言うことはないが、辞書や翻訳ツールを片手に本作に挑むだけのものはある。興味を抱いた方は是非とも挑戦してみてほしい。

[基本情報]
タイトル: Please Fail Safely and Deadly
制作者: seqvalence
クリア時間:  8時間~
対応OS: HTML5対応ブラウザ、Android
価格: 無料

↓プレイはこちらから
(itch.io)
https://seqvalence.itch.io/please-fail-safely-n-deadly

(Google Play)
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フリゲRPG『アストロレガシー』Chapter1公開、ビジュアルノベル『西暦2236年の秘書』メガネモード追加など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は新作RPGの公開など3本です。

RPG『アストロレガシー』Chapter1公開

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案乃雲氏は4日、RPG『アストロレガシー』のChapter1をブラウザ対応のフリーゲームとして公開した。

「星霊」と呼ばれる不思議な存在がいる世界で、記憶喪失の少女が星霊の力を動力源とした武器「アストロドライバー」で戦いながら冒険を繰り広げて行く作品。アストロドライバーをカスタマイズすることで能力や使用可能なスキルを変化させる要素や、浮遊・軟体といった敵の特性に応じたスキルを当てることでしばらく行動不能にしつつ与えるダメージを増加させる「ブレイク」システムが特徴。敵を一時的に浮かせるスキルも用意されている。

戦闘は時間経過で溜まるゲージがフルになったキャラクターが順次行動する半リアルタイム型で、ブレイク以外にも行動を遅延させるスキルや詠唱時間が必要なスキル、詠唱を妨害するスキルなども戦術要素となっている。

ビジュアルノベル『西暦2236年の秘書』メガネモード追加

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ゲームサークルChloroは、無償公開中のビジュアルノベル『西暦2236年の秘書』のスマートフォン版(Android版 / iOS版)をアップデートし、アプリ内課金要素として「MEGANEモード」を追加した。

『西暦2236年の秘書』は、23世紀を舞台とした同サークルのビジュアルノベル『西暦2236年』の関連作品。個人向けのAI秘書システム「マスコ」とその持ち主である「ヨツバ」の交流を中心に、人工知能や仮想通貨といったテーマも扱うSF作品で、「AIかわいい系ビジュアルノベル」と謳われている。PC版も公開中。

MEGANEモードは追加コンテンツ「メガネ」を購入するとプレイ可能となり、マスコのグラフィックが赤いメガネをかけたものとなる。そのほかのゲーム内容は変化しない。

電猫遊戯、声優募集開始

同人ゲームサークル電猫遊戯は12日、制作中の3D TPS『星樹の機神 ユニティユニオンズ』の声優募集を開始した。

これまでファンタジーRPG『星樹の機神 プラネットルーラー』や現代ラノベ風RPG『エーテルコード』をリリースしているサークル。『星樹の機神 ユニティユニオンズ』の制作にあたり、メインキャラクター2名のボイスを担当する声優を募集している。

募集期間は4月末までで、結果発表は5月初週、ボイスの収録時期は6月以降となっており、東京都内のスタジオで収録予定。報酬は1ワードあたり400~500円で100ワード以上収録する予定とのこと。

「TOKYO SANDBOX 2019」で見つけた注目のインディゲーム12選+α

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4月6日・7日の2日間にかけて、インディーゲーム展示イベント「TOKYO SANDBOX 2019」が開催された。今年は再び秋葉原に会場が戻り、ベルサール秋葉原2Fホールにてのべ80組120作品の展示が行われ、両日ともに大勢の来場者で賑わっていた。

もぐらゲームスでは2日間に渡り会場での取材を実施した。その中で遊ぶことができた作品から注目作品を12作品ピックアップして紹介する。

前回のTOKYO SANDBOXの様子はこちら。
「TOKYO SANDBOX 2018」で見つけた注目のインディゲーム10選

シューフォーズ

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『シューフォーズ』は大学生チーム「ブイブイラボ」による1on1形式の対戦アクションゲーム。PC版を中心に開発が進められており、リリースは今年の秋~冬ごろに予定されている。
各プレイヤーはUFOを操って木箱をパンチで破壊し、木箱の中からターゲットとなっているアイテムを探し出して、トラクタービームでアイテムを吸引しつつ自陣のゴールへ運べば1点獲得。3点先取で勝利となる。
対戦前には使用キャラクターを3人の中から選択でき、それぞれ移動スピードやトラクタービームで持ち上げられるパワーが異なっている。

上から降ってくる木箱にUFOが押しつぶされてしまったり、対戦相手の上からパンチを浴びせて直接妨害したり、トラクタービームでターゲットをひっぱりあったりとUFO同士での取っ散らかりまくりの大乱闘が繰り広げられる。会場でも笑顔の絶えない白熱した対戦プレイの様子が見受けられた。
ポイントとは関係がないアイテムでもゴールに放りこめば自分のゴールの高さが低くなるため、どんどんキャトってバトルを有利に進めよう。

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賑やかなバトルを彩るポップな色使いアイテムのシュールさも本作の魅力的な点のひとつ。ターゲットとなるアイテムにはオスカー像やシャチホコといった”金ぴか”以外にも「令和」と書かれた色紙が選ばれることがあり、新元号に合わせた時事ネタを織り込むフットワークの軽さが垣間見えた。

Website:https://twitter.com/vvlabo

RE PAINTER

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『RE PAINTER』はこーひーあーる氏制作の見下ろし視点の2Dアクションゲーム。「KAWAII」が正義とされる抑圧された世界で、冴えない絵描きの主人公が4人のKAMIESHIを腹いせに倒しに行く…という、趣味でイラストを描いて公開していたことのある人には含みのあるバックストーリーとなっている。

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本作の最大の特徴は事前にイラストを描いておき、描いたイラストがそのまま攻撃手段となること。会場では液晶ペンタブレットをディスプレイとして展示を行っており、イラストを画面に直接描くことができた。フリーハンドの他にも多彩なペンの種類が用意され、イラストが苦手な人でも様々な図形や模様を簡単に描くことができる。

イラスト攻撃はイラストの「描き順」をトレースするため、凝ったイラストを描くとかえって攻撃を敵に命中させにくくなるという一面も。逆に攻撃としては使いにくいイラストをどうやって当てにいくかを模索する楽しみ方もできるだろう。
またプレイヤーのみならず、敵であるKAMIESHI達もイラスト攻撃を放ってくるため、攻撃の軌跡を読んで回避していくことが重要となる。

本作は2019年内リリースを目標に開発が進められている。開発者のこーひーあーる氏は展示の横でしきりにメモを取っており、更なる作品の改良に意欲を燃やす姿が印象的だった。

Website:https://coffee-r.itch.io/re-painter

Rain City

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キュートなネコのフェイスマスクでお出迎えしてくれた株式会社ORENDAのブースでは、そのネコが主人公のアドベンチャーゲーム『Rain City』の展示を行っていた。上海に籍を置きiOS/PC向けのアドベンチャーゲーム『見失い島(Isoland)』シリーズ等を開発しているCOTTON GAMEによる作品で、日本語を含む複数の言語に対応している。
温かみのなかに切なさの混じった絵本風のビジュアルが大きな特色となっている。

主人公であるジャーナリストのネコは、失踪してしまった妹を探すために「雨の降り続く街」を訪れる。街の住人達との会話やアイテム探しを通じて妹の手掛かりを追うほか、途中にはリズムアクションなどの複数のミニゲームが盛り込まれている。
会場では妹の住んでいたマンションを訪れ、住人たちに聞き込みを行うところをプレイすることができた。ウサギ達のどんちゃん騒ぎに潜り込むべくネコがウサギのフードを被って変装を行うという、ちょっと滑稽な一幕も。

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対応プラットフォームはPlayStation4ならびにNintendo Switch、リリース時期は”雨の季節”を予定しているとのこと。

Website:https://orenda.co.jp/works/raincity/

テンピーポーテンカラー

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ケミカルプリン『テンピーポーテンカラー』は、ひたすら前進を続ける十人十色な「ピーポー」達を出口まで誘導するパズルアクションゲーム。
プレイヤーが操作できるのは「背景の色」。画面をタップしてカラーパレットを選択することで背景の色を変更し、カメレオンのごとく足場やピーポー達の色と背景の色を一致させ保護色にすることでその場から一時的に消し去ることができる。

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ステージ内は物理演算が働いており、壁を消し去ってピーポー達の通り道を作るといったほかにも、足場を止めているピンを片側だけ消し去り、足場をスウィングさせてピーポーを打ち出すなどステージはバラエティ豊か。指一本の単純操作でゆったり遊べるパズルゲームとなっている。

『テンピーポーテンカラー』はAndroid向けに今春リリース予定。
また、本作は「Unity1週間ゲームジャム」に提出された作品が原案となっており、原案となる作品はフリーゲーム公開サイト「unityroom」上でプレイ可能なので、待ちきれないという人はこちらをプレイしてみるのも良いだろう。

Website:http://www.chemicalpudding.com/

WATERING!(仮)

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3DCGアニメの先駆者の一人として知られているアニメーション監督・ロマのフ比嘉氏がゲーム開発に挑戦中の「DIZEGEAR GAMES」レーベルのブースでは、既にリリース済みの『TOSS CAT』の他、開発中の作品である『WATERING!』(仮)が試遊できた。
『WATERING!』(仮)は箱の中に注がれた水をこぼさないようにゴールとなる花瓶へと誘導していくアクションパズルとなっている。水を運ぶにあたっては、時には慎重に、時には大きく箱を傾け、窪みから窪みへと水を中継していくことが重要になる。

ゴールまで水を運ぶだけという単純なルールに加えて、操作も画面上で指をスライドさせて箱の角度を変えるのみとどこまでもシンプルだが、箱を深く傾ければ勢いよく飛び出し、素早くひっくり返せば真っ直ぐ落ちるなど水の動きの心地良さに力が入れられている。残念ながら写真ではその様子をうまく捉えることができなかったため、上記のロマのフ氏のtwitter上の動画から動きを確認してみてほしい。

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花瓶に注ぎ込むことができた水の量に応じて花が咲き、ステージクリア時の評価点となる。
本作はスマートフォン向けに今春配信予定となっている。

Website:http://dizegeargames.com

まつろぱれっと

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SleepingMuseum『まつろぱれっと』はスマートフォン向けのアドベンチャーゲーム。2019年配信予定となっている。
意志を持つ呪いの絵画に描かれた少女に殺されないようにするため、犠牲者たちが残したネット掲示板のログをヒントにモチーフを探し出し、夜な夜な現れる怪物から色を塗るために必要な絵の具を採取しつつ、少女が満足いくものを描き足していくことになる。
会場では導入部として空腹を訴える少女へリンゴを描き渡すところまでをプレイすることができた。

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リンゴだからといってネット掲示板の書き込みをよく読まないまま赤い色で塗ってしまうと陰惨なことになってしまう。
色の悪いリンゴを渡せば喰わされて死に、皮を剥いていないリンゴを渡せば自分の皮を剥かれて死ぬ…というように、死にっぷりのバリエーションもある意味で見所。マルチバッドエンドを堪能できる一作だ。リリースの暁にはぜひ我儘暴力女であるところの彼女にボコら
(記事はここで途切れている)

Website:http://sleepingmuseum.info/matsuro/

SKYARM

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大学生で個人ゲーム開発者のハズキ氏制作によるワイヤーアクションゲーム。右手に装着したワイヤーフックをビルのベランダ、窓の縁などに引っかけ、その反動で空を舞いながら、左手に装着した武器で敵を倒していく。空中が舞台のため、地上(ビル最下部にある雲より下)に落ちてしまうとゲームオーバー。そうならないよう、常にフックを射出してビルの各所に引っかけ、宙を舞いながら戦っていくプレイスタイルを最大の特色としている。

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……のだが、これが熟練のアクションゲーム好きでも面食らうこと確実の手ごわさ。フックを引っ掛けた後の反動がものすごく、さながらロケットのごとき勢いでプレイヤーキャラクターが飛んでいくのだ。しかも、その状態で敵への攻撃を実施しなければならないので、僅かでもタイミングがズレれば豪快に外れてしまう。仮に命中させたとしても、今度はフックをビルに引っかけての落下防止に取り組まねばならなくなるという一難去ってまた一難。LRボタンの方向に沿って繰り出される攻撃、(コンマ1秒単位ながら)連射不可能に設定されたフック射出など、操作周りも独特で、制御の難しさを際立たせている。

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しかし癖が強い分、フック射出のタイミングなどが分かってくるにつれ、”蝶のように舞い、蜂のように刺す”華麗で爽快なアクションができるように。反動のすごさも、慣れてくるとその圧倒的なスピード感が気持ちよくなってきて、落ちずにずっと飛び続けたい欲求が増していく。操作するキャラクターも四人いて、それぞれに特徴的な武器が用意されているほか、ワイヤーフックにも様々なバリエーションがあり、組み合わせによって全く異なるアクションを楽しめたりと、やり込み度も高い。

現時点での開発進捗率は50%程度で、展示で遊べたのは延々と敵を倒し続ける持久戦ことエンドレスモードだった。今後、ステージや敵バリエーションの増強を図ったり、ストーリーを設定するなりして磨き込んでいくようだ。癖のあるアクションを持ち味としているなりの、自分の手で制御できるようになった時の嬉しさと快感は現時点でもバッチリで、これからの発展に期待させられる一本。甘い気持ちで触れば奈落の底行きとなる、鋭く尖った作風も素敵なだけに、仕上がりが楽しみだ。

Website:https://hazukimaru.wixsite.com/skyarm

Square Weapon Dungeon

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「ニコニコ自作ゲームフェス2018」の一般部門大賞に選ばれたパーティアクションゲーム『蹴落とし!トレジャーハンター!』の制作者である飛竜翔氏(WINGLAY)の新作で、ローグライクアクションRPG。先日、UNTIESからの発売が告知されたNintendo Switch版『蹴落とし!トレジャーハンター!』と同時展示されていた。作者いわく、同作の箸休めで作ったものだとか。制作期間は四ヶ月ほどで、開発進捗率は60~70%。

基本的に剣、槍、斧の三種類の武器を用い、敵を倒したり、罠を潜り抜けたりしながら最深部へと潜っていく。階層はアクションゲーム風に構成されたステージがシャッフルで選ばれる仕組みで、それぞれ特徴的な仕掛けと固有の攻略法が設定されている。道中には敵も出現し、倒せば経験値を獲得。一定量に達すればレベルが上昇する。ただ、戦闘では攻撃の度に「スタミナゲージ」を消費。力任せに攻め込もうとすると攻撃ができなくなり、自動回復するまでの間、回避に専念することになる。レベルが上がるにつれ、スタミナの最大値は上昇していくが、体力が尽きればローグライクのお約束に基づきリセット。同時に武器も失われ、最初からやり直しになる。しかも、本作は制限時間もあり、これが0になった場合もゲームオーバーに。階層を進める度に30秒がプラスされ、少しずつ余裕が出てくるが、逆に言えば急いで進めればキャラクターの強化が遅くなり、強化を優先すれば時間切れの危険性が増加。挙句、特定階層で発生するボス戦でも制限時間は据え置き。ボス当人もかなりの耐久力を誇るので、満足に時間が残っていなければ勝ち目はない。

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ただ、どの階層からも次の階層へと進む「ワープポイント」経由で拠点へ戻れる。拠点に戻れればレベルはそのまま、さらに手に入れた武器も持ち帰られる。特に武器は深い階層ほど強力な武器が手に入るので、それを拠点に持ち帰って最初からやり直せば、制限時間に余裕のある状態で深みへと潜っていけるように。そんな時間を意識した攻め際と引き際を考える戦略性、強い武器を手に入れ、力任せに暴れるトレジャーハントの楽しさが凝縮されたゲームデザインとバランスが最大の特色で、黙々と時間を忘れてやり込んでしまう高い中毒性を魅力としている。

何でも制作を始めて間もない頃、制限時間のシステムはなく、つい最近に実装されたものらしいが、結果的に緩急のある展開が光るローグライクに仕上げられていて、他の同ジャンル作品にない個性と面白さを感じ取れた。ボリュームも階層数は無制限を予定していて(※一応、ゲームクリアのゴール地点は存在する模様)、やり込もうとなればほぼ一生遊べてしまう底なし沼な内容になるとのこと。難易度も特にボス戦は相手の動きを読み取る戦術、レベルと装備の質を問うバランスを基本としていて、手に汗握る戦闘を味わえるようだ。操作性も良好で、コマンド入力による必殺技も用意されているなど、一つのアクションゲームとしても楽しめる魅力がある。

予定では2019年5月にSteamにてPC版を配信予定とのことだが、間に合うかは怪しい模様。しかし、突き詰めることで個性の強いローグライクになり得る可能性を強く感じたので、このまま不足している要素を追加したり、バランスの調整をじっくり行って完成に漕ぎ着けることに期待したい。
なお、『蹴落とし!トレジャーハンター!』同様、将来的にはNintendo Switch版も出せればとの展望も語られていた。同ハードの携帯モードとローグライクの相性は『ドラゴンファングZ』、『アルケミックダンジョンズDX』など、同ジャンルの作品で証明済みなので、実現の時が楽しみだ。

Website:http://www.winglay.com/

テトラバッシュ

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RPGツクール製ホラーアドベンチャーゲームの傑作にして、家庭用ゲーム機版の発売にアニメを始めとするメディアミックス展開も盛んに実施された『コープスパーティー』で知られる「チームグリグリ」による新作。2006、2007年にWindows 2000 / XP用ソフトとして発売された同名作品のリブートでもある

件の旧『テトラバッシュ』は、トレジャーハンターの主人公を操作し、軍に捕らわれた姫君を救出し、遺跡の財宝を手に入れるのを目的とした探索型のアクションRPGだった。リブートとなる本作は、パズルアクションゲームへとジャンルを一新。「マテライズキューブ」なる橙色のアイテムを規定数集め、ゴールとなる出口を目指す、どこか懐かしい手触りを特徴とした作品になっている。主人公も旧バージョンでは男性だったが、本作では女性と思しきキャラクターへ変更。グラフィックも3DCGをドット絵へ起こしたものになり、ゲームシステム共々、懐かしさを醸し出している。これら旧版から多数の変更が実施されていることから、制作メンバーの間では『テトラバッシュ』の名のままで大丈夫なの、との議論も起きているとか。会場で案内を務められていたオガワコウサク氏曰く、最終的にはサブタイトルが付くか、別の題名に変わるかもしれないようだ。実際、探索型アクションRPGからパズルアクションへ刷新されている時点で、別のゲームの印象が強く、筆者としては旧版との関連を匂わす、新しいタイトル名が相応しいのではないだろうか……と、思いました。以上、個人差のある意見でございます。

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今回の展示では基本操作とルールを学べるチュートリアル、本番ステージの一部をプレイできた。遊び心地はまさに昔ながらのパズルアクションで、特に敵を倒す時に用いる武器アイテム「ナイフ(短剣)」がユニーク。拾って投げ、また使いたい時は拾うという、いい意味で煩わしい仕組みで、一緒に持つことのできない「箱(※高い足場に上る際の台、スイッチの重しなどに用いる)」と、どのような順序で使い分けるかを考えるのが面白い。ジャンプで敵を飛び越したり、スイッチのON/OFFによって現れたり、消えたりする足場を渡るなど、タイミングが要求される場面も多々あり、アクションゲーム特有のスリルもバッチリ。「マテライズキューブ」も厄介な所に配置されているほか、それを集めることで開放される出口(ゴール)も、ステージによっては複数存在し、選んだ種類によって以降の展開が変わる仕掛けも。主人公も敵、トラップに接触すれば即ミスになるので、適度な緊張感がある。

リリースはPCで予定されている。ステージの数は最終的に80以上を予定しているとのことで、ボリュームと遊び応え共に申し分のない内容になりそうだ。旧版の探索型アクションRPGから方向性が大幅に異なるものの、分かりやすくも頭を悩ませるパズルとアクションで楽しませてくれそうな一本。この種のゲームが好きなプレイヤーなら要注目だ。

Website:http://www.gris2.com

フライングガールストライカー

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その昔、X68000、スーパーファミコン、メガドライブでゲームを開発していた古株のゲームクリエイターで、個人開発者のtani氏が制作した、iOS/Android向け3Dシューティングゲーム。戦闘機上で仁王立ちの女の子が特殊なライフル片手に空、宇宙空間で激しいドッグファイトを繰り広げるという、題名が現す通りのシュールな設定が異彩を放つ。

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しかしてその中身は、正統派の3Dシューティング。通常攻撃の「バルカン」、ロックオンした敵に追尾攻撃を実施する「ロックオンレーザー」の二種類の武器を駆使して、迫りくる敵を撃ち落としながらステージを進む、安定感のあるゲームプレイで楽しませてくれる。左手のスワイプで自機を制御し、右手側でバルカン、ホーミングレーザーを射出する操作性もスマートフォン、タブレットに最適化されたものにまとまっており、違和感なく自機を縦横無尽に動かせる。展示でもスマートフォン、タブレットそれぞれでプレイできたが、どちらも動かしていて煩わしさを感じず、画面いっぱいに繰り広げられるドッグファイトに没頭できた。ステージ構成も空中と地上から襲い来る敵、目まぐるしく変化する背景など、3Dシューティングの醍醐味を押さえた作りで、終盤に登場するボスは動きに応じてカメラワークも激しく揺れ動くなど臨場感、迫力共に満点。効果音、爆発エフェクトを始めとする演出全般もそれらを引き立てており、自機の操作、そして敵を撃墜するだけでも楽しいと感じられる気持ちよさが満ちている。何より、これほど凝った3Dシューティングを個人で作っているというのであるから驚きだ。

随分とユニークな自機だなと、筆者が会場で本作を目にした時はイメージビジュアルに関心が集中し、その珍しさに惹かれる形で遊ぶに至ったのだが、そんな印象を持っていたからこそ、3Dシューティングとしての堅実な作りと完成度の高さには大変驚かされた。自機のアクションは移動とバルカン、ロックオンレーザーと少なめで、欲を言えば、高速移動(緊急回避)系のものもあるとれば、より楽しくなりそうに感じもしたが、スマートフォンとタブレット、どちらでも自然に動かせる操作は一度でも体験してみるだけの魅力が詰まっている。特に90年代前半から後半にかけ発売された、同ジャンルの作品が好きだったプレイヤーの琴線を大いに刺激する一本。既に制作は佳境で、4月末から5月にかけ、リリース予定とのことなので、動向に興味があればtani氏のTwitter、並びに氏の個人スタジオ「stardia」の公式サイトを要チェックだ。

Website:http://stardia.net/

Katana ZERO

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一昨年に『LIGHTFIELD』昨年に『Dimension Drive』と『Floor Kids』を出展した架け橋ゲームズ。今年は新たなボスとエリアを加える大型無料アップデート「Rise of the Giant」が配信されて間もないローグライク探索型アクション『Dead Cells』、2019年4月18日にNintendo Switch、PC(Steam)にて配信予定の新作アクションゲーム『Katana ZERO』の二本が展示されていた。

『Katana ZERO』は『Tower of Heaven(天国の塔)』、『Pause Ahead(ポーズアヘッド)』などで知られる「Askiisoft」制作、「Devolver Digital」販売によるスタイリッシュ斬撃アクション。裏社会で「ドラゴン」と恐れられる、銃弾をも跳ね返すカタナを振るう主人公を操作し、闇の人物を始末しながら雇い主より請け負った任務の遂行を目指す。
幾つかのフロアで成り立つステージを進んでいく正統派の構成だが、常にカタナによる一撃必殺で敵を確実に始末しながら進むのを基本とした、瞬時の判断が試される高難易度が特徴。主人公も敵の攻撃を一発でも受ければ即座にやられてしまうので、戦況を素早く読み、居合斬りを決める感覚で突撃していくことが求められる。また、主人公は周囲の時間を圧縮して遅くする「予知能力」を持っており、これを用いて敵の先手を防いだり、時には銃弾を跳ね返して回避する離れ業も可能。だが、使用制限(回数、時間)があるため、力押し目的で用いると、逆に不利となることも。確実に決めたい、倒しにくい敵を安全に始末したい時に使うなど、状況を見極めた上での活用が求められてくるようだ。

他作品の名をあげるが、プレイ感は横スクロール版ホットラインマイアミ。敵の攻撃を一回でも喰らえば即死、その後、高速でチェックポイントから再開される(巻き戻される)、激しめの出血エフェクトにおいて、同作へのオマージュが見受けられる。しかし、予知能力による銃弾跳ね返しなどの離れ業、軽快な操作性、分かりやすいステルス要素、起伏に富んだステージ構成も相まって、独自の遊び心地を実現している。世界観、ストーリーも魅力的で、イベントデモでは会話の選択肢によって以降の敵の出現数が変わる要素も。さらに選択肢には制限時間が設定されていて、表示間もないタイミングでボタンを押すと、相手の話を完全に無視した強行に走れる面白い仕掛けも。特にステージが進む度に挿入される主人公のカウンセリングシーンで、医者の質問を待たずに「早く薬をくれ」と選び続ければ、完全にヤ●中その人。このような要素もあって、クリア後の周回プレイも楽しめそうだ。

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発売日は2019年4月18日。Nintendo Switch版はマイニンテンドーストアにて、あらかじめダウンロードが実施中だ。手ごわく、(表現面で)苛烈なアクションゲームをお求めのプレイヤーには要注目の一本。同日、Nintendo Switchで発売される『Cuphead』とのセットで、手ごわいアクションゲーム祭りを開催してみませんか。

Website:https://www.katanazero.com/

YUPPIE PHYCHO

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少女のようで実は少年の「ハンス」が、おぞましい城を探索するホラーアドベンチャーにして、Nintendo Switch版も発売された『ルカノール伯爵(The Count Lucanor)』を制作したインディーディベロッパー「Baroque Decay」の新作。本作もホラーアドベンチャーで、サバイバル要素を導入したゲームシステムを特色としている。

ストーリーも異様、且つ珍しさが光る。監視社会と化した架空の90年代。田舎に住む青年ブライアン・パスタナックは、世界有数の大企業「シントラコープ」本社から就職オファーの招待状を受け取る。流れるがまま会社へ出勤したブライアンは、エレベーターに搭乗し、オフィスへ……となるはずが、何故か一般社員でも足を踏み入れることの難しい最上階に招かれる。だが、そこに人の姿はなかった。代わりにあったのは、血文字で書かれた「kill the witch(魔女を殺せ)」のメッセージ。その出来事を機にブライアンはこの企業の裏に巣食う”呪い”と対峙していくことに……というのが、冒頭のあらすじ。

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「サラリーマン+ホラー」、監視社会と化した架空の90年代など、設定の時点で既に面白く、初見の印象を一変させるオープニングでの出来事も相まって、一気にプレイヤーを作品世界へと引き込ませる魅力がある。ゲームも見下ろし視点の探索アドベンチャーと正統派の作りながら、徹底したホラー演出で攻めた作りで、ダメージの概念(並びにゲームオーバー)も存在するだけあって、慎重な行動が求められる。今回出展されていたデモでは、コーヒーメーカーとPCモニターが飛んでくるポルターガイスト現象に襲われる場面があったが(そして、流れるがままにダメージを喰らった)、ゲームが進むと”人ならざる者”も登場する模様。そのデザインも企業内部に巣食う存在ならではの独特な容姿をしており、身の毛もよだつ恐怖をプレイヤーに色んな意味で提供してくるようだ。

『ルカノール伯爵』譲りの日本のアニメを意識したキャラクターデザイン、イベントデモ、そして探索パート時の特徴的なドット絵は本作においても引き継がれており、ホラー要素と絡むことによる異様な雰囲気を醸し出している。丁度、展示されていた場所がステージに近くで、丁度その頃、トークイベントが実施されていた関係でよく聴き取れなかったのだが、音楽は『Va-11 Hall-A』のMichael Kelly氏が担当しているとのことで、楽曲にも期待が持てる。

発売日はPC(Steam)版が2019年4月25日。Nintendo Switch、PlayStation 4版はその後になる。また、日本語対応が明言されているのはNintendo Switch、PlayStation 4版で、PC版は不明。『ルカノール伯爵』は、Nintendo Switch版発売から遅れる形で実施されたので、もしかしたら本作もそちらと同じ過程を辿るかもしれない。
一風変わったホラーアドベンチャーをお求めなら、要チェック。しがない田舎出身のサラリーマンがいかなる形で企業の呪いに挑むのか、そして”魔女”とは何者なのか。先を知りたくなったのであれば、ブライアンと共にこの会社に就職してみよう。もしかしたら、その先でブラック企業以上の”なにか”を目にする……かも。

Website:http://www.yuppiepsycho.com/


最後に今回のTOKYO SANDBOXでは、リリースされて間もない新作の出展が多く見受けられた。中には丁度、本イベントと重なるタイミングでリリースされた作品も。昨年度のTOKYO SANDBOXのレポートでもピックアップした、『ミサイルダンサー』を制作したてらりん氏によるPC向け横スクロールシューティングゲーム『ジェミニアームズ / GeminiArms』だ。

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これまでスマートフォン、タブレット、PC向けに80~90年代初期の香り漂う縦スクロールのシューティングゲームを制作してきた氏にとって初となる、PC特化型の作品。戦闘機とロボットに変形する自機を操縦し、右スティックで攻撃を展開しながら迫りくる敵を撃墜していく、ツインスティックスタイルを取り入れた操作を特色としている(※キーボード+マウス操作にも対応)。また一人プレイ時、CPU操作の二機目の機体がサポート役で同伴し、専用ゲージが溜まれば「合体」が可能となり、一定時間強力な攻撃を繰り出せる一風変わったシステムも盛り込まれている。さらにこの二機目をもう一人のプレイヤーが操縦する、二人協力プレイにも対応。『ミサイルダンサー』で昨年末、アップデートにより搭載されたオンラインランキング機能も実装されている。

こちら、Steamにて2019年4月6日より発売中。2019年4月13日まで、リリース記念で40%OFFの価格で購入できる。PCに特化したなりの意欲的なゲームシステム、テンポの良さが光るシューティングゲームに完成されているので、興味があればぜひ。

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さらに2018年11月のデジゲー博のレポートでもピックアップした、フリーシナリオ方式とアクションゲームスタイルの戦闘システムを売りとする、Nintendo Switch向けロールプレイングゲーム『ARTIFACT ADVENTURE 外伝 DX』も今回のTOKYO SANDBOXに出展されており、発売時期が2019年5月中になることが告知された

さらに、かの有名なインディーゲームとのコラボレーションも発表され、今回のイベントにおいて、特別にその一部を作者のbluffman氏に見せていただいた。率直な感想を言えば、「まさかの!」ゲームだった。そして、コラボレーション実施に当たって、”あの方々”への協力を打診されたとの話に思わず笑ってしまった。

一体、何のゲームとコラボレーションしたのか?そして、”あの方々”とは?
詳細は5月中にお披露目される予定の続報で!

リズムアクション×シューティングゲーム『オトシュー』リリース、ノベルゲーム『真性終末症候群-World end,eve-』公開など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はリズムアクションとシューティングが融合したスマホゲームのリリースなど7本です。

リズムアクション×シューティングゲーム『オトシュー』リリース

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インディーゲームデベロッパーEZDAEMONは13日、スマートフォン向けのリズムアクション×シューティングゲーム『オトシュー』リリースした(Android版 / iOS版)。基本無料でアプリ内課金あり、課金要素は一部楽曲の解禁など。

基本は横スクロールのシューティングゲームで、曲の展開に応じて「音ゲーパート」が発生して終了後はボムのように画面上の敵を殲滅、リズムゲームの結果に応じたスコアボーナスを得られるのが特徴。シューティング部分でも敵弾の発射タイミングといったステージ展開が曲と同期しているほか、キャラクターボイスも豊富に用意されており仲間と声を掛け合いながら一緒に戦う場面もあるなどハイテンションで賑やかな演出も見どころの作品となっている。

ノベルゲーム『真性終末症候群-World end,eve-』公開

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ゲーム製作サークルStarChasersは、ノベルゲーム『真性終末症候群-World end,eve-』をフリーゲームとして公開した。

主人公の少年「睦月」と幼馴染みや級友達との賑やかな日常を描きつつ、「世界の終わり」をも予感させる物語が展開していく作品。イベントCGと背景を合わせて差分抜きで約200枚に及ぶオリジナルのグラフィックも見どころとなっている。

東方Project第17弾『東方鬼形獣 〜 Wily Beast and Weakest Creature.』発表

上海アリス幻樂団は17日、ブログにて東方Project第17弾『東方鬼形獣 〜 Wily Beast and Weakest Creature.』を発表した。

「いつもよりダークで、けもの成分多くて、ちょっぴり攻撃的なシューティングゲーム」とのこと。プレイヤーキャラクターは霊夢と魔理沙、妖夢となる模様。5月5日開催の第十六回 博麗神社例大祭にて体験版を頒布予定。

伝奇アドベンチャーゲーム『被虐のノエル』ドラマCD視聴動画第2弾公開

連載型の伝奇アドベンチャーゲーム『被虐のノエル』のドラマCD『ドラマCD「被虐のノエル」SEASON 0 〜叛逆〜』の視聴動画第2弾が公開された。

『被虐のノエル』はカナヲ氏が株式会社バカーのゲーム配信サイト「ゲームマガジン」でフリーゲームとして連載している作品。契約によって願いを叶える悪魔が実在する世界の港町「ラプラス市」を主な舞台に、両手両足を奪われた少女ノエル・チェルクェッティと大悪魔カロンのコンビによる復讐の物語が描かれる(紹介記事)。ドラマCDは本編主要キャラクターの一人であるフーゴ・ドレッセルをメインとした本編の前日譚で、東宝より4月24日発売予定。

DLsite、最大90% OFFのゴールデンウィークキャンペーン実施

コンテンツダウンロード販売サイトのDLsiteは19日、対象コンテンツが最大90% OFFで購入できるゴールデンウィークキャンペーンを開始した。期間は5月13日14時まで。

また、同サイトのアカウント数が300万を超えたことを記念し、新規にユーザー登録した人に300円分のクーポンプレゼントするキャンペーンも19日から5月13日まで開催される。従来より新規登録時には300円分のクーポンが配布されているため、キャンペーン期間中は600円分のクーポンを入手可能。

なお、もぐらゲームスで紹介・レビュー記事を掲載した作品のうち、ゴールデンウィークキャンペーンの割引対象となっているのを確認できた作品は以下の通り。

アスクギア

アスクギア(稲穂スタジオ)
遺跡の中に眠る少女と出逢いから始まる物語。市販RPG並みの大ボリュームの王道&激熱のド直球RPG!

記事:JRPGの王道ここにあり!コンシューマ級の遊び応えと練り込まれたプレイアビリティを誇る長編大作『アスクギア』

TinyWar

TinyWar(るてんのお部屋)
8bit風のRTS(リアルタイムストラテジー)です。1ステージ数分で攻略でき、サクサクと進められます。どんどんクリアして、特殊能力をゲットして、戦いを有利に進めて下さい。

記事:『TinyWar high-speed』 むらがる8ビットのユニットが楽しい短期決戦型RTS

魔神女子

魔神女子(こねくろいど)
巨大女子(山田院花子)を操り、宇宙魔神の侵略から地球を守る!!

記事:カオスを超えた2Dアクション『魔神女子』 敵の残骸を食べて“女子力”アップ、オシャレコーデに謎クイズ

クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女

クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女(AlchemyBlue)
クトゥルフ神話のレトロゲーム風ホラーRPG 第1弾! 主人公はあなた! 名前、能力値、スキルを決め、仲間と共に館の謎を解き明かせ!

記事:クトゥルフなフリーゲーム・インディゲームおすすめ5選。名状しがたい恐怖を堪能しよう

マジックポーション・エクスプローラー

マジックポーション・エクスプローラー(ARTIFACTS)
「薬の素材を簡単に調達できるようになりたいのかえ?」――薬屋の地下に突然ダンジョンが!? 店を無断改造された文句を言うため、店主のパステルは地下深くへと探索を開始しました。

記事:クッキークリッカーライクな自動探索型RPG『マジックポーション・エクスプローラー』。はた迷惑なダンジョンを薬の力(?)で踏破せよ!

ファミコン風音源集「神祭」ダウンロード販売開始

retro sound createは17日、ファミコン風音源集「神祭」のダウンロード販売を開始した。

和風の作品に使えるロイヤリティフリーの楽曲を全20曲収録。ファイル形式はWAV/MP3/M4A/Oggおよびループタグ付きOggが用意されている。

神祭

神祭(retro sound create)
retro sound createが贈るファミコン風音源集第4弾!! 今回は和風の作品に使える楽曲を全20曲

ゲームエンジン「Light.vn」バージョン7.6.0公開

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ゲームエンジン「Light.vn」のバージョン7.6.0が16日に公開された。

ビジュアルノベル系作品の制作に適したスクリプト型のゲームエンジン。専用エディターが用意されており、エディター上でのリアルタイムプレビュー機能が大きな特徴となっている(紹介記事)。

バージョン7.6.0ではパーティクル効果、マスク、画像合成といった機能が追加されており、素材の読み込みの軽量化なども施されている。今回の更新に伴いサンプルのチュートリアルも更新・拡張された。

フリゲRPG『アストリアガール』公開、あとらそふと最新3作品の体験版公開など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題はフリゲRPGの新作公開など7本です。

RPG『アストリアガール』公開

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猫屋ナオト氏は22日、RPG『アストリアガール』をフリーゲームとして公開した。成人向け要素のある同名ゲームを全年齢向けに修正したものとのこと。公称プレイ時間は8~10時間。

人が生まれつき「ドクトリン」と呼ばれる特殊能力を一つだけ持つ世界を舞台とし、ドクトリンを悪用する犯罪者などに立ち向かう組織「ディラクセイ」の少女アストリアが主人公の作品。プレイヤーの操作で敵とのエンカウントをキャンセルできるシステムや、能力を高め専用のスキルを発動できる「ギア」とギアに装着できるカートリッジによるキャラクターカスタマイズなどが特徴。

武器の強化やアイテムの作成といったクラフト要素もあり、戦闘中や戦闘以外のさまざまな行動でスキルを習得していき、プレイスタイルに応じてキャラクターの個性が変化していくのもポイントとなっている。

あとらそふと、最新3作品の30分体験版を公開

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『マッドプリンセス-華麗なる闘士たち-』30分体験版

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『やまとの姫』30分体験版

ゲーム制作サークルあとらそふとは、最新3作品の30分体験版をDLsiteにて公開した。製品版と同じ内容を30分間プレイでき、制限時間が過ぎると強制終了する仕様。セーブデータは製品版に引き継ぐことができる。

対象となるのは、フリーシナリオの闘士育成RPG『マッドプリンセス-華麗なる闘士たち-』、バーチャル空間の小学校から脱出するアドベンチャーゲーム『バーチャルハッカー』、和風カードRPG『やまとの姫』の3作品。なお、『やまとの姫』は22日にアップデートでバランス調整が行われている。また、3作品とも5月13日14時まで50% OFFセール中。

マッドプリンセス-華麗なる闘士たち-

マッドプリンセス-華麗なる闘士たち-(あとらそふと)
フリーシナリオの闘士育成RPG

バーチャルハッカー

バーチャルハッカー(あとらそふと)
バーチャル空間の小学校から脱出するAVG

やまとの姫

やまとの姫(あとらそふと)
和風カードRPG

クラフト経営シミュレーションゲーム『ウィッチリングマイスター』Steam配信開始

同人サークル犬と猫のクラフト経営シミュレーションゲーム『ウィッチリングマイスター』のSteam配信が19日に開始された。

街の宝石店の娘「マリエッタ」となり、指輪を制作して店を切り盛りしていく作品。初リリースは2016年。

伝奇アドベンチャーゲーム『被虐のノエル』ドラマCD発売

連載型の伝奇アドベンチャーゲーム『被虐のノエル』のドラマCD『ドラマCD「被虐のノエル」SEASON 0 〜叛逆〜』が24日に東宝より発売された。

『被虐のノエル』はカナヲ氏が株式会社バカーのゲーム配信サイト「ゲームマガジン」でフリーゲームとして連載している作品。契約によって願いを叶える悪魔が実在する世界の港町「ラプラス市」を主な舞台に、両手両足を奪われた少女ノエル・チェルクェッティと大悪魔カロンのコンビによる復讐の物語が描かれる(紹介記事)。

ドラマCDは本編主要キャラクターの一人であるフーゴ・ドレッセルをメインとした本編の前日譚となっており、シナリオはカナヲ氏が監修。キャストとしてはノエル役を市ノ瀬加那さん、フーゴ役を杉山紀彰さん、オスカー・ドレッセル役を佐藤拓也さん、ラッセル・バロウズ役を細谷佳正さん、パイソン(ラウロ・マエストリ)役を羽多野渉さん、ジーノ・ロレンツィ役を竹内良太さんが担当している。

モンスター素材集「トキワグラフィックス クラシックモンスターズパック」第1~2弾発売

「ツクール」シリーズ専用のモンスター素材集「トキワグラフィックス クラシックモンスターズパック 第1弾」および「トキワグラフィックス クラシックモンスターズパック 第2弾」がツクール公式ストアにて発売された。「RPGツクールMV」の素材規格に合わせて作られており、それ以外のツクールシリーズでの利用も可能。ツクールシリーズ以外での利用は不可となっている。

第1弾はゴブリン、アンデッド、リトルドラゴン、ホーネット、第2弾はスライム、マンドラゴラ、リザードマン、オオコウモリのモンスターグラフィックを収録。昼間、夕暮れ、夜、雨と4パターンのグラフィックが用意されている。また、これらのモンスターのドット絵素材も収録されている。

PLiCy、「RPGツクール2000」互換エンジンのHTML5版βを提供開始

フリーゲーム投稿・配信サービスPLiCyは、「RPGツクール2000」互換エンジンのHTML5版βを提供開始した。

PLiCyはさまざまなゲームエンジンで制作されたゲームを投稿しWeb上でプレイ可能にするサービスで、「RPGツクール2000」製のゲームはPLiCy独自の互換エンジンで動作する。今回HTML5版のエンジンが提供されたことで、PLiCyに投稿された「RPGツクール2000」製のゲームがスマートフォンのブラウザ上でプレイ可能となった。

なお23日現在、経験値曲線の計算式が不明のため、本家と必要経験値が異なるとのこと。また、ムービーファイルを入れた動画再生機能は現在利用不可能となっている。動作は随時改善していくという。

「東京ゲームショウ2019」インディーゲームコーナー選考ブース募集受付開始

東京ゲームショウ2019のインディーゲームコーナーにおいて、審査員が選考したオリジナルのゲームタイトルを無料で出展できる「選考ブース」の募集受付が22日に開始された。今年は任天堂がスポンサーとなっている。

出展資格は年間売上げが個人の場合1000万円もしくは10万USドル程度以下、法人の場合5000万円もしくは50万USドル程度以下であること、法人の場合資本的に独立していること。応募締切は6月14日まで。

趣向を凝らした戦闘システムと美しいビジュアルで紡がれる”波及する意志のRPG”『リアリティ×マインズ』

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俗に言う「TSF(TransSexual Ficition)」、異性への性転換を題材にしたフィクションの様式の一つである「入れ替わり」は、古くは児童文学から映画、漫画、アニメなど、エンターテインメント界隈においては根強い人気を誇る。

何故、この題材の人気は衰えないのか。それは異性の身体と生活習慣に対する戸惑い、その立場になることで見えてくる新たな世界など、登場人物達がいかなる反応を示すのかという興味と期待を抱かせる要素にあると思われる。また、入れ替わりを引き起こした真相を突き止める展開など、謎解きやサスペンスを楽しめる側面を持つのも大きいかもしれない。

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今回紹介する『リアリティ×マインズ』も「入れ替わり」を題材にした、PC(Windows)向け中編ロールプレイングゲーム(RPG)だ。『Elemental Field』シリーズ、『覚醒男女』など、これまでにもRPGツクールVX Ace製のRPG作品を多く輩出してきた露木佑太郎氏が制作(※本作では『RPGツクールMV』が用いられている)。2018年11月16日より、フリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」にて公開されている。

個性的な戦闘システムを特徴としたストーリー主導型RPG

舞台となるのは「シエルカント・アース」と呼ばれる世界。王都「シエルカント」では、毎年決まった時期に新人兵士の採用試験を実施しているが、兵士でも倒すのに苦労する魔物が増加している関係で、志願者は減少傾向にあった。

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そんな王都の兵士になるべく、親友のユーディルと共に剣術を磨く男、アストレイク。いつものように近く森で特訓に励む二人だったが、そこに一人の少女が現れ、いわれなき襲撃を受ける。
突然の事態に対処できず、意識を失ってしまうアストレイク。
しばらくして目をさますと……

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なんと、先ほど自らを襲撃した少女の姿になっていた
どうやら、何かの衝撃で人格が入れ替わってしまったらしい。

では、アストレイク本人の中には……と、襲撃を受けた場所へと戻ると、間もなく王都の兵士たちが現れ、投獄されてしまう。この少女こと「シルヴァーナ」は昨今、ある村を無差別に焼き払う事件を起こしたことで指名手配されていたのだ。

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そして投獄の後、処刑が決定される。アストレイクはこの状況から脱するべく、兵士たちに嘆願する形で昨今、凶暴化している魔物を討伐する任務へと赴き、行方をくらました元の身体と、そこに宿ったとされるシルヴァーナを捜すことになる。
少し、序盤のネタバレを含ませていただいたが、あらすじはこのような形だ。

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本編は章仕立ての構成で展開。オープニングに当たる一章を除き、拠点に当たる「シエルカント城」で装備、アイテムの調達・管理などをして、「任務」と称されるストーリーイベントを受領して舞台となる場所へと赴き、遂行を目指す。

戦闘はマップ上の敵シンボルに接触すると発生。仕組みとしてはコマンド選択型の王道スタイルとなる。しかしながら、細かい部分に独特な味付けが施されている。

まず第一に成長周り。本作には経験値、レベルの概念が存在しない。代わりに「SP」なるポイント、「強化石」と言ったアイテムを用いて「スキル」を習得し、ステータスの強化を図っていく。

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スキル習得はメニュー画面の同名称の項目にて実施。全5つのカテゴリがあり、それぞれ習得したいスキルを選んで決めていく。ツリー方式で並んでいるので、一つ取るごとにその次に続くスキルが解禁され、さらなる強化を図れるようになる。

このスキル習得に必要な「SP」は、基本的に戦闘、マップ内の宝箱を開けることで入手できる。ただ、戦闘の場合は勝利するのではなく、「連携」を四回発生させねばならない

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連携は文字通りの合わせ技で、二つ目の特徴。戦闘コマンドの「救済」、「特技」いずれかのスキルを仲間に合わせて繋げて出すと発生。追加の攻撃、回復などを繰り出せるのだ。

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▲ボス戦では、勝利後にボーナスSPも手に入る。

これを四回発生させれば、戦闘終了後に「SP」が得られる。また、本作は雑魚敵の耐久力、攻撃力が気持ち高めに設定されている関係で、戦闘の早期決着、並びに態勢の安定には連携をどれほど発生できるかにかかってくる。

特に回復絡みの連携は極めて重要。というのも、本作には回復アイテムが存在しない。関連スキルはあるが、フィールドマップ上で使うコマンドは用意されていない。ゆえに戦闘中に
実施する形になるのだ。それもあって、迅速に回復したい場合は連携を発生させ、敵の攻撃による被害を受けても致命傷にならないところまで数値を上げなければならない。

そのため、状況を見据えたコマンドの選択が結果を左右する。とは言え、回復に関してはダンジョン内に全回復ポイントも置かれている。さらに戦闘難易度も選べるので、ストーリーだけを楽しみたいプレイヤーへの配慮も整っている。(※ちなみに全回復ポイントは最も簡単な「イージー」なら無限に使える。「ノーマル」以降は1回限り)

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ただ、一筋縄ではいかないバランスであることは大体、想像できるだろう。この他にもキャラクターごとの武器・防具は固定されていて、装備は補助効果を与えるアクセサリー以外切り替え不能(※ゲームが進むと武器・防具の強化システムが解禁)、序盤限定で主人公の体力が尽きた後、他のメンバーを「憑依」させてパワーアップ状態で復帰できるシステムがあるなど、個性的な試みが満載。

表向きこそストーリー主導型らしく、気軽に遊べそうな雰囲気だが、その実はシステムに凝った作り。いい意味で意表を突く内容になっている

戦闘システムも関係する、「意志」を題材にした芯の通ったストーリー

例によって、本作の魅力は戦闘システム。「連携」を意識した手を打ちつつ、パーティメンバーの体力に応じて攻守を切り替えるなど、コマンド選択型の取っ付きやすさと戦略を練る面白さが絶妙に絡み合ったバランスが光る。

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特に「連携」は多く発生させることがSP獲得に繋がるので、自然に色んな組み合わせと連続発生を狙いたくなる。戦闘が長引くほど、多くのSPを獲得できるチャンスになるのも、経験値やレベルと言った当たり前の要素がないからこそできた、粘りに粘って、それ相応の恩恵を得る快感と面白さに満ちている

何より、ストーリーを構成する要素の一つにもなっているのが秀逸。実はこの戦闘システム、ちょっとした”仕掛け”があり、終盤のストーリーに思わぬ形で関わってくるのだ。

詳細は件の場面を見てのお楽しみだが、戦術性を売りとするシステムで完結させようとしなかった、作者のこだわりを思い知らされること間違いなし。何気ない要素でプレイヤーの意表を突く卓越したセンスにも唸らされるはずだ。

ストーリー本編もタイトルに冠された「意志」を題材とした一貫性のある内容と、先の読めない展開の数々が強い印象を残す。特に主人公のアストレイクは、手配中の少女になってしまったがあまり、多くの受難に見舞われる。

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また、イベント中には選択肢が表示され、時に彼の感情を逆なでするものを選んでは葛藤する様子もたびたび描かれる。しかし、例え厳しい状況に陥り、負の感情が湧きあがろうとも、彼は自分なりの意志を示して行動していく。それによって、次第に彼を敵視していた兵士からの信頼を勝ち得、時にコンプレックスを持っていた仲間を成長させるきっかけを与えることになる展開の数々には、なかなか心打たれるものがある。

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そして、やがて訪れる行方知らずとなっていた本来の身体との対面。それ以降は一連の出来事を引き起こした犯人を巡る展開へと切り替わっていくのだが、そこにも「意志」を題材にした意外な展開が待っている

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中編ということで、エンディングまでは4~5時間程度と短めだが、終始、ブレのないテーマ性とこの設定あってこその展開の数々で唸らせるストーリーに完成されている。特に戦闘システムも絡む終盤の展開は、思わず唸る内容になっているので必見。本作が「波及する意志のRPG」を謳っている理由がよく分かるはずだ。

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また、本編の前日壇に当たるサブエピソード、エンディング後の主人公とヒロインが元の身体に戻った後のエピソードが用意されているのも大きな見所。特にエンディング後はそれ以外にも多くのイベントが用意されていて、もっと登場人物達の掛け合いを楽しみたいという欲求に応えてくれる。メインのみならず、サブ側も用意して世界観を掘り下げる。そんなサービス精神旺盛な要素も完備しているのにも驚かされるところである。

ストーリー派もシステム派もフォローする力作

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ここまでのスクリーンショットを見れば明らかだが、グラフィック、キャラクターデザイン(イラスト)、インターフェース周りの美しさも本作の魅力。イベントでは一枚絵(スチル)もよく挟まれるほか、戦闘においては「連携」などを発動させた際に掛け声ボイスとカットインも挿入されるなど、演出面も凝っている(※いずれもオプションでOFF設定に変更可能)。特に入れ替わりの設定が強く反映された主人公、ヒロインのボイスは要チェックである。

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全体的に高い完成度を誇る本作だが、戦闘システムに関してはスキルを駆使した戦いになりがちゆえ、通常攻撃を実施する「攻撃」コマンドが空気、ストーリーも主導型の体裁を取っている関係で、マップ探索の面白さは控え目という難点がある。本編外のサブイベントも時限式のものが多く、一度取り漏らしたら回収できなくなるシビアさがタマにキズだ。ただ、ヒント機能、引継ぎ有りの周回システムが実装されている。さらに全体のボリュームが控えめなので、やり直しがそれほど苦にならないのはせめてもの救いである。

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少し癖もあるが、意欲的な戦闘システムと一貫性のあるストーリーで楽しませてくれる本作。ストーリーだけを楽しむことにも対応した作りなので、見た目に惹かれただけの理由でプレイしても十分、期待に応えてくれること間違いなしの力作だ。システム派のプレイヤーにも見所満載、遊び応え申し分無しの仕上がりなのでぜひ。

最後に余談ながら、今後は本作のキャラクターイラストなどをまとめた画集の販売が計画されている模様。5月中の完成を目指しているとのことなので、興味のある方は作者・露木佑太郎氏のTwitterを要チェック!

[基本情報]
タイトル:『リアリティ×マインズ』
制作者: 露木佑太郎
クリア時間: 4~5時間(※エンディング後含む:7~9時間)
難易度:初級~上級者向け
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/18915

血を血で洗う長編ノベルゲーム『真昼の暗黒』。闇に次ぐ闇の末、全てが分からなくなる。

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紙面、WEBを問わず、メディアに掲載されるニュース、批評は、それを書きまとめた人間の目を通したものである。それは当サイト「もぐらゲームス」も同じだ。

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そのことを踏まえた上で今回、『真昼の暗黒』というノベルゲームを取り上げる。
ただ、

”ゲームの紹介兼批評記事でそんなことを前置きする必要ないだろ。”
”批評が書いた人の目を通した内容にまとまることなど、当然だ。”

そう物申したくなったのなら、ここで記事を読むのを止めていただきたい。
そのまま、ゲームをダウンロードして始めるのだ。

本作はフリーゲームとして「ふりーむ!」、「フリーゲーム夢現」、「ノベルゲームコレクション」にて配信中である。(※ノベルゲームコレクションはブラウザ版となる)

東京都多摩市。事件は夏の日の夕暮れ時に起きた。

2018年8月19日より公開された本作は、ある女性の失踪事件を描いたノベルゲームだ。

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東京都多摩市。古い団地に昼間うたげ・ミサという二人の姉妹が住んでいた。
姉のうたげは市の役所で働く公務員で、妹のミサは小学五年生。歳にして10歳以上離れている。両親は、父親が九州地方に単身赴任中のため、現在、うたげが家事全般をこなしていた。

ある日、ミサは同級生の友人との約束で多摩駅近くまで出かける。
うたげはいつも通り、ミサの面倒を見つつ、全てを終えた後に市役所へと出勤した。

夕暮れ時、友人との約束を終えたミサは団地へと戻り、自宅のドアを開けた。
時間帯からして、既にうたげが帰宅しているかと思われた。

だが、その先にあったのは、大量の血痕と誰かが引きずられた形跡。
近くにあったバッグから、ミサはそれが姉のうたげのものであることを知る。
うたげは帰宅後、何者かに襲われ、姿を消してしまったのである。

ほどなくして警察が駆けつけ、現場の調査が始まる。ミサは下の階に待機していたが、突然の出来事に茫然自失の状態にあった。そんなミサの元に、事件被害者のカウンセリングを担当する暮方計(くれがたかず)なる男がやってくる。

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冒頭の物語はこのような形だ。これから間もなく、ミサは計と関わり合いながら、事件の推移を見守っていくことになる。果たして、行方不明になった姉はどこへ。犯人は何者なのか。

内容としては、王道のサスペンス。そして、ゲームの流れも単純。物語を読み進めていくだけだ。しかしながら、本作は読み進める体験に着目した仕掛けが仕込まれていて、それを最大の魅力とする。

……分からない。

だが、その詳細を語ることは不可能だ。これ以上はゲームをプレイしてご覧いただきたい。

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なるべく内容に触れないよう語るなら、”分からない”
念のためだが、大量の血痕を残して消えた姉の行方、彼女を襲った犯人は途中で暴かれる。物語も最終的にはちゃんと幕を下ろす。

だが、”分からない”のである。サスペンスなら、次第に謎が解けていく過程が御約束であり、醍醐味だ。
ところが、本作はそうならない。”分からなくなっていく”のだ。

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そして、あるタイミングを境に”真実”に辿り着くことになる。分からなくなるのに真実に辿り着くって矛盾しているじゃないか、と言いたくなるだろうが、本当にそのような展開が起きる。
そこから物語は結末へと向かっていくのである。

筆者個人の”目を通した感想”を書くならば、その過程は非常におぞましいものだった。作中で語られる個々のエピソードもさることながら、この物語がノベルゲームという形で描かれた理由に背筋が凍る恐怖を覚えたからである。

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ノベルゲームは、アクションゲームやロールプレイングゲーム、シューティングゲームのようにプレイヤーが直接、キャラクターを動かす干渉要素に乏しいことから、”ゲームではない”と言われやすい。本作の場合、物語を読み進めていくことに終始するので、より声高に”ゲームではない”と言えてしまうところがある。

だが、本作は間違いなくゲームだった。
そうとしか言い様のないものに直面したのである。

この闇の果てには”なにか”がある。

”何が言いたいのかサッパリだ。”
”大げさすぎる。”
”普通のサスペンスにしか聞こえないぞ。”
”ノベルゲームなのだから、物語を読む以上のことなどない。”
”この記事の書き手は信用に値しない。”

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……正直、何が言いたいのかは全く伝わっていないと思われる。
だが、それは正しい反応だ。端から筆者にそれを伝える考えはない。それに、非常に申し訳ないが、先ほどの記述の一部は嘘だ。

何故、そのようなことをしたのか、答えは簡単だ。
所詮、筆者個人の目を通した感想でしかないからである。

筆者は嘘を混ぜた内容にするのが最適と判断し、このようにまとめた。
他の方なら、全く違った考えに至るだろう。
そして、俺は詳細を語った内容にしてやる、と意気込むかもしれない。

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だが、いくら足掻いても本作のことを語ろうとすれば、目を通したものに収束してしまう、どうしようもない現実に直面するだろう。
これだけは嘘でもなく、本当のことだと断言する。ゲームを問わず、どんな娯楽作品の批評も究極的にはそういうものだろうと言えば、まさにその通りなのだが……訳が違う。

先日に発表された「ティラノゲームフェス2018」ではグランプリを受賞した本作。その実績には一切の偽りはなく、完成度の高いノベルゲームに仕上がっている。そして、本作を語る人への疑念を強くする”なにか”が潜んでいる。

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散々繰り返してきたが、内容が気になるなら今すぐにでもプレイいただきたい。
この記事に嘘が書かれた真の意味を探るのだ。
そして、最後に辿り着く”あるもの”を拝見して欲しい。
ここまで書いたことの全てを、”思いもしない場所”で知ることになるだろう。

いや、分からなくなるかもしれない。

最後に、本作には過度な暴力、出血、性表現が多く含まれる。特に性表現周りのテキストは苛烈なので、苦手な方はご注意いただきたい。推奨年齢は15~17歳以上が望ましい。

念のため、この情報も本当のことです。
でも、信じるか信じないかはアナタ次第。

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[基本情報]
タイトル:『真昼の暗黒  / Darkness at Noon』
制作者: 隷蔵庫
クリア時間: 7~8時間
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料
備考:対象年齢15~17歳以上(※過度な暴力、出血、性表現あり)

ダウンロードはこちらから
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/18312

※フリーゲーム夢現
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_7376.html

※ノベルゲームコレクション(ブラウザ版)
https://novelgame.jp/games/show/1012


脳味噌チーズなド腐れチンピラ野郎どもをBB弾でお仕置き大掃除!破天荒リズム弾幕アクションSTG『Super Ledgehop Double Laser』

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西暦千何百何十何年なのかサッパリわからん、世紀末染みた謎の未来!
社会は脳味噌チーズなチンピラを統率する、ゴルゴンゾーラな政府に牛耳られていた!
そんな政府の上院議員である兄を救い出すべく、何故だか赤・青・黒しか見えない主人公チズル(20歳)が、BB弾を込めたパチモノ銃で、本物の銃と魔法で襲い掛かるチンピラと、職権濫用少年ハートな国家権力どもに真っ向勝負を挑む!
果たして、チズルは兄を救い出せるのか!
そもそも、なんで救わねばならんのか!
その答えはパルミジャーノ・レッジャーノが知っているかもしれない!
知らんかもしれない!

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……という、チーズな匂いとイソシアン酸の香り漂う『Super Ledgehop Double Laser』は、ボジョレー・ヌーヴォーが解禁されたり、エコの日だったりする2018年11月16日にPCゲーム配信プラットフォーム「Steam」で販売を開始した、リズム弾幕アクションシューティングゲームである!定価にして、ベビーチーズとスライスチーズもビックリ仰天目がテン、そもそもチーズに目はないだろ税込み100円!開発兼販売は「LAME Dimension」。過去にカニ頭のミュータント、バイオ・オオカミと血を血で洗う抗争を繰り広げ、CEOの座を目指すハック&スラッシュ税込み100円お手頃アクションゲーム『THE QUARTER GAME』を制作したインディーディベロッパーで、本作はそれに続く二作目となる!

2018年12月21日には、翻訳者マイケル・スタンフォード氏の手によって感謝感激雨あられの完全日本語対応も成し遂げ、公式シャツの販売がThreadless」、「Touhou Tee Projectにおいて開始されている。また、本作の制作には特別協力者として、伝説の個人開発者にして鬼才、高橋邦子氏が名を連ねているッ!(※翻訳者マイケル・スタンフォード氏曰く、直接的な関わりはないとのこと)

リズムを取って倍返し!疾風怒涛で気分上々の銃撃戦!

ゲームはステージクリア方式で展開!見下ろし視点で描かれたステージを進み、脳味噌チーズなチンピラどもにBB弾をぶち込んで爆発四散のチーズステーキにしつつ、最後に待ち構えるボスを粛清すればクリア。そのまま次のステージへと進んでいくという、単純明快ゴリ押し上等一点主義の構成だ。

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操作はキーボード+マウス、箱コン(Xbox360コントローラ)の二種類を用意。前者の場合はキーボード側でチズルを動かし、マウス側で照準調整と射撃。後者は左スティックで移動、右スティックで照準調整、RTボタンで射撃だ。この操作系から明らかな通り、本作はいわゆるツインスティックシューターだ。ホットでワズなマイアミで、マフィアの脳天をかち割ってイケイケするアレみたいなのと言えば、おおよそ消去法の想像はできるかもしれん!

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本作最大の特徴がリズム要素だ。誰がどう考えても明らかなことだが、実弾で襲い来るチンピラにBB弾で真っ向勝負を挑むなど、荒唐無稽のローションプレイ。頭がハッピーセットにも限度があるとは、超イカすおじさんの談だ。

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しかし駄菓子のだがしかし!全米激震・大驚失色の技が。それこそが件のリズム要素。本作では画面上にリズムバーが表示され、バックで流れる音楽に合わせ、印とか音符などとかと言われる「ノーツ」が流れてくる。そのノーツが中央に来た瞬間に合わせ、ビートを刻むように射撃する(対応するボタンを押す)ことで、高威力なショットを放つことができるのだ。当然、これがチンピラに命中すれば大ダメージ倍返し。残念ながら、一発撃ち込むだけで倒せるヤワでピュアな輩はいないが、それでも通常のショットよりも少ない手数で相手を撃砕できる。

このような音楽を意識した射撃を展開しつつ、襲い来るチンピラどもをチーズステーキ一丁あがりにしていくのだ。
念のためだが、絶対にリズムを取らないとダメという訳ではない。先の通り、本作は弾幕型のシューティングゲーム。ゆえに回避に専念せねばならない展開が多々ある。そんな状況でリズムを取ることに躍起となれば、蜂の巣愛の巣だ。

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なので、相手の動きに応じて攻守を切り替え、立ち回っていくことが大事。

ツインスティックシューターとしての作り、操作感はまさに王道オンロード。だが、リズム要素によって、唯一無二で物質主義な手応えを表現している。脳味噌チーズなチンピラどもを撃砕する設定と世界観に目が行くが、その骨組みはとても真面目。プレイすれば、本格的なアクションシューティングとしての手触りに驚き桃の木山椒の木となるだろう。

そして、特徴的なシステムはまだ二つある。
「吸収」と「絶リフ」だ。

伝家の宝刀「絶リフ」&「吸収」で、お前の弾は俺の弾!

弾幕型に属するだけあって、敵対するチンピラどもは膨大な量の弾をバラ撒いてくる。戦闘中には、それらを潜り抜けることにもなるのだが、時に隙間も簀巻きもない弾幕が襲い来る。そんな時に役立つのが、先述二つの技である。

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「吸収」は文字通り、弾を吸い込んで無効化してしまう技、「絶リフ」は「絶対無敵リフレクト」の名の通りに敵の弾を反射する技だ。
なお、「絶対無敵リフレクト」というのは筆者が勝手につけた名称である。作中で正式名称が出てこないため、たぶんこうだったんじゃないのか的思い込みから命名させていただいた。おおむね間違ってないはずである。
……間違っていたらどうしよう。(※翻訳者マイケル・スタンフォード氏によれば、デラックスな大乱闘の狐が持つテクニックを由来としているみたいです……)

それはさておき。いずれの技も、画面下に表示された「SH」こと一族伝家の宝刀「シャインゲージ」を消費する形で発動。ゲージ自体は使う度に自動回復する仕組みだが、両方の技を使う際に用いるので、ご利用計画的な使い分けが求められる。

また、「吸収」に関してはやや特殊。言葉から掃除機のようなアクションを想像するかもしれないが、断じてそのようなものではない。対応するボタンを押しっぱなしにしてチャージした後、敵の弾の近くで離して吸い込むリスキーな技なのだ

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しかし、それ相応のリターンが。吸収した弾はシールドのようなものに覆われて一定時間その場に残り、後から続く弾がそこに接触すると連鎖反応を起こして無効化。そして、吸い込んだ弾はプレイヤーの武器へと転換

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そのまま残り弾数のある限り、吸い込んだ弾による特殊攻撃を繰り出せるようになるのだ。種類も火炎放射、拡散、凍結など吸い込んだ弾によって変わり、チンピラに致命傷を負わせたり、時にはリズム完全無視のトリガーハッピー飲みたがりの攻撃が展開できるようになったり。

特にボス戦は、吸収による戦術と難易度の上下が最も体感できる象徴的な場面だ。初期装備で戦うとあいや~な展開になる反面、吸収とそこから得られた弾を活用すれば短期決着に持ち込めたりと、このシステムならではの派手でオーマイガーな爽快感を味わえる。

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吸収の効果範囲が狭い関係で、始めて間もない頃は上手く敵の弾に当てられず、トゥーランドットな思いをするかもしれないが、コツを掴めば、積極的に吸い取りに行きたくなるぐらいにプレイスタイルが変化。チンピラどもを料理する楽しさも倍増だ。

リズムを取りながら射撃するアクションも印象的だが、これらの技も負けず劣らず。癖があるなりの使いこなせるようになった後のゲームの変わりようもインパクト十分で、上達する楽しさが凝縮されたシステムに完成されている

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積極的に弾を吸い取って、お前の弾は俺の弾なプレイが染み付けば免許皆伝戦闘態勢。慣れてない頃からの成長、豊富な攻撃の数々でチンピラどもをステーキにしていく楽しさとゲーム展開の変わりぶりにときめきハッピーな気持ちになってしまうだろう。

そして、本作の本格的なアクションシューティングたるゆえんも知る!確実に知る!

行く手阻む者ども、全員スライス・ロックフォール!!

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とは言え、ストーリーはカオスとマスカルポーネの極み。そもそも、BB弾でチンピラと国家権力に挑むあらすじの時点で天元突破のフェーン現象。登場キャラクターも主人公のチズルは「青・赤・黒」しか見えず、それを踏まえてグラフィック全般が三色+白で表現されているなど、発想と理由付けが斜め上の暴れん坊朝寝坊な方向へと突き抜けている。

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脇を固めるキャラクターもチズルを溺愛しつつ、血縁関係皆無の超イカすおじさん「ティト」、容姿などが標準設定になる呪いにかけられた少女「デフォルト」と言った破天荒一直線でカテゴリー超級の面子揃い。さらにかの有名な「一華優朋」がボスとして参戦する。誰だよと思うかもしれないが、それ以上いけないと言っておこう!彼女の経歴も調べてはいけない!きっと好きになっちゃうぞ!闇見るぞ!(※「見ちゃった……。」:筆者談)

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一周に要する時間は大体1時間以内。ステージ総数も5つと少なめだが、工夫を凝らしたボス戦とよりどりみどりのチンピラども、ストーリー展開に応じたイベントで楽しませてくれる甘露な構成で、クリームチーズ級の味わい深さがある。ひっそり分岐イベントもあって、そちらを経由しなければ会えないボスが存在したり、本編とは別に持久戦を題材にした「抗争(※原文ママ)」なるモード、タイムアタックと言ったやり込み要素も揃っているので、遊び応えはべリーグッジョブフローズンヨーグルト。

他に音楽もアメイジングパンデミックな楽曲が揃っていて、件の一華優朋のテーマ曲は癖になっちゃうアーヴァンク。吸収で弾を手に入れるかしないかで極端に優しくなったり難しくなったり、最終ボスが冷酷無慈悲の血も涙も感動もカモノハシもない強さであるなど、難易度調整には甘い部分も目立つ。だが、それを覆い隠すシステムの面白さとストーリーのハチャメチャさがギンギンギラリのビリジアンに光るこのゲーム。

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僅かたったの100円、チーズケーキどころか、ベビーチーズを買うより安いロックフォールな値段で遊べる怪作だ!興味のある方はぜひ、チャレンジしてみていただきたい。シューティングゲーム好きならスライスチーズか、ベビーチーズをお供に突撃だ。エンディング観賞用にゴルゴンゾーラとワインもあれば、なお味わい深いですよ。
とは言え、お酒は二十歳になってからの三軒茶屋ね。

[基本情報]
タイトル:『Super Ledgehop Double Laser』
制作者: LAME Dimension(※日本語翻訳:マイケル・スタンフォード)
クリア時間: 50分~1時間(※実績コンプリートを除く)
難易度:上級者向け
対応OS: PC(Windows)
価格: ¥100

購入はこちらから
※Steam

※itch.io
https://chairgtables.itch.io/superledgehop

RPG『新約・帽子世界』公開、犬と猫最新作『シオとあやかしの森』発売など ~今週のフリゲ・インディーゲームトピックス

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本コーナーでは筆者や編集部がピックアップした、ここ1週間のフリーゲームやインディーゲームの話題を毎週土曜日にお届けします。今週の話題は名作フリゲRPGのリニューアル版公開など4本です。

RPG『新約・帽子世界』公開

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えぬ氏(RPG探検隊)は4月27日、RPG『新約・帽子世界』をフリーゲームとして公開した。

同氏が2013年に公開した『帽子世界』のリニューアル版。“帽子”の力によって作られたさまざまな世界を舞台とした作品で、複数の主人公の選択や連携によるコンボ、“帽子”の入手によりできることが増えるといった要素が特徴。可愛らしいキャラクターイラストや描き込まれたドット絵など、グラフィック面も見どころとなっている。

「新約」では、リニューアル前は主人公ごとに基本的には同一だったシナリオが主人公ごとに個別のものとなったほか、さまざまな要素が大幅に追加されているという。

サバイバルシミュレーションゲーム『シオとあやかしの森』ダウンロード販売開始

同人サークル犬と猫は4月30日、サバイバルシミュレーションゲーム『シオとあやかしの森』のダウンロード販売を開始した。

同一世界観で展開する同サークル作品のシリーズ第18作。第1作の主人公でシリーズのヒロイン「シオ」を主人公に、難攻不落のダンジョンの攻略を目指す内容となっている。

シオとあやかしの森

シオとあやかしの森(犬と猫)

『シオとあやかしの森』は難攻不落のダンジョン攻略を目指すサバイバルシミュレーションゲームです。

シネマチックノベルゲーム『fault – milestone one』コンシューマ版OPムービー公開

同人ゲームサークルALICE IN DISSONANCEは2日、シネマチックノベルゲーム『fault – milestone one』コンシューマ版のOPムービーを公開した。

マナクラフトと呼ばれる技術が存在する世界を舞台とし、とある事件で国を離れた姫セルフィーネと、そのガーディアンであるリトナの帰郷の旅を描く『fault』シリーズの第1作。PCでは2作目までリリースされており、3作目が開発中。コンシューマ版はPS4/Nintendo Switch向けにリリース予定となっており、この移植作業が終了したことも公表された。

「第14回ふりーむ!ゲームコンテスト」結果発表、コンテストは今回で終了

フリーゲーム投稿サイトふりーむ!は4月30日、「第14回ふりーむ!ゲームコンテスト」の結果を発表した。

2005年から10年以上にわたり、1年に1回ペースで開催されてきたコンテスト。ふりーむ!の選考委員により最優秀賞や優秀賞のほか数多くの部門賞などが選出された。

もぐらゲームスで紹介記事を掲載した作品の中では現代SF長編RPG『デイドリームリバー』(紹介記事)が長編RPG部門の金賞、ライトノベル風ノンフィールドSFRPG『Choir::Nobody』(紹介記事)が審査員特別賞を受賞している。

なお、「ふりーむ!ゲームコンテスト」は今回で終了するとのこと。コンテスト結果発表のページでは総評と共に、終了の経緯やふりーむ!の今後について綴られている。

小さな村でみんなとかくれんぼ。愉快なキャラクター、多彩なリアクションが魅力の短編箱庭アドベンチャー『ちょっとび!』

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「ちみっこ」と呼ばれる、動物のようで人間のような不思議な生き物が住む小さな村。

主人公の「ココ」は、目つきが悪い「あんちゃん」、大人しい「にいちゃん」のニワトリ兄弟と一緒に暮らしているヒヨコの女の子。いつものように朝起きると、家の外から近所に住む猫の男の子「ピーにゃん」が呼びかけてきた。

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そして、他の四人の友達と揃って、かくれんぼをすることに。
じゃんけんの末、オニ役になったココは、ピーにゃんを始めとする、村のあちこちに隠れた五人の友達を探すことになる。
さてさて、みんなはどこに隠れたのかな。見つけられるかな。

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そんなオープニングと共に幕を上げる『ちょっとび!』(作者:にわのこ氏)は、PC(Windows)用短編箱庭アドベンチャーゲーム。2019年2月24日より、「BOOTH」、「ふりーむ!」の二つのサイトでフリーゲームとして公開されている。

「みんな すぐみつけてやっちゃうぜ!」

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先のストーリーを読んで字のごとく、ゲーム内容は「かくれんぼ」。主人公の「ココ」を操作して、村のあちこちに隠れた五人の友達を探し出す。たったそれだけだ。

本編の舞台となるマップも村以外にない。北側に出入口があるものの、外に出ようとすれば戻される。東側にもどこかと繋がっていそうな道があるが、柵が敷かれている。

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そんな訳で、基本的に村の中を歩き回ることに終始。木陰、樽などの怪しい場所や物を調べ、時には家の中も確かめるなりして、友達を探していく。当然ながら自力で、だ。

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とは言え、ピーにゃんの家付近にいる猫の男の子「トラジ」に話しかければ、誰がどこにいるのかのヒントを得られる。これと言って、聞くことによるペナルティもないので、行き詰まったら話しかけ、推理することを繰り返していけば、自然に五人全員を発見できる程度に難易度は低めだ。

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最終的に全員を見つけられれば、ゲームクリアとなる。なので、かくれんぼ主体で進めれば、最長でも1時間以内には終わる程度にボリュームは少なめ。短編だけにある物量だ。

このような作りもあって、ゲームとしての手応えは薄い。そもそも、RPGのサブクエストにありそうなイベントをこなすだけなのだ。本当にアッサリとしている。

反面、キャラクターと世界観には並々ならぬ気合が込められている。
本作の魅力と真髄は、まさにそこにある。

「おはちゃー!」

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特に主人公のココからして面白い。
やたらと元気でおちゃめ。

友達の五人や二人の兄弟など、村のちみっこ達に独特な調子で挨拶をしたり、樽、薪、野菜などのあちこちに置かれた”物”を調べれば、それぞれに応じた固有の台詞を返してくれる。

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この台詞のパターンが驚くほど多彩で、村の中にも調べられる物が数多く用意されていることから、一つひとつをチェックしては、どんな台詞を返してくれるのか確かめたくなる面白さがある。しかも、隠れた友達を見つけていくにつれ、村にいる一部キャラクターの会話内容も変化。大体の友達を見つけたところまで進めて、”ちょっとした出来事”を迎えると、物を調べた時に返してくる台詞も違うものになって、最初に調べた時には気付かなかった意外な事実が明らかにもなる。

さらにその状態を迎えた時に限り、あるキャラクターの印象が一変したり、思いもしなかった”隠しアイテム(?)”が発見されたりも…。

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基本的にこれらは本編のかくれんぼと無関係なので、いちいち全部を確かめなくてもよい。ただ、なるべく他のちみっこに話しかけたり、物を調べたりすることで、ココに対する愛着は増し、同時に小さなマップの中に大量のネタを詰め込んで、展開に応じた仕掛けまで凝らした本作の真髄と作り込みの深さが明らかとなる。

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なので、ゆっくりじっくり、村にある物を調べたり、他のちみっこに話しかけながら遊んでみていただきたい。そうすることで、村の雰囲気を堪能しつつ、ちみっこ達の一挙一動を味わう作品としての味わいが増していく。

そして、もっとこの村の様子を観察したいという欲が生まれてくるだろう

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裏を返せば、かくれんぼだけで終わってしまう本編に「もっと見せてよ!」という物足りなさが爆発することも意味するのだが。実際、かくれんぼに絡んでこないキャラクターの一部に、さらなる一挙一動を見てみたいと思える存在がいるだけに、そこが惜しい。短編として割り切った結果なのかもしれないが、それだけ作り込みが見事であるだけに、もう少し、イベントがあると良かったかもしれない。

一応、”なにか”そのものはあるのだが。(詳しくは本編にて)

「じゃあ あんちゃん!にいちゃん!あそびにいってくるねー!」

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温かみのあるドット絵で描かれたグラフィックも見応え十分。村のほのぼの、まったりとした雰囲気を見事に表現している。静止画では主に背景、小物に注目してしまうが、実はキャラクターのアニメーションも凝っていて、会話の流れに応じて手と足、さらには表情も豊かに変わるようになっている(さらにキーボードのAを押すと……?)
例によって、特にそれが目立つのがココ。また、友達の一人「ピーにゃん」も愉快な動きを見せてくれるので、要注目だ。後ろ姿も実にイイ。

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演出も効果的なタイミングで表示される吹き出し、大声で叫んだり、奇声(?)を発した際には大文字で台詞が表示されるなど、場面に見合った工夫が凝らされている。音楽も曲数は少なめながら、8ビットスタイルの楽曲がグラフィックと見事にマッチしている。

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箱庭アドベンチャーゲーム、特に探索周りの手応えを求めると肩透かしだが、世界観と雰囲気を楽しむゲームとしては見所満載、作り込みも圧巻の本作。終始、のんびりとした気持ちで遊べるので、集中力と精神力をフル活用するゲームで疲弊した時、癒されたいと思った時には迷わずプレイしてみて欲しい一本だ。

なんだかとっても元気で、おちゃめなヒヨコの女の子が友達と一緒に楽しく遊ぶ様子をゆっくりまったり眺めてみよう。きっと心がホッコリしてしまうはず。人によってはピーにゃんのように、からかいたい気持ちが湧いちゃったりするかもしれない。

……あ、重要なことを忘れていた。

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なお、作者のにわのこ氏のPixiv FANBOXでは、本作のキャラクター達のイラストが掲載されている。また、現在制作中の長編RPG『KURUHATO』の進捗状況もチェックできる。少しでも興味がおありの方はTwitter共々、要チェック!

[基本情報]
タイトル:『ちょっとび!』
制作者: にわのこ(PICOT HELLO)
クリア時間: 20分~1時間
難易度:初級~上級者向け
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料

ダウンロードはこちらから
※BOOTH
https://booth.pm/ja/items/1236079

※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/19618

空前絶後の”ケモノ+筋肉”タイピングゲーム『コトダマッスル』 筋肉と言葉の力は裏切らない…

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今も昔も、PCを用いた業務に携わる人間にとって、キーボードの「ブラインドタッチ(タッチタイピング)」は無くてはならない技能の一つだ。

それを学ぶのに最適なのが、PC向けに作られたキーボード操作で遊ぶ「タイピングゲーム」である。同ゲームは今もなお、キーボード操作を学ぶ、極めるに当たって欠かせない存在であり、家庭用も含め、多種多様な作品が制作され続けている。

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そんな作品の中でひときわ個性の強い一本、『コトダマッスル』を今回は紹介する。本作は2018年8月19日、フリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」にて公開された、ダブリス竈(かまど)氏制作によるWindows PC用タイピングゲームで、「第10回WOLF RPGエディターコンテスト(通称:ウディコン)」参加作品。同コンテストでは熱中度、遊びやすさのそれぞれの部門で1位、物語性部門で2位、総合グランプリで2位の好成績を収めている。

正統派タイピングバトルゲーム。しかし、妙な要素が……。

内容の紹介に入る前に一つ、注意事項を。本作はタイピング練習用のゲームではない。(事実上の)極める方向に特化したゲームだ。なので、タイピング操作を全く習得していない、これから習得に励むプレイヤーにはおすすめしがたい。後述するが、難易度選択機能はあって、簡単な難易度も用意されているものの、それでも初歩レベルのタイピングができなければ厳しい。チュートリアルにも、タイピング習得に必須となる「ホームポジション」を練習するものは用意されていない。よって、本作に興味があっても、最低限のタイピング技能がなければ、別の練習用ソフトで基礎を習得してからがよい。あえて、突撃して試練に挑むのも一興ではある。しかし、筆者個人の意見としては初歩レベルでもいいので、習得してからを強く推奨する。そのことを留意いただきたい。

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注意事項を書き記した所で本題に入ろう。

基本的には、画面に表示される単語を始めとする文字列をキーボードで入力していく、スタンダードなタイピングゲームだ。シチュエーションは戦闘主体で、ストーリーに沿って立ちはばかる敵をタイピングで撃退していく形となる。

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敵への攻撃は、指定される文字列を入力し終えるごとに行われる。最終的に体力ゲージを空にすれば勝利。逆にミスタイプを繰り返して敵の攻撃を何度も浴び、こちらの体力ゲージが空になるとゲームオーバーだ。ミスタイプを防ぐ意図で、ゆっくり入力することを心がけたとしても、敵側の体力ゲージ下に表示されたオレンジ色のゲージが無くなれば、問答無用で攻撃されてダメージ。よって素早く、且つ正確なタイピングが勝利へのカギ。いかにも戦闘主体のタイピングゲームらしいバランスにまとめられている。

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もちろん、必殺技も存在。画面左側に表示されたゲージが貯まった時にエンターキーを押すと技が発動し、相手に大ダメージを与えられる。ゲージは全10段階あるが、1段階でも溜まれば発動可能と条件は緩め。しかし、満タンの10段階にすれば、それ相応の強力な一撃が繰り出されるので、狙ってみる価値は大いにある。

とは言え、意外に10段階まで溜めるのは至難の業。というのも、画面左下の「COMBO」を一定数重ねるのではなく、「UHO」の文字列を入力することで溜めるのだ。なので、提示される文字列に「UHO」と入力できる部分がなければ、ゲージを溜めることすら適わず。運と機会に左右される仕組みになっているのである。

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他に戦闘も、文字列をそのまま入力するだけのものに限らない。中には提示される文字列から見出される答えを入力しなければならない、特殊パターンも存在する。当然ながら、間違った答えを入力すれば返り討ち。プレイヤーの思考力、洞察力も試されるのだ。

基本的な手触りはタイピングゲームの基本に忠実で、特段、斬新なところはない。しかし、
必殺技の発動条件、特殊な戦闘などの個性的な要素が揃っていて、ただ提示される文字列を打ち込んでいくだけに終始しない、起伏のある内容になっている。肝心の戦闘も一騎打ちもあれば、雑魚敵軍団との連続戦、巨大ボス戦などの様々なバリエーションが用意されていて、単調さは全く感じさせない。

何より、ストーリーの濃さがいいアクセントになっている。

「ケモノキャラクター+筋肉」空前絶後のコラボレーション

紹介が遅れたが、本作にはストーリーが存在。本編も登場キャラクター達の会話パートを挟みながら、各種タイピングバトルを繰り広げていく構成になっている。

肝心の内容も実にユニーク且つ、空前絶後で革新的(?)な作風だ。

擬人化したウサギが生活を営む「ウサギニア国」、同じく擬人化した犬が生活を営む「イヌトピア国」の二つの国が東西に位置する世界。両国は互いを認めず、長きに渡って聖戦という名のもとに……かどうかは分からないが、果てしない戦いを繰り広げていた。

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そんな中、ウサギニア国に住む少女「クロエ」は、成人として「言紡師(げんぼうし)」になる記念日を迎えていた。言紡師とは、言葉に眠る力を呼び起こす技を持った能力者のことである。

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その通過儀礼として、新たな知識を学ぶための「言魂(ことだま)」を召喚するべく、東にある大樹の根元へと向かうクロエ。だが、そこにはヒャッハー全開世紀末な山賊が!さらに、彼らに襲われている研究者と思しき人物の姿も。

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案の定(?)、山賊にお持ち帰りされそうなピンチに陥ったクロエは、言紡師の力を駆使し、言魂に助けを求める。

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すると間もなく、轟音と共に言魂が召喚された。その者とは……

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ムキムキマッチョな「イシカワ」さんでした。
かくして、予想だにしない言魂を召喚してしまったクロエは、この後、二国の将来をも左右する、とんでもない出来事へと巻き込まれていくことになるのでした。

思わず二度見してしまうようなあらすじだが、ウソ偽り何もなく本当にこの通り。ムキムキマッチョな半裸の男性(の言魂)、擬人化ウサギの少女が様々な戦いに身を投じていくストーリーが展開されるのである。

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そのため肉密度、むさ苦しさ共に特濃。それを推し進めるかのように、イベントでは数々の筋肉用語が飛び出しては、筋肉こそ全て、筋肉があればなんでもできる、筋肉は希望を人々に与える、力押しモリモリ豪華一点主義の展開が繰り広げられ、プレイヤーに筋肉は決して裏切らないことを嫌になっちゃう癖になっちゃう勢いで思い知らせてくる。

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そうも濃すぎる人物にクロエを始めとする、ケモノなキャラクター達が続々と絡む。大変失礼な一言であるが、褒め言葉として言わせていただこう。頭おかしい。そもそも、どうしてケモノと混ぜた。何故、その発想に行き着いた。訳が分からない。筋肉愛にも限度がある。

こんな人物構成になっているのもあり、かなり人を選ぶ……というか、不快感すら抱きかねない内容だ。実際にそのようなプレイヤーへの配慮からなのか、ゲーム起動間もなく筋肉流注意書きが表示されるほどである。前代未聞すぎる。

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例によって、ストーリーも二国間が争っている背景とは裏腹にギャグ……もとい、筋肉漫才新喜劇である。とは言え、登場人物達から言紡師を始めとする用語など、設定は詳細にまとめられていて作り込みは深い。戦闘もストーリーの状況に見合った内容のものが多く、それが先の特殊な展開へと至らせるなど、運ばせ方も理に適っている。

何より、終盤の展開が熱く、演出的にもタイピングゲームならではの独自性が強く出ている。特に最終ボスにトドメを刺すまでの流れは、ストーリーとタイピングがフルシンクロする、とても印象深いものになっているので必見だ

ボリュームとしては1時間に満たない短編だが、要点を押さえた展開と登場人物達の愉快さもあって、なかなか見応えのある内容にまとめられている。最初はイロモノすぎる設定と組み合わせに困惑必至だが、中盤を越える頃にはその違和感もほぼ消え失せる。

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人を選ぶ部分があるのも否定しないが、プレイすれば題材以上の満足感とキャラクター達への愛着を得られるだろう。そして、改めて次の至言を呟いてしまうかもしれない。

筋肉は裏切らない…。

イロモノっぽく見えて、実は秀作

先の通り、ストーリーは短編の密度だが、ゲーム側は五種類の難易度、正打率などのやり込み要素が用意されていて、クリア後も楽しめる。特に正打率100%クリアは歯応え抜群。しかも、ステージと難易度別に記録される仕組みのため、一筋縄ではいかない。

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五種類の難易度も独自の味付けが施されており、特に最高難易度「むずい」はタイプミスの許されないシビアな戦闘を堪能できる反面、「おきらく」ではタイプミスをしない限り、敵から攻撃されることのないスローテンポでユルい流れでゲームを進めていける。それでも、タイピングを全く習得していないプレイヤーには、操作面でもどかしく感じてしまうところがあるが、様々な遊び方を許容するサポートの手厚さは素晴らしいの一言だ。これぞ筋肉的慈悲。地味だが、戦闘画面右側に次に入力するキーの候補を表示してくれる機能が設けられているのにも、同様の慈悲を感じさせられる。

他にキャラクター、インターフェース周りのデザインも本作の持つ独特な雰囲気、ケモノな世界観特有の可愛らしさが表現されている。イベントなど、背景が実写の写真で描写されているのも面白いところだ。ちなみにロケ地は石川県とのこと。

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ケモノ+筋肉という常軌を逸した組み合わせゆえの濃さと人を選ぶ側面はあるものの、意外にも(失礼)秀作に完成されている。先の通り、タイピングの練習ソフトとしての側面はないため、それ目的での遊ぶのはおすすめできない。ただ、最低限のタイピング操作を習得しているプレイヤーには、さらなる習熟を目指すに当たって最適。タイピングをマスターしているプレイヤーにも、ストーリーの面白さでおすすめできる魅力がある。題材とは裏腹に、とてもよく出来ている本作。興味があればぜひ、プレイしてみていただきたい。

Remember, the muscles never lie.

[基本情報]
タイトル:『コトダマッスル』
制作者: ダブリス竈(かまど)
ロケ地: 石川県
クリア時間: 1~1時間半
難易度:初級~上級者向け(※要:タッチタイピング)
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料
備考: ケモノ成分50%+肉密度70%

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/18309

ミサイルのミサイルによる、ミサイルのためのSTG『MissileDancer』ミサイルを撃ち、ミサイルを防ぎ、敵を倒せ!

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数百ものミサイルが一斉発射され、それぞれが絡み合うような複雑な軌道を取り、糸を引くような白煙で軌跡が描かれていく、アニメーターで演出家の板野一郎氏によって生み出された表現技法(通称:板野サーカス)は、国内外のクリエイターに多大な影響を与え、今やアニメにおけるミサイル発射演出の代名詞として定着している。ゲームにおいてもその影響は現れており、主にシューティングゲームにおいてそれを見て取れる。

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今回紹介する『MissileDancer(ミサイルダンサー)』は、そんな板野サーカス風の戦いが繰り広げられる、ミサイルのミサイルによるミサイルのためのシューティングゲームである。制作は当もぐらゲームスにもレビューを掲載している『Image Striker(イメージストライカー)』『Moon Striker(ムーンストライカー)』と言った、1980年代のキャラバンシューティングに影響を受けた作品を手掛けてきた個人開発者のてらりん氏。タイトルはゲーム実況者のLeuke氏が命名した。

2018年4月28日にスマートフォン(iOS、Android)、PC(itch.io)向けにリリース。同年6月1日からはゲーム配信プラットフォーム「Steam」でもリリースされた。また『Missile Dancer Free』なる、一部要素を制限した無料版も各プラットフォームで配信されている。

ミサイルを撃ち、ミサイルを迎撃するシューティング

内容は過去、てらりん氏が手掛けてきた作品と変わらない。縦スクロールのステージクリア型シューティングゲームだ。収録ゲームモードも過去作と共通。全8ステージ攻略に挑む「ARCADE」、3分間にどこまでスコアを伸ばせるかに挑む「CARABAN」の二種類だ。

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特色はタイトルにもなっている「ミサイル」。主要な攻撃手段がこちらになる。仕組みはロックオン方式で、ボタンを押しっぱなしにして自機周囲に円状のレーダーを展開させ、狙いたい敵を捕捉した後、ボタンを離せば発射できる。
ボタンを離さなくても、捕捉した敵の数がミサイルの最大発射数に達すれば自動で発射。そのまま敵を追跡するようにミサイルが飛んでいき、命中すればダメージを与えられる。基本的にこの流れで敵を迎撃していく。

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なお、スマートフォン版は画面タッチでレーダーが展開。
指を離せばミサイルが発射される仕組みだ。

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また、自機にはミサイル以外に「バルカン砲」も備え付けられている。だが、その威力は「ひ弱」の一言。どれほどかというと、一番弱い雑魚敵すら撃墜できない。そのため、主要武器としては完全な役立たず。ただ、敵のミサイルを撃ち落とす威力はあるので、そちらに用いる武器という位置づけになっている。結局、ミサイルで戦うしかないのだ

そんなミサイルで戦い抜いていくことが本作の魅力。雑魚敵からボスの全てをミサイルで対処せねばならない。シューティングゲームとしては珍しく、瞬時に攻撃できない武器で立ち回っていくのである。

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敵の攻撃がミサイルに限定されているのも大きな特色。本作では全ての敵、ステージ最後に登場するボスまでもがミサイルだけで攻撃してくる。単発弾、レーザー、拡散弾、火炎放射と言った攻撃は何一つ繰り出してこないのだ。

これが意味するのは、敵の弾は全て撃ち落とせるということ。ひ弱なバルカン砲を命中させて各個撃破すれば、自機の脅威を綺麗に取り除けるようになっている。しかし、裏を返せば敵のミサイルはほぼ確実に飛んでくる。自機側のミサイルが即座に発射できない、一度に発射できる数も限られているだけあって、幾ら簡単に撃墜できる雑魚敵でも編隊を組んでいれば、その中の一機が必ずやられ際にミサイルを撃ってきてしまう。一発も撃たせず黙らせるのは困難を極めるのである。

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だからこそ、バルカン砲を用いた迎撃が重要。そして、敵が大量のミサイルを撃ってきた場合は、自機を狙ってくるものを絞り込み、撃ち落とすこともやっていかなければならない。常に攻撃されることを念頭に自機を動かし、しっかり潰して安全を確保し、迎撃する。本作はそう言った立ち回りを醍醐味とするシューティングゲームにまとめられている。

危険に自ら接近する覚悟が試されるゲームデザイン

さらにミサイルという武器は、プレイヤーに対し、あまりにも勇気の要る行動を求めてくる。その行動とは”接近”。先の通り、ミサイルを発射するには自機の周りに円状のレーダーを展開し、対象を捕捉しなければならない。

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つまり、敵の近くまで自機を動かさなければならない。相手の攻撃が一瞬で直撃しかねないほど距離を詰めなければならないのだ。
とは言え、レーダーの半径は広い。その範囲を広げる専用のパワーアップアイテムもある。なので、至近距離まで近づくまでのことは求められない。

だが、それでも複数の敵を相手にしたり、ボスと戦う際には接近する必要がある。
特にボスはどのステージでも、プレイヤーとの間合いが狭い位置に陣取って攻撃を展開してくる上、弱点付近にミサイルを乱射する砲台を設置している。なので、バルカン砲を発射しながら近づかないと撃墜されかねない。レーダーも最大レベルまで上げようが、画面全体を隙間なく覆うほど広くはならない。結局、敵の位置次第で接近しなければならないのだ。

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一般的にシューティングゲームで敵に接近するのは、自爆行為も同然。ゼロ距離で弾を発射されたが最後。回避する隙もなく、撃ち落とされてしまう。だからこそ、相手が攻撃してきたら「避け」、その後に「撃つ」。もしくは攻撃前に撃って黙らせる。「避けて撃つ」と「先手必勝」、それこそがシューティングゲームにおける主要戦術である。

だが、本作はどちらの手も取れないどころか、自爆行為に近いことをやらねばならない。バルカン砲という相手の攻撃を確実に無効化できる武器があるのをいいことに、接近という名の危険行為を要求し、プレイヤーの覚悟を試してくるのだ。

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これだけでも、本作の持つ独自性が察せるだろう。接近と言ってもほんの少しだけではあるが、それでも一般的なシューティングゲームの感覚では、相当に神経が磨り減る行為。それを状況に応じてやっていくのだ。

見た目こそ、古き良き時代のシューティングゲームなビジュアルだが、中身はいい意味で「看板に偽りあり」。そして、まさしく「ミサイルのミサイルによるミサイルのためのシューティングゲーム」。一つの武器を突き詰めたなりの独自色溢れる仕上がりになっているのだ。

幅広いコントローラを用い、ミサイルの嵐を敵に叩き込め

難易度も全体的に高めの設定で(※簡単な「EASY」も用意されている)、独特なシステムも相まって、申し分ない歯応えを味わえる。

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ステージも個性的。特に最終ステージは、本作がミサイルのために作られたシューティングゲームであることを実感させられる印象的な構成になっている。ぜひ、プレイした暁にはここまでやり切ってみて欲しい。ミサイルのシューティングゲームという印象が確固たるものになるだろう。

他に特筆すべき点で、幅広いコントローラに対応していることがある。スマートフォンはデフォルトのタッチ&スワイプ操作のほか、別売のBluetoothコントローラにも対応。PlayStation 3、PlayStation 4と言ったコンシューマ機のコントローラ、アーケードコントローラも使えるようになっている。PC版限定だが、スマートフォンのタッチ&スワイプを再現したマウス操作にも対応。片手でシューティングという、新鮮なスタイルで楽しめるようになっている。

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スマートフォン版限定でTwitter、Facebookと言ったSNSにハイスコアを投稿できるシェア機能が実装されているのも見所だ。

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▲アップデートと同時にテキスト周りの完全日本語化も可能に。

また、2018年12月25日に実施されたアップデートで、Steam版はオンラインランキングにも対応。他のプレイヤーとの得点争いも楽しめるようになった。同年12月30日にはスコアシステムのアップデートも実施され、敵を倒した際のボーナスが一新されている。既にアップデート前のバージョンでやり尽くしたプレイヤーも、戦術面に多少の変化が生じているので、ぜひ、挑戦してみて欲しい。(※念のためだが、Steam版以外はオンラインランキングに非対応なのであしからず。)

ミサイルメインで戦うスタイルを除けば、演出、効果音、画面レイアウトは、てらりん氏が過去に手掛けた作品の焼き直しで、プレイ経験のある人ならば「またか」と感じるところはある。しかしながら、独自性はこれまでの中でも屈指で、やり応えも頭一つ抜けている。

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一つのテーマに集中したなりのこだわり、新しいプレイ感に満ちた良作に完成されているので、シューティングゲーム好きならプレイしてみて欲しい。変わった作品を求める人にもおすすめだ。ミサイルのミサイルによる、ミサイルのためのドッグファイトに挑め!

[基本情報]
タイトル: 『MissileDancer』
制作者:TERARIN GAMES
クリア時間: 30分~40分
難易度:初級~上級者向け
対応OS: iOS、Android、PC(Windows)
価格: ¥205(PC版) / ¥240(iOS / Android) / 無料(※Free版)

購入はこちらから
※PC(Windows)版
https://terarin.itch.io/missiledancer
https://terarin.itch.io/missiledancerfree (※無料版)

※iOS版
https://itunes.apple.com/jp/app/missiledancer/id1378011055
https://itunes.apple.com/jp/app/missiledancerlite/id1378014319 (※無料版)

※Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.terarin.MissileDancer
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.terarin.MissileDancerFree (※無料版)

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